テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
今後ザックと不干渉を取り付けることに成功したカオスはよりいっそう友人たちとの時間を大切にしようと心に決めるのだった。
一方で村のある場所では不穏な空気が漂う…。
村長邸宅裏 殺生石前
「原因は何なのだ!?何故こうなった!」
「そんなもの分かるわけがない!調べようにもこの石は触れると死んでしまうだろう!?これまでも何人犠牲になったと思ってるんだ!」
「有力ゆえに害悪…、この石は凄まじいまでの力を持つがために我らはここを拠点に村を築き上げてきたが本来はモンスターが自然とそうしているように近付くべきものではないのだ。」
「我等はこの石が何物なのかまるで知らない。石などと呼んでいるが見た目がそうであるだけで、これはこの周辺にあるあらゆる鉱物との質の違いを見せさらには魔術すらうけつけぬ物だ。」
「この状態は一時的なものなのか、それとも永久に戻らぬのか。」
「最後に効力を発揮したのは何時なんだ?」
「それは確か……5年前にアルバさんとこの子供が最後に、あの例の。」
「無敵の殺生石に唯一の例外が出来たときだな?………なるほど、もうその時の前後辺りから殺生石は綻びだしていたのだな。石にも寿命があったというわけだ。」
「もう直す手立てはないのですか!?」
「そんなものがあったらこんなところで焦っておらぬわ。」
「いずれにせよこのままだと村の安全面の確保は難しいのでは…。」
「分かっておる。殺生石が死んだ今、時季によって表れるモンスターのことを懸念しておるのだろう?それはもう未知の領分じゃな。」
「これまで以上に村の警備を堅くしなくては!」
「気候が一定のこの土地に他所から来るモンスターがいないことを祈るばかりだな。」
翌日の村の畑
「ねぇ、ミシガンちゃん、ウインドラ好き?」
僕はずっと思ってたことをミシガンに訊いてみる。
「エヘヘェ、好きィ!」ニパァッ
おっ、おぉぉぉぉ!、天使や!いや女神や!いやいやそれ以上の何かやぁー!
この照れながらも素直に朗らかにそして美しく可愛く愛らしく凄まじいまでの笑顔で答えるミシガンはなんていとおしいんだろう!
これはもう村の宝だ!宝人だ!エバーライトだ!!こんな素晴らしい宝がある村に生まれて僕はなんて幸運なんだろう!まさに世界の宝!
ウインドラの許嫁なのは残念だが。
だからさりげなく僕は本命を訊いてみた。
「じゃ、っじゃぁぼっぼぼぼぼ、ぼぼ僕のことはァ?」
いかん、初めて話した頃に逆戻りしている!
「?好き?分かんない。」キョトン
アァー!!訊いてみるだけでも体力使ったのに返答聴くのもなにか持ってかれそうだわぁー!!
結構仲良くしてるつもりだったんだけどそこ疑問系なんですねミシガンさん!
僕はあとどのくらい頑張れば君を振り向かすことが…!
「幼い子に何訊いてるんだよカオス。」
ミシガンの返答に悶えてると隣にいたウインドラが僕を現実に引き戻す。
「ミシガンはまだ幼いんだからそんなこと訊いても分からないだろう?」
えぇ~?そうかなぁ?少なくともさっきウインドラのこと訊いたときは乙女の顔してたぜ~?
「ちょっ、ちょっぴり気になっただけだよ!ほんの出来心というか…」
「それって何か変な考えからきてない?」
ドキッ!なっ、なにを根拠に!
「なにを根拠に!」
「君は態度で分かりやすいからね。さっきの質問もそういうことなんだろ?」
バレバレのようですね。流石僕の友人を名乗るだけのことはある。褒めてやろう!
「流石僕の友人を名乗るだけのだけのことは「カオスは」」
「騎士になるんだよね?」
なにを今さら
「あぁ、当然だろ?ウインドラもだよな?」
「……そのつもりだけど、でもミシガンは」
そういってミシガンを見るウインドラ。
「ミシガンは村長の娘さんだから……」
「?」キョトン
もうミシガンと言ったらキョトン顔だよね!危うく真面目な話っぽいのに聞き逃しそうになるよ!
