テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カオス「ヴェノムが人の病気を治すために作られたって言うんですか………?」
オーレッド達クリティアはヴェノムが作られた目的が誰かしらの病気を治療するために作られたものだと言う。
オーレッド「ヴェノムウイルスを色々な生き物で検証してみたんじゃがそのどれもが確実に発症する直前にその生物の持病を治す効果があった。
最強のウイルスとはよく言ったものじゃ。
オールディバイドでウイルスを除去してみれば末期の癌に侵されていた生き物の癌すら治してみせたんじゃ。
ヴェノムで治療できる病に例外は無いらしい。
流石に
ヴェノムは死者をも甦らせてしまう万能薬じゃな。」
ウインドラ「待てオーレッド殿。
オールディバイドは貴方達がカオスに頼まれて作り上げた魔道具なのだろう?
それとヴェノムを結び付けるのは無理があるんじゃないか?
偶々ヴェノムとオールディバイドの組み合わせでそういう福音をもたらしただけでヴェノムはやはり兵器として作られたのではないか?」
ウインドラが言うようにヴェノムが病を治療するために作られたにしては致死性が高過ぎる。たとえ万病を治す薬として作られたのだとしても過去ウルゴスという国はそれで滅びてしまった。それに国が大掛かりで作り上げたのだとしたらウルゴスの王族カタスティアがそれに関与しているはずだが彼女からはそのようなことは一言も聞いたことがない。どう考えてもオーレッド達の結論は間違いであるとしか思えなかったが………、
オーレッド「開発者の意見として聞いてもらいたいんじゃが儂等が何かを作ろうとする際は先に理論を完成させてから試作品を作るのじゃ。
理論が確立したら次にそれを実行に移すんじゃが理論を組み立ててもどうしても人というのはどこかに見落としが出てくる。
その見落としを一つ一つ解消して試行錯誤を重ねた上で次へと進み長い時間をかけて漸く理論に限り無く近い模造品が完成するわけじゃ。」
ミシガン「限り無く近い模造品って?」
理論を組み立てて完成するものが模造品だというオーレッドにミシガンが聞き返す。カオス達もどうして模造品が出来上がるのか理解できなかった。
オーレッド「所詮人の手で作るものは理想通りには中々仕上がらないんじゃよ。
人の手で作られる技術には限界がある。
どうしても調整が難しい時は及第点で作るしかないんじゃ。」
レイディー「まぁそりゃそうなってくるよな。
出来ないと分かってくることをいつまでも追い続けていたらどれだけ時間を費やしちまうか………。
最悪何百年何千年かけても満点にはならないことだってあるんだしよ。」
オーレッド「そうじゃ。
そういう観点ではヴェノムはまさに人の叡知の行き着く果てとも言える程に完結しておる。
殺傷兵器としても医術の方面で見ても文句がつけようがない。
儂等クリティアがバルツィエと手を組んだとしてもここまで完成されたものは仕上がらないじゃろ。
儂等がどれ程時間をかけようともこの境地に至るものは到底作れそうにない。」
アローネ「そっ、そこまでのものなのですか?」
オーレッド「当然じゃ。
人が作りしウイルスであることは確かじゃがこれが何を素材にして生み出されたのかはまったく見当がつかん。
ヴェノムのような至高の品を作れるぐらいなら儂等が作ったオールディバイドなど簡単に作れてしまうじゃろう。
作製者は確実にヴェノムとオールディバイドの類する別の道具を作り出しておるはずじゃ。」
それが出来て当たり前だというオーレッド。
オーレッド「儂等からすればオールディバイドは作れてもヴェノムは作れん。
が、ヴェノムを作れる程の人物なら儂等程度が作り出した小物など容易に作れよう。
それが儂がヴェノムが病を治療するために作られたと思った理由じゃ。
ここまでの至高品を作り上げた人物にはもう関心を通り越して崇拝してしまいそうじゃわい。
とてつもない執念の持ち主じゃ。
余程どうにか救いたい命でもあったんじゃろうな………。」
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トリアナス砦
オーレッドの話も一段落しカオス達はオーレッドと別れて外へと出る。
レイディー「お前はヴェノムを作りそうな奴に本当に心当たりは無いのか?」
アローネ「はい………?」
外へと出るなりレイディーがアローネに質問をする。
レイディー「あの爺さんの推測とマクスウェルの話を統合するとヴェノムはお前の国があったっていう時代にお前の国で作られた可能性が非常に高いんだ。
お前がこの時代に辿り着くまでの記憶で誰か
オーレッドの話ではヴェノムはとてもだいだい的に研究が進められて作られたのだという。だとしたらウルゴスの王族であったカタスティアや貴族であったアローネがそれについて何か知っていると思われるがアローネは、
アローネ「私の回りで重病を患っていたのは姪のメルクリウスだけです………。
でも彼女の出生はとても国が総力を結集するほどのものではありません。
姉がカタスの御兄弟と結婚して生まれた子ならともかくメルクリウスはウルゴスでも最下層のハーフエルフの男性との間に生まれた子供………。
そんな子供のために国が立ち上がることはありません………。」
ウインドラ「他に誰か思い付く相手はいないのか?
国が動くくらいならそれこそ王族の誰かが病に苦しんでいたということもあるだろう。
確か教皇の御兄弟は他に八人くらいいたんだよな?」
アローネ「そうですが私の覚えている限り皆健常で病に伏していたようなことはなかったと思いますが………。」
カオス「アローネでも思い付かないのか………。
………だとするとウルゴスじゃなくてダンダルクの方なのかな………?」
アローネが生まれたアインスの時代ではウルゴスの他にダンダルクというヒューマと呼ばれる種族が住む国があったという。もしかしたらヴェノムはダンダルクで作られたのではないかと疑うが………。
レイディー「そのヒューマっていう奴等はマナ………つまりは魔術が使えないんだよな?
そんな奴等がどうやってヴェノムみたいなマナに感応するウイルスなんか作れるんだ。
ヴェノムを作ったのは間違いなく
容疑者はウルゴスの誰かとしか考えられねぇよ。」
ミシガン「やっぱりウルゴスが怪しいの?」
レイディー「あぁ。
アタシにはそうとしか思えねぇ。
お前の国がヴェノムに襲われて滅びたってのは多分研究中にどっかの馬鹿がウイルスを外に漏らしちまったんだろう。
それが世界的に大流行しちまってウルゴスとダンダルクは滅びたんだ。
国が一段で動いてたんなら関わってる連中も相当なもんだろう。
一人くらいヘマする奴も出てくるさ。」
ウインドラ「他に王族に近しい地位にいた貴族とかはどうだ?
何か思い当たる家とかは無いのか?」
アローネ「………残念ながら………、
私自身が家督を継げるほど成熟した立場になかったもので他の家との関わりもそう多くありませんでした………。
私が知っているのは当時ウルゴスがダンダルクという国と戦っていたこととカタス以外の王族とはそれほど縁があったわけではなく………。」
アローネはそこで黙ってしまった。それ以上のヴェノムの情報を追及するのはアローネにも無理なようだった。
そこでヴェノムのついての考察は一旦保留にすることとなった………。