テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
王都へと辿り着いた三人は先ず情報を得るために図書館へと向かう。
そこで魔力欠損症のダニエルという少年と出会う。
王都レサリナス 南東部 孤児院前
「ここがうちの孤児院です。」
「………(年期の入った建物だなぁ。まるで旧ミストの廃屋みたいだ。)」
「ここにはどのくらいの子供がいらっしゃるのですか?」
「このダニエルを含めまして三十人はおりますよ。」
「三十人!?」
「そんなに子供が…。」
「皆、戦災やご両親の都合でここへと回されてきた子達で、殆どが少し前まではここにに来るなんて想像もできなかったような子達ばかりです。」
「ここの子達は最終的にはどうなるのですか?」
「さぁ……。
里親が見つかれば引き取られていきますし、
そうでなかったら働ける年まではここで過ごしますし…。
この施設もカーラーン教会の教皇の善意で建てられてますから。」
「カーラーン教会?
教皇?」
「ご存知ないですか?
格街に教会はあると思いますが…?
まぁ信仰している人も多くではないですからね。」
「カーラーン教会はリトビアやカストルにもあったみたいですね。
知らないうちに通りすぎていたようです。」
「何をするところなの?」
「神に祈りを捧げて救いを求める………大雑把にはこんな認識の場所です。
トップはその教皇と呼ばれる方のことですよ。」
「祈りを…?」
「善行について、正直者、よい行いをしなさいだとかそういった綺麗な話を弘めるそんな人達の集団が教会なんです。」
「カーラーン………なんか子供の時に読んだ本にそんな名前の本があったような……。」
「カオスもカーラーンをご存知なのですか?」
「カーラーンについては先程の図書館にもいくつか書本がありますよ?」
「そうなんですか?
じゃあ明日探してみようかな。」
「…カオスさん、あの中から探しだすのは時間が掛かりますよ?」
「……」
王都レサリナス 南東部 孤児院
「ただいま帰りました。」ガチャッ
アッセンセーカエッテキタァー。
オカエリナサイセンセー!
マタダニエルガヒトリデドッカイッテタノ?
アイツホントウニボッチダヨナ。
アレシラナイヒトガイル?
ダレー?
「はいはい、それじゃあダニエル手を洗ってきなさい。」
「…はい。」トボトボ
「あの子達がここで預けられている子達なんですね。」
「はい、皆元気があっていい子達ですよ。
ここでは前の家の事情も関係なく仲良く過ごしています。」
「あんなに多くの子供がご両親と…。」
「大半は両親が亡くなったり蒸発したりで行き場のなくなってしまった子達ですから、ここではそれを忘れさせてあげられる環境をつくろうと努力はしています。」
ダニエルオセェーゾ?
マタヒトリデホンデモヨンデタノカ?
ウ、ウルセェヨ!?オマエラニハカンケーナイダロ!?
ナンダヨ、ナマイキイイヤガッテ。
オマエノセイデゴハンガオクレタンダゾ?
マジュツモツカエナイクセニ。
…!!
「………ダニエル君は。」
「皆元の家柄関係なく仲良くさせたいのですがあの子は他の子と比べても事情が複雑でしてここでも馴染めずにいるんです。」
「例の症状ですね。」
「それも一つの要因ですね。」
「例の症状?」
「タレスには後で話すよ。」
「元々貴族と言うこともあってプライドも高く回りと壁をつくりがちで、それでいてあの症状ですから回りからは下に見られるような感じなんです。」
「(魔力欠損症か………懐かしいな。
俺の時もそんな空気だったな。)」
「あの子の性格と症状があの状況を形成していて、
前にも回りの子達とのケンカが何度かあったんです。
その時は収められたのですけどそれからも度々起こり…。」
「……」
「彼があの状況から脱せないということですね。」
「はい…。
根はいい子なんですよ?
機嫌がいいときは私や他の人といると甘えてきたりして、
ですけど他の子供達といるときはあのように窮屈な思いをしているようで…。
私達もどうすればいいのか。」
「……それは「その件なんですけど」」
「俺に任せてもらえませんか?」
「え!?」
「カオス?
何を…?」
「全部は解決出来ないけど欠損症だけならなんとか出来るかもしれません。」
「それは………こちらとしては助かりますがよろしいのでしょうか?」
「話だけ聞いておいて知らんぷりなんて出来ませんよ。
ここまで聞いたんならダニエル君の病気の件ご協力します。」
「ですがうちはお金はあまり………。」
「お金はいりません。
俺もダニエル君のことなんだか助けてあげたくなったんです。」
「…本当にいいんですか?」
「はい、任せてください。」
王都レサリナス 南西部 商店街
「カオスさん、よかったのですか?