その先は分かるよ。ミシガンの前じゃぁ言いにくいことだって。けど
「またそうやって暗くなるなよ!ウジウジ悩んでたって1人じゃぁ解決しないぞ!生まれなんて関係ないだろ?やりたいことをやるのが人生だぞ?」
「え?」
「ねぇ、ミシガンちゃんおっきくなったら何になりたい?」
「えぇ~?、んっとね~、えっとねぇ~」
「カオス何を…?」
「黙って聴いてろって。ねぇ、ミシガンちゃん何でもいいんだよ?こういう仕事したいとかこういうふうに過ごしてみたいとか」
「んんん~~?」
しばらく考えてたミシガンは
「あぁあったぁ~、アレになりたい!」
「何かな?」
「おヨメさん!」
そしてウインドラを見ながらそう答える。
また失恋したぜ、僕はあと何回失恋しなきゃならないんだ。
「じ、じゃぁさ、騎士についてどんなイメージかな?」
「!」
「騎士?」キョトン
「そう、騎士!僕さそれを目指してるんだ。騎士はいいよ?味方や臣民のみんなを守るために勇敢に敵に立ち向かっていく勇者!まさに最高に理想の戦士だね!」
全て小さいときに聞いたおじいちゃんの受け売りだけど。
僕はおじいちゃん以外の本物の騎士を知らないから本当かどうかは分からない。
だけど僕の心を一番熱くさせたのは間違いなく騎士だ。
「将来さ僕もウインドラも騎士になりたいんだ。」
「…」
「だから僕達が騎士になるときさ、ミシガンちゃんもそのぅ……一緒に来ない?」
「…!」
「う~んと、うん行くぅ!」
「本当!」
「カオスくんもぉウインドラも行くなら私も行くぅ!」
やベーなぁテンション上がるぜ言質はとったぞ!
「そうこなくちゃ!僕達はさ日頃騎士になるために森で訓練積んだりしてるんだ!今日このあと良かったら一緒に行ってみない?」
「ぇえと、えとねぇ、お父さんが森には近づいちゃダメってぇ」
テンション上げすぎて余計なこと言っちゃったか。まぁ、そうだよね普段は森って弱いとはいえモンスターでるからなぁ。
「そ、そっかぁ、じゃあまた今度かな。」
この話はここまでにしとこう。ザックに勝って解放されたからか最近はついつい調子に乗って変なことを言ってしまう。
その後畑仕事を終えて先ほどの通り森に遊びに行こうとしたとき
「カオス、ミシガンには黙っててほしかったな。」
ウインドラに注意を受けてしまった。
「ゴメンゴメン、つい口が滑って。」
「ミシガンから村長に伝わって村長から僕の父さんにでも話が流れたら僕はきっと騎士目指すどころじゃなくなるんだぞ?」
「悪かったって!本当すみませんでした!」
おっとまた冷静さをかいていたようだな。そのことを考えてなかった。抑えなければ!
「全く、それで今日はどうするの?アルバさんとこ?それとも本当に森に行くの?」
僕は少し考えて
「今日は森かな、最近は行ってなかったし久々にこの間のボアチャイルドにリベンジしたいんだ!」
「そう、なら支度してくるよ。」
「おう、じゃあ30分後に集合な!」
「おっそいなぁ、ウインドラ、何してるのかな?」
30分後に約束したいつもの待ち合わせ場所についてもウインドラがいっこうに来ない。どうしたのだろうか?
