ニセコイ〜小野寺に恋する少年〜   作:冬の桜餅

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鶫さん初登場回!実は小野寺さんの次に好きなヒロインでした。ではどうぞ‼︎




7.ライバル

澄み渡る様な快晴の下、いつもの様に登校するとクラスの様子が少し可笑しい事に気付く。なんというかみんなそわそわしているのだ、特に女子。

 

「なあツカサ、なんかクラスの様子変じゃね?なんかあったの?」

 

「さあ?俺はよく知らねぇけど…まあそういう日もあるだろ」

 

どんな日だ、そういう日って。

つーか何これデジャヴ?前にも似たようなことがあった気がするんだが….

 

「あ、そうだツカサよ、あの助言は一体何だ?」

 

「…何の話だよ」

 

「ハリウッド俳優レベルの男の成り方についての助言だよ」

 

「ちゃんと助言したろ?」

 

「『髭生やせば』の何処がちゃんとしてるんだよ…」

 

確かにダンディーな人たち多いけどさ…そういう話じゃないじゃん?

 

「お前ら元気そうだな…」

 

振り返ると集がいた。集にしては珍しく元気が無い、というかやさぐれている。聞けば今日転校生が来るらしく、それが大層なイケメンだとか。

 

「それでそんなつまんなそうな顔してるわけか…」

 

「イケメン転校生ねぇ…それってハリウッドレベル?」

 

「いや、それは知らねーけど。何?ハリウッドって」

 

そんなことを話していると担任のキョーコ先生が教室に入って来た。

 

「突然だけど、今日はみんなに転校生を紹介するぞー。鶫さん、入って来て」

 

「はい」

 

教室のドアを開けて一人の美少年が入って来た。噂されてただけあって顔立ちもかなり整っている。もし髪を整えて服を変えれば女の子に見えるかもしれない…あいつ男だよな?少なくとも服装は男物だが…

 

「はじめまして。鶫誠士郎と申します。どうぞ、よろしく」

 

そういって転校生が自己紹介を終えると女子から凄い歓声が飛ぶ。

そして空いてる席に向かう途中、

 

「鶫!?」

 

桐崎さんが突然立ち上がった。

 

「お久しぶりです、お嬢ーー‼︎」

 

と思ったら今度は転校生が桐崎さんに抱きついた。何この急展開!?

驚いたのは俺だけじゃないらしく、

 

「転校生が桐崎さんに抱きついた!」

 

「なんだ、なんだ〜〜!」

 

とクラス中がざわついた。結局その場はキョーコ先生が収めてくれて、噂のイケメン転校生、鶫誠士郎は俺らのクラスメイトとなった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いきなり女子に抱きつくなんて度胸あるよな、あの転校生…俺も小野寺にあれくらいの熱烈なアタックを決めるべきかな?」

 

休み時間、俺はツカサと話していた。

俺の提案にツカサは

 

「お前のはただのセクハラだぞ」

 

「何その明確過ぎる差別…」

 

ただしイケメンに限るってか?世知辛いわぁ…

そんな風に憂いていると集が慌ててこちらに走って来た。

 

「おい!楽が転校生と決闘するってよ‼︎」

 

「「決闘?」」

 

何でも転校生と楽の二人のどちらが桐崎さんに相応しい男なのか決闘で決めることになったらしい。

 

「女を賭けて決闘って…何処の西部劇だよ」

 

隣でツカサがそう呟く。

 

「本当に熱い奴だね、あの転校生…鶫って言ったっけ?…つーか楽に勝ち目なんてあんの?何で勝負するんだろ」

 

楽には悪いが少なくとも顔は完全に楽が負けてると思う。殴り合いなら見てみたいな…素手喧嘩って見てて面白いよね!

 

そしてあっという間に時は流れ、放課後。楽と鶫の二人が向かい合った。

 

「「キャー!鶫君頑張ってーー‼︎」」

 

「さあ、貼ったはった!一口食券一枚だよ」

 

…たくさんのギャラリーに囲まれながら。集に限ってはクラスの連中を焚き付けて賭けまでしてるしね…自由か。

 

「二人はやらないのか?」

 

集がそう聞いて来る。

 

「じゃあ鶫に賭ける」

 

「俺は楽に賭けようっと」

 

ツカサは鶫に賭け、俺は楽に賭けた。

 

「おい、優人。おまえのそれなんだ?」

 

楽が俺が首から下げてるバックを指差ししながら聞いて来た。

 

「ん?これは救急袋だ。まあ決闘の邪魔をするつもりは無いが、保健委員として決闘後の処置くらいはさせて貰おうと思ってね。だから安心して死んで来い」

 

グッと親指を立ててそう鼓舞すると

 

「縁起でもないこと言うな!」

 

そう突っ込まれた。照れ隠しですね、分かります。

 

決闘の合図は鶫の持つコインが地面に落ちた時、緊迫した空気の中遂にそのコインが鶫の手を離れ地面にーーー

 

ーー落ちた。

 

瞬間鶫は懐から大量の銃を取り出すと楽に向かって発砲した。……銃!?

