テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 騎士を目指す少年カオスはザックとの決闘中、予想外の反撃を許すもそこから逆転し無事勝利を果す。

 その後ミシガンを仲介に挟んで約束を取り付けるのだった。

 さて今日は、


この手にあった幸せ

「それで、その後どうなったの?」

 

 

 あの決闘の翌日、僕は畑仕事の休憩中に昨日あった出来事を今日は出勤してきたウインドラに話して聞かせた。ミシガンも一緒だ。

 

「なんかねぇ!魔法でばぁーってなってぇ、ばばっとよけて走ってたよぉー!ウインドラも見ればよかったのにぃ!」キラキラ

 

 …ゴメンねミシガン。言いたいことを分かってあげたいのに分からない僕を許して!

 しっかし、ミシガン今日はよく喋るなぁ。いつもは人見知りでボソボソッと近寄らないと聴こえないくらいの声量なのに、馴れたら意外と大きな喋るんだなぁ。この場に3人しかいないからかな。

 

 

 

「ハハハッ、俺は昨日また見学に行ってたからね。惜しいものを見逃しちゃったかなぁ。」

 

 そうウインドラは最近頻繁に警備隊の見学に行くようになった。3日に1回の割合だ。

 

「そんなに警備隊忙しいのか?」

 

「そこまで忙しい訳じゃないみたいだよ?死骸や爪痕足跡を見てこの辺りにはどのモンスターがいるかとか調査してるんだ。それの時間がかかるだけで。後は周辺に仕掛けてある罠の補強や点検かな。」

 

「へぇ~、そんなことしてたんだなぁ警備隊って。モンスター追い払ってるだけかと思ってたよ。」

 

 単純に僕が森に行ってボアチャイルドと格闘してるようなことをしてるのかと思ってた。

 

「うん、それもあるんだけどね。ただ最近はモンスターの生息域が安定しなくて大人たちがピリピリしてるみたいなんだ。」

 

「安定しない?」

 

「しない?」キョトン

 

 僕につられて首かしげなミシガン……あるとおもいます!

 

「そう、ここ最近この辺じゃぁ見たことないモンスターが出没してるらしくてね。モンスター図鑑で見たけどグリーンローパーっていうやつらしい。主に湿った洞窟とかにいる生物らしいよ。」

 

 ふむ、確かに生息域を変えるモンスターがいる話はおじいちゃんからこの間聞いたばかりだから分かる。時季って言ったっけな?ここら辺は年がら年中寒いままなんだけどなぁ。

 

「なにか大変なことが起こってなきゃいいけどね。警戒にはこしたことないって父さんが警備隊の方に来いッっていうんだ。」

 

「なるほど、じゃぁ、別に騎士目指してるのがバレた訳じゃないんだな?」

 

「キシ?」

 

「……んんん!!!ちょっとカオスコッチ来てくれないかい!!」ガシッ

 

 そう言ってウインドラが僕を引っ張っていく。

 

「?」

 

 その場に残されたミシガンが不思議そうにこちらを見ている。

 

 

 

 

 

「ちょっとカオス!迂闊だよ!?ここにはミシガンもいるんだからそういうのはアルバさんと君だけがいるとこで話そうよ!父さんと村長にバレたら俺はすんごいどやされるんだぞ?」

 

 悪い悪いついうっかりしてた。昨日の勝利が嬉しくて口が軽くなってるのかもしれない。抑えなければ!

