テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
トリアナス砦 フリンク居住区域
次にカオス達はフリンク族が集まっている場所を訪れた。
ナトル「変わりないかカーヤ?
どこか怪我とかはしてないか?」
カーヤ「うん………。
カーヤは大丈夫だよ……。
カオスさん達が一緒だったから。」
ナトル「………そうか。
ならばいいんだ。」
フリンク族族長ナトルはカーヤにそれだけ言うとカオス達に向き直る。
ナトル「まだ皆を説得できたわけではありません。
カーヤのことを受け入れてもらうにはもう少し時間が必要です。
今度のマテオとの戦いも勝利したとしても私達フリンク族には何も得られるものはありません。
フリンクが抱える問題は多くそれを少しずつ解消していく段階にあります。」
アローネ「何も得られるものが無いとは………?」
タレス「フリンク族はマテオに勝っても何もいらないと言うんですか?」
ナトルの発言に驚くカオス達。温厚そうなアインワルドでもマテオの領土確保には分け前をいただくと言っていたがフリンク族は自らそれを放棄するようだ。
ナトル「ダレイオスの他の部族達が苦しんだこの六年は私達フリンク族だけがヴェノムの脅威から逃れることができたのはカーヤのおかげです。
そしてそれは同時に私達がひた隠しにしてきた罪でもあります。
私達フリンクは己の罪と向き合わねばなりません。
私達は六年の間に他の部族達がヴェノムの主に苦しめられる中で十分に平穏な日々を送ってきました。
カーヤのこと秘密にしていますがヴェノムの主発祥がフリューゲルであることは既に他の部族にもつうたつ済みです。
私達は今度の戦でダレイオス勝利に貢献するだけで良いのです。
それだけでフリンク族は満足するべきなのです。」
弱さを言い訳にして罪を認めようとしなかったフリンク族が自分達から罪を告白し迷惑をかけ他の部族達の補助に回るという。それだけでもフリンク族が前に進めていることを実感する。
カオス「…凄いですね………。
フリンク族は………。」
ナトル「まだ半分は納得はしておりませんがね。
そういえば皆さんが去られた後どうしてだかフラットが失踪してしまったのですよ。」
アローネ「フラットさんが………ですか………?」
ウインドラ「俺達は彼とはリスベルン山で見たのが最後だが………?」
ナトル「フラットがいなくなったのとカーヤが皆さんについていったのが影響してかフリューゲルでカーヤを悪く言う者がめっきり減っていきました。
………恐らくフラットがカーヤを悪者にするような噂をずっと流し続けていたのでしょうね。
そのせいで私達フリンクは六年もの間自分達の間違いに気付けないでいたのです………。
本当は族長である私がフラットに惑わされることなくそのことに気付くべきだったのですが………。」
ナトルとカーヤのことは客観的に見ても難しい問題だったことだろう。娘の死因が孫娘が関係しており娘の許嫁であるフラットはカーヤのことを憎み続けていた。義理の息子になっていたであろうフラットがカーヤを憎み続けるのを近くで見ていれば自分も同じように憎むべきか迷うところだが………、
アローネ「!
ナトルさん。
カーヤのことでお一つ確認したいことがあるのですが宜しいでしょうか?」
ナトル「カーヤのことでですか?
何のことでしょうか?」
アローネ「驚くでしょうが実はローダーン火山で………。」
アローネはブルカーン領でのことを話し始める。ナトルに話すのは
……………………………………………………………………
ナトル「…まさかラーゲッツが生きていたとは………。
………もしやフラットが失踪したのもラーゲッツに関係しているのでしょうか………?」
ウインドラ「確か彼はラーゲッツの遺体を掘り起こして首を晒すとか言ってたな。
………その時ラーゲッツが新型のヴェノムウイルスで甦って始末されたと状況的に見るのが妥当だろう。」
ナトル「…馬鹿なことを………。
そんなことをしてロベリアが報われるとでも思ったか………。
フラットも愚かなことを………。」
アローネ「そのロベリアさんについてなのですけど………。」
ナトル「?
