テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
王都レサリナス 城壁門上部 三ヶ月後
ラーゲッツ「………」
ラーゲッツは一人で西の空を見上げていた。ラーゲッツがレサリナスに戻ってからはここで過ごすのが毎日の日課になっていた。今日の空は曇っていてほの暗くその内雨でも降りだしそうな天気だった。
フェデール「………またここに来てたのか………。」
何もする気が起きず
フェデール「………結果については残念だったな………。
俺がお前の調子が不調だったことに気付くことが出来なくて悪かった。
お前も帰ってきたばかりだったんだしもう少し時間を空けるべきだったな………。」
ラーゲッツ「………そうだな。」
ラーゲッツは素っ気なくフェデールに返事を返す。ラーゲッツがレサリナスに帰還したことでフェデールが先代達に話を通していた例の今世代の序列階級の見直しの選考が行われることとなった。これの結果次第ではアレックスを抜いた五人の位階が逆転しラーゲッツは出世するチャンスが得られたかも知れなかったのだ。
その選考でラーゲッツは他の四人全員に敗北した。結果は選考前と変わらなかったのだ。
フェデール「………体調が優れないんならまだ後一ヶ月程度なら休暇をとることは俺の方で手配する。
ダレイオスで何があったのかもまだ話してもらってないしお前がどうしてそんなふうになって帰ってきたのかも知らない。
………早めに治ってくれよ。
俺はお前が騎士団に戻るのを待ってるからな。」
フェデールはそれだけ告げると去っていく。
ラーゲッツ「………あぁ、
その内な………。」
フェデールが去っていた後に誰に聞かれるでもない返事をラーゲッツは返した。
そしてフェデールが去ってから少し時間を置いてランドールがやって来る。
ランドール「おう!
ラーゲッツ!
まだこんなところで不貞腐れてんのか?
そんなに俺やユーラス達に負けたのが悔しかったのか?
ハハハ!」
ラーゲッツ「………そうだな。」
ランドール「お前も面白い奴だよなぁ?
せっかくフェデールが色々と手を回して持ってきた昇格の話を不意にしちまうなんてよぉ!
こっちは何も変わらねぇから助かったがお前は前よりも評判が下がったんじゃねぇのか?
所詮はただの出来損ないだったって訳だ!
哀れな奴だよお前は。」
ラーゲッツ「………そうかよ。
じゃあもうとっととどっか行けよ。
一人にしてくれ。」
ランドール「………」
ラーゲッツを笑いに来たランドールだったがラーゲッツから返ってくる反応が薄くあまり興が乗らないランドール。
ランドール「………お前暫く暇なんだろ?
俺も暇なんだ。
ちょっと今日飲みに付き合えよ。」
ラーゲッツ「そんな気分じゃねぇよ。
他を誘え。」
ランドール「まぁそう言うなって!
気分が悪いんなら気分転換しようぜ?
俺の知ってるいい店があるんだ。
俺の奢りだ。
お前も飲めばだんだん良くなってくるぜ。」
ランドールはラーゲッツを引っ張って店へと連れていく。正直断りたかったラーゲッツだったが振り払う気力すら今の彼には無かった。
……………………………………………………………………
「おぉ!
ランドールさん!
今日も来てくれたのかい?」
ランドール「おうよ!
今日もお勧めの一本頼むぜオーナー!」
ランドールが連れてきた店は飲み屋というよりもクラブと言った感じの店だった。照明は暗く席も数席奥の方にあるだけで殆どの客はグラス片手に立ちながら飲んでいた。
客一「ランドールさんお久し振りです!」
ランドール「おう!
元気にしてたか?」
客二「ランドールさんが来てくれるの待ってたんですよ!」
ランドール「悪いな。
ここんとこ家の方で立て込んでたんだ。」
客三「何か事件でもあったんですか?」
ランドール「ありそうで無かったな。
下手したら俺が家で降格扱いになるところだったが無事にそんなことにはならなかったぜ。
またここに世話になりに来るから安心しろ。」
ランドールは次々と室内にいた客に話しかけられてはそれに返事を返していく。随分と親しげな様子だ。
ラーゲッツ「………何だよここは。
何で俺をこんなところに連れてきた?」
ランドール「あん?
まだ悄気てんのかよ?
もっと店の雰囲気を楽しめよ。」
ラーゲッツ「…俺はこういう場は場違いだ。
こんなところで素直に楽しめる訳ねぇだろ。
………やっぱり俺は帰る。
お前はコイツらと楽しくやって「待てってよ。これでも飲んでお前も楽にしろ。」……がぼっ!?」グイッ
ランドールは近くにいた他の客からグラスを取り上げてそれをラーゲッツの口に突っ込む。
客四「あ~!
何するんですかランドールさん!
それ俺のカクテルですよ!?」
ランドール「何だよケチケチすんなよ?
そんぐらい俺が何杯でも注いでやるよ。
ほら好きなの頼め。」
客四「いいんすか!?
じゃあ同じやつあと三杯お願いしま~す!」
ランドール「おうおうどんどん飲みな!
盛り上げてくれよ!
コイツが楽しめるようにな!」
基本的にバルツィエはこのような庶民的な場では浮き勝ちだがランドールは逆に歓迎を受けている。前々から多い頻度で通っているようだった。
ラーゲッツ「ランドール!
何すんだ!
テメェいきなり「ランドールさんその人誰ですか?」」
ランドールに突っかかっていくと客の一人がランドールに話し掛けてきた。
ランドール「あぁコイツは俺の部下だ。
仲良くしてやってくれ。」
客五「そうなんですか?
珍しいですねランドールさんが騎士団の人連れてくるの。」
ランドール「偶々だがな。
今日はそんな気分だったんだよ。」
客五「そうだったんですね。
俺シリウスって言います!
よろしくっす!」
ラーゲッツ「(………何だコイツら………?
どうしてこんな馴れ馴れしくランドールに………。)」
ランドール「肩の力抜けよお前。
どうせ真面目に生きたって世の中が変わる訳でもあるまいし。」
ラーゲッツ「………!」
ランドール「ここにいるのは普段は真面目に仕事してるがどうしてもそれだけだとストレスがたまってノイローゼになりそうな連中ばかりだ。
煩わしい上司の命令ばかり聞いてるとウンザリするだろ?
俺も同じだ。
ウザイのはアレックスとフェデールだけで十分なんだよ。
もうこれ以上面倒な奴は増やしたくねぇ。
何かに縛られ続けるのは仕事だけで沢山さ。
分かるだろこの気持ち。」
ラーゲッツ「………」
ランドール「俺はお前に感謝してんだよ。
お前がそのままでいてくれて俺は助かった。
お前は今のままでも十分なんだ。
下らない修業なんかして何が楽しいんだ?
もっとはっちゃけて行こうぜ?
今日はいくらでも飲めよ。
勘定は俺がしとくぜ。
最近鬱みたいだしそんなもん飲んでこれからも俺と仲良くしようや?」
ランドールのこの言葉の裏はつまり自分よりも上にのしあがることを許さないという牽制だ。ランドールは向上心というものを持たないが自分の地位を脅かしそうな者の存在も許すことが出来ない。ダレイオスに飛び立つ前のラーゲッツであったらこれに反抗していたところだが………、
ラーゲッツ「………そうだな………。
じゃあもう少しだけ飲んでみるか………。」
ラーゲッツはランドールに勧められるままアルコールを摂取していった。
………ラーゲッツは………ここから酷く落ちぶれていった………。