 

「スマンスマン、でもミシガンはよく分かってないみたいだからいいじゃないか。」

 

「全く君っていう奴は……」ハァ…

 

 ウインドラが諦めたようにため息をつく。

 

「まぁ、君の懸念は最もだけど別に騎士のどうこう

に関してはバレた訳じゃないよ?むしろバレるバレない以前にそれどころじゃないってくらい慌ただしいみたいだよ。」

 

「そんなに緊急事態なのか?」

 

「この村が出来て以来こんなにここらじゃ見掛けないモンスターが発見されるのは初めてらしいよ?」

 

「それってつまり50年住んでて初めてってこと?」

 

「うん!」

 

 なにやら村の周囲に不穏な動きがあるらしい。もしや…

 

 

 

 

「僕がザックに勝ったからか!?」

 

 

 

 

「………関係ないだろ?どんだけ嬉しいんだよ!」

 

 だってお前初勝利だぞ?初勝利!それもいろいろともめてた相手に!そして今後リベンジもないだろうしなぁ。

 

 

 

「そういえば勝った後どうなったんだっけ?」

 

「ん勝った後?僕との間に鎖国を成立させたけど?」

 

「そうじゃなくてその後だよ。」

 

 あぁ、そこが聴きたいわけね。良いだろう、聴かせてやろう約束を結ばせてからどうなったかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕はザックに約束を取り付けた後、ミシガンに言って治療魔術ファーストエイドをかけてもらった。癪だがザックにもだ。

 

「で?俺は何時になったら解放されるんだよ。まさかこのままなのか?」

 

 さっきまで調子に乗ってからかってたため多少不機嫌なザック。

 僕なんかいつもこれより酷い扱い受けてんだからこの程度我慢しやがれ!

 

「心配しなくても後で外すよ、でもその前に…」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日お前が負けた理由を教えてやるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けた理由……だと?」

 

 訝しそうな視線を向けてくるザック。この展開は思い付かなかったようだ。

 

「そう、さっきの決闘の反省さ。いつもウインドラと稽古した後はやってんのさ。」

 

「それに何の意味があるっていうんだ!」

 

「まぁ、聞けよ。ためになるかもだろ?」

 

「…チィッ」

 

 手足が動かないため大人しく聴きにてっすることにしたザック。よろしいでは、

 

「この決闘始まる前からお互いにこういう展開になって自分はこう勝つって予測がついてたとおもう。」

 

「…。」

 

 ザックは何も言わないがその視線の動きが肯定ととらえてよさそうだ。

 

「ザックの考えではテキトウに魔術撃てば僕が倒れると思ってたんだろう?」

 

「…あぁ。」

 

「けど実際は魔術を耐えるうえに魔術が当たらない、けっこうギリギリの決闘に焦ったろ?」

 

「…」

 

「おまけに角材を武器にして突っ込んで来るかと思ったらその角材を利用して魔術を避けて向かってくる。」

 

「なんだ、自分を褒め称えてほしいのか?あぁすげぇすげぇ。」

 

 可愛くない称賛だなぁ、ミシガンを見習いやがれ。なにもしていなくてもお前の数億倍は可愛いぞ?流石ミシガンタン!

 

「大雑把に言えば今日の決闘はこんなかんじだったわけだが。この結果どう思う。」

 

「油断大敵だって言いたいんだろう?忠告されなくても「それだけじゃないぞ」」

 

「それだけじゃない、お前の敗因は」

 

「?」

 

 本気で分からないって顔してるなぁ。

 

「お前が負けた本当の敗因は決闘の中でも言ったことだ。」

 

「俺がケンカの素人だっていってたことか?一体何を根拠にいってんだ?」

 

「さっきの決闘中僕はお前が魔法を10回使えると予測した。対してお前は僕が魔術3回で倒せるとふんだ。けど決闘の成績を見ればお前は僕が予測した10回をこえて魔術を使用した。そして僕はお前の魔術に3回耐えきった。」

 

「……」

 

「僕が言いたいことが分からないか?」

 

「なに言いてぇのかサッパリだな。2人して限界を超えて成長していたとでもいうのか?」

 

「………まだ分かってないようだな、この流れでこの成績の内容の意味が」

 

「だからなんだッつーんだよ!勿体ぶらずに言えば、いいだろ!?」

 

「言っておくけど僕が予想したお前の魔術使用限界は10回、これは今でも僕はそうだと思ってる。」

 

