テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
王都でウインドラから正体をばらされたカオスは街の中を逃走しながらアローネとタレスを探す。
そして…。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「ウルゴスの第一王女!?
ってことはこの人もウルゴスの出身!?」
「はい、
と言っても私の上に六人の兄と二人の弟がいて私の王位継承権は真ん中よりも下ですしそもそも今は“元”なんですけどね。」
「元?」
「彼女とは幼少の頃からの付き合いになります。
彼女とは年は大分離れてはいますが。」
「年齢のことを出すことまでは許可していないわよ?」
「……?
でもどうしてそんな人がマテオにいるの?
ウルゴスはどうなったんですか?」
「………。」
「それはね。」
「ウルゴスが………もうない!?」
「えぇ、既に滅びさりました。
それも遥か昔に………。」
「一体何があったんですか!?
ウルゴスに…!?」
「………」
「それはもう一人の子が来てからお話します。」
「タレスは今メルザさんに探してもらっていますよ。」
「タレス…
タレスは無事なの?」
「彼のことですからきっと無事ですよ。」
「メルザが戻ってくるのが遅いようなら私も探しにいきます。
鎖鎌を持った十歳前後の少年でしたよね?」
「そうです。
ですがよろしいのですか?
貴女にそのようなことをしていただくのは…。」
「無礼なことなど何もありませんよ。
それに私は“元”王女です。
人探しくらい私にも出来ます。
他ならぬ妹のためですもの。」
「カタス、その話は…。」
「アローネが妹?」
「………」
「どういうこと?
アローネは“クラウディア“って名前の貴族だったんじゃないの?
それにお姉さんは確かアルキメデスさん一人の筈じゃ…?」
「それは…
そうなんですけど…。」
「誤解させてしまったわね。
本当の妹という意味ではないのよ。
そういう風に育ったから妹のように思っているということなの。
………もっとも、将来的には義妹、もしくは義姉にはなっていたでしょうけどね。」
「?」
「…もう無くなった話ですよ。」
「アローネは私の兄弟との縁談があったの。」
「!?
それってアローネがウルゴスの王族になってたってことですか!?」
「…本当は姉のメデスがその候補だったのですけどね。
それもメデスが別の人と結婚してしまったからアローネが次に選ばれたの。
どちらにしても私の義理姉妹にはなっていたでしょう?」
「そうかもしれませんが………。」
「…アローネはその縁談には乗り気じゃなかったの。」
「それは…。」
「アローネはヒューマとハーフエルフを軽視する風潮が嫌いだったからでしょうね。
兄弟達もそうでしたから。」
「!
前にアローネが話していた人達のことですね?」
「その辺りの事情も知っているようね。」
「はい、
アローネからヒューマという人達と戦争している話も聞きました。
その過程でハーフエルフという人種が誕生したことも。」
「アローネも最初は将来軍師になって戦争に勝利することを望んでいたのですよ。」
「アローネが戦争に積極的だったんですか?」
「アローネは………ウルゴスの民を傷つけるダンダルクが許せなかったのでしょうね。
アローネはとても心の優しい子だったから。」
「ダンダルク?」
「機械技術で世界を掌握しようとしたヒューマの人達の国のことですよ。」
「カタス、世界を掌握しようとしていたのはダンダルクだけではありません。
ウルゴスも魔科学で同じことをしようとしていしていたのですから。」
「そうね、ウルゴスも似たようなものですね…。
ダンダルクだけが世界の“毒”ではないわね。」
「毒って何のことですか?」
「「………」」
「お待たせしました!
タレス君見つけましたよ。」ガチャ
「!
カオスさん、アローネさん探しましたよ!」
「「タレス!」」
「これで全員集まったわね。」
「お二人とも何処に行ってたんですか!?
今街中お二人のことで凄いことになってましたよ!」
「それは……」
「スミマセン、タレスには心配をおかけしましたね。
私達は大丈夫です。」
「お二人が捕まっていなくてなによりです。」
「ありがとう。」
「タレス君、お城の方にいたんですよ?
サタンさん………カオスさんとアローネさんが捕まってしまったらここに連れていかれる筈だって言ってて。」
「!?
