ニセコイ〜小野寺に恋する少年〜   作:冬の桜餅

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林間合宿編のラストです。みんなと温泉に肝試し!
それではどうぞ。




9.林間合宿その2

 

夕食を終えると、入浴の時間となり男子全員で男子湯へと向かうが途中で楽が電話が来たとかで抜けていった。

脱衣所で服を脱ぎ捨て体を洗う。

 

「女湯とは壁一枚で隔てただけか…おいおい大丈夫か?あんなちゃちな防衛策でよ。男子のアホさと執念深さ舐めてるだろ?」

 

隣で同じく体を洗っているツカサにそう話しかける。

 

「そうか?覗きたいって思っても実際覗こうなんて奴早々いないだろ、優人(お前)じゃあるまいし」

 

「何でそこで俺の名前が出てくるんだ?俺だって覗かねぇっての」

 

「でも覗きたいと思っことは…?」

 

「ある……って汚くね?誘導尋問だろそれ、お前だって思ったことくらいあるだろうが!」

 

「あんな所で何やってんだ集たちは?」

 

「露骨に話変えやがったよ…」

 

そうは言いつつツカサが見ている方を見る。そこには女湯と男湯を隔てる壁のそばに集まっている集と他の男子達がいた。本当に何やってんだあいつら?…まさか覗きじゃねぇだろうな?

とりあえず集の元まで行ってみると集が例のニヤニヤ顔で話しかけて来た。

 

「お?二人もやっぱり興味ある?この壁の向こうに俺たち男子の夢の花園があるんだぜ〜!」

 

「だからって集団で覗きか?やめといた方がいいんじゃない?」

 

「まあ聞けって、残念ながら覗けるような穴も場所も無かったんだよ。しか〜し、もうちょっとこっちに寄ってみろよ。」

 

そう言って集が手招きをする。仕方がないのでそっちに寄ると壁の向こう側から女子の何やら楽しそうな会話が聞こえて来た。

 

「な?見ることは出来なくても、聞くことは出来るんだよ‼︎これはこれで想像が膨らむだろう‼︎」

 

より変態感が増したように聞こえるのは俺だけだろうか?いや、妄想は個人の自由だし、聞くだけならまだいいかもしれないけども…何かダメな気がするぞ?絵面的にアウトというか…

どの道宮本や鶫辺りにバレたら殺されるのは間違いないので結局俺はその場所から離れ湯船に浸かることにした。

既にツカサも湯船に浸かっていたが他の男子は絶賛盗聴中である。うーん、ホント男って馬鹿だなぁ…

 

「今日一日、小野寺と同じ班だったわけだけど、何か進展はあったわけ?」

 

折り畳んだタオルを頭に乗せてツカサが聞いてきた。

 

「あー…いや、これと言って特には無いな。一緒に料理作ったり、トランプしたりはしたけど」

 

「…となると後は肝試しくらいか、小野寺とより親密になれるとしたら」

 

「肝試し?…そんなイベントあったっけか?」

 

「山から帰って来たら毎年恒例の肝試しをやるんだとよ。何でも男女の2人1組で、周るときは手も繋ぐとか。」

 

「マジか!?小野寺と手ぇ繋いで歩けんのか?」

 

「小野寺とペアになれたらな」

 

それは何としてもペアになりたいものだな…肝試しなんて正しくカップルのするイベントみたいじゃないか。…まだカップルじゃないけど。

 

「それにしても、楽の奴まだ来ないのか?…もしかして間違えて女湯に入ってるんじゃねーの?」

 

「まさか…そんなに馬鹿じゃねーだろ?優人(お前)じゃあるまいし」

 

「だからお前俺のこと何だと思って…おわぁっ‼︎」

 

突如湯船から誰かが飛び出して来た。海坊主か?…いや、場所的には風呂坊主が正しいのか?そんな奴聞いたことねーけど!

 

「……って楽じゃねーか!何してんだ?お前?」

 

湯船から突如現れたのは海坊主でも風呂坊主でもなくヤクザ坊主だった模様。

その後楽に何度も突然湯船から出て来た理由を聞いたが潜水してたの一点張りだった。…こいつマジで女湯に入ってたんじゃねーだろうな?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして肝試し当日、旅館の外でキョーコ先生がメガホン片手に生徒達に声を上げる。

 

「よぉーし全員ちゅうもーく。これより恒例の肝試し大会を開始するぅ〜〜準備はいいか野郎共〜‼︎」

 

野郎共「おおーーーーーーーーー‼︎‼︎」

 

キョーコ先生の呼びかけに応じるように野太い声が響き渡る。昨日今日の疲労を露ほどにも感じさせないレベルである。キョーコ先生は盛り上げるだけ盛り上げると他の先生方の方へ戻りそのまま晩酌を始めた。教師は教師で楽しむらしい。

そして運命のくじ引きタイムだ。先に女子がくじを引き、その後男子が引き男女で同じ番号を引いた人同士でペアを作るのだ。

 

「そうかー小咲は12番なんだー12番なんだー!」

 

「ちょっとるりちゃん!?」

 

いよいよ男子のくじ引きタイムという時に宮本が明らかに大きな声で小野寺の番号をバラした。真意は不明だがお得な情報をゲットである。これで俺が12番を引けば…

 

自分の知りうる全ての神様や仏様に心の中で祈願し、意を決して箱からくじを取り出す。取り出した紙を開いてみるとその数字は…

 

12

 

いっっっよぉぉぉっしゃああああああ‼︎‼︎今日の俺は最高にツいてる‼︎小野寺とペアだ‼︎キャッホーーイ!

