テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
パラパラ………、
天から落ちた光は闘技場に大穴を開けた。闘技場の地下にはスラートが作り上げた地下都市シャイドがあったがそこの地面すらも貫通し穴はどこまでも続いていた。
オーレッド「………ッ……………ハァ………………ハァ…………。」ブルブル…、
アローネの光はオーレッドには当たらなかった。オーレッドが立っていた場所からほんの少し手前に光が落とされ間一髪オーレッドは助かった。
アローネ「………」
ザッザッザッ…、
アローネはオーレッドに向かって歩を進めていく。やがてオーレッドの前に来るとアローネはオーレッドに問う。
アローネ「まだやりますか?
今度は外したりはしません。
確実に貴方に今の力を行使しますが………。」
オーレッド「ァ………ァァァ………!
ヒッ…………ァ……………………………………………。」
ドサ…………、
オーレッドはアローネの問いには答えず泡を吹いて気絶する。余程恐ろしかったのだろう。そのままオーレッドが目覚めることはなかった。
アローネ「………オサムロウさん、
判定を。」
オーレッドが気絶したのを見てオサムロウに確認するアローネ。
オサムロウ「………あっ、あぁ………、
………………オーレッド………………これはもう………戦闘続行は不可能………………だな。
………ここまでか………。
………只今の試合!
ダレイオス大王位決定戦決勝!
オーレッドの試合続行が困難と見なしオーレッドの敗北を言い渡す!!
よってこの勝負はカーラーン教会枢機卿アローネ=リム・クラウディアの勝ち!
アローネ=リム・クラウディアの優勝が決定したことを宣言する!
これによりダレイオス大王位決定戦は以上をもって終了とする!」
危うい場面が多かったがどうにかアローネは優勝を修めることができた。念願だったアローネはこれでダレイオスの頂点へと躍り出た。あとはこれからマテオとの戦いに備えて準備を進めるだけでマテオとの戦い後に漸くウルゴスの民を見つける足掛かりを取り次ぐことができる。
………そう思われたが闘技場の空気は少し和やかとはかけ離れた辛気臭い空気が流れていた………。
……………………………………………………………………
ファルバン「………ではここに我等ダレイオスの新たな王の誕生を告げる。
あれから少しして六つの部族とカーラーン教会の人々を整列しての閉会式が行われる。顔を合わせればいがみ合う六部族も今は静かにしている。それは壇上に立つ
アローネ「………………」
ファルバン「では新女王よ。
何かこれからについての意気込みや方針をお聞かせて願いましょうか。」
アローネ「私は………。」
ファルバン「………?
どうされた?」
アローネは何かを言いかけて止める。それから中々言葉が続かないアローネにその場にいる者達がざわめき出す。
「?
どうしたんだ………?」
「緊張で声が出せないのではないか?」
「ハン!
こんなことくらいで緊張してたら先が思いやられるぜ。」
「おい、
あまり失礼なことを言うな。
彼女に聞こえてしまうぞ。」
「自分達が負けたからといって野次を飛ばすようではブルカーンは底が知れてるな。」
「それを言うならミーアの代表なんかは終始逃げ回ってただけで一度も攻撃しないで負けたんだぜ?
俺達ブルカーンが負け犬ならあいつ等は何なんだ?」
「はぁ?
何で矛先を俺達ミーアに向けるんだよ。
あんだけの力を持った相手にシーグスはよく頑張った方だ。
相手が強すぎたんだから仕方ないじゃないか。」
「それはどうかな?
僕達クリティアの目から見てもあの強さは正直納得がいかない。
この大会に参加した選手は勿論僕達にもあの彼から精霊の力は受け取ってはいたけど彼女のあれは僕達のそれとは力の上昇の仕方が違い過ぎる。
何か彼女だけ彼から僕達とは違うもっと強い力を与えられていたと思うのが普通じゃないかな。」
「珍しくクリティアと意見が合うな。
大体この大会はダレイオスの最強を決める戦いでもあったんだろ?
