テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 魔力欠損症の少年ダニエルを救うためにアイオニトスを手に入れた三人は薬局へと赴くが…。


不治の病

王都レサリナスホテル 夜

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、………どうすればいいのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都レサリナス 北西部 貴族街 薬局内少し前

 

 

 

「魔力欠損症の………治療方法がない?」

 

「そ、それはどういうことですか!?

 魔力欠損症は十数年前に治療方法が確立された治療可能な病の筈です!

 世界的にも公表された医術の筈ですよ!?」

 

 

 

「と言われましてもこのレサリナスですらそのような話は聞いたことありませんし…。」

 

 

 

「…!

 では魔力欠損症は今までどう対処なさってきたのですか!?」

 

 

 

「現状ですとなんとも…。」

 

 

 

「………そんな…。」

 

「アローネ…。」

 

「そんな筈はありません…!

 治療方法は確かにあるのです。

 

 

 そうでなければメルは………!?」

 

「アローネ、落ち着いて。

 ここは一旦出直そう。」

 

「カオス、信じてください!

 私は決して嘘などは…!?」

 

「分かってるよ、だからここを出て…。」

 

「ウルゴスでは治療出来たのです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうすればいいか…

 

 

 

 そんなもの分かりきってるじゃないか。

 

 

 

 材料はあるんだ。

 

 

 

 なら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都レサリナスホテル ロビー

 

 

 

「………」

 

「おはよう、アローネ。」

 

「………カオス…。」

 

「元気ないね、どうかした?」

 

「………ウルゴスは…。」

 

「ん?」

 

「この世界に本当にあるのでしょうか…?」

 

「?

 何言ってるんだよ?

 ウルゴスがあるからアローネはそこから来たって言ってたんだろ」

 

「………ですがこの世界で誰もウルゴスを知りません。

 知っているのは………私一人………。

 ………そんなの在るなんて言えるのでしょうか…?

 そんなの私の只の妄想だけの話かもしれませんよ…?」

 

「………どうしちゃったんだよ…?

 昨日からおかしいぞ?」

 

「………おかしくもなりますよ………。

 ウルゴスを求めてやって来たのに宛にしていた場所では結局何も見付けられず、治してあげると言った子には期待だけさせて何も解決してあげられない………。」

 

「………治すって言ったのは俺だから俺の責任だよ………。」

 

「………それも前に私が治療可能な病とカオスに告げたのが原因ですよね………。」

 

「………」

 

「私はとんだ大嘘つきですね………。

 在りもしない国を貴方に探させて治療出来ない病を治療出来ると言って………。

 何も出来ないのに………。」

 

「…!

 今更何言ってるんだよ!?

 アローネはウルゴスから来たんだろ!?

 それがたった数回ない………じゃない知らないって言われただけで何諦めてるんだよ!?

 ウルゴスに帰りたいんだろアローネは!?」

 

「………それは帰りたいですよ!!

 帰りたいに決まってるじゃないですか!?

 帰って家族の身の安否を確かめたいです!

 出来るのなら今すぐにでも帰って………。

 ………けれどウルゴスは何処にも無いのです!!

 私の国はこの世界の何処にも無いのです!

 帰る国など何処にも………。」

 

「そんなの少し国をまわったくらいだろ!?

 そんなんでこの世界の何処にもないなんて「カオスは!」」

 

 

 

「カオスは………『アインス』………と言うのがなんのことだか分かりますか?」

 

 

 

「『アインス』?………それって………?」

 

 

 

「………」

 

 

 

「………ごめん、初めて聞く名前だ。」

 

 

 

「………そうですか。

 そうですよね。

 やはり『知らない』のではなく『ない』のですねウルゴスは。」

 

「ま、待ってよ!?

 どうして今の質問でそう結論付けるのさ!?

 あれだけでないとは判断できないだろ!?」

 

「いいえ、もう十分です。

 その答えだけで私には全てが分かりました。」

 

「分かったって何が…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の全てが出鱈目の塊だということがです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都レサリナス 北東部 図書館内

 

 

 

「(これでもない、これでもない、これじゃない、これも違う………。)」

 

「………」ペラッ

 

「………はぁ~、本がどこに在るかの調べ方は分かっても多いことに変わりはないなぁ。」

 

「………そうですねよね。

 医学に関してはてんで素人ですからどれが必要でどれが必要じゃないかも分かりませんし。」

 

「全くだよ。

 どうしてこんなに多いんだぁ?

 殆ど書いてること同じなのに…。」

 

「医学に関わっていないボク達だから違いが分からないだけで本職の方からしたら全然違うように書いてあるんじゃないですか?」

 

「それだったら一つ一つの本をもう一度読み直す必要があるな。」

 

「………本当に薬を自作なさるんですか?」

 

「当然だろ?