今度はロベリアが何か………?」
ここからが本題だ。ラーゲッツが言っていたことを確かめるためにもロベリアとラーゲッツが接触していたと思われる時期のロベリアの行動を聞かなければならない。
タレス「ロベリアさんがラーゲッツに襲われたという話のことなんですがそれはどうしてラーゲッツに襲われたという話になったんですか?」
ナトル「え………?
それは………ロベリアがラーゲッツの子を妊娠したからで………。」
ミシガン「その襲われたという現場にいた人がそれを見ていた訳じゃないの?」
ナトル「その時は………ロベリアが………その………困ったことによくリスベルン山に頻繁に行くようになってフラットが言うには大人しい野兎でも見付けて遊んでいるのではないかと言っていたので彼に様子を見に行くようにお願いして………それでフラットが帰ってくるなりロベリアがラーゲッツに襲われたと言ってきたので………。
………私自身はロベリアが襲われたところは目撃していないのです………。」
カオス「じゃあフラットさんがロベリアさんが襲われたのを見ていたってことですか?」
ナトル「…いえ………フラットもラーゲッツに襲われてキーワード失ったらしく目を覚ましたらロベリアが泣いていたようで………それから数ヵ月後にロベリアの妊娠が発覚しました………。
………あの………どうしてこのようなことを今更私の口から………?」
自分の娘が知らない男に暴行されたという話を蒸し返されるの気分的にも悪いだろう。彼にとっては酷な内容の話だが今の話からおおよその矛盾が矛盾でなくなるのをカオス達は感じていた。
レイディー「アンタの娘のそのロベリアっていう女が何でリスベルン山に行っていたのか明確な理由は分からないんだな?」
ナトル「………はい………。
私も族長としての勤めがありましたしあの時期はゲダイアンが攻撃されたと聞きフリューゲルの者達といざバルツィエがフリューゲルに攻めてきた時どう対処するかを話し合いフリューゲルを囲う塀を補強したりなど忙しくてロベリアに構ってあげられなかったのです。」
レイディー「ロベリアはいつ頃からどのくらいリスベルンに行っていたんだ?」
ナトル「うちは妻を早くに亡くしていたことと私もあの頃は夜遅くに帰って来たりなどで中々ロベリアが外出していることに気付きませんでした。
フラットが言うには私が家を空けている時はいつも出ていたとか………ゲダイアンが消されてから三ヶ月以上は通っていたらしいです。
私もそれを知ってからは危ないから何度も注意をしたんですよ。
ですがロベリアは聞く耳を持たず挙げ句にあのようなことに………。」
カオス「………」
少なく見積もって四ヶ月以上。バルツィエの印象やフラットの話だけを聞いていればそれが全てなのだと思い込んでしまっていただろう。
だがラーゲッツが死に際に残した最期の言葉を思い出せば事実は違うのではないだろうか。
アローネ「………ナトルさん………。
今から私が話すことはただの推測で真実ではないかもしれません。
………ですがラーゲッツが言い残したことを当て嵌めてみればそうとしか思えないのです………。
………ロベリアさんとラーゲッツは………、
ナトル「………ロベリアと………ラーゲッツが………恋人………?」
アローネが言ったことが理解出来ず困惑するナトル。
アローネ「二人の間に何があったかは存じませんがラーゲッツが亡くなる直前ロベリアさんの名と彼女に対して裏切られたというようなことを仰っていました。
ゲダイアンで起きたことはバルツィエは関与していません。
恐らくラーゲッツはゲダイアンで起きた爆発を調べるために派遣されマテオに戻る途中でロベリアさんと出会ったのだと思います。
そこからロベリアさんはずっとラーゲッツに会うためにリスベルン山に通っていたのではないでしょうか?」
ナトル「ちょっ………ちょっと待ってください。
私には何が何だか………。」
ウインドラ「簡単に言うと貴方の娘さんはラーゲッツに襲われたのではなく恋仲だったからカーヤが生まれたんだ。
フラット殿という相手がいたのにも関わらず他の男と関係を持ったことは褒められることではないが許嫁と言うのはロベリアさんは同意してのことだったのか?」
ナトル「フ………フラットのことについてはフリンクの中でロベリアに相応しく私の跡を継ぐのであればそれなりの能力を持つ者をと思いロベリアの幼馴染みであり親しい彼ならロベリアを任せられると判断して彼の両親と私とで決めました。
ロベリアも族長の家に生まれた責任があるため最後には………。」
ミシガン「最後には?」
ナトル「………色々と言いくるめて許嫁ならいいということで認めてくれました。
ロベリアの心の内では彼女が本当に納得していたかは正直分かりません………。」
レイディー「立場で無理矢理合意させたってことかよ。
そりゃ絶対に納得なんてしてねぇだろうぜ。
そんな自分の知らないところで勝手に組まれた縁談なんてよ。」
ナトル「でっ、ですが!