「ハッ!じゃあ何で俺はお前の予想した回数よりも多く使えたんだよ!おかしいじゃねぇか!成長してマナの貯蓄要領が増えた以外に理由が「なんもしてねぇお前にそんなもんある分けねぇだろうが!」」

 

 それに子供の努力なんて五十歩百歩だ。僕でさえずっと木刀を振り続けてるのに成果が出せないでいる。何も努力をしないザックにそんなことでパワーアップされてたまるか。

 

「さっき言った僕とお前の予測を超えた結果は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…なにを!?」

 

「お前、決闘中、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徐々に魔術が弱くなっていってたぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の魔術が……弱く?」

 

「そうだ、決闘始まって最初に受けたストーンブラストは凄い痛かったけど、その後に受けたアイシクルとファイヤーボールは大したことなかった。多分ストーンブラスト以降からは半分の威力も出てなかったんじゃないか?確実に当たるかどうかも分からない魔術に最初から本気で撃ちすぎなんだよ」

 

「…そんなことが…」

 

「普段他の取り巻きがいるから僕に攻撃するときは1、2発程度軽く撃つくらいなんだろう?なんせ自分がやらなくても取り巻きが僕を倒してくれるからな。それ以外だととくに実戦してる訳じゃぁ無さそうだし。」

 

「…!」

 

 心当りが有りすぎるのか目を白黒させて聞いているザック。

 

「自分のペース配分が分からない上に魔術を避けて向かってくる僕。冷静さをかいてしまい焦って威力の抜けた無駄弾連発。それのおかげで僕はお前の3撃を耐えられたし、お前も無駄に魔術の回数が多かった訳。お前は自分が放つ魔術すらろくに見えなくなるほど回りが見えてなかったんだ。」

 

「…」

 

「要するに僕は投擲とか遠くのものを狙うノーコンだけどザックは身近な自分の魔力を制御出来ないノーコンだったってのが真相かな。」

 

「」

 

 

「ノーコン?」カクッ

 

 君は成長せずにそのままでいてくれミシガン。その愛らしいままに。

 

 

 

 

 

 

「そんなこと」

 

 

 

「ん?」

 

 縛られてるザックが何か言ってる。そういえばまだ縛ってたな。

 

 

「そんなこと俺に教えていいのかよ?」

 

 縛られながらもまた挑発してくる。お前こそこのタイミングで挑発でいいのかよ?素直にほどいてください、だろ?

 

 

 

「んなもん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいに決まってんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてだよ、お前に教えられた弱点を克服して次は挑んでくるかもしれないぞ?今度は今日みたいにはいかねぇぞ?まぐれは1回きりだ!」

 

格好よく悪党が言いそうなセリフ吐いてもその芋虫みたいな姿じゃぁしまらないなぁ。いい加減立てよ?

 あっ、立てねぇのか!

 

「そのための誓いを決闘前に誓ったはずだけどなぁ」

 

「俺は騎士者じゃねぇ!お前もだ!こんな口約束どうってこと…」

 

「…」ジー

 

「」ビクッ

 

「…」ジー

 

「…」タラタラ

 

「…」ジ~

 

「どうって…こと……」

 

 もう最後の方は聞き取れなかった。

 

「ん~?何かなぁ?この口約束どうなっちゃうのかなぁ?ねぇミシガンちゃんどうなると思う~?」

 

「ん~?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この性悪野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 失礼なお前ほどではない。

 

 このあとちゃあんと足の紐と()()()()()だけ切って解放してあげたじゃないか。

 

 あっ、切る紐間違えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで今朝からザックが妙によそよそしい訳か。」

 

 まだまだザックには他に言わなければならないこともあったがあんまり言い過ぎると逆上して仕返しに何してくるか分からないからなぁ。

 今日は大人しくはしっこの方で作業してたからミシガンの前で約束を反故にすることはないと思うが。

 昨日は後ろ手に縛られて村中を駆け回ってたみたいだから村のみんなからも変な目で見られたようだ。

 

「呆れた、それってミシガンとザックの関係を悪用してるだけじゃないか?」

 

