「アメリカ国内で爬虫人類が出没しなそうな場所?」昨夜遅く、フレデリックに問われた隼人はしばらく考えてこう言い放った。
「そんな場所はない、あったところで聞いてどうする?」冷たい口調だったがそれだけ真実味を帯びていた。
「このペンシルバニアは危険だ、私は家族をより安全な場所に避難させたい」
「連中のアジトは地下にあるし、空撃部隊も所有している。どこが安全なんぞヤツらの采配次第だ」竜馬も厳しい現実を吐き捨てる、八方塞がりになるフレデリック。
「それならいっその事さ…日本に引っ越せばいいんじゃない?」それまで黙っていた光一が口を開く。日本はゲッターロボが製作された国であり、同時に最初に恐竜帝国の襲撃を受けた国でもある。恐竜帝国からすればどこよりも危険視する相手だが、それ故に防衛意識も高い。
「確かに日本なら早乙女研究所もあるしな、あそこに住まわせてもらうといい」
「流石にあのジジイも嫌とは言うまい」
「じゃ僕、紹介状書きますね」
「そういう訳だからお前達は日本に行きなさい」次の日の朝、フレデリックは家族にそう告げるとベアー号の後部座席に同乗してゲッターチームとワシントンの軍本部へ向かった。
「さあ、みんな引っ越しの準備をしましょう。荷物は最低限にするのよ」母メアリーが娘達に指示する、とそこへ一通の手紙が郵便で配達された。
「まあ、マーサ叔母様からだわ。送り先の住所は…あら?日本になっているわ」手紙の送り主はフレデリックの叔母のマーサだった、ここにはこう記されていた。
『拝啓、フレデリックから先日マサチューセッツにある私の自宅宛に手紙が届きました。とはいっても私はそこには住んではおらず日本の東京へ避難しているの。
手紙は日本の現住所に転送されて私の元に届いたのでその中身を見せてもらいましたよ。それによると私の甥は戦争に赴いたようね、南部兵士相手ならまだしもあんな化け物共と闘うつもりかと思うと肝が冷えるわ。一体何を考えているのかしら?
それはさておき、手紙には貴女達をマサチューセッツに避難させたいとあったけど私は不在だし財産は全て日本に投資したから来てもらっても家もないわ。もし本当に困っているならその封筒にある日本の現住所を訪ねていらっしゃい 敬具』
「なんて偶然なのかしら!」手紙の内容を知ったジョオは思わず小躍りする。
「日本へ着いたらマーサ叔母様にご挨拶に伺いましょう」メアリー。
「日本ってどんな国なのかしら?私楽しみだわ」エイミーの発言を諌めるメグ。
「遊びに行くんじゃありません!貴女、今の状況を解っているの?」
「……ッ」ベスは自宅のリビングを名残惜しそうに見つめる、その理由は家族全員が理解していた。
「ピアノを置いていくのが辛いのね」ジョオの言葉に小さく頷くベス。
「戦争が終わるまでの辛抱よ」
「大丈夫よ、そんな遠い先じゃないわ」
「そうよ、何たって人間側にはゲッターロボがいるんだもの」
「そうですとも。あの人達がきっとトカゲ共を退治してくれますって」母、メグ、エイミー、ハンナが順にベスを励ます。
「そうね。私我慢する、だってこの国には私よりもっと辛い目に遭ってる人も大勢いるんだもの」ぐっと堪えて、努めて明るく振る舞うベス。
引っ越しの支度は順調に進む中、ペンシルバニアには少しずつ人が減っていった。みんな、親戚等のツテを頼って海を越えた諸外国に避難していったのだ。
「バーバラ。イタリアに行っても私の事忘れないでね」
「勿論よ。エイミーも日本で元気でね」この日旅立った親友に別れの挨拶をしたエイミー、マーチ一家も明日には引っ越しする手筈になっていた。
~再びエイミー視点~
引っ越しの日が近づいてきたある雨の日、珍しく外へ出かけていたベスがずぶ濡れになりながら何かを抱えて帰ってきた。その腕の中にいたのは一匹の仔猫、道端で弱っていたのをほっとけないからと連れてきたそうだ。
幸い仔猫は濡れた体を拭いてミルクをあげると元気になった、ベスは仔猫を飼いたいとお母様に頼んで許しをもらった。仔猫はミルキー・アンと名付けられ一緒に日本へ行く事に決まった、ただハンナは猫が大の苦手なのよね。上手く暮らしていけるかしら?
私達は海路で日本へ引っ越す為、まずは港町のミードビルへでなければならないけどそれだけで馬車で数日かかる遠い道のりになる。あ~あ、ゲッターロボに乗れたらなぁ。あれならミードビルどころか日本まであっという間にたどり着くっていうし、何て考えてたらジョオが睨んできた。
「言っとくけどアンタはゲッターロボに乗せてもらえないわよ」見透かされてた事でむくれる私に
「あれは化け物共と闘う為に造られたのよ!アンタに楽させるモノじゃないの!」フンだ!ジョオってば知った風な口の利き方しちゃって。どうせ私は楽する事しか考えてませんよーだ!
~視点なし~
マーチ一家が漸くミードビルに到着して、船に乗ろうとしていたら船着き場で船長が誰かと話しているのを目にした。
「では日本までこの船を護衛する」船の脇にはジャガー号が並んでいる。
「隼人さん?」メアリーが目を丸くする。
「えっまさか?ワシントンに向かってから一週間も経ってないわよ」
「ゲットマシン、ゲッターを構成するそれぞれの機体だがこれなら一時間で1200キロ上空を飛ばせる」マーチ一家に気づいた隼人が彼女らに近づいて説明する、その情報に唖然とする一家。
(私ゲッターロボに乗れなくてよかったかも…)数日前に馬車で巡らした甘い考えを改めるエイミーだった。
この世界のアメリカには未だ自動車もないのでマーチ一家がゲットマシンの性能に驚いたのも無理もないです。
次回は…すいません、まだ未定です。
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