何が最強だよ。
サムライもハーベンもましてやカオスさえも出場してないのにそんなのが決められるわけないだろ。」
「そうだよな………。
もしサムライ達が出場していたらサムライが優勝してたんじゃないか?」
「前に長老から聞いたんだがサムライとカオスって人が戦ったことがあるらしいぞ。」
「本当か!?
でどっちが勝ったんだ?」
「その勝負は俺達スラートも見てた。
結果はカオス殿がオサムロウ………サムライに勝利したが………。」
「………ハァ………何だよそりゃ。
じゃあやっぱり………、
カオスが一番強かったってことだろ?
カオスの力を借りれば誰でも優勝できたんじゃねぇか。
あの女が優勝できたのは大会前にカオスから俺達に与えられた精霊の力なんかより強い力をもらってたから優勝できたようなものじゃねぇかよ。
あ~あ、
とんだ茶番に付き合わされたもんだぜ。
カオス達が出ないっていうから期待してたのに結局はズルして勝っただけかよ。
こんなん有効にしていいのか?
もう一回今度はカーラーン教会抜きで大会をやり直した方がいいんじゃねぇのか?」
ダンッ!!
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」ビクッ!
突然コーネリアスが壇上を剣の鞘で強く打った。それに驚き静まり返る部族達。そしてアローネが口を開く。
アローネ「…私がこのダレイオス大王位決定戦で勝ち抜いたことに不満の声があるようですね………。
私が不正をしているのではないかと皆さんは疑っておられる………。
………誓って言いますが私は今大会で皆さんが考えているようなことは一切しておりません。
私は自分の力だけで優勝まで辿り着きました。
そこには
私は私の力だけでブルカーン、アインワルド、ミーア、クリティアを倒しました。
それが全てです。」
疑念を抱く大衆に身の潔白を訴えるアローネ。カオス達にはそれが真実であることは当然分かるのだがアローネのことやカオスのことを知らない者達からすれば言葉だけでは証明にはならない。アローネが話終えるとまたヒソヒソとアローネに陰口のような声が囁かれる。
「そんなこと言ったってよぉ………。」
「力を借りたか借りてないかなんて私達には分からないしねぇ………。」
「試合中いきなりあんなに力が上がったりするわけないだろうに………。」
「やっぱ卑怯な手を使ったんじゃないの?」
やはり不自然な力の覚醒はカオスから何かを受け取ったと見るしかなく皆アローネに疑心を抱いたままだった。こうなっては何かしらの方法でアローネが皆を納得させるしかないようだ。
アローネ「………口で言うだけではここにいる方々を納得されられないことは始めから分かっておりました。
皆さんの目には信じられないような出来事だったと思います。
私自身も未だにこの力に戸惑っておりますから………。
………ですがそれでも私は誰の力も借りていないということは確かなのです。
それを証明するには
そういってカオスは壇上からとある方向へと顔を向ける。
カオス「………!
アローネ………?」
アローネ「………私はこの大会でもし優勝することができたらやってみたい………試してみたいことが一つだけありました。」
ファルバン「試してみたいこととな………?」
オサムロウ「それはどのようなことを………?」
含みのある言い方に近くにいたファルバンとオサムロウが聞き返す。
アローネ「…私はこれまで世界を回って共に旅する仲間がいました。
彼等とは御互いに支えあい助け合って何度も苦難を乗り越えてきました。
それがある時ふと気付くと最初は互いが互いをカバーしあっていたはずなのにいつの間にか私達は彼の存在なくしてはここにはいない、ここにはいられないようなそんな力不足を感じていました。
………そのせいで
私はそんなふうに思われていたことがとても情けなくそして不甲斐なく感じます………。
私の故郷では私の家は軍師の家系で守るべき一般人にそう思われていたことが何よりも悔しく思います………。
だからこそ私は
弱く惨めな私とは決別するために!
そしてそんなふうに私のことを思っていた彼の私への印象を名誉挽回するためにも!!
カオス=バルツィエ!!
私アローネ=リム・クラウディアは………!!
ダレイオス大王位位決定戦
カオス=バルツィエ!!
貴方に決闘を申し込みます!!
私と戦いなさい!!」