テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ハーベン「カオス様方が以前にスラート、ミーア、クリティアと洗礼の儀を執り行ったと窺っております。
時間が許す限りでいいですのでその儀をまだ付加していない者達に付加していただきたいのです。」
カオス「あの術をですか………?」
ハーベンの要望はダレイオスに来た当初スラート族やミーア族に付加してまわった術を他の人達にもかけてほしいというものだった。
ハーベン「はい、
私はまだ後回しでも構いませんが現状部族間に付加した者とそうでない者とで偏りがあります。
後々争い事へと発展しないよう平等にする必要があるのです。」
カオス「…確かにそうですよね………。」
カオス達によって洗礼の義を施された者達はこの世界でもっとも凶悪な力を持つモンスターヴェノムに立ち向かう力を得る。だが施しを受けていない者達は相変わらずヴェノムに対して逃げの一手に努めるしかないのだ。
アローネ「争いを起こさないために洗礼の儀を行うというのは分かりましたが現在あの儀は少し効果が変わってしまい前のようにいくつかの属性の術が自由に使えなくなるのですよ?
そうなるとこれまでの生活よりも大分不自由な思いをされると思いますが………?」
安易に術を施術すればもう後戻りは出来ない。一度アローネ達の側に来ればもう引き返すことは出来ないのだ。それを理解してのことなのだろうかと問い掛けるがハーベンの答えは………、
ハーベン「えぇ、
承知しておりますよ。
これは私の意見だけでなく残りのスラートやフリンク、アインワルド、ブルカーンの総意です。
私と彼等はそうなる道に進むことを自ら望んでいるのです。
今まで使えていた他の属性の術が使えなくなるのは確かに不便ですが逆にそうなることで
アローネ「より結束を?」
ハーベン「今までのダレイオスは九つの部族がそれぞれ自分達の血統に誇りを持ち他の部族につけこまれないように
自分達だけで水、風、火、地、雷、氷の術を操って生活基盤を保ちモンスターも退けて生活してきたのです。
それが使えなくなるということは他の部族から力を借りねばなりません。
そうしないとまともに食事をとることすら出来ませんからね。
だからそうなると私達ダレイオスのエルフ達は互いに共生関係となります。
共生関係が出来ればたとえバルツィエを倒して同盟が解消されようとも私達は互いに戦ってはならなくなるのです。
戦って相手を滅ぼしてしまえば自らも滅びてしまう………。
そんな愚かな部族はこのダレイオスにはいないでしょう。
ですからカオス様に洗礼の儀をお頼みしに参った次第です。
私達ダレイオスがマテオを討った後も
カオス「………」
カオスはダレイオスの人達の中からそんな意見が出てきたことに感心した。ブルカーンやクリティアの長老オーレッド達の様子からしてやはり話に聞いていた通りマテオという最大の敵がいなくなれば今度はダレイオスの部族間で争いが起こるのではないかと思っていたがハーベンのように元が敵であるにも関わらずその敵に力を与えることに何の躊躇もなく提案してくることに驚かされた。しかもハーベン自身が争いになることを避けたいという。ダレイオスの人々の中にもこういう者がいればバルツィエが倒されようとも次の争いが起こることは無いだろう。
カオス「………アローネはどう思う?」
アローネ「…カオスに人の力の優劣など関係ないと発言した手前気にしなくてもいいのでは………?
………と言いたいところですがハーベンさんが仰るように不平等な同盟は後に問題になりかねません。
私は良いと思いますよ。」
あっさりとアローネはそう答えた。
カオス「……分かりました。
ハーベンさん。」
ハーベン「!
では………!?」
カオス「そこまで言うなら俺も覚悟を決めました。
まだ精霊の力を付加していない人達全員に精霊の力を授けることにします。」
こうしてカオスはダレイオスのエルフ全員に精霊の力を与えることにした。
だがそれには少々問題があった………。
……………………………………………………………………
レイディー「何でそんなことアタシに相談してくるんだよ?」
カオスはアローネとハーベンの二人と別れてレイディーの元へと向かった。
カオス「なんか………思ってたよりもやらなきゃいけない人が多くて………。」
レイディー「そんなもん安請け負いしたお前の責任だろうが。
自分でどうにかしろよ。」
カオス「でも
そんな数の人に一回一回術をかけていってたらどれだけ時間がかかるか………。」
ハーベンによればスラート、フリンク、アインワルド、ブルカーンの術を受けていない人数を合計するとそれほどまでに数が膨れ上がるという。一番多いのはフリンク族だ。
レイディー「フリンク、スラート、アインワルド、ブルカーンの順に数が多いみたいだな。
フリンクが多いのはまぁ仕方ねぇとしてスラートが予想外に多かったのか。」
カオス「スラートはセレンシーアインだけでなくスラート領にある他の街の地下にも受けてなかった人がいたみたいで前にやったので全部じゃなかったらしいです。」
レイディー「面倒なことになってんな………。
しかもこのトリアナス砦に来てない奴だっているんだろ?
アインワルドとかはまだ半分くらいはアルターにいんだろうしそいつはの所に行くにしても数日かかる。
どうしてアルターに行った時に終わらせておかなかったんだよ?」
カオス「あの時はトレント達を全滅させるのに時間が無くてアインワルドの人達に儀式をする暇が無かったんですよ。
それで今なら時間はあるんですけど………。」
レイディー「時間はあったとしてもそんなに人数がいたらお前の方が先に倒れそうだな。
今お前はマクスウェルの力を使えるようになってるが前みたいにマナを自動で大気中から吸い上げてんのか?」
カオス「…今はそういうのはないと思います………。
マクスウェルがいなくなってマナは今のところは安定してますから………。」
マクスウェルが憑依していた時はマクスウェルが勝手にマナを吸収していた。そのせいでブルカーンではマナの貯蓄に限界が来て体が崩壊しかけたのだ。マクスウェルの人格が消滅してからはそれは停止されている。
レイディー「…いっそのこと一人一人やるよりも全員
カオス「一律に………?」
レイディー「
治癒術ってのはファーストエイドしか知らねぇが精霊の力にはアタシ達がまだ見たことも聞いたこともない術が多く眠ってるんだろ?
その中に十年前ミストでマクスウェルが使った術があるはずだ。
それをその本の中から探してみろよ。」
カオス「この本の中に………十年前にミストで発動した術が………。」
カオスはマクスウェルの本を開きそれらしき術を探す。言われてみれば確かに十年前ミストでたった一度の術でミストにいた住人全てに精霊の力を与えた過去がある。あの時発動した術は無意識に発動したため何だったのか分からないがこの本にはその答えが載ってあるはずだ。
そしてその術はすぐに見つかった。
カオス「『リザレクション』………?」
カッッッッッッッ!!!!!!!!
その瞬間ダレイオスの全土は光に包まれた。光がダレイオスを包んでいたのは僅か数秒のことだった。
その数秒でダレイオスは大いなる力を授かることなった…………。
そして同時にその光はダレイオス、マテオ両国を巻き込む深い深い闇にもなるのだった………………。