フレズヴェルク三姉妹   作:まさ(GPB)

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昨年に続き轟雷の誕生日にFA:G作品ですが、今回もその誕生日と関係ありません。(というか轟雷も出ません)


バトルロイヤル?

FAガールは素体がバトルステージに転送されると同時に、専用の装甲と武器が自動的に装備される。

当然だが、三姉妹は同じ規格である為、装甲自体に大きな違いはない。精々、妹二人に専用武装の保持を補助するパーツと、ルフスが背面にも武装用マウントラッチを備えている関係で一部が違う程度だ。

しかしアーテルとルフスは武装が特化型であり、特に近接戦闘型のアーテルにとってこのバトルロイヤルは不利だった。

――私達の基になった姉さんはバランスが優れてる。そして四挺のベリルショット・ライフルを持つルフスは、射撃戦においては姉さんよりも優位に立てる……。私にも一応射撃兵装はあるけど、やっぱり二人を同時に相手するには分が悪い……となると。

装甲パーツなどを装備している間に、アーテルは策を巡らせる。

「……この手しかないわね」

バトルステージに出ると同時に、アーテルは姉妹の共通兵装として装備されているキャノン砲でフレズを攻撃しながら、ルフスに――

「ねぇルフス!私と一緒に、姉さんと戦わない?」

と共闘を持ち掛けた。

 

「へっ……?」

「アーテル!?」

共闘を持ち掛けられた当のルフスは惚け、フレズは自身に放たれた射撃を飛んで回避しつつ、アーテルの提案を聞いて驚愕する。

アーテルは攻撃の手を止める事なく続けた。

「ルフスは姉さんに勝ちたいんでしょ?私もね、本気になった姉さんと戦って勝ちたいのよ」

アーテルが口にした本気の姉という言葉に、ルフスの心が()かれた。

最強の姉フレズが、アーテルとの戦いで一度だけ見せた本気。ルフスはそれを、バトルステージの外からただ見ているだけだった。

――アタシもあのフレ姉と戦いたい!

あの時の姉二人の戦いをルフスは忘れられず、心の奥底でそんな思いが(くすぶ)り続けていた。その夢にまで見た本気のフレズと戦えるかもしれない機会が今、目の前に転がり込んで来たのだ。

「本気になったフレ姉と戦える……」

ルフスの心が揺らいでいるのを感じたアーテルは、もう一押しにと声を張り上げる。

「こんなチャンス、二度目があるか分かんないわよ!」

「……うんっ、分かった!フレ姉、悪く思わないでよっ!」

心を決めたルフスは、両手に持つベリルショット・ライフルをフレズに向け、次々と射撃を始めた。

「嘘だろーっ!?」

 

必死に妹達からの射撃を回避していくフレズ。遂にはスラスターの出力を全開にして、アーテルとルフスから距離を取ろうとする。

だが二人がそれを許すはずもなく、逃げるフレズの後を追っていく。

「これじゃあバトルロイヤルのデータ収集出来ないじゃん!!」

「姉さんを倒した後で、私とルフスが戦えば問題ないでしょ?それに手を組んじゃダメ、なんて言われてないもの!」

そう言いながら不敵な笑みを浮かべるアーテル。射撃をルフスに任せ、自身はキャノン砲から専用武器である二本のベリルスマッシャーに持ち替えて斬りかかる。

「はぁぁぁッ!」

ベリルスマッシャーの形態は一番その威力が発揮されるアックスモード。

「このーっ!」

フレズは身体を(ひるがえ)して右手のベリルショット・ランチャーで受け止め、左手に持つランチャーをルフスに向けて反撃していく。

しかし狙いを定める為に一瞬だが、ルフスを見たのが(あだ)になった。

「姉さん」

「え――」

アーテルに呼ばれたフレズは突如として、後ろから衝撃を受ける。墜落する彼女が見た物は、先ほどと形状が違う、アーテルの左手にあるベリルスマッシャーだった。

 

