「勉強会?」
現在の時刻は正午過ぎ。楽と集、そしてツカサとの四人で昼飯を食べていると楽が突然勉強会に来ないかと言ってきた。
「そう、実は今朝いきなり宮本から俺の家で勉強会開きたいって言われてよ」
「それはまた急な話だな…つーか率直な疑問なんだが何で?」
「俺も分からん」
宮本って確か勉強出来る方だったと思うんだがなあ、何か別の目的があるのかな?
「…で結局、お前らどうする?」
楽がそう俺たちに聞いてくる。
「俺は行くぜ、何だか面白そうだしな〜」
集が笑いながらそう答える、既に楽しそうなんですがそれは…
「俺はパス。悪いが今日はちょっと忙しいんだ」
そう断ったのはツカサ。
「俺はどうしようかな〜…」
行ってもいいけど、ちょっと面倒な気もする。別に一人でも勉強は出来るしなぁ…そんな風に悩んでいると集がこっそりと耳打ちして来た。
「小野寺も来るぞ☆…」
「行くわ、超行く」
聞くや否やそう即答した。やっぱ勉強はみんなで頑張るもんだよね!
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「お待ちしてやしたぜ坊ちゃあ〜ん‼︎今日は勉強会ですってね〜‼︎」
学校も終わり俺たちはそのまま楽の家にやって来た。玄関を開くと中で顔面凶器のおっさん達が歓迎してくれた。ここだけVシネマの世界みたいだな…最もここにいるのはノンフィクションのリアルヤクザの皆様なのだが。
俺たちはそのまま楽に連れられて楽の部屋に招待された。
「スッゲー広いな、本当にお前の部屋なのかここ?」
そう思わず聞いてしまった。俺なら旅館の団体部屋って言われても信じるぞ
「まあ、一応な」
さらっと答える楽。ちょっとムカつく、これだからボンボンは…
俺の勝手なイラつきはともかく、勉強会は始まった。最初はそれぞれ自分の問題に取り組んでいたのだが、暫く経つと…
「…ねぇ、るりちゃんここ解ける?」
「んー?」
小野寺が問題に行き詰まったのか宮本に質問していた。
「……ねぇ一条君。ここ小咲に教えてあげて欲しいんだけど」
「「!!?」」
何故そうなった。ほら見ろ楽も小野寺もビックリしてんじゃねえーか。まあ俺もビックリだけどね!小野寺に勉強教えるとか何そのドキドキイベント、楽そこちょっと代わりなさい、いい子だから。
「別に楽に聞かないでも…成績でいえば俺の方が上だぜ?俺でよけりゃ教えてやるけど」
「…そう、じゃあ立川君には私が教えて貰うから小咲は一条君に教えて貰って。構わないわよね、立川君?」
「お、おう…別に構わないけど、何処が分からないんだ?」
宮本さん、何か露骨に俺のことブロックしてません?前から小野寺のセコムポジションぽいなと思っていたけど、ついに俺もその対象に入っちゃったの?
