テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カオス「オールディバイド………?」
「ケルルルル………。」
アローネ「!
あれは………?」
部屋の奥から何かの鳴き声が聞こえその方向を見てみれば檻に入れられた蛙型のモンスターゲコゲコがいた。
オーレッド「このオールディバイドの性能についてはあのゲコゲコを使ってお見せするとしよう。」
オーレッドはゲコゲコの入った檻に近付いていく。カオス達もその後に続いていく。一見するとこれといった特徴の無い玉にしか見えない道具だがこれがどの様に作用するというのだろうか。
オーレッド「…始める前に忠告しておくが少々過激な実験をお見せすることになる。
気分を害しそうなら見物したい者だけここに残っておれ。」
ウインドラ「それはこのゲコゲコを切り刻んだりするということか?
だったらアローネとミシガン、タレス、カーヤは見ない方がいいな。
実験は俺とカオスとレイディー殿で見物することにしようか。」
ミシガン「私は大丈夫だよ。」
タレス「ボクも平気です。」
カーヤ「カーヤも平気………。」
アローネ「モンスターとはいえあまり命を粗末にするようなことを行うのを記憶に焼き付けたくはありませんが大事なことですし私も見物させていただきます。」
ウインドラが気を使って下がらせようとしたがアローネ達はそれを断った。
ウインドラ「…そうか。
無理するなよ。」
レイディー「爺さん。
始めてくれ。」
全員が実験を見物するということでオーレッドが何かを取り出す。
オーレッド「ここにクリティア領で確保したジャバウォックの体毛の一本がある。
実験にはこれを使うぞ。」
オーレッドが取り出したのはガラスの容器に入れられたモンスターの毛だった。ジャバウォックはレイディーが倒したという個体のことだろう。
と言うことは………、
レイディー「それ………ビーカーに収納してるってことはウイルスが付着してるんだな?」
オーレッド「御察しの通りじゃ。
この毛にはヴェノムの主が持っておった強力なウイルスが込められておる。
ソナタ等の術も無しに触れてしまえば即刻精神をやられてしまうところじゃ。
パカッ!
オーレッドは容器を開きゲコゲコの檻の中にジャバウォックの体毛を落とした。
パラ………、
体毛はゲコゲコの頭部へと舞ってから落ちていく。
その後………、
ゲコゲコ「ゲルルルゥ………!!」
ドンッ!!ドスッ!!ドンッ!!!
オーレッド「このように凶暴さが通常のゲコゲコの個体よりも増して非感染生物に襲いかかろうとしてくる。
この時体内では猛烈にマナを削られておるのじゃな。
その苦しみかは逃れるためにマナを接種しようとしておるのじゃ。」
オーレッドが解説した内容はこれまでカオス達が人から聞いたことや自分の目で確かめてきたことだった。今更復習したところで何になると言うのだろうか。
そう皆が感じる中オーレッドは滑車を用いて別の個体のゲコゲコの入った檻をカオス達の前に運んでくる。モンスターであることから感情を見てとることは出来ないが最初の個体よりも微妙に元気が無いようだ。
ゲコゲコ2「ケルル………。」
アローネ「…この個体も先程のゲコゲコと非感染個体ですか?」
オーレッド「そうじゃ。
この個体にも儂がさっきやったようにジャバウォックの体毛を与えるのじゃがその前に………。」スッ…
オーレッドは近くのテーブルにあったナイフを手に取る。
オーレッド「………そら。」ザクッ…
ゲコゲコ2「ゲッ………ルル………。」
オーレッドがナイフでゲコゲコの背中を切りつける。切られたところからゲコゲコの血液が流れ出てくる。ゲコゲコもナイフによる負傷に痛みを感じて反応したがやはり元気が無いのか少し仰け反るだけでじっとしたままだ。
タレス「うげ………。」
ミシガン「モンスターって分かってるんだけどなんか可哀想………。」
実験のためとはいえ目の前で生き物が逃げられない檻の外側からナイフで切りつけられるのは精神的に来るものがある。
オーレッド「………続けていいかの?」
ミシガン達の声が聞こえてオーレッドが止めるかどうか訊いてくる。
アローネ「………どうぞ。」
オーレッド「………よし。
ではほれ。」パカッ、
先程と同じようにオーレッドはジャバウォックの体毛を傷つけたゲコゲコに落とす。体毛が触れたゲコゲコは暫くして苦しみ出すが………、
ジュゥゥゥ………!
ナイフで負った傷が塞がっていく。
レイディー「これはマテオでもやってた実験だな。
ヴェノムはどういうわけか感染直前に負った怪我を治しちまうんだよな。
…まぁこの後直ぐに死ぬわけだが。」
タレス「………ボクもカオスさんに助けられる前に潰れていた喉が治りました。
ヴェノムウイルスには傷を治す力があるようです。」
ヴェノムウイルスにはこうした治癒能力が備わっている。これだけなら文句のつけようがないメリットだがこの後に来る精神汚染はどうしようもないデメリットだ。発症してしまえばもう発症前の記憶や理性が完全に失われてしまい時間経過で面影すらなくなったスライム状の化け物に………、
ジュゥゥゥゥゥ!!!
カオス「!」
二体目のゲコゲコの様子を見守っていると最初に感染した個体の体が変化し始める。
ウインドラ「ヴェノム形態に移行しそうだな。
いいのか?
ヴェノムになればこんな檻簡単に溶かして外に出てきてしまうぞ?」
オーレッド「ほほう。
いいタイミングじゃな。」
ゲコゲコ「ジュゥゥゥゥゥ!!!」
ゲコゲコ2「ゲルルルゥ!!!」
一体目のゲコゲコがもうすぐヴェノム形態になるというところで二体目の方は意識をヴェノムに乗っ取られたようだ。
オーレッド「………ではとくと見ておれよ。
このオールディバイドの力を………。」
パリィィィンッ!!!
オーレッドはオールディバイドと言う魔道具を床に叩き付けて割った。
すると割れたオールディバイドから一瞬光が漏れでてきた。あまりの目映さにカオス達はその光から目を背ける。
パァァァァァァ!!!
そして光が収まったと思い再度ゲコゲコ達の方を見ると………、
カオス・アローネ・タレス・ミシガン・ウインドラ・カーヤ・レイディー「「「「「「「!!?」」」」」」」
ゲコゲコ2「ケルルゥ?」
カオス達が視線を戻した時檻の中にはオーレッドに切りつけられた方のゲコゲコしかおらずもう一方の檻には始めの方のゲコゲコの姿は無かった………。