ドラゴンボール○   作:ターバン

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 乱暴な光の魔王は力ずくで鬼の一族であるチョコットに攻撃を加えようとした時、悟空がそれを阻止して戦いを挑んできた。
 魔界の実力者であるラムネスと悟空の戦い……。激戦の予感!!?


其之七 「緊迫! 魔王対孫悟空!!」

 闇で覆われた夜空。何故か月のように白いまだら模様を描いた青い星がそこにあった。誰もがその異変に気付いていないようだった。

 いつからそこにあったのか分からないが、この“もう一つの地球”は不気味な静寂を保っていた。

「だ、大丈夫……?」

 尻餅を付いているチョコットをキャディーが涙目で介抱していた。

 それを孫悟空は一瞥し、眼前のラムネスに怒りの形相を向ける。

 

「おめぇの相手はオラがしてやるッ!!」

 

 逆立つ金髪。鋭い目付き。拳を握り締めて仁王立ちする男。全身から金色のオーラが噴き上げている。

「ほう……。それではちとお手合わせを願うかな……」

 魔王ラムネスは口元に付いた血を手首で拭い去り、好戦的な笑みを見せる。

 すると途端に光の柱を噴き上げ、震撼と共に周囲に砂煙を撒き散らした。

 ビリビリ、と犇くような威圧が伝わってくる。

「我がシャイニングフォースをとくと味わせてやろうかな!」

 満を持したような笑みと共に全身から噴き上げる凄まじいオーラに、孫悟空も冷や汗を掻く。

「……行くぞ!」

 ラムネスは地を蹴り、孫悟空へと拳を見舞う。

「く!」

 孫悟空は右手で拳を受け止める。途端に背後のカメハウスが木っ端微塵に大破した。

「うわああああああッ!!!!!」

 吹き荒れる余波に亀仙人もウミガメも吹き飛ばされ、海へと飛び込んでしまう。

 すかさず孫悟空はラムネスの顎を蹴り上げ、上空へと弾き飛ばす。追い討ちと空へ飛び出す。

 

「ぶはっ!!」

 海面から顔を出すクリリン。荒い息を繰り返す。

 気付けばカメハウスが見当たらず辺りを見渡す。気の出所を探ると上空へ見上げた。青い星に気付いたがそれよりも、

「ご、悟空……ッ!」

 なんと孫悟空は四方八方からなぶられて右往左往と体勢が泳いでいた。

「がっ、ぐぐっ! ぎっ! ぐあっ!!」

 ラムネスと言う魔王は目にも留まらぬ流動系のような動きで周囲を飛び回って翻弄していた。

 孫悟空は反撃を試みて肘打ちを繰り出すが、ただ空を切るのみ。

 逆にラムネスは蹴りで脇を捉え、即座に背後へ回り込んで手刀で払い飛ばす。

「ぐっ!!」

 空中で体勢を整えるが、眼前に現れたラムネスの拳の連打が顔面を殴打する。

 必死に孫悟空は蹴り上げようとするも、既に姿を消していた。

「はっはっは! その程度か?」

 急降下してきた飛び蹴りが孫悟空の頬を捉え海面へと打ち落とす。噴水が噴き上げられ、周囲に津波が広がった。

 

「は……速過ぎる……! まるで太刀打ちできてない……」

 クリリンは愕然とした表情で震え上がる。

 セルゲームでの孫悟空対セルを思い返す。セルもスピードが速かったが、ラムネスのスピードはそれ以上だった。

 ラムネスは不敵に笑み、荒れる海面を眺める。

 途端に脈動が海を走った。荒れ狂う波。立ち込める暗雲。

 

「む? こ、これは……」

 

 ラムネスは周囲の変化に戸惑う。背筋に寒気が走り、ぎこちなく海面へと見下ろす。

 次々と無数の光の帯が海面から飛び出していく。

 ゆっくりと孫悟空は海面から顔を見せ、徐々にその体は海から抜け出していく。

 前髪がいつものより少なく、ほとんどが逆立っていた。スパークが全身の周りを迸り、纏うオーラも激しく噴き上げていた。

「ほう。潜在パワーから察するに、あの程度じゃ肩透かしもいいところだったが……」

「こいつがスーパーサイヤ人2だ」

 更に険しい表情でラムネスを見据える。意気昂揚とラムネスは空を翔る。そして姿を掻き消していく。

 しかし孫悟空は裏拳で弾くように側面を打った。姿を現したラムネスは頬を殴られ、吹っ飛んでいた。

「くっ!」

 間合いを離し、再び姿を掻き消す。

「だ――――――ッ!!!」

 裂帛の気合と共に孫悟空は蹴り上げる。ラムネスは顎を突き上げられ、上空へ舞う。

 それを追いかけ両手で組んで海へ打ち落とす。

 海面に落ちる寸前、ラムネスは流れるように海面を駆ける。水飛沫が巻き上げられた。

「く……くっくっく! ま、まさか反応まで速くなるとはな……」

 傷だらけの顔面で笑む。口元に垂れる血を拭い唾を吐く。

 無言のまま孫悟空は見据える。尚も電撃が体を迸っている。

 

「あ、アイツ……ものすごく強ぇえ!!」

 砂浜の上でチョコットは上空の戦いに感嘆を漏らしていた。それにキャディーも頷く。

「……それに懲りたら二度と来るな!」

「いい気になるなよ! このオレだけが来ていると思うか……!?」

 その言葉に反応を示す孫悟空にラムネスは徐々に笑みを作る。

「カスタードプリンス様は……ありとあらゆる優秀な人間どもを生け贄に要求しておられる。万が一オレが敗れてもそれより強い魔王が貴様を捕らえるぞ!」

 孫悟空は辺りの気を探ろうとしたが、何故か感じ取れない。ラムネスの接近もそうだったが気の感受が希薄になっているようだ。

 ラムネスは砂浜へと視線を移す。亀仙人と鬼の少年達が視界に入る。ニヤリと卑しい笑みを浮かべ、

「バカめ! 我がエネルギー波もスピード一なんだぞ――――ッ!!」

 掌を砂浜へ向け光の奔流を撃ち出した。

 刹那の一瞬だった。亀仙人はそれを察してか、ウミガメ、チョコット、キャディーを海に弾き飛ばしていた。

 カメハウスの残骸と砂浜もろとも、眩く広がる光の波に飲み込まれた。

 震撼と共にキノコ雲が立ち上っていく。孫悟空とクリリンは愕然としたまま呆けた。




 勝負では完全に悟空が勝っていたが、亀仙人死す!?
 そして気になるのが悟空たちの感知能力の衰え、一体なにが!!?

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