テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カタスティア「!」
カツカツカツ………、
アローネ「カタス………?」
先程まで和やかにレイディーやタレスと話をしていたカタスティアが急に会話を止めとある方角へと歩きだした。
カツカツカツ………、
ピタッ。
そして歩みを止める。カタスティアが立ち止まった先にはとある人物がいた。
カタスティア「……………………」
カーヤ「……なっ………何………?」
カタスティアが進んだ先にはカーヤがいた。カタスティアはカーヤの前で無言で彼女を見詰める。カーヤは気まずくなり後ろへ後退りをする。
レイディー「どうしたんだ先生?
そいつは坊や達が連れてきたダレイオスの「貴女………ラーゲッツの関係者?」………!?」
カオス・アローネ・タレス・ミシガン・ウインドラ「「「「「!!!?」」」」」
カーヤ「あっ、
あの………。」
カタスティア「………………肌はあまり手入れをしていないようだけど子供特有の水分を多く含んだ肌をしているわね。
年齢は十五、六歳前後かしら。
身長は平均的な身長だけど体重の方は少し軽そうね。
今のコンクリートを踏み締めた音の感じからして四十にギリギリ届かない程度。
でも痩せてはいるけど筋肉に関してはまったくないわけじゃなさそうね。
寧ろ一般的な十代の少女が持つ筋肉にしては発達し過ぎている。
余程過酷な環境に身を置いていたのね。
利き腕は………右腕が若干太い………右利き。
体温は………そろそろ眠いのかしら?
熱を放出し始めているわ。
こんな時間だものね。
血流は………食後六時間といったところね。
口から漂う香りからして夕食にとったのは軽めのサンドイッチってところかしら。
これだけ発達した筋肉を持ちながら表情筋だけは人より劣るのは人と話すのが苦手なのか元々人と話す環境にいなかったのか………。」ブツブツ………、
アローネ「カッ、
カタス………?」
何やらカーヤを見てブツブツと一人言を呟くカタスティア。先程までは女神でも見るような目で見ていたミシガンも彼女のその様子には少し引いている。
カタスティア「………このマナの感じ………。
バルツィエが持つ固有の純度の高いマナを持ちながら同時にフリンク族のマナの特長も備えている………。
バルツィエとフリンク族のハーフエルフなのは確かなようね。
そしてこの熱い炎を連想させるマナはラーゲッツのものに似ている………。
………そう………、
………貴女はラーゲッツの親族なのね。
彼のマナの特長の引き継ぎ用から見ても彼とはそう遠くない血族一等親………。
ラーゲッツの娘で間違いないわね。」
カーヤ「うっ、
うん………。
カーヤのパパはラーゲッツって人だけど………。」
何も情報を与えずにカタスティアはカーヤをラーゲッツの娘だと言い当てた。
………更には、
カタスティア「ラーゲッツに娘がいるだなんて聞いたことがない。
すると貴女はダレイオスで生まれ育ったのね。
ダレイオスでは部族が違ったり他の部族との間に生まれた子供を毛嫌いする風潮があるからハーフエルフの貴女はフリューゲルで虐げられて育ったんじゃないの?
