小野寺達との勉強会から数日後、学生 にとって安息の日である日曜に俺は楽と電話をしていた。
「聞いたぞ楽、女子更衣室の鍵を盗んだんだって?極道から外道になった気分はいかが?」
『バ、バカ野郎‼︎誤解だよ誤解‼︎』
「あっはっはっは‼︎分かってるよ。お前はそんな奴じゃ無いよな〜」
『ったく、つーかそんな事誰から聞いたんだよ?』
「ん?小野寺からだけど」
『小野寺が喋ったのか!?』
「いや、うっかり口が滑ったって感じだったな」
俺はその時のことを思い返した。
〜〜〜〜〜〜回想中〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふーん、泳げる為の特訓ねぇ…」
小野寺と電話中、プールで泳ぎの特訓をしたという話を聞かされ、俺は少し驚いた。俺の知らない所で小野寺の水着イベントが開催されてるなんて…それに楽に教えて貰ったというのも気に入らない。
『立川君?どうしたの?』
俺が黙ったままだったので小野寺が聞いてくる。
「いや、何でもないよ。それで泳げる様になったのか?」
『うーん、それはまだちょっと…ね、色々あったから…』
「色々?…楽が何かやらかしたか?」
『な、何もやってないよ!?更衣室の鍵だって私達の勘違いだったし…///』
「更衣室?鍵?何の話だよ?」
『ち、違うよ!?別に一条君は女子更衣室の鍵を盗んでないよ!///……あ、そうじゃなくて…その…違うの!//えっと……私達の勘違いだったの‼︎』
慌てて墓穴掘っちゃう小野寺可愛い…
「落ち着け小野寺…楽が女子更衣室の鍵を盗んだって?」
『だから違うってばぁ‼︎///』
その後、小野寺からちゃんと話を受け
俺の誤解は解けた。
〜〜〜〜〜〜回想終了〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……てな感じでな、小野寺に悪気は無いよ。」
『なるほど、そういうわけか…』
俺の説明を受けて楽は納得したようだった。その後も取り留めのない話をしていたのだが
「優人ー、ちょっと下りて来てー」
下から母さんが俺を呼ぶ声がした。言い忘れていたが俺の家は二階建てで、基本的に俺は2階の自分の部屋にいるのだ。
「悪ィ、楽。母さんがお呼びだ、また明日な」
そう言って電話を切り、階段で下に降りる。降りると母さんが両手に袋を持って立っていた。
「どうしたの?…母さん、八百屋でも始める気?」
「お婆ちゃんが家でとれた野菜を大量に送ってくれたの、いきなりね」
母さんは両手で袋を掲げると困ったように笑った。何故ウチのお婆ちゃんは毎回いきなり行動を起すのだろう…
「凄い量だね…俺らだけじゃ食べきれないんじゃない?」
袋から溢れんばかりの野菜が見えている、しかも袋が破けないように何枚か別の袋を重ねた状態になっていた。
「そうなの、だから友達とか親戚に分けようと思ってね。優人、ちょっとこの袋、○○ちゃんの家に持って行ってくんない?」
母さんが持っている袋の一つをこちらに差し出しながら言った
「○○ちゃんって、従兄弟の○○ちゃん?」
「そう、同じ町内だし良いでしょ?」
「えぇ〜……分かったよ」
面倒臭いが仕方ない、袋を受け取り俺は玄関の扉を開けて○○ちゃんの家に向かった。
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「それじゃあ失礼します…」
扉を閉めてため息をつく。○○ちゃんの家に来たものの本人は不在、結局その母親に野菜を渡して帰ろうとしたのだが呼び止められて話し込んでしまった。実際は○○ちゃん母が一方的に話していたのに俺が相槌を打っていただけなのだが。おば様の話の長さたるや恐ろしいものである、しかもすっかり疲弊した上に帰りに土産と称して大量に果物をくれた。クソ重いです、おば様。
果物の入った袋をぶら下げながら帰っていると子供達の笑い声が耳に入る。
「あれ、ここに公園なんかあったのか….」
声の方を見ると子供達がブランコや象の滑り台で遊んでいた。そこでよく考えれば同じ町内でもこの辺りはあまり来たことない事に気付いた。
「折角来たことだし、探検でもしてみるかねぇ…。この町に隠された名店やら名所があるかもしれんし」
そのまま真っ直ぐ帰る予定だったが変更。凡矢理探検隊結成である、なお隊員は俺一人の模様。
そして俺は色々と歩き回った。途中寂れた店や昔数回行ったことのある駄菓子屋などを見かけそのまま路地裏を練り歩くと少しひらけた場所に着いた。
そこからは町の様子を一望でき、正しく隠れた名所に相応しい場所だった。
「こんな所にこんないい場所があるとは知らなかった…探検してみるもんだねぇ」
そう一人で感動していると誰かがやって来た。
「あれ、立川君?」
そこにはなんと小野寺が立っていた。
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「そうなんだ…立川君もたまたまこの場所を見つけたんだ」
俺は小野寺にこの場所に着いた経緯を話した。おば様の長話と探検ですっかり日は傾き、夕焼けの明かりが町を照らしていた。
「綺麗だね…」
「ああ、そうだな…」
夕焼けのほのかな明かりに包まれる小野寺はいつも以上に魅力的に映り、俺はついその姿に見惚れてしまっていた。
暫くしてハッと気を取り戻すと前から聞こうと思っていた事を口に出す。
「小野寺ってさあ…………」
「なあに、立川君?」
「好きな奴いるだろ?」
「!!!!????……ど、どうしたの!?き、きききき……急に!!??