 

「何あれ本物?」

 

「まさか〜」

 

ギャラリーからそんな声が聞こえる。いや、本物じゃないのかあれ?楽も必死に逃げてるし…

 

「こりゃあ本当にヤバイかもな」

 

「おい、優人何処行くんだよ?」

 

「追いかけてくる、怪我じゃすまんかもしれないからな」

 

そう言って俺は逃げる楽、それを追う鶫の二人をさらに追った。

二人は走りながら何か口論していた。内容までは聞こえなかったが鶫が急激な加速を見せたので楽が地雷を踏んだのだけはわかった。そして鶫が楽に追いつきそうになったその時、楽が思わぬ行動に出た。

 

ガラッ‼︎

 

「な!…」

 

「頭冷やしてもらうぜ?」

 

窓を開けると鶫と一緒に飛び出したのだ。ここ3階だぞ!?急いで窓から覗くと下のプールに二人して落ちたらしい。

 

「あのバカ…」

 

俺は急いでプールに向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

プールに到着し二人の安否を急いで確認する。二人はプールから顔を出していた。

 

「おう、優人?どうした?」

 

俺は楽の元へ近付くと拳骨を一発食らわした。

 

「こんのバカがぁーーー‼︎」

 

「ぐへぁ‼︎」

 

吹っ飛ぶ楽。そのまま地平線にまで吹き飛びな!

 

「な、何を…?」

 

よろよろになりながら楽が口を開く。

 

「そりゃこっちのセリフだっつーの!3階から飛び降りるなんて何考えてんだ!下がプールだからって落ち方によっちゃ大怪我だぞ‼︎ブチ殺されたいかぁ‼︎‼︎」

 

「お、落ち着けって…悪かったから」

 

全く、心配かけさせんじゃねーっての。とりあえず無事でよかったけど。

そう思い溜息をつくと、楽がニヤリと笑った。

 

「…何ニヤついてんだよ?」

 

「いや、死んでこいって言ってた割にえらい心配してくれたなと思ってよ」

 

「……もう一発行くか?」

 

「何で!?」

 

照れ隠しです、分かりなさい。

そして今度は鶫の方を見ると、鶫は完全に気を失っていた。仕様が無いので鶫をプールから引き上げる。あ〜あ、服が中までビショビショだ。下着まで透けて………

 

「おい、優人?どうしたんだ?」

 

「……よし、楽。俺は着替え用にジャージか何か持って来るから鶫のこと頼んだわ」

 

「え、ちょっと…おい!?」

 

しっかりと濡れたままの上着を被せ、鶫を楽に押し付ける。そして楽を置いて急いで外に出ようと扉を開けると

 

「「あ」」

 

目の前に小野寺がいた。

 

「立川君?…どうしたの顔赤いけど…」

 

「へぁっ!?…な、何でも無いよ‼︎そういう小野寺こそ何でここに?」

 

そう言って話を逸らす。女性の下着を見て赤面なんて変態のソレである。男の性とかいっても無理だろう。

 

「私は一条君達が窓から飛び降りるのを見たから心配して、そしたら立川君の怒鳴り声が聞こえて…」

 

あれ聞かれてたの!?

 

「そうか…そりゃ恥ずかしいところ聞かれちゃったな…」

 

「そんなことないよ、一条君のこと本当に心配したんでしょ?優しいんだね、立川君」

 

そう言ってニコリと微笑む小野寺。あー…顔の赤みが増していくのが分かる。今度は羞恥でなく好きな子に褒められた嬉しさからだが。

 

「あ、そうだ小野寺。誰か女子にジャージ借りられねぇかな?楽には俺が貸すからいいけど、鶫の分が無いんだ。」

 

危うく本来の仕事を忘れるとこだった。それを聞いた小野寺は首を傾げる

 

「鶫さんも男の子に用意して貰った方がいいんじゃないのかな?」

 

「いや、それが実はだな…」

 

俺は小野寺に鶫のことについて教えた。

 

「ええっ!?鶫さんって女の子だったの?」

 

驚愕する小野寺。うん、俺もかなり驚いた。

 

「よく分かったね、立川君」

 

「ま、まあね…野生の感って奴?」

 

実際は透けて下着が丸見えになってたからなんだけどね…それに胸もあったし…って完全に変態じゃないか‼︎

小野寺の素朴な疑問に目を逸らしながら答えているとギャラリーをしていたクラスの連中がやって来た。

 

「おい!二人は大丈夫か?」

 

「鶫くーん、無事?」

 

そう言って次々とプールに入っていく。俺は二人にジャージを用意するため教室に戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、結局どっちが勝ったんだ?」

 

俺がプールに戻った時、既に決着は有耶無耶の様になったらしい。何故か楽はゴリラに襲われた様な大怪我をしていたが…

 

「さあ?引き分けじゃないの」

 

ツカサがそう答える。

 

「いや、俺が来た時は鶫は気を失ってたんだよ。つまり楽の勝ちだ。そらツカサ、明日昼飯奢れよ?」

 

「嫌だ」

 

翌日、愚痴を溢しながらもツカサがカツ丼を奢ってくれました。

 

 




小野寺さんがあまり出せなかった…。ツカサ君は文句言いながらもしっかりとやってくれる系のいい子です。
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