テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
王都でウインドラと再開したカオスはウインドラに街中で正体をばらされ追われることに…。
そして教会へと駆け込みそこでアローネに次ぐウルゴスの人を見つける。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「それではお話ししましょう。
少し長くなるけど私とアローネの国、ウルゴスのことを…」
昔、この星はアインスと呼ばれる時代がありました。
アインスでは様々な人種がそれぞれの国を作り暮らしていました。
ですが長い時間で人が増えすぎた国々は他国を侵略し国の領土を拡げようとし長い戦乱の世が訪れました。
百を越える国々は戦争に勝利し大きくなる国もあれば戦争に負け国そのものを勝った国に乗っ取られて無くなってしまった国もありました。
そうした争いが続いて最終的に残った国が自然と共に生きマナを重んじる国ウルゴスと自然を破壊し機械技術に心酔するダンダルク…。
ウルゴスは圧倒的な魔術で他国を蹂躙する侵略国家。
ダンダルクは魔術を扱えない代わりに科学兵器を開発し他国を攻め落としてはその国の人々を使った人体実験を行う非人道国家。
そして二つの国がそれぞれの大陸を統一したときアインス上最大の世界大戦が始まりました。
その戦争でウルゴスは更なる魔術の発展でヒューマを攻撃しダンダルクは新たに開発した爆術兵器でウルゴスの地を焼き払い続けました。
大きすぎる大陸と多すぎる人口とお互いのそれまでの常勝国としての威光を保つプライドをかけた大戦は終わりの見えない戦いとなり両国はいつしか互いの大陸を殲滅するだけの泥沼の殺戮試合となっていったのです。
戦いが長期化すればするほど両国の攻撃しあう矛は鋭さを増し進化していく戦術は互いの特色を吸収しあって、あるとき戦場に『魔科学』と呼ばれる術が生まれてそれによって作られた兵器は人や動物だけでなく自然…いえ、星そのものを破壊していきました。
魔科学がもたらした大戦への影響は凄まじく数年で世界の総人口の半数近くを消し去る程のものでしたが終止符のない戦争に終わりの兆しが見えました。
ウルゴスでは父の…、王の勅命を受け私を含めた九人の王子女やクラウディア率いる上流貴族も戦場で直接指揮をとりダンダルクへと進行したりもしました。
そんなとき、戦場で『ヴェノム』が現れました。
突如現れたヴェノムはウルゴス、ダンダルクを襲いそこに住んでいた人々を次々と怪物へと変えていきました。
やがてヴェノムの被害は大戦を越え両国は戦争どころではなくなりヴェノムへの対応に追われるようになりました。
国全土の優秀な医学者を集い早期解決に臨みましたがヴェノムの浸食はついに王都まで伸びてきて………。
国は悟りました。
このままでは大戦に勝つどころではない、
世界の存亡の危機だと。
突如現れた伝染病ヴェノムに打ち克つにはどうればいいかウルゴスの首脳陣は話し合いの場を設けそこで出した答えは…
全人類のために世界を見捨てること。
ウルゴスは地中深くへと避難しそこで人の中に宿るマナを人ごと凍結させて成長を止め、ヴェノムが世界を飲み込んでから消滅するのを待ちました。
ヴェノムは放っておけば障気だけを残し溶けて消えてしまうのでウルゴスはこの選択を取りました。
ウルゴスは…、世界はヴェノムに白旗を挙げたのです。
ウルゴスは早急に地下へと潜る用意をして生き残っている人々を集めました。
集めた人々を地下で眠らせてヴェノムが消えるまで永い永い時を待ち続けました。
次に目覚めるときは戦争もヴェノムもない新しい世界に目覚めることを願って………。
「ここまでが私の知る全てです。
後は永い時を経て私達アインス時代の人が眠っていた間にこのデリス=カーラーンの新しい人類の文明が築かれて今に至ります。」
「アインス………この前アローネが訊いてきたのって…。」
「…そうです。
国ではなく星の名前でした。
私達のウルゴスがあった当時の呼び名でした。」
「カストルまでの道やこの間、どうしてその時に言ってくれなかったの?」
「カオスは…この星の名前は何ですか?
