ハイスクール・フリート ~新米海曹晴風と共に~ 作:メガネ二曹
はいふりを見てからしばらく経つので、結構うろ覚えなのですが精一杯書きました。
にしても、主人公を大人にしちゃうとキャラの口調が大変です。高校生の女の子が使う敬語……辛い。
まあそんな訳で口調に関してはごめんなさい。合ってると保障できません。自己解釈+妄想による補完ですので。
ではどうぞ。
『コントロール、ディスイズシーキャット。プリーズクリアランス。』
「ディスイズウルフコントロール。シーキャット01、リクエストタキシーVFR。クリアード・フォー、テイクオフ。」
『シーキャットラジャー。テイクオフ。』
凄まじい音を立てながら、「りょうかみ」の飛行甲板からSH-60ヘリコプターが飛び立ってゆく。
現在時刻は0845。嵐を抜け7時間程が立った所だ。
現在りょうかみでは、行方不明となった宗太郎の捜索が行われていた。
「面舵10度。」
「面舵10度、アイ!」
艦橋では神妙な顔つきの艦長が操艦指示を出している。
そこへ、副長が戻ってきた。
「副長、どうかね。」
「はっ、艦長。残念ながら手掛かりすらありません。嵐を抜けて時間も経っていますし、発見は困難かと……現在HSを上げて海上を捜索させています。帰投は0915時の予定です。」
「ご苦労……彼は諦めた方が良いかもしれんな。」
「ええ……生存は絶望的かと。」
「流されたコンテナの方は?」
「あれも行方不明です。小銃に弾薬。衣類も入って居たんですが……」
「それは始末書で済むから別に構わん。」
りょうかみではこれまで、三度の捜索ヘリコプターの発進、そして作業艇による捜索が行われている。しかし目標である宗太郎は発見出来ずに終わっていた。もし見つかってもあの高さから嵐の海への落下だ。生存の可能性は極めて低い。
「出来る事なら見つけて、なんとか家族と同じ墓に入れてやりたい所ですが……」
「ああ……しかし状況が悪すぎる。衛星もGPSもアンサーバック無し。長距離通信が使えず主機も不調とは……復旧の状況は?」
「現在担当の隊員達が検査をしていますが、ほとんどの機器に故障はなく、原因不明だそうです。GPSと衛星通信に関しては衛星側に問題がある可能性が高いですね。主機に関してはなんとか修理可能だそうです。」
艦長席に座る艦長が頭を抱えてうなる。
「近くに味方艦は居ないのか?」
「嵐に突入する前に「ひので」とすれ違ったきりです。こちらの状況は伝わって居ないでしょう。」
「一度横須賀に戻った方が良いかもしれん。現在位置は解るか?」
「はっ、最終位置と航海のログから見ると……このあたりですかね。」
副長は、持っていた海図を指さす。
「主機を修復しながらとなると時間がかかるな……しかしなんとかするしか無い。舵戻せ。」
「もどーせー、舵中央。」
「取り舵に当て、210度ようそろ。」
「取り舵に当て、取り舵10度。210度ヨーソロー!」
「210度ヨーソロー!」
「ヘリの帰還を持って日御三曹の捜索を終了とする。両舷前進原速、副長操艦。しばらく頼む。」
「副長操艦頂きました。」
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「……異常無し」
「あ、はい、ありがとうございます。」
目を覚ました俺は、「みなみさん」と呼ばれる医務室に入ってきた白衣の子に診察をされていた。
白衣の下に赤いセーラー服を着ている少女はとても大人には見えない。しかし診察に相当手馴れていたし、気絶していた俺の処置をしてくれたのも彼女らしい。
これが世に言う「合法ロリ」というやつだろうか。
聴診が終わった俺はエプロンの子が持ってきてくれた作業服に着替える。
作業服はきちんと洗濯され、しっかりアイロン掛けまでされていた。
着替え終わるとこれまた洗ってくれた識別帽を被る。
「失礼しまーす。みなみさん、助けた人の調子はどう?」
仕切りのカーテンから出ようとすると、これまた元気そうな女の子の声がする。さっきの子とは違う声だ。
カーテンから出ると、何処かの制帽を被った茶髪の女の子が立っている。
「えっと、はじめまして!私、艦長の岬 明乃です!ケガとか、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。おかげさまで特には。」
艦長?この子が?
