テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
オーレッド「うむ、
実験は成功じゃな。」
檻の中のゲコゲコの様子を見てオーレッドは満足したように頷く。
レイディー「爺さん………今何が起こったんだ?」
ウインドラ「………ん?
このゲコゲコは………。」
ゲコゲコ2「ゲコ………?」
傷をつけられた方のゲコゲコを見るとオールディバイドという魔道具を使う寸前まで意識をヴェノムに乗っ取られていたかのように低い唸り声をあげていたが今は何も無かったかのように辺りを見回している。心なしか最初に見た時よりもコンディションが改善されているようにも見える。
タレス「この個体は………ヴェノムウイルスから回復したんですか?」
ミシガン「今の一瞬で!?」
ゲコゲコ2「ゲコッ!?」
ミシガンが急に大声を出すとそれに驚いたように仰け反るゲコゲコ。挙動からしても感染個体の反応ではない。感染個体であれば大きな音ぐらいでは驚いたりはしないだろう。
オーレッド「過去百年………。
その感染率の高さからヴェノムにはまともに生態を調べることすら出来なかった儂等じゃったがソナタ等の力の加護を受けたことで飛躍的にこの半年でヴェノムの調査が進んだ。
これがその成果じゃ。」
アローネ「何故この個体はヴェノムから回復したのですか?
それともう一方の個体はどこに………?」
オーレッド「始めに感染したゲコゲコについては見ての通りもうどこにもおらんよ。
儂が使ったオールディバイドによってこの世から消えたしまったのじゃ。」
ウインドラ「そのオールディバイドという魔道具はヴェノムに感染した個体を滅する力があるのか?
感染個体をこんな一瞬の内に消し去ってしまうとはかなりの威力を持った魔道具のようだが………。」
オーレッド「その認識は半分正解で半分外れじゃ。
このオールディバイドは別に攻撃性があるわけではない。
カオス「大気中のマナを吹き飛ばす………?
それって………!」ガタッ…!
カーヤ「うっ………!?」
カオス「カーヤ!」
オーレッドの話の途中でカーヤが目眩を催したのかふらついた。慌ててカーヤを支えるカオスだったが他にも同じように壁に手をついて体を倒れないように支える仲間達の姿があった。
アローネ「何故か………急に息苦しく………!」
ウインドラ「何だ………これは………!」
オーレッド「安心せい。
直ぐに元に戻ることじゃろ。
オールディバイドの近くにいればマナの供給が阻害されてしまうでな。
暫くしたらまた体調も元通りじゃ。」
レイディー「………マナを吹き飛ばすか………。
猛烈にマナを消費するヴェノムにとっては
オーレッド「そうじゃ。
感染個体は次なる姿へと進化を遂げるために体の中で急速にマナを消費していくのじゃ。
儂等が呼んでおったジェネレイトセルというウイルスはその進化をする過程で他の場所からマナを接種しようとする。
大気中に始まり他の生物からもマナを取り入れて進化を果たそうとする。
その進化の道中で肉体が変貌する時にこのオールディバイドを使用すれば取り入れるマナと自らが持つマナを失い感染個体はあっという間に飢餓に到達してしまうんじゃ。」
カオス「こんな短時間でヴェノムが飢餓に………。」
オーレッドが開発したというオールディバイドはこれまでとはうってかわってヴェノムに対抗できる武器になるだろう。アローネ達のように精霊の力を使わずともそれを使うだけでヴェノム形態が飢餓によって消滅する。それならば精霊の力を持たぬ者でもヴェノムを退けることも可能となるだろう。
ゲコゲコ2「ゲルルルル………。」
ウインドラ「こっちの個体が消失しなかったのは何故だ?」
オーレッド「それは簡単な話じゃ。
体が変異に至っていない個体にオールディバイドを使用すればその個体の体内にあるウイルスだけを死滅させることができる。
その作用によってこの個体が助かったのじゃ。」
タレス「ウイルスだけを死滅………。」
アローネ「それでこのゲコゲコはもう片方のゲコゲコのように消えずに済んだのですね………。
それにしては実験前よりかも元気があるような………?
背中の傷も治療されてますし………。」
オーレッド「実はのぅ。
このゲコゲコについては消えた個体と区別するために先に熱を与えたり冷やしたりして弱らせておったんじゃ。」
カオス「何でそんなことを………?」
単にオールディバイドの効果を説明するだけなら経過次第で感染個体がウイルスを除去できるか肉体ごと消滅するかを見せるだけでも十分なはずだがオーレッドはあえて消えなかった個体を弱らせていたという。その行為に一体どのような意味があるというのだろうか。
オーレッド「………前々から儂等はこのヴェノムウイルスは何者かが自然界で生まれるウイルスに手を加えたものだと考えておった。
これほどまでに凶悪なウイルスが敵対する勢力下で猛威を奮えばその地に生きる生命は皆全滅することだろう。
………じゃがこの結果から分かる通りヴェノムは使い道によっては
オールディバイドのような感染して傷が癒えた直後にヴェノムを取り除く術があればどんな病も完治できてしまうのじゃ。
儂等クリティアの結論はこのヴェノムは兵器として開発されたのではなく………、
どこかの国が総出でこのウイルスを創作したのだと思うておる。
目的としてはこのウイルスが開発される前に
それを治すためにこのヴェノムは研究し開発されたのじゃ。」