 うぐっ、ウインドラに痛いところを突かれる。

 

「そ、それでも約束は約束だ!別にミシガンが被害を受ける訳じゃないからいいんだよ。」

 

「ミシガンがよく分かってないからまだよかったものの。それってかなり最低なことしてるよ?騎士を目指すものとして村民に守られるってどうなの?」

 

「……」シュン

 

 言われてから自分が好きな子を利用してるのがなんだか後ろめたくなってきた。どうしよう今さら約束を撤回するのもなんだか…。

 

「カオスもザックもそういう単純なとこあるからこの先心配だよ。」

 

 おう親友こんな僕を心配してくれるのかい?なんていいやつなんだ君は。それに比べて僕は………はぁ。

 

「フフッ、けどこれでようやくカオスと安心して一緒にいられるわけだから別にいいけど」

 

 な、なんだ?下げたと思ったらここで急に上げてくる。やめてくれよ、僕には今好きな人がいるんだ!そうやってイケメンフェイスで誘惑してくるのは!僕はお前のことを友人以上にはぁっ…!

 

「カオスに止められてたから何も出来なかったけど本当は心苦しかったんだよ?近くで君がやられてるのを黙ってみてるの。」

 

 あーぁ、至極まっとうな意見でした。なんだよウインドラルートに入ったのかと思ったじゃないか。ちょっぴり期待しちゃったぞ?全く別に勘違いしたわけじゃないんだぞ?

 

「あぁ、けどあれって僕のケンカだからさ。僕はこんな体質だから何か言われても馴れてるけどそれにウインドラを巻き込むのはちょっとねぇ。」

 

 僕は人より何か特別に自慢できるものも大事な人も少ない。むしろないと言っていいほどに。

 だから大切なものは絶対に守りたいんだ。

 

 こんな僕を友達と言ってくれるウインドラやミシガンを傷付けたくない。

 僕が何かされてもこの大切な友人たちには迷惑かけたくない。

 

 

 大切な人達が傷付くなら僕が盾になって守らなくちゃ…!

 

 

 

 

「そうやって強がって、何でも1人で抱え込まなくてもいいのに。」

 

「強がってないさ!これが僕の考えで生き方なんだ。こうでなきゃいられないよ。」

 

「ミシガンを巻き込んでるのに?」

 

「その件は勘弁してください。何かあったら僕がミシガンとウインドラを守るからさ!騎士として。」

 

 思慮の浅さが僕の欠点だな。そこは反省しよう。

 

「フフッ有り難う、なら俺も何かあったらカオスを守るよ。騎士として」

 

 …またウインドラは僕にとって嬉しいことを言ってくれる。よせやい照れるって。

 

「あぁ~パクったぁ!」ハハッ

 

「パクってねぇし、これも俺だから!」フフッ

 

 

 

 

 

 こんな風に将来の夢を語りながらも冗談を言い合える友がいる。

 

 これだけで僕は満足だ。

 

 後はこのままこの気持ちが風化せずに永く続いてそれぞれの思う未来へと歩いていけたらいいなと思う。

 

 ウインドラが隣にいてミシガンが隣にいて、あとおじいちゃんも近くで見守っていてこの幸せがあれば僕は大丈夫だ。

 

 もう他には何もいらない。人より凄い力なんていらない。ただ穏やかなこの時をずっとずっと先に繋げていけたら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このときの僕は、この幸せがもうすぐそこで終わってしまうことを夢にも思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村長邸宅裏、殺生石前にて

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかとは思ったがやはりそうだったか。」

 

「触るもの全てを死に至らしめる殺生石」

 

「どうしたというんだ。ずっと我らを護り続けていた殺生石が…。」

 

「だが最近のモンスターの変則的な出現も頷ける。」

 

「モンスターは本能的にこの石に近寄らないとふんでこの地に村をかまえたというのに。」

 

「一体何時からなんだ!?何時から殺生石は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その力を失ってしまったんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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