浩介の素は使いやすい気がする。アビスゲート卿はきついけど。
……アビスゲート卿(浩介)のキャラとか口調とか合ってるかわからないので変だったら指摘よろしくお願いします!
※一部、矛盾が生じたので変更しました。
……なんか、悪寒が走ったんだが。俺の未来がヤバそうだ。
それはさておき、南雲が死んで意気消沈していた俺たちは王城に戻って、遠征の報告をしていた。
誰も彼も意気消沈としていたが中でも有賀は酷かったな。
なにせ魂が完全に抜けていた。目からハイライトが消えていたし、なにを聞いても「ああ」としか返さないんだぜ?絶望したらこんな風になるんだな、初めて見たよ。
メルドさん曰く、報告は義務だからちゃんとしなければいけないと言っていたけど別にいいんじゃないかなって思った。別に国王とか南雲が死んでもなんとも思わないだろ。むしろ、《無能》なら仕方ないまで言いそうだ。
案の定、国王とイシュタルは死んだのが南雲だと聞いて安堵していた。それをみた有賀が国王達に突っかかって行きそうになったのをメルドさんや俺たちで止める。散々抵抗しながらブチギレていた。
「なんでだよ、なんで1番頑張ってたやつがこんな風に言われなきゃいけないんだよ、ちくしょう」
この言葉を聞いた瞬間、俺の心に衝撃が走った。
……たしかにおかしい。南雲は俺たち以上に戦えていたし、1番役に立っていた。
それなのに俺たちは有賀みたいに怒れない。それは俺たちが口に出さなくても心の底で南雲のことを《無能》と思っていたからだ。
人を貶しておいて、自分は役に立たない。……無能は俺たちの方だ。
有賀はそのあと自室に篭ってしまった。今はそっとしておくべきというのが俺たちの総意だった。
翌朝、朝食をとってから俺は訓練場に向かった。なにかをしていないと落ち着かなかったからだ。
訓練場には俺と同じように先日の事を考えないようにしているのかかなりの人数が訓練をしていた。
その中で空いている場所を探していると有賀を見つけた。なにをしているのだろうと近くのやつに聞いてみるとどうやら有賀がクラスメイトに頭を下げて技能を教えてもらっているらしい。
有賀の技能は知らないが教えてもらっても意味がないんじゃないかと思ったが、どうやら純粋な技術と魔法の全適性持ちということで、使えそうなものを限定して教えてもらっているらしい。
昨日はあんなにダメージを負っていたのにもう復活していることに驚いたし、何よりあれが本当の強さなんだろうと尊敬した。……同級生に尊敬するとは少し恥ずかしいけど。
翌日も、翌々日も有賀は訓練場にやってきて誰かに教えを請い、ひたすら練習している。ろくに寝ていないのかその姿は少し痩せ細っている。それでも目は鋭く、張り詰めているような感じがする。
周りもその姿に恐怖、いや、狂気を感じているみたいで誰も近寄らない。
俺がそう思ってた時、有賀がこっちをみて近づいてきた。
「遠藤、お前の隠密の技能を俺に教えてくれ」
開口一番そんな事を言ってきた。俺は気づいてくれた喜びと困惑でいっぱいなった。
正直、教えられる気がしない。なにせ俺の存在感のなさは生まれつきで教えるもなにもない。
……ほら、今も周りのやつが「遠藤、いつからそこにいたんだ?」とか、「え?有賀くん誰と話して…………あ、遠藤くん」とかコソコソ言ってるよ。……まあ、いつもの事だし、気にしてないけどね!
……やべぇ、泣きそう。
「いや、俺のは教え方がわからないし」
「……なら見せてくれるだけでいいから頼む」
そう懇願されては断るのは失礼だと思う。有賀が頑張っているのはわかるし。
……でも目!目が怖すぎるんだよ!隈ができているからさらに怖え。
「…わかった。わかんなかったら何回かやるから言ってくれ」
そう言って俺は技能を使う。派生技能を何回か使ってみせる。すると有賀は何回かやるとすぐにできるようになった。これが天才か!
有賀は「……まだだ、まだ足りない。………もっと上手く、……もっと早く……」と呟いていて本当に怖い。マジでやめてほしい。
俺が一応、気配遮断を使って見せると、有賀もやったがさすがにこれは上手くできないらしい。少し安心した。周りの「え?有賀くん、今一瞬消えなかった⁉︎」という声は聞こえない。
……うん、聞こえなかった。いいね?