ベリルスマッシャーは三つのモードへの変形機構を有している。

単純な威力重視のアックスモード、近接戦において有利な間合いで戦えるグレイヴモード、そして死角や防御面の外から攻撃出来るサイズモードだ。

始めに二本ともアックスモードで攻撃したアーテルは、フレズが防御して視線を外した一瞬の隙を突き、左手のベリルスマッシャーをサイズモードに変形させると、フレズの死角である背後を攻撃したのだった。

「いっ……たいなーっ!」

地面に叩きつけられたフレズだったが、悪態を付くだけですぐに立ち上がる。

「流石にあれだけじゃ大した事はないみたいね。ルフス!続けて行くわよ!!」

「うんっ!!!」

「もう怒ったからな!そんなに言うならまとめて相手してやる!!」

ルフスの援護射撃を受けて再びアーテルが、今度はベリルスマッシャーをグレイヴモードにして突っ込んでくる。

「甘い!」

フレズは、ルフスのベリルショット・ライフルから発射されたエネルギー弾を、アーテルに向けて弾き飛ばす。これに対処する為に足を止めたアーテルと、エネルギー弾を弾かれた事に驚くルフスを、同時にフレズのベリルショット・ランチャーによる一撃が襲った。

「くっ……!」

「フレ姉いたーい!」

しかし流石はフレズの妹達と言うべきか。長女と同様に、二人とも大きなダメージにはなっていないようだ。

 

フレズ達の装甲や武器の各部にはクリアパーツが用いられている。

これらはTクリスタルシールドというエネルギーを発生させるTCSオシレーター。ベリルユニットとも呼ばれる装備だ。

このTCSオシレーターによる防御力は高く、本来なら装甲の薄い空戦型FAガールでありながらも、相手からの攻撃を少しのダメージで抑える事が出来る。

因みに、TCSが発生させるエネルギーは攻撃にも使用する事が可能で、ランチャーやライフルから発射されるエネルギー弾はこれを転用した物だ。

「幾ら私達の基本装備が同じだからって、ルフスの攻撃を……」

「もー!なんでフレ姉そんな事まで出来るのー!?」

「へっへーん!これが経験の差ってやつだ!」

得意気に胸を張るフレズ。

「今度はこっちから行くからな!覚悟しろよ!!」

 

× × ×

 

「はぁ~、やっと解放されたぁ~!」

フレズ班が使っているバトル用の研究室に、白衣を着た女性が入ってくる。

「あ、大塚先輩」

「お疲れ新人ちゃ~ん」

「その新人ちゃんって言うの、そろそろやめてくださいよ……」

「そんな事より、フレズヴェルク達はもう始めてる?」

大塚は後輩スタッフを気にする事なく、フレズ達のバトルに目を移す。

そんな大塚(先輩)に、彼女(後輩)はため息を漏らしながらも、同じくフレズ達の現状を見る。

「あれ?今日ってバトルロイヤルのデータ取りの予定だったよね?」

アーテルとルフスが互いにフォローし合っているのを見た大塚は、状況が一対二である事に気付いた。

「それが、アーテルの方がルフスを共闘を提案しまして……」

「それでこうなった訳ねぇ~」

しかし三姉妹のバトルを見ていた大塚は、トレードマークとも言える、ニヤついた表情を浮かべる。

「だけど、例えどんな状況であっても、フレズヴェルクの勝利は揺るがないんじゃないかな~?」

「一対二でも、ですか……?」

「まぁ見てなよ!」

大塚の言葉に、後輩スタッフも固唾を飲んでフレズ達のバトルに目を向けた。

 

丁度その頃、ルフスのベリルショット・ライフルから放たれた一撃が、フレズが右手に持っていたベリルショット・ランチャーを撃ち落とす。

『もらったわ!』

その隙をアーテルは逃さず、攻撃を受け止める武器を失ったフレズの右側から、アックスモードにしたベリルスマッシャーで斬りかかる。

だが――

『――ベリルスマッシャーッ!!』

遂に、アーテルとルフスが戦いたいと望んだ“本気のフレズヴェルク”が動き出す。




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