 

「おいおい、どうした優人ー?見るからに嬉しそうだな」

 

俺の変化に集が気付いて寄って来た。そりゃあ嬉しいですとも、フラグでなければ「もう何も怖くない」と言いたいくらいなのだから。俺は集にくじの番号を見せつけた。

 

「おおっ!?やったじゃんか!念願の小野寺とペアだな。楽しんで来いよ〜」

 

集はそう言うとケラケラ笑って俺の肩をバンバン叩いた。言われなくても楽しむとも!俺は小野寺の元へ向かった。

 

「あ、立川君。…もしかして立川君が12番の人?」

 

「正解!つーわけでよろしくな、小野寺」

 

こうして俺と小野寺とでの肝試しが始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

たかが高校生の行う肝試しといえど、深夜の森の中を歩くというのはそれだけでかなり雰囲気の出るもので結構怖いものである。隣にいる小野寺も小さく震えていて怖がってる様子が見て取れた。因みに俺の方はというと…

 

うわーっ、小野寺の手ぇ柔けー!…つーか手汗とか大丈夫か?小野寺に気持ち悪いとか思われてねーかな?そして本当に手ぇ柔らか‼︎

 

これである。いやー男って辛いね、好きな女の子と手を繋いでると幸せな思いと別に邪な思いも溢れ出るんだから。もう恐怖なんかとは別の意味でドキドキである。あーイカンイカン。

 

「大丈夫か、小野寺?やっぱ怖いか?」

 

煩悩を何とか振り払い小野寺に声をかける。偶には男らしい所も見せないとね。

 

「だ、大丈夫だよ、ちょっと不気味だけど。それに立川君もいてくれるし。」

 

小野寺のその最後の言葉に再び喜びと幸せで倒れそうになる。ヤバい、幸せ過ぎて死ぬ。

 

「あ、ああ!安心しろよ小野寺!何が出ても俺が守ってやるからな‼︎」

 

胸を張ってそう答える。その直ぐ後、ドドドドドドドドドドドドッ‼︎

後ろから何かが迫ってくるような音がして来た。

 

「小野寺っ‼︎危ねぇっ‼︎」

 

咄嗟に小野寺の繋いでいた手を引き自分の方へと抱き寄せた。すると丁度小野寺が立っていた辺りを楽が凄い勢いで走り抜けて行った。

 

「猪か何かと思ったら楽かよ…あんなに急いでどうしたんだ?」

 

しかも一人で突っ走るとは…何か事件の匂いがしますな…

 

「た、立川君…あの…その…/////」

 

「うん?」

 

小野寺の声ではっと我に返って気付いた。今自分は小野寺と楽の衝突を避ける為に小野寺をこちらに抱き寄せたこと、そして今もなおその状態で謂わば小野寺を抱きしめてるような状態であること。

 

「わ、悪ぃ小野寺!咄嗟のことでつい…/////」

 

「ううん‼︎///…だ、大丈夫だから!その…こっちこそありがとう////危うくぶつかる所だったよ//」

 

いや…寧ろこっちがありがとうございます。…柔らかかったなぁ……胸の話じゃないからな!違うからな‼︎

その後は何となく気不味いというか、ギクシャクした感じで肝試しは終わってしまった。誠に遺憾である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

肝試し最後のペアが帰って来て、ついに肝試しは終了した。俺たちが帰って来た後に知ったのだが楽の全力疾走の理由はお化け役の生徒のヘルプに入り行方不明になりかけていた桐崎さんを見つけるためだったらしい。お前は少年漫画の主人公か。

 

「どーだった?小野寺との肝試し?」

 

肝試しが終わり解散した後、集が聞いて来た。うわぁ、めっちゃニヤニヤしてるよこいつ…

 

「スッゲー楽しかったよ。またやりたいくらい」

 

「そうかそうか♪…で?何か行動起こさなかったのかよ?腕組んだりとか、わざと転んで見たりとか?」

 

「何もねーよ、あっても絶対お前にだけは教えねー」

 

一瞬小野寺を抱き寄せた時のことが頭を過ぎる。…あれは事故だから、偶発的な事故。集を振り払い宿へと戻る。

そんなこんなで長いようで短かった、ドキドキワクワクの林間合宿がついに終了した。

 




読んでいただきありがとうございました!
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