「そうね…じゃあこの問題を教えて貰おうかしら」
「どれどれ……あーこれはだな…」
宮本の示した問題を見ると普通に解ける問題だったので説明を始める。出来るだけ簡潔に尚且つ分かりやすくを意識して。
「………てな感じでやると答えが出るわけだ。」
なんとか説明をし終える。あー解ける問題で良かった。そもそもこれくらいなら宮本なら楽勝に解けると思うんだが…
俺の説明を黙って聞いていた宮本が口を開いた。
「…立川君って説明上手いわね。とても分かりやすかったわ」
「え、マジか?それは嬉しいな…もっと褒めてくれてもいいよ?」
「調子に乗らない」
顔色を変えずサラリと言う宮本。ビシッと軽く叩くというツッコミ付きだ、ちょっと痛い。
ふと楽達を見ると楽も小野寺もお悩み中の様だった
「良かったら手伝おうか二人共、何処が分かんないんだ?」
「ええっと…この問題なんだけど…」
それじゃあカッコイイとこ見せましょう♪この問題は……ああ先にαに代入しないと解けないな。そう言おうとしたが
「先にαに代入しないと解けないわよ」
「桐崎さんて向こうで成績どうだったの?」
そう集が質問すると
「だいたいAかな」
けろっとした表情で答える桐崎さん。メチャクチャ頭いいじゃないですか…
そのまま流れるように桐崎さんは小野寺に問題を教え始め、その役割を奪われた楽は呆然とそれを眺めていた。
対して小野寺と桐崎さん、凄く楽しそうである。….キマシタワー
スパァン‼︎
「……宮本、何故今俺は叩かれた?」
「妙なこと考えたでしょ」
エスパーかお前は。
「なあなあ桐崎さん、ちょっと聞いていいか?」
二人のガールズトークを割って集が質問する。
「楽とぶっちゃけどこまで行ってんの?」
それを聞いた途端に楽と桐崎さんが吹き出した。汚いぞ二人とも。
「ど…どどどど…どこまでとおっしゃると…?」
顔を真っ赤にして動揺しまくりな桐崎さん、集も意地悪な質問するなぁ…
「そりゃあもちろんキ…
突然楽が集の口を塞ぐとそのまま外に引っ張りだした。
「お前らちょっとこっち来い…‼︎」
「待て楽、何で俺まで!?」
そう、何故か俺まで引っ張りだされた。
「いいか、この際だから話しておくがよく聞けよ!」
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楽の話によると桐崎さんと付き合ってるのはギャングとヤクザの抗争を食い止めるための芝居らしい。桐崎さんがギャングの娘というのは目の前にヤクザの息子がいるからかそこまで驚かなかった。
ただそんな話をして良かったのか?消されそうになったら楽のせいにするか…
「とにかくそういう訳だから、誰にも言うなよ」
そこまで言うと楽は桐崎さんに呼ばれ戻っていった。
「驚いたな、二人は偽物の恋人ってわけか。そんでもって集もよく気付いてたな」
隣の集に話しかける。集ったら普段ふざけてるくせに妙に勘が鋭いんだよなあ
「まあな、見てりゃあ分かるさ。何年楽といると思ってんだ。…ところでさあ」
「何だよ?」
「優人ってさ、小野寺のこと好き?」
いきなりすんごい質問してくんなこいつ…
「…好きだよ」
「おお、ハッキリ言うんだな」
集は少し驚いた様な顔をした。
「隠したって意味無いだろ。で、そうだったら何だっていうんだよ?」
「別に何でも無いさ。でも….そうか、そうなると楽は恋敵ってことになるな」
やっぱりそうなのか…楽には負けたくないなあ、友人としても男としても。
「ああ、でも負けるつもりは無いぞ?」
「なはは….そうだな、まあ精々頑張れよ。どっちも応援してるからさ」
そうして二人で楽の部屋に戻ろうとすると俺の携帯が鳴った。見てみると母さんからの電話だった。
「もしもし、どうしたの母さん。……え、今夜婆ちゃんが来る?そんないきなり…ああ、うん…分かった」
内容は婆ちゃんが来るからもう帰って来いとのことだった
「悪い集…なんか婆ちゃんが来るらしくって帰ることになったわ」
「おお?分かった」
名残惜しいが仕方ない、母さんを怒らせると後が怖い。俺は小野寺達に別れを告げるとそのまま家に帰宅することにした。
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「くはぁ〜〜…やっぱり楽は小野寺のこと好きなのかぁ〜」
帰宅途中思わずため息が出る。….でも腐っていても仕方がない、楽に負けないためにももっと男を磨こう。もうハリウッド俳優並にカッコイイ存在になろう。そう決意を新たに俺は帰宅した。
次回はちょっとオリジナル回に挑戦しようかと思っています。ここまで読んでくださり有難うございました!