と聞かれてどう思いますか?」
「それは…、
なるほど………。」
「常識を聞くことは場合によってはその質問者が異常者と捉えられてしまうことがあります。
アローネも聞くに聞けなかったのでしょう?
この星の名前はアインスですか?と。
今の社会ではこの星の名前は『デリス=カーラーン』
それが当たり前です。
私達ウルゴス時代の人はアインスと読んでいたのです。」
「………」
「アローネはカオスさんを信じられなかったのではありません。
アローネはこのデリス=カーラーンの常識を信じられなかったのですよ。」
「スミマセン、カオス。
カタスの言う通りです。
私は私の知る知識がこの世界デリス=カーラーンとアインスとのズレにずっと疑問を抱き続けていてそれを貴方に打ち明けられませんでした。」
「………それは仕方ないよ。
そういう事情なら一人じゃ分からないこともあるし…。」
「本当にアインスという時代があったんですか?」
「「!」」
「貴方は………タレスさんでいいのよね?」
「はい。」
「どうしたのですかタレス?」
「何か気になるところでもあった?」
「………このデリス=カーラーンに昔アインスと呼ばれる時代があったのは分かりました。
ネイサム坑道でもそれらしい跡地がありましたし。
しかしアインスと呼ばれる時代はこのデリス=カーラーンに至るまでに果てしない時間が流れて築かれてきたんですよね?
ではアローネさんや貴方と話が通じるのは何故ですか?」
「言葉?」
「………ボクの事情はアローネさんから伺っていますか?」
「えぇ、
貴方はこことは別の国………
ダレイオスの人なのですよね。」
「えッ!?
タレス君がダレイオス人!?」
「メルザには……
まだその辺りの話は言ってなかったわね。
彼はバルツィエに連れてこられた拉致被害者なのよ。」
「………」
「バルツィエは………
力を付けすぎてしまったから捕虜の扱いも酷いものだからねぇ……。
タレスさんのような子がいても不思議ではないわ。」
「味方にするには心強いですけど………
あまり共感できませんね。
こんな子供まで拉致してくるなんて…。」
「それでタレス君は私達がこのデリス=カーラーンの言葉を使えることに疑問を抱いたのよね?
ダレイオスとマテオですら文字が違うのに時代を越えた私達とこの時代の言葉が何故通じるのか?
でしょう?」
「………はい。
ボクがダレイオスにいたときこのマテオとは違う文字を使っていました。
それまで使っていた文字がこのマテオでは全く通じなくてウルゴス文字を覚えるのに苦労しました。」
「え!?
ダレイオスとマテオって文字違うの!?」
「カオスさん達には機会がなくてダレイオスで使われている文字をお見せしたことありませんでしたね。」
「言葉は通じているから文字が違うなんて思いもしなかったよ。」
「…確かに変ですね。
時が経過してできた全く違う文化の言葉と文字が同じなんて………。
カタスどういうことなのでしょうか?」
「………『星の記憶』…。」
「え?」
「皆さんはこの星を動物と仮定したとき、何の動物に近いと思いますか?」
「動物ですか?」
「んん?
………何だろう。」
「……?」
「はい!
私は「メルザは静かにしてなさい。今大事な話の途中だから。」………はい。」
「………スミマセン、考えたこともありませんでした。」
「人ですか?」
「ボクは………ボクも分からないです。」
「そうね。
普通はこんな質問されることもないでしょうからね。
アローネは人なのね。
それはどうして?」
「………特にはないです。
ただの当てずっぽうです。」
「この質問はあくまで仮定の話なので正確な答えはないの。
でもさっきのタレスさんの問いに答えるのなら私はこの星は『スーパースター』」だと思うわ。」
「?」
「超星?」
「………ヒトデと言うことですか?」
「察しがいいわねタレスさんは。
その通りよ。
貴方達はスーパースターと呼ばれるヒトデはご存じ?」
「!