そこをアローネ達と出会い彼女達に保護される形で一緒にいる。
そうでしょ?」
カーヤ「うっ、
うん………そうだけど………。」
なんとカタスティアはカーヤがこれまでどのような生活を送ってきたかも言い当ててしまう。ここまでくると推測ではなく実際に見ていたかのようだ。
レイディー「相変わらずすげぇな。
カタスティア「別にこのくらい大したものではないわ。
人ってのはね。
よく観察してみればそれまでどう過ごしていたか、
どう生きてきたかなんて分かるものなのよ。
その人が今何を感じているのか。
………楽しそうにしてるのかとか今機嫌が悪いのかとかね。」
ウインドラ「いや………それにしてもお見事です。
今教皇が仰ったことは全てにおいて間違いが一つもない………。
よくそこまで一目見ただけでお分かりになりますね。」
カタスティア「フフ、
元王女という立場上人の仕草や動作を観察するのが癖でね。
会議や交渉では相手が何を求めているのかを追い掛けている内に自然とここまで分かるようになったわ。
少し意識すれば貴女達でもできるはずよ。」
アローネ「カタスほどの読み取る力を得られるとは思えませんが………。」
再開して早々カタスティアの奇特な特技を垣間見たカオス達は彼女が聖女と呼ばれる由縁が今の一部始終にあるのではないかと感じる。一見するだけで人が求めているものを見抜くカタスティアはその力を使い人のために行動する女性だ。そのような力があれば人はもっと私利私欲のために使いそうなものだがカタスティアはそれをしない。それどころか私財を擲ってでもタレスの知り合いかどうかも分からぬ相手に手を差し伸べてみせた。
カタスティア「…貴女………名前をカーヤっていうのね。
貴女はこれから起こる戦が終わったらカオス達からカーラーン教会に来ないかって誘われてるんじゃないかしら?」
カーヤ「………うん、
カオスさん達から一緒に来ないかって誘われた………。」
カタスティア「そう、
じゃあこれから私達は家族ね。」
カーヤ「家族……?」
カタスティア「そうよ。
私はね?
もしマテオとダレイオスの戦いが終わったらカオスを正式に私の養子にする予定なの。
そうなったら貴女も私の子になりなさいな。
カオスと兄弟になれるわよ。」
カーヤ「カーヤがカオスさんと兄弟……。」
カオス「………いいんですか?
俺は間接的にカタスさんを追われる目にあわせたのに………。」
カタスティア「何言ってるのよカオス。
子供ってのはね。
親に迷惑をかけてこそよ。
親は子のためならどんなに苦しいことでも耐えられるわ。
バルツィエに追われることになったのだってそんな迷惑の範疇ですらないわ。
子供なら親にどんどん迷惑をかけてみなさい。
私は貴女達のすることは全て受け入れてあげるから。」
カオス「………カタスさん………。」
カオス達によってバルツィエに襲撃を受けたにも関わらずカオス達を受け入れるという彼女の人としての器の大きさには人以上の神々しさすら感じさせる。カオスはカタスティアを尊敬する気持ちが膨れ上がっていくのを感じた。
アローネ「カオスとカーヤがカタスの子供になるのなら私もカタスの娘になるのですか?」
カタスティア「何言ってるのよアローネ。
貴女はずっと昔から私の妹だと言ってるじゃない。」
アローネ「妹………ですか………。
ですがそれは私がカタスの御兄弟とのその………。」
カタスティア「アローネ、
別に私の兄弟との結婚なんて関係ないわ。
血の繋がりや婚姻なんてなくても人は姉妹になれるの。
今更私と貴女に他の関係なんて必要ない。
貴女にはずっと私の妹でほしいの。
そこだけは貴女には分かっていてほしいのよ。」
アローネ「血の繋がりも婚姻もなく姉妹に………。」
カタスティア「そうよ。
貴女だって私が母親を思える?
………思えないでしょ。
妙によそよそしくなるよりかは私は今の関係のままでいい。
貴女とはこれからもずっと姉妹のままよ。」
アローネ「…カタスがそう仰るのならそれでいいのかもしれませんね。
カタスが仰ることが今まで間違っていたことなんてありませんから。」
カオスとカーヤを養子に迎えるというカタスティアはアローネだけは頑なに妹と言って譲らなかった。アローネとしても特にそれで不自由するわけではないのでこの話はそこで終えることとなった。
カタスティア「(………それにしても………。)」
一瞬皆の視線がカタスティアから外れた隙に彼女はカーヤを横目に観察する。
カタスティア「(………ラーゲッツの娘のカーヤ………。
ラーゲッツとは違って恵まれた才能を持っているようね………。)」
ニヤァ……、
カタスティアの口角が皆に気付かれない程度にほんの少しだけ上がる。その表情は彼女の美しさもあって傍目からは普通の笑顔のようにも見えるがどことなく歪さが混じっている。
カタスティア「(“鳶が鷹を生む”とは正にこのことよね。
ラーゲッツの遺伝子でこれほどの
………漸く巡り会えたわ。
あの子こそが私達の………。)」