少しでも読んでくれる方がいるのなら続けていきたいと思っています。
それではどうぞ!
桐崎さんの誕生日パーティーはそれはもう盛大なものであちらこちらで笑い声が聞こえとても賑やかだった。プレゼントを渡し終えた俺は小野寺に声をかけた。
「小野寺、ちょっといいか?」
「?…別にいいけどどうしたの?」
小野寺は頭の上に?を浮かべてそうな表情でそう答える。
「いや、この場ではちょっと…場所移そうか?」
そう言って会場の中心から離れバルコニーへ。空はすっかり暗くなっており冷たい夜風が頬を流れていく。
「ええっと…それで、どうしたのかな?」
「いや、実はその…渡したいものがあってよ…」
「渡したいもの?」
ーーーーーー数時間前ーーーーーー
「あ?小野寺にもプレゼントを渡したいだ?」
桐崎さんのプレゼントを選び終えた後、俺が言った言葉を聞いてツカサはそう聞き返した。
「はーん…お前、遂に物で釣る作戦に入ったわけ?いくら何でもそれは…」
「お前って嫌味な言い回しさせたらホント天才的だよな、シバき倒すよ?」
ツカサは冗談だと言いつつ鼻で笑う。本当にいい性格してんなこいつ…
「単純に日頃の感謝を伝えたいんだよ、それに林間合宿じゃあちょっと迷惑もかけちまったしそのお詫びも込めてさ。」
肝試しでうっかり小野寺を抱きしめてしまったのは未だに記憶に新しい、事故といえどセクハラ紛いなことをしたケジメはしなくては。
「……まあ、いいんじゃない?友達からのプレゼントなら嫌ってことは無いだろうし…ただあくまで今回のパーティのメインは桐崎だからな、渡すんなら裏でこっそり渡しとけよ?」
ツカサからそう忠告され、俺はわかってるよと答えた。
「…で、何渡そうかな……俺の苗字とか?」
「うわっ、いらね。好きな人にゴミ渡すなよ…」
「人の苗字ゴミ呼ばわりしないでくれる?」
無難に花にでもしろよとツカサに言われ、他に妙案も無かったので結局俺はお花屋さんで小野寺へのプレゼントを買ったのだった。
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そして現在に至る。
分かったているつもりだったけどいざ渡すとなると凄い緊張するもんだね。桐崎さんの時はそんなに緊張しなかったんだけどなぁ…
「立川君?…なんか汗凄いけど大丈夫?」
どうやら俺の緊張は表面に現れていたらしい。急いで額の汗を手で拭う、じわりと手に汗の感触が伝わる。
「いや、ちょっとパーティの熱にあてられただけさ。そんなことより…コレ、受け取ってくれ」
俺は隠しておいたプレゼントを取り出すと小野寺に手渡した。
「わっ…可愛い!それに綺麗なお花…これなんていうお花なの?」
「胡蝶蘭っていうらしい」
俺が選んだのは胡蝶蘭という花だ。桃色の綺麗な花が縦に連なるように咲いていてそれが二輪、小鉢に植えられているものを選んだ。それを店員さんに頼んで可愛らしくラッピングして貰ったのだ。
「ありがとう、立川君。….でもどうして急に?」
小鉢を落とさないようにしっかりと持ったまま、小野寺がそう尋ねる。
「いやぁ、林間合宿の肝試しで迷惑かけたからそのお詫びだ」
「あっ//…そ、そーいえばそんなこともあったね///」
その時のことを思い出したのか、小野寺は顔を赤らめた。いや、マジですいません。でもまだ言いたいことがあるんだよね。
「それに…日頃の感謝も伝えたくてさ。」
「え?」
小野寺が少し驚いたような顔でこちらを見上げる。いや、そんな真っ直ぐな瞳で見られると逆に喋りづらいんですけども!?
「小野寺にはいつも感謝してもしきれないからな…。授業中寝ちまった時に起こしてくれたり、ノート写させてもらったり、宿題見せて貰ったり…」
あれ?俺ってば迷惑しかかけてなくね?自分で言ってて情けなくなってきたんですけど…
「まあ、その、色々として貰ってばっかりなワケだが本当にありがとうな。…そんでもってこれからもヨロシクってことで」
そこまで言って顔を思いっきり横に逸らす。これ以上は照れて小野寺の顔が見れないからである。しかし、小野寺の反応は気になるので横目でバレないようにそ〜っと様子を伺う。
小野寺は小鉢を暫く見つめてもう一度こちらを見上げた。そして
「クスッ…もう、別に気にしないで良いのに。友達なら当たり前でしょう」
微笑みながらそう言った。ま、眩しい‼︎何カラットだこの微笑み!?