 医者が宛てに出来ないのなら俺が作るしかないだろ?」

 

「ですがボク達は医学知識零からの勉学になりますよ?

 時間がどのくらいかかるかも分からないですしお金だってかかります。

 その上逃亡中の身ですから余り悠長に構えていられません。

 この王都ですらたまたま立ち寄った一つの街に過ぎませんのにその中のほんの一人を助けるのにどれだけ必死なんですか。」

 

「………それでもさ。

 同じ気持ちを味わっている子を放っておけないんだよ。

 俺は…。」

 

「カオスさん…。」

 

「俺も同じだったから。」

 

「………ですがやはりこの計画には無理がありますよ。

 只でさえ知識が足りない未経験だというのに現段階で現役の医学者ですら治療方法が見付けられない病を治すなど不可能です。」

 

「不可能じゃないさ。

 こっちにはこのアイオニトスがある!

 これさえあれば魔力欠損症も治せるんだ!」

 

「それもアローネさんが言っていたことなんですよね。

 孤児院で自信満々に治せると言っていたから何かあると思ったら発端はカオスさんではなくアローネさんだったと…。」

 

「それはそうどけど。

 受けたのは俺だよ。」

 

「あまり抱えすぎるのもよくないですよ。

 無理なら無理とハッキリ言えば今ならそんなに傷つけずに済みますよ。」

 

「………いや、諦めないよ俺は。

 もうこの件はダニエル君を治すだけの問題じゃないんだ。

 これにはウルゴスの存否も関係してきてるんだ。

 このアイオニトスで魔力欠損症を治せれば少なくともアローネが言っていたことの証明にはなる。

 ウルゴスが本当にあるんだってことを…。」

 

「昨日の件でですね。

 それでアローネさんがあっちで意気消沈してるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………今アローネは昨日ので気がまいってるみたいなんだ。

 今はそっとしておこう。

 この件は俺達………いやタレスは関係してないな。

 この件は俺がなんとしてでも解決して見せる!」

 

「………いろんなことをこなしてきたカオスさんでも今回の件は流石に無理だと思いますよ?

 ヴェノムの件を抜いたらあくまでもボク達は誰かが出来ることをこなしてきただけですから。」

 

「………」

 

「ここに来て誰にでも出来ない病気を治すとなると知識、技術、設備といった面でも現実的ではないかと。」

 

「それでも………材料はあるんだ………。

 薬学を学んでいけばいずれは…。」

 

「この街にはそこまで長居は出来ないんですよ?

 知識をつけていくうちに必ず捕まってしまいますよ。」

 

「じゃあタレスはダニエル君がこのままでもいいのか!?」

 

「お二人が捕まるくらいならあの少年のことなどどうなってもいいですよ?」

 

「!?

 本気で言ってるのか!?」

 

「そうです。

 ボクにとってはお二人こそがボクの全てです。

 お二人の為ならボクはあんな子供切り捨てられます。」

 

「タレス!

 馬鹿なことを言うんじゃない!

 俺達はそんなこと望んだりしない。」

 

「お二人の目的の障害となるのならあの少年はボクにとっては敵です。

 そもそもマテオの貴族というだけでも憎らしい存在なのですから。」

 

「!」

 

「何もボクはバルツィエだけを憎んでいる訳では無いのです。

 本当だったらマテオの全てが憎かった。

 ………ですがそんな毒気もお二人に出会って大半は抜けていきました。

 それでもなくならないものはありますよ?

 ボクは今マテオにいる貴族以上の位に立つものが全て憎いんです。

 この街に来てようやく確信できました。」

 

「タレス…。」

 

「お二人に救われなかったらこんな感情も持てないままずっと奴隷として過ごしていたのでしょうね。

 ですからカオスさんとアローネさんには感謝しています。

 ボクのこの憎しみを取り戻してくれて………

 あの時からはボクは『人』に戻れた気がします。」

 

「タレス………俺達はそんな復讐心を持ってもらうために助けたんじゃない。」

 

「分かってますよ。

 お二人はボクに同情して助けてくれたってことも。

 そのお二人を邪魔するのならボクはお二人の手足となってこの先も戦いますよ。

 例えバルツィエでも。」

 

「そんなこと続けていたらタレスがいつか死ぬかもしれないんだぞ?

 俺達は戦うために旅をしているんじゃない。」

 

「ダレイオスの民は仲間のためならなんだって出来ます。

 ………少し熱くなりました。

 頭を冷やしてきます。」

 

「………」

 

「この街に来てボクも興奮しているようですね。

 ですが今言ったことは本気ですよ、

 気絶してなかったらボクはニコライトを殺していました。」

 

「………」

 

「それからアローネさんの件ですが、ボクもアローネさんのことは信じたいです。

 信じたいですけど少なくとも今のままでは何の根拠もありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せめてその治療方法さえ知ってる人がいてくれたら話は別ですけど。」

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