だからと言ってわざわざバルツィエの男なんかと恋人になんかなるでしょうか!?
ロベリアだって相手がどういった立場の者か理解していたはずですよ!?
ラーゲッツと私達は敵同士で住んでる国すら違うんです!
そんな男と一緒になったとしてロベリアはどうするつもりだったと言うんですか!
そんな話はとても信じられません!
だいたいラーゲッツはバルツィエの中でもそこまで目立つような男では………!」ギュ……、
カーヤ「おじいちゃん………パパの悪口は言わないで………。
おじいちゃんがパパの悪口言ってたらママ多分悲しいと思う………。」
ナトル「………カーヤ………。」
カーヤに腕を引かれてナトルはロベリアが生きていた頃のことを思い出した。親子でありながら自分とロベリアは根本的に考え方が真逆だった。ナトルが正しいと思ったことはロベリアは違うと言いロベリアが正しいと言うことはナトルの中では間違っていると感じていた。
自分はロベリアに信頼されていなかったのだ。
ナトル「………そうか…… そういうことだったのか………。」
カーヤ「おじいちゃん………?」
ナトル「………ロベリアは
ナトルの中でロベリアの行動一つ一つならある事柄が浮かび上がる。
ナトル「(………カーヤをラーゲッツへの復讐に宛がう………あれはそう私に言うことで
私のような古い風習を重んじる者とは違ってお前は常に新しい何かを探していた………。
同族で助け合い生きていくことを望むよりかは他の部族とも積極的に交流しようとしていたお前なら相手がバルツィエであっても関係が無かったのだな。
カーヤがハーフエルフとして無意味に蔑まれて生まれてくるよりかは復讐という役目を背負って生かす道を選んだのか………。
どうしてロベリアがラーゲッツの子供を産むことを決意したのか漸く分かったよ………。
お前はフリンク族が他の血を受け入れられるようにカーヤを産んで始めの一歩を踏ませたかったのだな………。
)」
ナトル「………私が………私達が古い考えに囚われてしまっていたからロベリアも真実を言い出せなかったのでしょうか………。
私達ダレイオスのエルフはどこも他の部族との混血を忌み嫌う………。
そんな考えは今になって自分で考えれば馬鹿らしいことではあると思いますけどね………。
………カーヤ………すまなかったな。
私達がお前のママを苦しめていたようだ………。
私達が一人一人を軽視して全体のことしか考えていなかったからロベリアもラーゲッツをフリューゲルへと連れて来れなかったのだろうな………。
ロベリアを自由にさせてあげていればロベリアは死なずに済んだのかもな………。」
カーヤ「………」
ナトル「………せめてカーヤ………、
お前だけは………、
何としても幸せになりなさい。
お前がそれに辿り着けるのを私はフリューゲルの地から応援しているよ。」
ロベリアの真意は誰にも知る術はない。ロベリアがカーに何を託し何をさせたかったのかは誰にも確かめられない。
だがロベリアがカーヤを命をとして守った事実は残った。それだけでもカーヤはロベリアから愛されていたことだけは分かる。ならばとナトルは娘の生んだ孫の幸せを願うことにした。そしてできることがあるのならばカーヤの幸せにも助力することも誓う。これまでの過ちを取り戻すべく一つ一つを正していこうと決意した。最終的にカーヤは………、
………幸せにはなれなかった。
これまでずっと不幸を味わい続けてきた彼女はこの先幸運に恵まれることは一切無くこれから暫く経った後に