「何かあったのかな?」
まさかミシガンからもう村長伝ってラコースさんに先ほどの話がバレてるのかも。
…ちょっと様子見にいって見るか。
僕はウインドラの家に向かうことにした。
「今日は行けない?何かあったのか?」
ウインドラの家に行くと急なウインドラからドタキャンを受けた。
「そうなんだゴメンよ?なんか大人達が騒いでて村長が明後日に村中の人を集めて何か話をするみたいなんだ。それの用意を手伝ってくれって。」
そっかぁなら仕方ないなぁ。
「そういうことなら今日はやめとくかぁ、ウインドラいないとつまんないしな。」
「そのことなんだけど、最近の森はなんか危ないっていうらしいから森に子供だけで近づくのはやめといた方がいいって父さんが。」
危ない?いつものことじゃないか。
「ふぅん?なんか出たのかな?」
「分からないけどそうとうなことがおこってるのは確かみたいだよ?」
………へぇ~。
「分かったよ、今日は大人しく帰るとするよ。」
「そうした方がいいみたいだね、じゃぁ、また明日ねカオス。」
そういって僕はウインドラと別れる。
「危ないかぁ、何が出るのかなぁ?」
あぁは言ったけど僕はなんだか森の異変に興味が湧いた。
「最近の僕は調子がいいんだ!ちょっと調べにいってみっか!」
危ない行くなと言われるほどその禁忌を犯したくなる。子供だからこそ理性よりも好奇心を優先させてしまう。
この時の僕は不屈と言われる自分は頑張れば何でも出来るとそう信じていた。
いや、
そう思い込みの勘違いをしてしまっていた。
「何だよ、何もいないじゃんか!」
宣告通り森に来た僕は周辺でボアチャイルドとボアくらいしか見かけないことに不満をこぼす。
ちなみに追い回されて終わった。これでまた黒星記録再開だ。ザックのようにはいかないようだ。
いつものことなので気にしない。
「これならおじいちゃんと稽古してた方がよかったかもな。」
これまでに来た森の様子との違いが見られないことに退屈を感じ1人森の中を歩く僕はもうそろそろ帰ろうかと思い始めていた。
「今日はウインドラもいないしそろそろおしまいにしようかなぁ?」
ガサッ
ふと茂みの奥から物音がする。
またボアチャイルドが来たのかと思って木刀を構える。
が、いつまでたっても現れないので気が急いて見に行ってみる。
そこには
見慣れない格好をした若い男が傷だらけで倒れていた。
「誰だ、この人?」
カオスは男に歩みより顔を確かめる。
見かけない男だった。こんな顔の人は村では見たことがない。
別の村の人が森に迷って行き倒れたのかと思ったがもともとこの周辺は人気がないという理由で移り住んできた土地である。近くに村はない筈だ。60年ほどたってるから今はどうかは定かではないが。
となるとこの男はいったいどこの誰で何をしていたのだろうか。
「…た、……いちょう……。」
男が何かを喋った。意識が微かに残っている、まだ生きているようだった。
「お、おじさん!どうしたの!?何があったの!?どこか痛いの!?」
「み、……水をぉ……。」
なるほどどうやら喉が渇いていて苦しそうだ。
みたところ何も水や食料らしいものを持っていない。
ふと腰についている棒状のものが目に入る。
「何だこれ?」
そう思い掴んでみるとそれはするりと男の腰から抜けて手に重みが乗る。
「………これってもしかして……剣!?」
それは銀色に長く伸びる刃物だった。
「スッゲェェ!本物の剣だァ!!」
村では農機具や弓矢くらいしかないから初めてみる武器に興奮する。
いや、そういえばおじいちゃんが
あれに比べれば装飾も少なくてシンプルなデザインだ。
曲がりなりにも隊長をやってたと言っていたし違いがあるようだ。
おじいちゃんは民間の出で応募して騎士になったと聞いている。
そこで長年一般騎士を務めて小隊長までが限界だったらしい。
恐らくはこの男もそうなのだろうか?
本当に騎士だったらいろいろと訊けそうだ。
もしかしたら騎士ではないのかもしれない。
世の中には各地を転々とする冒険者という人達がいるそうだ。この人もあるいは…。
「水ぅぅ……。」
再び水の催促をされる。
おっといけない。緊急事態なのすっかり忘れていた。
僕は持っていた水を男に与える。
「ありがとうボウヤ、助かったよ。」
男はお礼を言ってくるがその顔からは深い疲れを感じる。
「うん、どういたしまして。ところでおじさんは誰?どこから来たの?」
「私はクレベストン、マテオ王国騎士団の隊員だ。」
……やっぱりこの人は騎士だった。
その返答を期待していた僕は
「わぁ~、やっぱり騎士なんだぁ!凄いやぁ、本物に逢えるなんて感激だよ!もしかして任務で来たの!?他にも騎士がいるの!?騎士ってええっと、何を食べるの!?」
一気に質問を捲し立てる。あっ、最後は別に要らなかったか。
「期待してるところ悪いんだが私は任務ではなく、個人的な人探しのためにこの地を訪れたのだよ。あと食べ物は普通のつもりだが。」
律儀に質問に答えてくれた。いい人そうだ。
自分のこと私って言ってるけど女の子みたいだな。そういえば村長とか偉い人とかも私って言うな。この人って結構偉い人?