一通りやってみて有賀は俺の技能の半数はできるようになっていた。完全にチートだ。
「……ありがとう、遠藤。お陰で助かった」
有賀は俺に礼を言うとすぐにほかのやつに教えを請いに向かっていった。忙しないな。
俺はしばらく有賀をみていたが、どうやら天才というわけではないようだった。何度も失敗して、その度にまた挑戦して、失敗して………そうやって努力をしてできるようになっているんだとそう感じた。俺の尊敬の念がそう思わせているだけなのかもしれないけど。
俺も用事があったので有賀の観察をやめて訓練場を出る。
のちに聞いた話だが、あの後もずっとやっていたようだ。
……凄えな。
翌日。俺が訓練をしていた時、それは唐突に起こった。
「みんな、ちょっといいか?」
天之河がクラスメイト全員を集める。何人かいないやつもいたが、そのまま進めた。
「……今朝、有賀が過労で倒れたらしい。どうやらだいぶ無理をしていて、寝ずに訓練をしていたそうだ」
クラスのみんながざわつく。俺も驚きだ。まさか寝ないであれをしていたなんて考えられない。
「だからこれは香織からの提案なんだが、みんなで有賀が無理をしないように見張っておこうと思う。有賀をあのままにしておくのは俺にはできない!だからやりすぎていたら止めるだけでいいから協力してくれないか?」
天之河が爽やかに協力を求める。絶対俺が助けてやるんだ!という意思が感じられる。女子達は天之河のカリスマにやられて、やろうという雰囲気だ。男子(恐らく有賀が白崎さんに心配されているため)、そして一部の女子は渋っている。
「私からもお願いするわ」
「俺からも頼む!」
さらに八重樫さんと坂上からも改めて協力を求められる。これによって渋っていたメンバーからも(有賀死ね!、という呪詛を吐きそうな目をしているが)了承される。
全員が頷いた後、天之河が俺たちを見回して、
「みんな、ありがとう!」
と爽やかスマイルで言った。さすが、カリスマの塊だな。こんなの天之河しかできないな。
よって翌日から有賀を見張ることになった。俺が隠密に適しているかららしい。
……一緒にあの場にいたのに誰にも気付かれず、「浩介に会ったら、できるだけでいいから有賀についてくれって伝えてくれ」って目の前で言われた。……目から塩水が。
そういう訳で有賀について行っているが、特に無茶をしているというそぶりはない。訓練場のときはほかにたくさんいたので離れたけど、その時も大丈夫だったらしい。
……明らかに俺、要らない気がする。まあ、今日一日は見張っておこう。
***************
……やべぇ、マジでやらかした。
有賀が自室に入ったのでずっと部屋の前にいたら八重樫さんがきて、部屋の中に入ってった。しかも中の声が聞こえるから聞いてはいけないところまで聞いてしまった……
悪気は無かったんだ!
だって最初はなんか昨日の出来事の話だったから聞いても大丈夫かと安心してたら、急になんか告白紛いの感謝をしてプレゼントを渡してるんだぜ⁉︎どういうことだよ!
そして甘い空気が続いていたら今度は白崎さんがきて、南雲を助ける会が始まったよ。……凄く重かったし、なんかわかりあってるし。
俺、今、罪悪感で押しつぶされそうだよ………
今じゃなくて、もっと早く去ればよかったと思った。
ーーーー彼女、ほしいなぁ。
***************
あの悲劇から五日後。また、遠征に向かうことになった。
向かうメンバーは俺、重吾、健太郎、辻、谷口、中村、天之河達4人、檜山達4人、そして有賀の16人だ。他のクラスメイトは戦うことに恐怖を覚えてしまったので王国に篭っている。
高速馬車で宿まできて一泊。翌日、全員で集まっていこうとしたが1人、姿がない。
「ん?有賀はどうしたんだ?」
有賀だけが、この場にいなかった。
「涼夜はもうここには居ない。あいつはここを出て、他の街に行った。」
メルドさんがここにいる全員に答えた。みんな聞かされていなかったのでそれぞれなぜと声を上げる。俺はまあ……聞いちゃったからな。
「なんで何ですかメルドさん!俺たちに何も言わずに!」
天之河がメルドさんに詰め寄る。さすがにクラスメイトが抜けるのは許せないんだろう。
「光輝、気持ちはわかるがこれは王国からの命令で、涼夜本人も同意したことだ。別れをしなかったのは会えると思っているんだろう」
メルドさんは天之河に言い聞かせる。どうやらそういう設定らしい。
「わかりました。納得はできないですが」
天之河は悔しそうだ。大方、自分が助けられなかったとか思っているのだろう。勘違いしすぎだな。
「納得はしなくてもいい。ただ王国は死亡扱いにして自由に行動させるつもりだから他のやつに死んだと言われても言い返すなよ。他の同郷のやつにもだ」
「……はい、わかりました」
「……なら行くぞ。ここにいても仕方がないからな」
そう言ってメルドさんは天之河達の前を歩き出す。
その背中が息子の無茶振りに対応して疲れたお父さんにそっくりなのはきっと気のせいではないだろう。
……うん、絶対有賀になんか言われたんだな。お疲れ様です。
こうして、俺たちと有賀は別れとも言えない別れ方をした。
その頃のハジメ
8日目
ハジメついに闇落ち。殺す連呼。
9日目
敵即殺の怪物誕生。魔物を食べてチート化。
14日目
魔物を食い散らかしながら迷宮探索。食事のお供に神水を。←今ここ!
次は涼夜の1人旅です。……もう1人、ヒロイン要りますかね?
調べなきゃいけないこととかあるので多分遅くなります。