見た感じ高校生だ。……というかさっきから大人を見ていないような気がする。
これは水産高校の実習船か何かだろうか。
「えっと、俺は海自の日御 宗太郎です。……救助して頂き、ありがとうございます。」
「あっ!頭上げてください!当たり前の事をしただけですから!」
俺は深く頭を下げた。
相手は年下だが、命を救われたのだから当然の事だ。
……にしても国民を守る自衛官が女子高生に命を救われるってのはなんだか情けない話である。
「えーっと、この船はどこかの学校の船ですか?」
「はい、横須賀女子海洋学校の航洋艦、晴風です。」
「横須賀女子海洋学校……?」
記憶に無い名前だ。
詳しいという訳では無いが、横須賀には2年居る。
実習船を扱う学校なら名前くらい耳に入ってもおかしく無いはずなのだが。
「えーっと、先生はいらっしゃいますか?」
「あ、この艦には乗っていませんよ?」
「……え?じゃあ、大人は誰か」
「大人は乗ってません。」
(うっそぉ……)
横須賀女子海洋学校とやら、色々大丈夫なのだろうか。
確かにまあ「習うより慣れろ」、実際に自分達やらせるというのは物凄い成長する物だが、いくら何でも放任過ぎやしないだろうか。
この子達を見るにしっかりしてそうだが、それでも何かあったら大変だ。監督として乗船するのが普通ではないのか。
シャバの常識に疎い俺だが、流石にそれくらい解る。
「そういえば海自って、何ですか?」
「え?海上自衛隊だけど?」
「海上自衛隊?」
「……もしかして、知らないですかね。」
岬さんはこくりとうなずく。
水産高校生、海自くらい知っとこうよ。
ちょっとショックだ。
……色々な事に驚いたせいか、なんだか頭痛がしてくる。
「あの、すいません。外の空気吸いたいんですけど、大丈夫ですか?」
「あ、はい。どうぞ!」
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「ふぅ……あー、落ち着いた。」
岬さんの案内で俺は船の外に出た。
ここに来るまでに何人もの人とすれ違ったのだが、本当に女の子しか居ない。大人の姿は影も形も無かった。
俺は艦の壁に寄りかかる。
塩風が心地よく吹き抜けていき、心を落ち着かせてゆく。やはり海の上というのは心地良い物だ。
ふとタバコを吸いたくなったが、流された時にシガーケースの中が浸水してしまったようで、現在渇かしており手元に無い。
岬さんはデカい猫に餌をあげている。
なんともふてぶてしい顔をした猫だ。しかし何故か愛嬌を感じるのは何故だろう。
「あのー、岬さん。」
「はい?」
「少し歩いて来て良いですか?」
「大丈夫ですよ!」
岬さんの許可を得た俺は、ゆっくりと船を見ながら歩き出す。
晴風、といったか。
俺の勝手なイメージでは、実習船というのは白とか目立つ色で塗られるイメージだったのだが、この船はまるで軍艦のような濃灰色だ。
艦の構造物や、学校の物らしいエンブレムが入った煙突もどこかゴツくて、戦闘艦に見える。これでクルーが男だらけだったら、間違いなくどこかの軍艦だと思っただろう。
そんなことを考えながら艦の後部へと歩いて行く。……すると、
「……ん?」
俺の視界の端に、似つかわしくない物が映った。
全体的に四角いフォルム、そして突き出た二本の筒。……どう見ても砲だ。
セーラー服の女の子達が近くに居るのがとてもミスマッチに見える。
(……いやいやいやそんな訳ないだろ。高校の実習船に砲って……あれはあれだ、その、古いレーダーとか通信機とか、そういうもんだろう。……それか俺の幻覚だ。)
そう自分に言い聞かせ、目をこすり、もう一度目を開く。しかし何度見てもあれは砲だ。
確か12.7cm連装砲……だったか。
あれは日本軍の砲のハズだ。ならばこの世に残っている訳が無い。
俺は一旦状況を整理する。
高校生が動かす軍艦、連装砲、魚雷、大人が居ない教育艦、そして海自を知らないクルー。
色々とおかしい事だらけだ。
……ひょっと俺はパラレルワールドか何かに迷い込んだのだろうか。
(……いやいや、そんなアニメみたいな話があるわけが無い。)