」
分かり易すぎだろ小野寺….目に見えて動揺する小野寺、顔も夕焼けに負けないレベルで真っ赤になっている。
「別に、嫌なら言わないで良いんだけどさ。もしそうなら前フラれたのも納得できるなと思ったもんでさ…」
「そっか……………うん、私今好きな人がいるの」
面と向かって言われるとクるものがあるな…。ただ好きな人がいると答えた小野寺の表情が一瞬曇っていたのが気にかかる。
「どうした?深妙な顔しちゃって…俺にだって話くらいなら聞けるぜ」
小野寺は暫く黙って考え込むと
「じゃあちょっとだけ聞いて貰おうかな…でも他の人には絶対内緒にしてね?」
「ああ、約束する。絶対誰にも言わねぇよ」
小野寺はそれを聞くと一度深呼吸をして話し出した。
「実はね……」
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「なるほどねぇ…10年前からの約束かあ、ロマンチックだねぇ」
小野寺から聞かせて貰ったのは10年前にとある男の子と結婚の約束をしたという話。ただもうその男の子の顔は覚えていないらしい。それに関しては何じゃそれはと一瞬思ったが…。
「しっかし、いくら昔仲良かったと言っても10年も会ってない男と今後出会って結婚ってのはハードル高くないか?それに今好きな人ってそいつのことじゃ無いんだろう?」
「わ、私は今好きな人がその約束の人だったらいいなって思ってるんだけど…」
それは結構低い確率じゃないのか?今好きな人なんて9割方楽のことだと思うがもし楽が約束の男の子だとしたら…うん、勝てる気がしないね。神よ、どうか楽が約束の男の子じゃありませんように…
「じゃあもし違ったらどうするんだ?今の恋と昔の恋、小野寺はどっちを取る?」
そう言うと小野寺は黙りこんでしまった。少し意地悪な質問だっただろうか
「…立川君だったらどうするの?」
ポツリと小野寺はそう言った。
「俺だったら?……そりゃあ今の恋と昔の恋の相手が同じ人だったら凄い幸せなことなんだろうけど、もし違ったら…まあ今の恋を取るかな」
「どうして?」
「勿論約束は大事さ。けどだからって今好きな人を諦める理由にはならないだろ、大事なのは今誰が好きかってね。」
「今誰が好きか…」
「それに、昔した結婚の約束を守らなきゃいけないってんなら世の中の半分の女性はお父さんと結婚しなきゃならなくなるしなぁ…嫌だろ?そんなの」
小野寺は一瞬キョトンとした顔になった後ふふっと笑った。天使か。
「そうだね、私ももっと小さい時に言ってたかも」
お義父様、その日は酒が進んだでしょうね。え、お父様だろ?何の話でしょう(すっとぼけ)
「まあ、約束の件に関しては小野寺が決めることだからな。俺からは何も言う資格は無いわけだが…今好きな奴が約束の相手なら何も問題無いわけだしね。」
俺的には大アリなんだけどね。神様、マジでお願いします。今度賽銭箱に1000円入れに来ますんでどうか…,
「ありがとう、立川君。やっぱり誰かに聞いて貰うと気持ちが楽になるね。」
スッキリとした様な笑顔でお礼を言う小野寺。眩しくて直視できません。
「こんな事で良ければいつでも力になるよ」
夕陽はもう殆ど見えない程に沈んでおり、辺りはうっすらと暗くなり始めていた。
「そろそろ帰らなきゃな…送るよ小野寺、一人じゃ危険だしな」
「うん、じゃあ一緒に帰ろうか」
そうして俺たちは一緒に帰ることにした。雑談しながら帰ったその時間は間違いなく今日一番幸せな時間だったと言うことが出来る。そして楽しい時間は早く過ぎるものであっという間に小野寺の家に着いた。
「じゃあな、小野寺。また明日…あ、そうだコレやるよ」
俺は果物の詰まった袋からリンゴを取り出すと小野寺に投げ渡した。
「わわっ!…いいの?じゃあ貰っちゃうね。また明日ね、立川君」
小野寺はリンゴを何とか受け取ると手を振りながら見送ってくれた。
<その日の夜>
「いやー、今日は楽しかったなぁー!おば様の長話を除けばね」
『夜とは思えないテンションだな…煩いぞ』
俺はツカサに電話をしていた。そして小野寺と出会ったことを話した。勿論、約束の件は話していない。
『一々電話しなくていいだろ?出会っただ何だと…。俺はお前の日記帳じゃないんだぜ』
「相談しようと思って電話したんだよ。事と次第によっては俺は負け確定かもしれんのだぞ?」
『…よく意味が分からんけど、なんだよ相談って?』
「ハリウッド俳優レベルの男ってどうなったらなれる?」
『は?』
俺の恋愛相談?は深夜まで続いた。
読んでくださりありがとうございました!
次回は新たな転校生、銃とリボンの似合う彼女が登場します‼︎