名前…?」
「メルザさんには私達の事を伝えてますよ。
その上で協力して下さりました。」
「サタン………。
アローネはカオスさんにそう名乗らせていましたね。
やはりアローネはあの人のことを…。」
「…他に名前が思い付きませんでしたので…。」
「いいのよ、
私もアローネと同じでハーフエルフに嫌悪感をもっていないわ。」
「カタス様、
今どういう状況ですか?」
「少しアローネの昔話をしていたところよ。
カオスさんにはウルゴスのことを話さないといけないから。」
「あ~、
カタス様の長年の出生の謎が明かされていたんですね。
このメルザもお聞きしてもいいですか?
カタス様他に証人がいないからって秘密にしていましたし。」
「そうね、
アローネもいることだしこれで私の話にも説得力がつくでしょう。」
「カタス様の仰ることなら疑いませんのに、
全然話してくれないんですから。」
「私にもね、
話をする心の準備がいるのよ。
………私一人ではただの妄言ととられてしまったらそれで終わってしまいますし。」
「そんな風に思いませんよ~?
カタス様はうちの孤児院の出資してくれている大切な金づ………神様なんですから~。」
「メルザ!?」
「孤児院の出資?」
「カタス様はいろんな人のところに援助なさっているんですよ。
他にも医療設備や街の商業などにも貢献されててうちの孤児院もその一つです。」
「大したことないわよ。
少しウルゴスの知恵を借りてお金を稼がせてもらっただけだからそれをこのマテオの人々に分け与えられるなら喜ばしいことですもの。」
「ウルゴスの知恵?」
「ウルゴスにいた時の先人の書とでもいうべきかしらね。」
「!
そうです、カオス!
ダニエル君です!」
「!
…まだ断りの連絡してなかったね。
メルザさんもいるし丁度よか「そうではないです!」…?」
「ダニエル君の病気、
治りますよ!
カオス!」
「!?
どういうこと!?
治療方法がみつからなかったんじゃ!?」
「治療方法があったんですよ!
カタスが義兄の残した医学書を持っていたんです!」
「サタンさんの医学本を!?」
「はい!
薬の材料も調合方法も載っていたのでこれで薬が作れますよ!」
「貴方達がアイオニトスを調達してくれたおかげで薬の材料は揃いました。
後は私が調合してダニエルに処方します。」
「………じゃあダニエル君は治療できるの!?」
「だからさっきからそう言っています!」
「本当に………?」
「はい!」
「………」ツー
「カオス!?」
「………よかった…。
………………俺ダニエル君を助けたくて………
でも治すって言ったのに………その方法も分からなくて………、
もうどうしたらいいか………。」
「カオス………。」
「本当によかった………。
この街に来れば全部が全部解決するだろうって思ってたけどそうもいかなくて。
………俺にはやっぱり無理だったんじゃないかなってまた思いはじめて………。
俺には戦う力しかなくて………。
おじいちゃんのようになるなんて………。」
「カオスさんは本当にアルバートに似ていますね。」
「え?」
「アルバートもこの街にいたときはそのように誰かを救える力を欲していました。
自分には戦う力しかないからそれで人が救われるのならこの力を人のために使いたいと。
バルツィエの畏怖の印象を覆したいと。
それはもう毎日がむしゃらに走り続けていました…。
時折私にも相談するくらいでしたからね。」
「………」
「確かに貴方の持つ強さでは救えない者もいるでしょう。
不治の病に侵された人もいればその国にある身分制度で奴隷にされた人も…。
それは世の摂理や人の定めた法の基に定められたルール上仕方のないことです。
全てを救える道はこの世にはないのです。
ですがそのうえで誰かを救いたいと思う貴方の在り方には私は感銘を受けますよ。」
「!」
「時に無駄だと人が決めつけ諦めることを貴方は率先して解決しようとするその姿勢、
アルバートと同じです。
貴方はアルバートと同じ心をお持ちのようですね。」
「おじいちゃんと同じ…?」
「人を救う道で大切なのはその人の味方になってあげられること、強者であるのなら弱者の心を分かってあげられる心です。
貴方はこの世界で一番重要なものを持っています。」
「心が………世界で重要なもの…。」
「貴方はアルバートとは違い社会的に高い地位とは無縁の人生を歩んできたのでしょう?
バルツィエの血筋でありながらその心を得られたのなら貴方はこのマテオの全てに触れることが出来る。
このマテオの………古き過去のレールに縛り続けられる歴史の全てに…。」