テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ラーゲッツがリスベルン山に不時着してから三ヶ月と半月。事件が起こった。
フリンク族の住む村フリューゲル
ナトル「………という感じでここ暫くのことロベリアがリスベルン山に赴くようになって先日とうとう何の報せも無く朝帰りをしてきたのだ。
ロベリアはリスベルン山に通っていたこと以外は私には話してくれずあの娘が何をしているのか分からない。
親としては娘が心配で心配で………。
すまないが少し様子を見てきてくれないか?
フラット。」
フラット「分かりました。
お任せください。
ロベリアとは子供の頃からの幼馴染みですからね。
彼女のことは私と私の両親とで何をしているのか探って来ますよ。」
ナトル「場所が場所だから誰かと逢い引きしている………ということは無いとは思うがどうしてこうも毎日毎日リスベルン山に向かうのだろうか………?」
フラット「リスベルン山は子供の時によくピクニックに行ってましたから多分懐かしくなってつい足を運んでたのでしょう。
………三ヶ月………いえもう四ヶ月目になりますね。
ゲダイアンがバルツィエの攻撃を受けてフリューゲルでも不穏な噂が流れて空気がおかしかったですからロベリアも村の空気に耐えられず一人になりたかったのでしょうね。
それに逢い引きするとしたら村の誰かということになるでしょうがロベリアとそういう話になりそうな者は私の知る限り特に外出とかはしてませんでしたよ。
ロベリアはほぼ毎日出掛けていたのですよね?」
ナトル「あぁ………、
毎日な。」
フラット「フリューゲル以外の村はリスベルン山とは真逆の方向にありますしリスベルン山を逢い引きの場にするには非効率過ぎますね。
逢い引きの線はないでしょう。
アインワルド、ブルカーンの男が相手ならそれもその限りではありませんが流石に他の部族とそんな仲になるとは思えません。
私はロベリアを信じますよ。」
ナトル「頼んだぞフラット。
頼りになるのは君しかいないんだ。」
フラット「えぇ、
承知しております族長。
ロベリアの件は私が調査しておきます。
そんなに心配なさらずとも彼女のことですからリスベルン山で野兎の面倒でも見ている内になつかれて止め時を見失っているのでしょう。
ゲダイアンの事件当時に
ナトル「…何事も起こらなければいいのだがな………。
万が一ということも考えられる。
ロベリアには早めにリスベルン山に行くのを止めさせなければな。」
フラット「まぁ突然止めさせるのも可愛そうですしそれとなく促すようにはしますよ。
リスベルン山でロベリアの様子を伺ったあとで。」
リスベルン山
ラーゲッツ「………」
ラーゲッツはあることについて頭を抱えていた。
ロベリア「どうしたの?
ラーゲッツ「………ん?
あぁ何でもねぇよ。」
ロベリア「そう?」
何でもないことは無かった。ラーゲッツは彼女が自分を呼ぶその名前のことで悩んでいた。
ラーゲッツ「(………本当はツッゲーラなんて奴はいなくて俺はラーゲッツだってことを言わないといけねぇ。
………………こいつには隠し事をいつまでも続けたはくねぇんだ。
どうやって切り出すべきか。)」
名を偽ってからの期間が長すぎて今正直に正体を明かすことに障害を感じていた。もし本当のことを告げてロベリアが自分に失望するのを怖れた。始めから素直に言わなかった自分が悪いのだかここにきてそのことを後悔し始めている。自分の知名度はマテオでも良くない方向で広まっているのは間違いない。それは当然ダレイオスでもそのようで最初に会話した中からもロベリアはラーゲッツという名を既に知っていた。流石に顔までは知らなかったようだが自分がもしラーゲッツであることを打ち明けたらどうなるだろうか。
ラーゲッツ「(…もしロベリアが俺の正体がラーゲッツだと知ったらどんな反応をするか………。
リリスみたいに表面的には気にしてないような素振りをして裏で俺のことを下に見るか………?
隠してた事情まで話せばそれもあるかもな………。
………だがロベリアがそんな反応をするのか………?
ロベリアは俺のことを受け入れてくれた。
こいつがリリスみたいな最低な女だとは思いたくないがそれでもこの事実を打ち明けるにはまだ早いか………。
いや遅すぎるか。
………俺はどうしたらいいんだ。
このまま何も言わずにツッゲーラで通し続けるのは………。)」
ロベリア「あっ!
お水少なくなってきてるね。
私そこの川から汲んでくるよ。」
ラーゲッツが迷っているとロベリアは小屋に置いてある飲み水用の容器の水が減っているのに気付き容器を持って外に出ていこうとする。
ラーゲッツ「!
待てよ。
それくらいなら俺がやっとく。
ここまで来てもらってんのにそこまでさせられねぇよ。」
ロベリア「いいよいいよ。
私が好きでやってることだから。
ツッゲーラも何かやろうとしてることがあるんでしょ?
そっちを優先して。」
ラーゲッツ「あっ、
おい。」
一方的にそう言葉を切ってロベリアは川へと向かった。引き留めようとしたが彼女の耳には届かなかった。
ラーゲッツ「………………このままじゃいけねぇよな。
アイツが帰ってきたら俺の本当の名前と俺がマテオにどうやって帰ろうとしてるか話そうか。
アイツと付き合っていくのに内緒事なんかしたくねぇしな。」
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ラーゲッツ「………遅ぇなロベリア。
何してんだ?」
ロベリアが出ていってから三十分。川へと水を汲みに行くだけならここまでかかったりはしない筈なのだがいつまで経ってもロベリアが戻ってこない。
ラーゲッツ「………女の力で水を運ぶのはキツかったか?
それか何かあったかだが………。
………しょうがねぇなぁ。
ちょっくら様子でも見に行ってやるか。」
ラーゲッツは先に出ていったロベリアを探しに出た。
この後に巻き起こる出来事が決定的にラーゲッツとロベリアの仲を引き裂くこととなる。
ラーゲッツはそんなことになるとも知らずにロベリアがいるであろう川へと向かっていく………。