本来なら短編であげたかったのですが、長くなってきたので分割してたら「いっそシリーズ化しよう!」となりました。
(と言っても見切り発進なので、今書いてるものとそれ以降に考えてる話を書いた後は、どうなるか未定です)
元々はプラモデルやフィギュアをメインに販売しているおもちゃ屋であるが、現在ではロボット技術や人工知能の最先端の技術を取り入れたFAガールの製造と販売をしている企業だ。
ではそのFAガールとは何か?
フレームアームズ・ガール――それは特殊なナノマシンや
それはさておき。現在では成長型ASを搭載し、涙らしき物質までをも生成した試作機の轟雷を始め、FAガールの開発は更なる段階へと進んでいた。
そしてここは、そんなFAガール達の研究や開発をしている研究室の一角。
ベッド型にしていたFAガール専用の充電ユニット、通称“充電くん”から起き上がる一体――いや、人間と同じ感情、心を持つ彼女達は一人と呼ぶべきか――のFAガール。
「ん、んーっ!」
彼女は体を大きく伸ばした後、充電くんから降りて窓の方へと歩いていく。
窓に近付くにつれて、影から出た彼女の素体を
「うん、今日もいい天気ね」
光を見上げる彼女の青い瞳と、腰辺りまである、後ろに束ねた金色のツインテールが輝く。一見スクール水着に見える白いボディスーツには、青いラインが描かれている。
彼女の名はフレズヴェルク=アーテル。フレズヴェルクを基に近接戦闘用カスタムを施したFAガールで、フレズヴェルクの妹のような存在だ。
そんな彼女――アーテルは、まだ研究室どころかFA社の始業時間より前に起床して、一人でのんびりするのが一日の始まりとなっている。
「いつもこんな感じで静かなら良いんだけど……」
そう呟いて振り返った彼女の視線の先には、自分のとは別の充電くんの上で未だにスヤスヤと眠る二人のFAガールがいた。
「……二人が起きるまで、装備の手入れでもしてよっかな」
この静かな間に、ゆっくりと装備品のメンテナンスをするのが良いだろうと、この後の事を考えて、彼女は自分の装甲と武器が収納されているケースを開くのだった。
メンテナンスを始めてからしばらくして、眠っていたFAガールの一人が起きてきた。スカイブルーの短髪に紺色のボディスーツと、カラーリングなどの細部は違うものの、その容姿はアーテルと似ている。
「ふぁぁ~~~……おはよ~アーテル~」
「おはよう姉さん」
「あ、アーテルー、ついでにボクのもメンテしといてよー」
彼女は装甲パーツを磨いているアーテルを見るや否や、自分の装備も一緒にやってもらおうとする。
しかしアーテルはそんな姉に苦い顔をして答える。
「自分でやってよ。私達の装備品ってただでさえ多いんだから」
「えー、いいじゃんかー」
「じゃあもし不具合があっても文句言わないでね?」
引き下がらないフレズに対して、アーテルは笑顔を見せ、そう言い放つ。
「うっ、それは困るなぁー……」
これには流石の彼女も諦めるしかなかった。
「分かればよろしい」
そう言ったアーテルは、再び自身の装甲パーツを磨き始める。
「ちぇー」
アーテルとフレズのやり取りから、またしばらく経ち、
「うー……んっ!」
充電くんの上で伸びをする彼女もまた、二人に似た容姿をしていた。だが二人と違ってその肌は褐色であり、赤いボディスーツにはアーテルと違った金の文様が描かれている。
彼女はフレズヴェルク=ルフス。フレズヴェルクの射撃能力を向上させたFAガールであり、アーテルと同じくフレズの妹として生まれた。
「やっと起きたのね、ルフス」
「あ、おっはよーアーテ
「おはよールフス!」
――これで一段と騒がしくなるわね。
いえーい!とハイタッチを交わす
彼女もまた、この賑やかな姉妹と共に過ごす時間を気に入っていた。
「あ!アーテねーぇ、アタシの装備もお願いしていーぃ?」
「……アンタも自分でやりなさい」
「ええーっ!」
二人揃って装備品のメンテナンスを自分でしない事に関しては、姉妹としてもFAガールとしてもアーテルは頭を抱えるしかなかったが……。
× × ×
「はい皆さん、おはようございます」
アーテルが自分の装備品のメンテナンスを終えた頃、FA社も業務を開始し、他の研究室にも様々なスタッフが出社し始めている。
そしてフレズヴェルク三姉妹の前にも、彼女たちを担当しているチーム――通称フレズ班のスタッフの一人がいた。
「あれ、大塚はー?」
周りを見渡したフレズは、そのスタッフに問いかける。
大塚
何故ならば――
「あー……それが、他の班から借りたコンプレッサーをまた壊したらしくてね……それで今は絞られてる所……」
と、彼女がいない理由を説明をしたスタッフは溜め息を漏らす。
「なーんだ、いつものかぁー」
「……」
「あっははは!」
これを聞いた三姉妹はそれぞれの反応を見せる。
――ホント、大塚が
彼女が何かしらの問題を起こす度に、アーテルは呆れる他なかった。それに巻き込まれるスタッフ――特に轟雷・迅雷班の戸田 加奈子――もさぞ大変な事だろうと同情する。
そしてこのフレズ班には、三姉妹の前にいる彼女とここにいない大塚の他に、もう一人別の担当スタッフがいる。
「……それで、私達は何をするの?」
「今日は石塚先輩から、バトルロイヤル形式でのデータを取っておいてって言われてるの」
石塚
そんな彼女も、今は別の作業で研究室にまだ顔を見せていない。
「よっしゃー!バトルだー!」
バトルが出来ると聞いて、フレズのテンションが上がる。その長女の前に、三女ルフスが立った。
「アタシは今日こそ、フレ姉に勝つ!」
「ふふん!何度やったって、長女であるこのボクには勝てないよ!」
フレズとルフスはこれまでも、何度かデータ収集の為にバトルをしている。その結果は二人が言った通りフレズが全勝。ルフスはそんな最強の長女をいつか超えるのだと、バトルを挑み続けている。
以前フレズは、自身に戦いを挑む妹達を前にある事を言っていた。
『このボクにギリギリまでダメージを与えた轟雷以外を、勝たせるつもりは全然ないッ!例え相手が、ボクの妹であろうともッ!!』
この時の相手だったアーテルは、フレズが持つベリルショット・ランチャーの射撃を
あのバトル以来、フレズは妹達に本気を見せていない。バトル自体は好きだから全力を出す時もある。だがアーテルとのバトルで見せた、強い意志が込められた戦いをしていなかった。
――私だって姉さんに勝ちたい。でもただ勝つだけじゃなくて、“本気”の姉さんに勝ちたいのよ……。
最強を名乗るフレズヴェルクの妹。表には中々出さないが、アーテルもまた、長女とのバトルには特別な思いがあった。
起動したセッションベースから光が広がる。
「三人で同時にバトルって初めてだから、すっごく楽しみだな!」
「バトルロイヤル、ね……」
「フレ姉もアーテ姉もまとめて倒して、アタシがナンバーワンになるんだからっ!!」
姉妹それぞれの準備も整ったようだ。
「「「FAガール、セッション!!!」」」
「いっくぞー!」
「やるわ!」
「負けないもんねっ!」
三人それぞれは気合を入れ、バトルステージへと転送されて行った。