テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
旧王都セレンシーアイン 客席
「なっ、なぁ………?
なんかあの二人本気で戦ってないか………?」
「どっ、どうだろうな………。
今のところアローネって女の方はカオスを殺りにきてるように見えるが………。」
「あのカオスの体の傷もとても偽物になんか見えねぇよ………。
本当に風の刃に切り裂かれて血が出てるぜ………?」
「あぁ………血糊袋を服の中に入れてたとしてもあそこまで全体的に血に染まったりはしねぇよな………。
切り裂かれた服の下の腕とかも結構太い腕してるから袋入れてたとしても服の中にあんだけの血糊入りきらないだろ………。」
「………本当に攻撃を食らってるのか………?
あのカオスが………。」
「俺の目にはそう見えるが………。」
「マジで仲間同士で殺るつもりなのか………?
あの女は………。」
「………分からない………。
だがカオスの方はまだ殺る気はないみたいだが………。」
客席の各部族達がアローネから伝わる底知れない殺意に当てられ彼女の空気にのまれていった。
それでもカオスはどうしてもアローネに剣を向けることが出来なかった。カオスにとってはアローネは大事な仲間で彼女が望むことであれば出来る限りのことは叶えてあげたいのだがそれがこと生死を賭けた戦いとなると話は別だ。
カオスにアローネを殺すつもりは無いのだ。それなのにカオスはなかば強制的に殺し合いの決闘に参加させられて自分の身の振り方をどうすればいいのか分からずひたすら攻撃に耐えるしかなかった。
……………………………………………………………………
旧王都セレンシーアイン 地下シャイド
カオス「ぅ………ぁぁ………!
ハァ………っ………!」
アローネ「そのまま抵抗もせずに死ぬ気なのですか?
そこまでの傷を負わされて私に怒りや殺意の一つでも覚えたりはしないのですか?
貴方は。」
既に身体中に数えきれない裂傷が出来ている。全てアローネの魔術による攻撃で与えられたものだ。
カオス「……俺は………アローネを殺したりしたくない………。
仲間なのに何でそこまでしなくちゃいけないんだよ………。」
アローネ「…私もこのような方法は不本意でした………。
こんな形でしか貴方の本気を引き出せないなんて………。
………それでもカオスはここまでしてもまだ貴方は私と本気で戦おうとはしない………。
一体どうすれば貴方は私と戦っていただけるのですか?
貴方が私と戦わないとは貴方の中でまだ私が貴方の庇護下であると思われているからですよね?
私の攻撃を受けてまだそのような考えが拭えないのですか?
私はカオスが無理だと仰ったダレイオス大王位決定戦をカオスの御力を借りずに優勝に至りました。
自画自賛するつもりはありませんが私は貴方が考えているほど脆弱ではありません。
寧ろ大抵の人には負けない自信があります。
だからこそ私は大会を勝ち抜けたのです。」
カオス「………うん………、
アローネは強かったよ………。
俺が考えていたよりもずっとずっと強かった………。
アローネは俺なんかの力が無くても大会を優勝できた………。
間違ってたのは俺の方だった………。
………ごめん………。」
体をボロボロにされてアローネがこれまで戦ってきたどの相手よりも強い力を持つ相手だとカオスは認める。カイメラやカーヤ、イフリートの力を吸収したラーゲッツ達が使っていた殺魔の力は精霊マクスウェルの魔力である程度は相殺しどうにか耐えることは出来た。
………がこのアローネの使う風の力だけは何故か精霊の加護が全くもって作用しない。これまで幾度も他者からの魔術を打ち消してきた力がこのアローネに限ってだけは少しも意味をなさない。
アローネ「………少しは私の力をお認めになられたようですね。
では私と戦って「でも俺は………!」」
カオス「やっぱりアローネと戦うなんて無理だよ………。
俺にはアローネと戦って殺したりなんかしたくない………。
アローネは大事な仲間なんだからさ………。
こんなことしたくないんだよ………。」
アローネ「………『エアブレイド!』」
ズザザザザザザッ!!
カオス「うわっ……!?」
疾風の弾丸がカオスを突き飛ばす。会話の途中で急に魔術を使われ正面からカオスはその攻撃を受けてしまう。
アローネ「…これだけ言っても貴方には何一つ御理解いただけないようですね………。
残念です。
貴方がそこまでの分らず屋だったとは………。」
カオス「アッ、アローネ………?」
それまでは攻撃を浴びせ続けながらカオスに戦うよう命じていたアローネだったが急にどこか肩の力を抜いた様子を見せる。
アローネ「………カオスには失望させられました………。
これだけ言ってもこれだけ攻撃を受けても頑なに私と戦おうとはしないとは………。
そんなに本気での勝負に負けるのが怖いのですか?」
カオス「!
………。」
アローネ「これだけの大衆に自身が負ける姿を見られるのがそんなに怖いですか?
貴方が持つ力は確かに強い………。
その力は今や完全に貴方のものになった。
その力を持ってしても私に負けるのがそこまで私と真正面から向き合うのに臆していると言うのですか?
そうだとしたら貴方はどれだけ
貴方には心底がっかりさせられます………。」
カオス「………」
アローネ「まぁそう育ってしまうのも無理はありませんね。
貴方はずっと孤独で一人で育ってきた。
貴方は誰からも何も教わらずに旧ミストで十年という月日を過ごしてきた。
その過程で人として大事なことを何方からも教わらずに何も学ばずにモンスターやヴェノムと戦う日々だったのでしょう。
それはそれは大層立派な生き方をしてこられたのだと御察しします。
そのせいで性教育すら知らなかったのは驚きましたけど。」
カオス「………………」
アローネ「貴方の生い立ちには同情しますよ。
大好きだった祖父を十年前の事件で亡くして貴方は一人で生きていくしかなかった。
両親も親代わりであった貴方の祖父までも失って貴方は色々と人として大切な経験や知識までも学ぶ機会が奪われた。
家族のいない貴方は心の拠り所として私やウインドラ、ミシガンにその代わりを求めようとしていたようですがそんな不甲斐ない姿の貴方を見ているとそんなことを求められるのは迷惑です。
止めてください。」
カオス「………………………」
アローネ「貴方は永遠に孤独のままですよカオス。
そうやって誰にも本心をひた隠しにしたままでは誰も貴方の側にはいようとはしません。
誰の期待にも応えられないのであれば貴方はこれからもずっと一人のまま………。
………フフ………、
戦うべき戦場から逃亡した貴方の祖父の教えだけは貴方はしっかりと学んでいたようですね。
その調子でこれからも貴方の祖父のように貴方はすっと全てのことから逃げ続け「止めろ!!」」
カオス「………俺のことを悪く言うなら我慢できる………。
だけどおじいちゃんの悪口だけは許さない。
おじいちゃんは立派な騎士だったんだ………。
それは知ってるだろ………?
………それなのに死んだおじいちゃんの悪口をアローネに………、
訂正しろアローネ!!
今言ったこと全部!!」
アローネ「………では訂正させてみてはいかがですか?
貴方が
当然私も反撃しますが。」