若草のゲッター物語(休止)   作:越後屋大輔

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今話、遂にゲッターロボ登場!


第2話

 その日、隼人はマーチ家に薦められて一夜の宿を借りた。翌日昨日の出来事を伝える電報を打つ為、ペンシルバニアの市役所に向かうフレデリックに同行する。

 

 市役所前でフレデリックは息を呑む、そこには瓦礫の山と大量のトカゲが骸となって転がっていた、一方の隼人は予想の範疇だったのか小さく口角を上げた。

 「フッあいつか、普段は虫も殺さんようなお人好しのクセにな」竜馬を思い出すフレデリック、悪人とは思わないがお人好しにも見えない人物だった気がするが。

 「竜馬じゃない、もう一人いる」表情から察した隼人が聞かれる前に答える。

 

 二人が市役所の中に入ると所員達は未だにガタガタ震えていた、やはり何人か襲われたようだ。

 「マーチ大尉、わざわざご足労願って恐縮です。しかし合衆国はどうなってしまうのでしょうな」なんとか平静さを保っている市長がフレデリックの手をとる。

 「合衆国以前に世界全土の問題だがな」隼人が皮肉を込めて呟くと

 「君は?」市長の問いに隼人ではない声が答える。

 「心配いりません、僕の仲間です」声の主は奥から救急箱を持ってきて応急措置を始める。彼もやはりアジア人だったが、長身で割りと筋肉質な竜馬や隼人と比べてかなり小柄で体つきも華奢でありどうみても子供だった。顔つきも眼光鋭い二人と違い穏やかで柔らかい、とてもじゃないがトカゲ達を惨殺した者には見えなかった。

 

 「光一、そっちの様子はどうだ?」

 「見ての通りだよ、隼人さん。医者も呼んでいる、もうすぐ来るよ」

 「手際がいいな」

 「竜馬さんは?」

 「偵察だ、この辺り一帯を飛んでヤツらの動向を探っている」

 「飛んでいる?走り回っているのではなく?」市長が口を挟んできた、同じタイミングで隼人と光一の懐から機械音が鳴る。

 「隼人!光一!いよいよアレ(・・)のお出ましだぜ‼」

 「チッ!」

 「行きましょう!」隼人は舌打ちして、光一は意気揚々と市役所を去る。その後を追うフレデリックと市長、外へ出て上空を見上げるとあまりにおぞましい光景を目にして衝撃を受ける。

 

 このペンシルバニアを襲い、メチャクチャに荒らし回ったトカゲが今度は巨大になって現れた。いや、よく見るとそれは連中の姿に模した乗り物のようだ、どちらにしろあんなのが向かえば被害はおろか街の住人は皆殺しにされる。

 「お、おしまいだ…この街も合衆国も…あの化け物に殺られる!」項垂れる市長、フレデリックは再び空を仰ぐ。上空にはトカゲの化け物以外に赤、青みがかった白、黄色の3体の何かが飛んでいる。どうやらあれも乗り物らしい、そこから聞き覚えのある声がした。

 「そいつは俺達が始末する!とっとと離れてろ!」先日出会った竜馬とかいう男だった、彼は赤い乗り物に乗っている。という事は後の2体にはさっきの二人が乗っているのか、しかしその時のフレデリックには考える余裕などなくその場を離れるのが精一杯だった。

 

 「行くぜ!チェンジ、ゲッター1!」赤い乗り物の後ろから白と黄色が順に連結していき頭部に角を持つ巨大な人型を形成していく。人型は地上に降り立つと肩から斧を取りだし怪物を一刀両断する、中の操縦士のトカゲごと真っ二つにされた怪物は轟音と共に爆発して跡形もなく消え去った。

 「これでこの街の当面の危機は免れた訳だけど…」

 「ヤツら、拠点をこの国に移したか」

 「さっきのおっさん、軍人らしいな」

 「よし、合衆国と俺達の架け橋になってもらうか」

 「僕は一時帰国するよ、日本政府にもこの状況を知らせなきゃならないし」

 「なら、先に交渉を済ませるか」

 「俺や隼人じゃ上手くいく話も拗らせかねんからな」こうして南北戦争の真っ只中、突如全人類滅亡を目論む恐竜帝国の爬虫人類と彼らに対抗する為結成されたゲッターチームによるアメリカを舞台とした闘いの火蓋が切って落とされた。

 

 翌日、市役所はかなりボロボロになっていたが幸い電信関係は無事だったのでフレデリックはその日の内に軍本部へ電報を送った。すぐに返信がやってきて、そこにはこう記されていた。

 「フレテ゛リツク マアチ タイイハ ケ゛ツタアチイムノシヨクン ヲ ツレテ スク゛ク゛ンニ モト゛ラレタシ 」

 「そういう訳で私は今夜中に軍本部に戻らなければならない」フレデリックは一旦自宅へ帰り家族に用件を伝える。

 「せめて明日の朝、立たれてはどうですか?」娘達が懇願するのを母メアリーが諌める、その娘達の願いは意外な人物によって叶えられた。

 「あ~、腹減った。オバさんメシ食わせてくれ、俺ァ朝から何も食ってねぇんだ」赤い乗り物、イーグル号の操縦士の流竜馬がハンナに食べ物をねだる。フレデリックはこれから軍本部までは行動を共にするゲッターチームを招いていた。

 「大尉、ひょっとして汽車で移動するつもりだったのか?」青いジャガー号を駆る神隼人の質問にさも当然と頷くと

 「それなら僕達の機体のいずれかに同乗して下さい、明日出発しても今夜の汽車より早いですよ」黄色いベアー号に乗る橘光一の提案に娘達がパッと笑顔になる。

 「そうか、では明日は君達のお世話になるとしよう」フレデリックも決意を固めたところでハンナがバゲットを竜馬の口へ押し込んだ。

 「全く!日本人ってのは礼儀がなってないのかい?」

 「イヤ、こいつは日本の恥だ」隼人の嫌みにムキになる竜馬、最年少ながら常に二人の仲裁役を担わされる光一。これがゲッターチームの日常である、この3人を見て思わず吹き出すベス。するとマーチ一家揃って大笑いする、それは戦況下におかれた家族の束の間の安らぎだった。

 

 

 

 

 

 

 




次回、予定では父を欠いた一家の引っ越しをお届けします。
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