「人探し?それって誰か迷子になってるの?」
村の住人ならともかくこんなところで迷子になったらモンスターに襲われて大変だ。
戦えるなら心配はないが、長くさ迷うと疲労で倒れてしまうかもしれない。
「迷子……か。確かに迷子だな。もう100年近くになるか。」
「100年!?」
それはまた随分と長く迷子を続けてるなぁ。
子供だったら大人になってしまう。
「あぁ、この森から少し離れた場所にある廃村ではぐれてからそれくらいになる。とある貴族の当時隊長だったお方でね。あのとき私達の部隊をモンスターの群れから逃がすために1人で囮になってそれっきりなんだがあの方がそう簡単にやられる筈はない。今もどこかで生きているに違いないと私は信じている。」
よっぽどその人のことが大事なんだな。
話を聞く限り時期的にも合うのでもしかしておじいちゃんかな?とも思ったがおじいちゃんの話ではおじいちゃんの部隊は全滅しておじいちゃんが1人で逃げてきたと言っていたからこの人の部隊とは違うだろうと思ったので口には出さなかった。
第一、貴族でもないぞ。
うちのおじいちゃんそんなに人から尊敬されるような質じゃないし。
「でもなんでここに探しに来たの?その村とは若干遠いと思うんだけど。」
もともとの村はここから10キロは離れている。何か理由がなくてはここまで来ないだろう。
「あの村から王国までの街や村は全部回ったさ。それでも見つからない。だからあの村から徐々に遠くそして人の住めそうなところをくまなく探してここで君と出会ったというわけだ。」
既にしらみ潰しの様子。頑張るねこの騎士様。
「でもあの村の様子だとその探してる人も…、とかは思わなかったの?」
よくその探し人を無根拠に探せるものだ、普通は諦めてるだろうに。すると、
「私も最初はそう思った。しかし住人の消えた村を探索してるとモンスターに襲われた形跡が全くないことに気付いたんだ。それに生活用品もところどころなくなってる。まるで住人がまるごと何処かへ移動したかのように。」
そんなことまで分かるのか。流石騎士様だ。
「だからあの村からそう遠くない位置に住民が移動したんだとふんで私はずっと探し続けていた。」
それで100年も探し続けられるってことは本当に会いたいんだろうなぁ、その人に…。
その人も幸せだろうな、こんなに想ってくれる人がいて。
「そういえば君はどうしてこんなところにいるんだい?子供だけでも危険だろうに。」
話を聴くのに夢中になってると今度はクレベストンさんの方から質問がくる。
「僕は大丈夫だよ。この近くに村「村があるのかい!?」が」
あ、この流れ……マズイかも。
「私を是非そこへ案内してくれないかい?」
そう来ると思ったよ。
どうしようか、というのも僕は大好物だから別にいいんだけどもともと僕の村の人達は騎士様達を毛嫌いして村を移動したのだ。
そこへクレベストンさんを案内するってのも難しい話である。
「うぅ~ん、えっとぉー案内はちょっとぉ…。」
「……どうやら事情があるみたいだね。私の予測になるが騎士には教えられないというような…。」
「え!?何で分かるの!?」
「村の団体移動は他でもよく聞く話さ。税の取り立てを拒むという理由でのね。大概は見つかるんだが。」
「他でもあるんだ!」
「あぁ。だが安心してくれ!私は君達の村の存在を王国の誰にも知らせない!剣に誓って!」
お、お、おおぉーーー!!そのセリフは昔おじいちゃんが言ってた騎士の誓いだ!!まさしく騎士のセリフだよぉぉー!
「で、でも僕はぁ、えっとぉぉ……教えてあげたいのはあるんだけど……。」
確かに剣の誓いを見て信じる気にはなってるんだけど、大人達が後でなんていうか……。
「なんならこの剣と鎧は君にあげるよ。」
クレベストンさんがとんでもないことを言ってきた。
「えぇぇぇぇぇ!!!?いいのぉぉぉぉ!!!?」
どうしたと言うんだ、大切な剣と鎧をこんな子供に授けて大丈夫なのだろうか?
