テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
旧王都セレンシーアイン 地下シャイド
カオス「(………どうしてこんなことに………。)」
アローネ「………」
現在カオスとアローネはスラートが作った地下空間シャイドに来ている。ダレイオス大王位決定戦の決勝でアローネが魔術で闘技場の地面をくり貫いたために真の決勝のフィールドがここに決まったのだ。アローネが撃ち抜いた地面は相当深くまで穴が空いていたので修復が間に合わず仕方なくシャイドの住居を取り壊してそれらの瓦礫を穴を塞ぐのに使ってどうにか平らな舞台を整えることはできた。それでも時間が足りずにあちらこちらが凸凹しておりカオスはゲダイアンの街のことを思い出す。
カオス「(…そういえばあの街もこんな感じだったな………。
今回のこのシャイドは事故とかでこうなったんじゃないけど瓦礫とかの崩壊した感じとかはゲダイアンと一緒だ。
こんなところで俺は………。)」
対面に立つアローネを見ると彼女は険しい顔でこちらを向いている。一週間前にアローネと別れた時から彼女がカオスを見る時の表情は変わらない。敵意を隠すこともなくカオスから視線を反らさない。
カオス「………本当に戦うの………?
………俺………アローネとは戦いたくないんだけど………。」
アローネ「…今頃何を仰っているのですか。
私はあの日から今日のダレイオス大王位決定戦で貴方に私の力を認めてもらうために日々を過ごしてきたのです。
今更後には引きませんし引かせません。」
アローネは一週間前にカオスに言われたことを相当根に持っているようだ。カオスから直接弱いと言われたことが悔しかったらしい。
カオス「あの日俺が言ったことは謝るよ………。
アローネは俺の力なんか無くても
俺の力なんか無くてもアローネは凄く強かったよ。」
アローネ「十分?
俺の力なんか無くとも?
…そう言いながらも貴方は私や他の人々を常に格下に置き続けてきたのではないですか?
貴方が持つ力はこの世界の何者にも優る力があります。
その力と貴方御自身の剣士としての本来の力が合わさって誰にも負けないそんな無敵の戦士が完成した………。
だから貴方はそうやって上から目線で人に強いと言えるのではないですか?
どんなに強くとも貴方が持つ力には誰も及ばない。
そんな自信があるから貴方は簡単に人に弱いだの強いだの言えるのではないですか?」
カオス「そんなつもりはないけど………。」
アローネ「私はあの日の貴方から言われたことは忘れませんよ。
あの時感じた屈辱は決して忘れることができません。
………貴方に私の力を知らしめるまでは絶対に………。」
カオス「………」
言葉だけではアローネを宥めることは無理だと悟るカオス。アローネはとことんカオスとやりあって自分の力をカオスに見せつけたいようだ。
カオス「(…けど俺はアローネと本気で戦うなんてできないしアローネに勝つとアローネは大王にはなれなくなる………。
俺がアローネの邪魔をすることなんてできないよなぁ………。
………ここは
試合を始める前にカオスは自分がどのようにすべきかを考え客席で見守る六部族達に自分が本気で戦っているように演じてアローネに負けるという流れにしようと思った。
ここまででカオスは自分が本気のアローネと戦って負けるとは微塵も考えていなかった。その理由としてカオスには
カオス「(アローネだって俺に魔術が効かないってことは分かってるしアローネも俺を倒すなら接近戦に持ち込むしかないって考えるはず。
だったら俺は普通にアローネに向かっていくだけでアローネが俺に攻撃したのを受け止めればいい。
そうすれば俺とアローネが本気で戦って俺がその勝負に負けたっていうふうに回りの目からは見える。
それで行こう。)」
カオスはまともにアローネと勝負する気は無かった。あくまでもアローネに勝たせるために立ち回るつもりでこの試合に臨んだ。
オサムロウ「それではこれよりダレイオス大王位決定戦緊急試合を行う。
試合のルールを確認するが今回のこの試合は我とここにいる観客達全てがソナタ等の試合の立会人だ。
もしソナタ等の試合に手を抜くというような違和感を感じた時は観客達から旗が上がる。
観客達の旗が全て上がったらその時はアローネ=リム・クラウディアの問答無用の不戦敗が決まる。
試合形式は一対一の時間無制限の真剣勝負だ。
勝敗の落としどころはどちらかが気絶し戦闘続行不可能となった時のみ。
なおカオス=バルツィエはこの試合中の降参は認めない。
その時も当然アローネ=リム・クラウディアの敗北が決定する。」
オサムロウが言うようにカオス達から見て頭上の観客席にいる全員が手に旗を持っている。あの旗が上がるということは彼等から見てカオスがアローネを相手に遠慮してると見なされるわけだ。
この試合はどちらかというと試合というよりはアローネへのテストのようなものに近い。勝負というのは対等な決まりによって行われるものだが今回に関してはアローネの敗因の要素が極端に多すぎる。
オサムロウ「ルールも確認したところで……
………試合始め!!」
カオス「………」
アローネ「………!」バッ!
スッ………スッスッスッ………、
試合が始まって直ぐ客席の一部から旗が上げられる。旗を上げているのは殆どがクリティア族だった。
「何時間稼ぎをしているんだい?」
「彼女は後衛型なんだからさっさと攻めないとね。」
「そうやって彼女のマナが回復するのを待ってあげるつもりなのかな?
だとしたらやっぱりわざと負けてあげるつもりなんでしょ。
不正で間違いないな。」
クリティア達が次々と旗を上げていく。御互い様子見のために離れただけだというのにこれだけでアローネは追い詰められていく。旗が全て上がってしまえばアローネの敗北が決まるのだがカオスがアローネに攻めにいったとしても彼女がカオスの攻撃を捌けなければアローネにダメージが入り彼女の勝ちが遠退く。カオスとしてもアローネに先に動いてもらわねばどうしようもない。
アローネ「…私が提案したことですがこの状況はかなり厳しいところですね………。
私には休む暇も与えられない………。
………仕掛けるしかありませんか。
では参ります!!
『ウインドカッター』!!」
アローネが客席の声に煽られる形でカオスに術を飛ばしてくる。
カオス「(!
やっときたか………。
それで俺はこれを
カオスに魔術が効かない以上アローネが使ってきたウインドカッターは恐らく牽制や目眩ましのためのものである。本命はこの後アローネがオリヘルガの時に見せたような羽衣を使っての急接近から連続攻撃をカオスに食らわせて勝ちに来ると見た。実際ウインドカッターが直撃する寸前に術の後ろでアローネが飛び込むような体勢を取るのが見えた。カオスはそれを見て安心して術を受け止める姿勢に入る。
ザザンッ!!!
ポタ………………ポタ………………、
カオス「………………は?」
瞬間的に体が切り裂かれるような痛みを感じた。何故そんな痛みを感じたのか不思議に思い自分の体を確かめてみると実際に体が鋭い剣で斬りつけられたかのように血が溢れ裂けていた。
アローネ「!……なっ………これは………!?」
対面に立つアローネは驚いた顔をしてその場で立ち止まっていた。
オサムロウ「なっ………何が起こった………?
何故カオスが………。」
オサムロウが声を発したことでカオスは一瞬この傷をつけたのはオサムロウなのではと疑ったが彼もアローネと同様に驚いている。彼ではなさそうだ。
では一体誰がこの傷を………。
レイディー「………目の錯覚じゃないよな………?
今アタシの目には坊やのあの体についた傷は………………、
アローネの