事情は知りませんが何か安請け合いしてませんでした?」
「あんな子供が困っているなら助けてあげるのが大人だろ?」
「困っていたとは思いますがいいのですか?
ボクたちにはボクたちのやらなければならないこともありますし後回しにしてると時間がとても掛かりますよ?」
「大丈夫だって!
昨日来たばっかりだし三人で終わらせれば直ぐに済むって。」
「ボク達も頭数に入ってるんですね…。」
「カオスがこう言うと本当にそう思えますね。」
「………そう言うなら一応手はお貸ししますがカオスさん達はバルツィエから命を狙われている身なんですよ?
この間のニコライトの件で分かった筈です。
ここはバルツィエのホームグラウンドでいつ襲われてもおかしくありません。
そうでなくともカオスさん達は賞金首なんですから冒険者達に正体がバレでもしたら…。」
「分かってるって心配性だなタレスは。」
「カオスは苦境に立たされている人を見過ごせないのですよ。
私の時もそうでしたから。」
「今のボクたちも十分苦境ですよ。」
「ダニエル君はもっと苦境なんだよ。」
「「……?」」
「あの症状は俺みたいな特殊なことでも起こらない限り一人じゃどうにもならない。
かと言ってあの孤児院でも対処するのは難しいらしい。
だったら事情を知って手を貸せる俺達がダニエル君を救えるんじゃないかな。」
「ですが症状を治療したところで回りとの溝を取り除くことが出来るかどうか……。」
「それはそうだけど………。
でも…。」
「?
そこまでして助けてあげたい何かがあるのですか?」
「………ダニエル君はあんまり気にしてないようだけどさ。
俺はどうしてもあの子の力になってあげたいんだ。」
「どう言うことです?」
「今のダニエル君が越えないきゃいけないことは多いんだと思う。
症状だけじゃなく生まれの違いとかで出来た溝やケンカして出来た溝…。
その溝が原因で本人は自分を守るために強がってるだけだと思うんだ。」
「一度作ってしまった自分を変えられずにいるんですね。」
「………多分。
だからダニエル君がもしあの状況が嫌だったんなら最初の一歩だけでも後押ししてあげたい。」
「気持ちは分かりますが孤児院ですらお金に困っているんですよ?
ボク達もカストルで稼いでいたとはいえこんなところで消費してしまうのはこれからの生活費にも影響が出ますが…。」
「薬を作るのってそんなにお金がかかるの?」
「作る?」
「アローネ前に言ってたよね?
アイオニトスって鉱石から薬を作れるって。」
「よく覚えていましたね。
あれからかなり経つというのに…」
「昔の俺と同じ症状だからね。」
「カオスさんと同じ…?
それって………。」
「確かにアイオニトスから薬は作れますがそれがどこにあるかは調べないといけませんね。」
「…鉱石のことなら武具屋にでも行けば教えてもらえるとは思いますよ?」
「よし、なら行ってみようか。
………最悪お金がかかるようなら俺が出すから。」
「そこまで高く値ははらないと思いますよ。
あくまで薬の材料ですし。」
「………」
王都レサリナス 南西部 商店街 武器屋
「アイオニトス?
あぁ、知ってるよ。」
「本当ですか!?」
「あぁ、原産地も知ってるよ。
ただ………。」
「ただ?」
「アイオニトスが採れる採掘場は王様にの管轄でね。
アイオニトスは貴重な鉱石だからなかなか手に入らないんだ。
王国が武器の資源として管理しているから一般でも殆ど出回らないんだよ。
流れてきたらそれはもう面白味のある武具が出来上がるんだが…。
お客さん達もその噂を聞いて来たんだろ?」
「そんな…
他に手に入れる方法はないんですか?」
「今のところ東にある洞窟でしか分からないねぇ。
海を越えた南側ならあると思うけど…。」
「確かネイサム坑道では………採れなかったよね。」
「そうですね。
あそこで入手した鉱石はカストルで鑑定してもらいましたがアイオニトスはありませんでした。」
「とするとその採掘場でしかないですね。」
「そこで分けてもらうことって出来ないんですか?」
「そりゃ無理だろうね。
なんせ今は戦争が始まるかもしれないから採掘場の鉄資源は騎士団が独占しちまってるから。」
「戦争が始まる?」
「おや冒険者さん達知らんのかい?
今王国では戦争に向けて武器や資源を騎士団が集めてるところなのさ。
そのせいかここら辺はちょくちょくそういったものを買い集めていく騎士達がよく来るのさ。」
「………」
「鉱石のことはまたチャンスが来たときにでも探しに行くことだね。
もしかしたらどっか騎士団が知らないところで採れるかもしれないし。」