「いいとも私はあの方が不在かどうかを確認できたらそれで満足だ。」
「けどそれじゃぁ、どうやって帰るの!?武器も持たないで王国に帰れるの!?」
この周辺は弱くてもモンスターの生息地だ。油断してると足下を掬われかねない。
クレベストンさんは
「大丈夫だよ、私にはもう必要ない。このナイフさえあれば。」
そういって懐から10センチ程度の小さなナイフを取り出す。
……それで身を守れるの?今だって身体中傷だらけのボロボロなのに?
まぁ、くれるというなら有り難くありがとうございます!
「それに私にはもう時間が……」
「なんか言った?」
「いや何でもない。それとさっきから気になってたんだがボウヤは騎士について随分興味がある様子みたいだね。誰かに騎士について教わったのかい?」
「うん!実は僕のおじいちゃんも昔騎士をやってたんだぁ!おじいちゃんからよく騎士について教えてもらっててね。それからずっと騎士になりたくて毎日剣術の稽古もしてるんだよ?」
「それは一騎士として勤勉な後輩に巡り会えたことに感謝せねばな。」
そう言われると照れくさいな、へへっ。
「ねえ、クレベストンさんって普通の隊員なの?それとも隊長か何か?」
「?私はこれでも一応中隊長職には就いてるがどうして?」
「え?中隊長なの?けどこの剣、おじいちゃんの持ってる剣と比べるとなんかシンプルだね。」
「ボウヤのお祖父様も剣を?しかし先ほどの話からすると退役したんじゃないのかい?その際には剣は返納する決まりになってる筈だが…。」
「アッハハ違う違う!仕事中に自分の部隊ほっポリだして逃げてきたんだって!こんなアブねぇ仕事やってられるかあ~ってね。村が移動する辺りの話だよ?」
「……」
「だからそのまま剣も持って行っちゃって今の村に住んでるんだ。たまにその剣を手入れしてるときに見せてもらうんだけど変な動物のマークがついててね。」
「動物のマーク!!?」
「わっ、急にどうしたのさ!?」
「ボウヤ!君のお祖父様はなんて名前なんだ!?」
突然クレベストンさんが僕の肩にてをおいて強く掴んでくる。
「名前?あっ、まさかとは思うけど僕のおじいちゃんが探してる人かって思ってる?残念だけど多分別の人だよ。おじいちゃん平民の出身って言ってたから逃げ出すときに誰かの剣を間違えて持ってきちゃったんだと思う。」
「平……民?」
「そうそう、人違いなんてよくある話でしょ?おじいちゃん部隊全滅してて生き残ってるのは俺だけだーって言ってたし、その隊長さんの剣を持ってきちゃったんだよきっと。」
まったくおじいちゃんは!黙って騎士を辞めるだけじゃなくそんな偉い人から盗みまでしてたなんて!
なんだか隊長職に就いてたってのも妖しくなってきたぞ?
帰ったら問い詰めてきっちり…。
「100年前のあの当時、あの周辺は騎士の税の徴収部隊は私達の隊のみでそれ以外の部隊の話は聞いたことがない。」
「え?」
内心おじいちゃんに対して腹を立ててるとクレベストンさんが何かを語り出す。
「さらにあの村であったモンスターの襲撃に関しては絶望的な状況に陥りながらも被害は奇跡的に1人のみ。そう隊長だ。」
クレベストンさんは僕に言い聞かせるように話す。
1人
そこから考えられることは1つしかない。
けどいやこの人とおじいちゃんの言ってることの食い違いは何だ?
100歩譲っておじいちゃんがその隊長さんだったとしても部隊が全滅した話や平民だったってのはなんなんだ。
まさかクレベストンさんは僕に嘘を?
だがいくら考えてもその嘘がこの場で必要とは思えない。むしろありのままを語っているとしか…。
じゃぁ、
じゃぁ、嘘をついているのはおじいちゃん?
何でそんな嘘を?
みんなは知ってるの?
おじいちゃんは本当は一体何者なの?
おじいちゃんは本当におじいちゃんなの?
ダメだ疑い出したらキリがない。
と、僕が疑心暗鬼に陥ってると
「それ以後の被害は多少の負傷はあっても隊員の誰かが行方不明になるほどの報告は受けていない。事件もその一件限りだ。異動で別の部隊に移ることはあったが。」
クレベストンさんがもはや確信したかのように言う。
「あの事件で消えた隊長と隊長の剣、そして同時期に同じ現場で辞めた君のお祖父様と
逢わせてくれないかボウヤ、君のお祖父様、