それって確か…。」
「………リーゾアナ海にいたあの素早いヒトデさん達のことですね。
あのときのことは覚えています。」
「あぁ、アローネが漆黒の翼に会ってからの話だったよね。」
「漆黒の翼………
懐かしいですね。
再びその名前が出てくるなんて…。」
「?
カタスさん漆黒の翼を知っているんですか?」
「カオスさん達が出会ったその漆黒の翼とは別の漆黒の翼のことを知っていますよ。
もう古い話ですが…。
立派な方々でしたね。」
「カタス、
知っているも何も貴女がその」パシッ
「アローネ、
人の黒歴史をそう易々と話すのは感心しませんよ?」
「………はい。」
「………まぁ、今のでもう察したでしょうね。
私はかつて身分を偽って臣民に混じりギルドで冒険者をしていた時期がありました。
その時に同じパーティメンバーで名乗っていたのが『漆黒の翼』なのです。」
「カタスさんが…
アローネの言っていた噂の漆黒の翼?
でもどうしてギルドで?」
「王族というものはいろいろと複雑なのですよ。
私の兄弟は私を除けば八人の兄弟がいますが父は同じで母はそれぞれ違う民族の優秀な血筋のものから生まれました。」
「!?
兄弟でお母さんが違う!?
それって許されることなの!?」
「王族の歴史を辿れば何処も似たようなことがあるのですよ。
王が側室と呼ばれる囲いで妻を何人も持つことなど。
性別が逆の場合もあります。」
「………想像つかないなぁ。
どんな感じなんだろ?」
「私の体験談では仲のいい兄弟達も入ればそうでないものもいました。
上の五人の兄達とは王位継承争いで暗殺者を送りあうほど仲の悪い間柄でした。」
「兄弟で殺しあってたんですか!?」
「これについても王族の歴史の一つですね。
母達が部族の代表として王に嫁いで来ていますから時期王位は自分等の部族の血を持つ我が子から………と考えて行動していたようです。
私は王位継承権は女性ということもあって弟よりも低い九番目ではありました。
ですがこの順位を引っくり返すのは容易なことではなく王族に生まれた兄弟達は皆あらゆる面で一級品の才能を持っていました。
統率力、頭脳、魔術開発、地学研究、戦術、政治、舞踊、戦闘技術………私にも交渉術と呼ばれるものはありましたがそんなものを持っていても性別や生まれた順番で圧倒的不利は覆すことは叶いませんでした。
それでも母の一族のため努力を止めることは許されない。
そうした日々を一時でも忘れるために私は一つ上の兄と一つ下の弟と共に普通の人の変装をしてよく下町等に出向いてました。
いわば漆黒の翼はストレスの解消のためでしたね。」
「(ストレスの解消で王族がギルドに………。)」
「先程の話に戻りますが世界がスーパースターである根拠は………。
カオスさん、スーパースターはあの五指を切り落とすとどうなります?」
「切り落とすとですか?
………そうですね。
普通にまた生えてくるんじゃないですか?」
「そうですね。
あの生物は代用するエネルギー源さえあれば死なない限りあの体が無限に生えてきます。
体の中心の心臓部さえ生きていれば…。
この星も同じです。」
「「「この星が同じ?」」」
「いくら時間が経とうともそこにあった環境が同じなら同じ種族同じ人類が生まれます。
例えヴェノムに世界を汚染されようが核………
大樹カーラーンさえ無事ならこの星は時間をかけて再生するのです。
大樹カーラーンが生み出す全ての源のマナはこのデリス=カーラーン文明が開かれる以前のアインスから変わらないのだから。」
「大樹カーラーン?
それは『アインスの木』と同じものですか?」
「そうね。
アインスではそう読んでいたわね。
………つまり時間が流れはしたけどこの星で生まれたウルゴス………いえ『原初の民』は今のこのデリス=カーラーンの民と似通った特徴を持つと言うこと。
ヴェノムによってダメージは受けたけどこのデリス=カーラーンはまた同じ人類を生み出したということよ。
さっきの漆黒の翼の件も同様。
一度滅びても時が流れればまた同じような世界に戻る。
この、星の回復機能のことを私は『星の記憶』と読んでいるわ。」