「そ、そうだな…"友達"だもんな、俺達…」
その言葉に少しばかり苦しさというかチクリとした痛みを覚える。その痛みを忘れるように俺は両手を勢いよく合わせてパンッと渇いた音を出すと
「よし、それじゃあ皆の所に戻ろうか?」
そう小野寺に言うのだった。
会場に戻るともうそろそろお開きになる頃だった。それぞれ帰る支度を整えて各々の帰路に着く。全員最初は一緒に帰っていたが、途中で俺とツカサ、楽と集、小野寺と宮本で別れ帰ることになった。
ーーーー宮本sideーーーー
「小咲、それ何?」
隣を歩く親友の鞄にあった小鉢が目にとまり思わずそう尋ねる。
小咲は少し驚くと鞄からその小鉢を取り出して私に答えた。
「このお花のこと?これ、実は立川君がくれたんだ。日頃のお礼だって」
確かに小咲の取り出した小鉢には可愛らしく二輪の花が咲いていた。
「そのピンク色の胡蝶蘭が?…日頃のお礼ですって?小咲、それ本当でしょうね?」
少し眉を寄せてそう聞き返す。立川君は小野寺に好意を寄せてるくらい見てれば分かる。
「そ、そうだよ…てゆーか、るりちゃんよく見ただけでお花の名前わかったね。」
対して小咲は困惑したような顔で答える。
「…因みに小咲、ピンクの胡蝶蘭の花言葉知ってる?」
「ええっ!?いきなりどうしたの?……えーっと…ごめん、ちょっと分からない…です」
小咲が申し訳なさそうに答える。まあ私としては別に知らなくても構わないんだけどね。
「あ、でも偶に家のお店に送ってくれる人はいるよ!その時は白色のだったけど、だからお祝いとか感謝みたいな意味かなーなんて…」
突然思い出したかのように言う小咲に思わず溜息が漏れた。
「ど、どうしたのるりちゃん?」
「小咲…貴方そういう所よ…」
「ええっ!?何の話〜!?」
彼が知ってて渡したなんてあり得ないと思うけど、もし知ってて渡したのなら今回ばかりは同情するわ立川君…。
まあ、私としてはさっさと小咲には一条君とくっつけばいいと思っているのだけどね。今後はもうちょっと大目に見てあげようかしら。
ーーーー宮本side.endーーーー
「え、お前胡蝶蘭の花言葉知らないで渡したの?」
俺の隣でツカサが頓狂な声を出した。
「いや、野郎の知ってる花言葉なんて精々薔薇とかチューリップ位だろ?胡蝶蘭なんてマイナーな花言葉知ってるわけねぇーだろ?」
俺がそう答えるとツカサは呆れたような顔をする。
「胡蝶蘭は贈り物としては割とメジャーな方だと思うがね…つーか知らないにしても渡すとなったならちょっとくらい調べるだろ?」
わざとらしく肩を落としてそう言うツカサ。いや、調べようとは思ったんだけどね?ちょっと後回しにしただけだから?
「じゃあ逆に聞くけどお前は知ってんのかよ?胡蝶蘭の花言葉、そこまで言うならよー?」
「知ってるけど?」
平然と一言で返された。
知ってんのかよ…何その当然だろみたいな顔?俺がおかしいのか?
「昔妹に死ぬほど花の図鑑を読まされたからなぁ…嫌でも覚えられたわ」
ツカサは少し遠くを見つめながらそう説明する。ああ、そういうコト…。
「なら教えてくれよ、どういう花言葉なんだよ?」
俺がそう尋ねるとツカサは暫く無言で俺を見つめると、
「その前に聞きたいんだが、何であの花を選んだんだ?」
物凄い今更な事を聞いてきた。つーか質問を質問で返すなよ!そう言い返したいのを堪えて質問に答えることにした。
「何でって…あの花を見た時にビビッと来たんだよ。直感的にというか本能的にというか…。俺の小野寺に対する気持ちを表すにはこれしかない!って感じがしたんだよ。」
本当にただそれだけの理由だった。深い理由は無いが他の花よりこれが一番良いと感じたからに過ぎなかったのだ。
「小野寺に対する気持ちね…」
ツカサがそう言い返す。どこか納得してるように聞こえるのは気のせいだろうか?
「で?結局どういう意味なんだよ胡蝶蘭の花言葉?」
勝手に納得されてもこっちはモヤモヤしっぱなしである。
「………いや、もういいや。話すの面倒くせーし」
そう言ってツカサは少し歩みを速める。
「ハアッ!?なんだよそれ!そっちだけ解決とか納得いかねーぞコラ!」
そう言いつつツカサを追いかける。
「言ってもすぐ忘れるだろーがトリ頭ァ」
「だーれがトリ頭だ!俺は必要な情報とそうじゃない情報との取捨選択がだな…」
俺とツカサの不毛な言い争いは結局お互い帰路が別れるまで続いた。
胡蝶蘭…「幸福が飛んでくる」
ピンク色の胡蝶蘭…「貴方を愛してます」