しかし、ここが別の世界だと考えると全て納得がいってしまう。現代に存在しないハズの砲。しかし艦内を見るに年代はさほど変わらないように見える。……つまり、異なる歴史を歩んだ世界……だろうか。
(しかし確かめないとなんとも……)
こういう時は漫画やアニメに解決法を求めてみる。
ジパングでは草加少佐が資料室で歴史を知っていた。この艦にそれがあるかは分からないが、クルーは学生なのだ。歴史の教科書くらいはあるだろう。
歴史の違いを確認するのならば十分だ。
俺はさっそく確認しようと考えるが、なんだか体がだるい。あまりに非現実的過ぎて体が追いついて居ないのだろうか。
なんにせよ疲れてきてしまった。
確認は少し休んだ後でも遅くは無いだろう。
「岬さん、ありがとうございました。もう大丈夫です。……申し訳ないんですが、医務室まで案内して貰っても……」
「わかりました!」
俺と岬さんが艦内に戻ろうとする。すると岬さんが呼び止められた。
「艦長ー、副長が呼んでるよー!」
「あれ?メイちゃん。どうしたの?」
メイちゃんと呼ばれた子が、ラッタルの手すりを上手く使って滑り降りて来る。
「あれ?その人さっきの人?」
「うん。日御さんだって。」
「あ、日御宗太郎です。」
「水雷委員の西崎芽依。よろしく。」
着ているパーカーのフードには耳が付いている。恐らく猫か何かをモチーフにしたのだろう。
……にしても水雷委員とは。中々に物騒な委員会である。
「そうそう艦長、とりあえず艦橋に来て欲しいって。」
「シロちゃん……何だろう。」
「遅刻の事じゃない?」
「でもそれはツグちゃんに連絡して貰ったよ?」
「それでも来いってさー。」
「うん……ってダメだ、」
ラッタルを上ろうとした所で岬さんが止まる。
「私、日御さんを医務室に連れてかなきゃいけないから……」
あー、そういう事か。
「あ、俺は大丈夫ですよ。ここで待ってましょうか?」
「うーん……じゃあ、一緒に艦橋に行きませんか?」
「あ、はい。別に良いですけど。」
「じゃあ、付いてきて下さい。急だから気をつけて下さいね!」
そう言ってラッタルを上り始める。
俺は岬さんに続き、下を向いてラッタルを上る。何故下を向いてるかって?察してほしい。俺なりの紳士の配慮というヤツだ。
ラッタルを上ると、艦橋につながる金属の戸を開け、中に入った。
やはり女の子しか居ない。
「艦長!何処へ行って居たのですか!遅刻しそうな時に!……というかその男は誰ですか!」
「その男って……」
初対面の大人に随分高圧的な子だ。西崎さんの言っていた副長だろう。
黒髪ポニーテール。真面目そうな委員長タイプだ。少し融通が利かなそうだ。
「シロちゃんは会ってないんだっけ?この人は日御さん。さっき救助した人だよ。」
「どうも、日御宗太郎です。助けて頂いてありがとうございました。」
「あっ、その、すいません。副長の宗谷ましろです。……あと艦長、シロちゃんはやめて下さい。副長、もしくは宗谷さんと……」
「えー?それじゃ他人みたいだよー」
なんだか俺抜きで話初めてしまった。なんだろう。これが青春というヤツだろうか。
彼女が居たことはあるが、中高と男子校という学生生活を送った挙げ句すぐに海自に入った俺には中々新鮮で微笑ましい会話だ。
そんな時ふと艦橋の窓の外を見る。青い空に白い雲。素晴らしい天気だ。……しかしその中に、豆粒のような「何か」が見えた。
目をこらして見ると、それはどうやらこちらに飛んできているようだ。
「ッ!やべえ!」
「うぇ?!」
背中に悪寒が走った俺は本能的に走りだし、舵輪を握る女の子から舵輪を無理やり引きはがし、そして思いっきり回して取り舵をきる。
「日御さん?!何を-」
岬さんが驚いてそう声をだした瞬間、艦が激しく揺れ、「晴風」の艦首付近右側で大きな水柱が立った。
砲撃。さっきの豆粒の正体は砲弾だったのだ。
『着弾!右20度!』
「え、着弾……?」
伝声管で伝えられたその言葉に、艦橋は一瞬静まりかえった。
眠い中書いたんで文章がちょっとおかしいかもです。