器用貧乏な職業で魔王の左腕   作:DQkzk

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切ることが出来ず、こんなに長くなってしまった。

多少のおかしさは容認してください。

※ファナの容姿
プラチナブロンドの三日月夜空 ショートver(はがない)




グリューエン大火山

フューレンを出てから厄介事ことファナと旅を続け、それなりに話すようになった。

 

それでわかったことだがファナの素っ気ない言動は完全に素らしい。涼夜が「なぜそんな態度をとるんだ?」と聞いたところ、ファナは首を傾げていたので間違いないだろう。

 

そんなファナとの旅の中、涼夜はあることに気づく。

 

「……こいつマジ有能」

 

そう、厄介事なんて言えないくらいファナの仕事が優秀すぎるのだ。

 

まず、料理。涼夜の場合は干し肉などの保存食をそのまま食べるのだが、ファナは調味料を色々持っていて、保存食に味付けをするのだ。これがすごくうまい。味付けなしでは保存食を食べたくなくなるレベルだ。

これを護衛の時にやってなかったのか聞いたら、「……量が少ないからこっそりと」と返された。それを言われたら寄越せなんて言えない。

 

そして夜の見張り。これが一人旅のとき1番悩んだことであり、神経を張り詰めなきゃいけないため、疲労が抜けなくなるからだ。それをファナがきたお陰で完璧に補ってくれた。

最初、涼夜が全部やるつもりだったがファナが暗視を使えるとの事で、半分を任せる事が出来た。(因みに涼夜の場合は常時、気配察知使用)お陰で疲れを貯める事なく移動ができた。

 

さらにファナには風魔法と水魔法の適性があった。風魔法のお陰でファナもターボエンジンを使用できるので交代しながら使えばかなりの時間使用できる。(ファナ2、涼夜8の割合だが)

水魔法を持っているから水不足はあり得ず、氷結系も使えるので温度調整も楽々だ。(涼夜もできることにはできるが運転があるため今は使えない)

 

唯一、ダメなのが戦闘だ。強くなりたいが為に戦闘になると突っ走る癖があり、魔物が弱ければなんとかなるのだが、双頭竜みたいに強い魔物が相手だと最悪死ぬ。

別にファナを嫌ってるわけでもない涼夜は死なれては困ると思い、天職や技能を考慮して戦い方を教えた。遠藤の戦い方をメインにして、近接格闘、涼夜のアイテムをサブとして教え、与えた。

一応他にも教えようとはしたのだがどうやらファナは適性があるやつは凄くできるが、ないやつはほぼできないという、涼夜と真逆の特化型だった。

 

 

涼夜はその過程でステータスプレートも見せて貰った(涼夜は見せなくてもいいと言ったが見せてくれた)。

 

====================

 

ファナ・シルヴィウス 16歳 女 レベル29 冒険者 紫

天職:盗賊

 

筋力:135

体力:122

敏捷:236

耐久:84

魔力:353

魔耐:183

 

技能:短剣術[+投擲術]・水魔法適性[+氷結魔法]・風魔法適性・暗視・魔力眼・気配操作・体術

 

====================

 

これを見た涼夜の感想は

 

 

 

(ーーーうん、なんでこのスキル構成で突っ込んで行くことができるんだ……)

 

 

 

である。

 

 

完全にスキルが奇襲向けであり、対人戦闘特化の構成である。このスキルじゃ確実に大型の敵を倒すものは存在しないだろう。

 

 

涼夜のステータスプレートも見てみよう。

 

====================

 

有賀涼夜 17歳 男 LV32 冒険者 緑

天職:万能者

 

筋力:300

体力:300

敏捷:300

耐久:300

魔力:2000

魔耐:300

 

技能:万能者[+器用貧乏脱却]・気配察知[+危険察知]・言語理解[+理論理解]

 

====================

 

 

やはりチート集団筆頭のステータスである。どうやら双頭竜や、戦闘、夜中のちょっとした稽古から経験値を得たようである。魔力以外均一にしか上がらないのは涼夜の才能の問題か。万能者のせいであってほしいと願う涼夜。

 

 

 

 

***************

 

 

 

 

それなりに快適な旅となり、1週間が経った頃、涼夜達はアンカジ公国にたどり着いた。2週間以上かかる道程をファナとマウンテンバイクにより短縮できたのはかなり大きかった。これなら多少、時間をかけて準備することができる。

 

マウンテンバイクを錬成で作った穴に隠し、公国内に入る。そのまま乗り付けたら問題になりかねない。

 

2人で店の前に来るとファナにメモを渡す。

 

「……お前はメモに書いてある材料を買ってきてくれ」

 

「……涼夜は?」

 

「他にすることがあるんだよ」

 

涼夜はファナと別れて情報を集める。そこである情報を入手した。火山の前は砂嵐が吹き荒れているので風魔法を使って止めないと進めないらしい。涼夜の風魔法の規模では止められるかわからない。それに皮膚を焼くような暑さらしく、水とローブは必須との事だ。

 

火山からある程度は予想していたが話を聞く限り想像より環境が過酷である。耐熱のアーティファクトが欲しいところだ。

 

涼夜が考え事をしながらファナと別れた店の方に歩いていると向こうから何やら喧騒が聞こえてきた。

 

涼夜は嫌な予感をひしひしと感じているが行かないわけにはいかない。

 

「……やめて」

 

「なあ、いいじゃんよ。俺とお茶でもしようよ」

 

「うわぁ」

 

ファナがチャラ男に絡まれているのを見て思わず呟いた涼夜。

 

ファナは美少女だ。それは涼夜にも理解できる。だから一人で冒険者をやっていたファナはこういう輩をあしらうことは簡単だと涼夜は思っていたがファナの困りきった顔を見たらどうも違うらしい。

 

仕方なく、涼夜はファナを助けるために男の近くに行く。

 

「…おい、俺の連れに何か用か?」

 

涼夜はファナと男の間に入って喋る。

 

「……チッ、男連れかよ」

 

男は涼夜のことを確認すると忌々しげに言葉を吐き出しその場を去っていった。涼夜を見てもそのまま絡んで来るならかなり面倒くさかったので去ってくれて涼夜としては助かった。

 

「平気か?……というより一人で冒険者していたお前なら軽くあしらうことはできただろ」

 

「……いつもはフードを被ってる。それにすごくしつこかった」

 

「……ああ、なるほど。ならそいつも買うか」

 

ファナ用のフード付きマントを店で購入し、警備の厳重な宿で二人部屋をとる。

……決して、やましいことはない。会話はするが、お互い不干渉が基本だ。

 

部屋に入るとベットに腰掛け、すぐさま涼夜はバックパックの中に入れていた吸熱石と、変換石、神晶石(中身なし)を取り出す。

吸熱石はその名の通り熱を吸い取る鉱石で、変換石は変換率があまり良くないが熱をエネルギーに変換、神晶石で蓄えることができる。これを使えば一応、火山に限り、無限貯蔵魔力を作ることができる。

そしてそれを使って錬成をする。作るのはペンダント型だ。

 

この錬成は高精度で作らなければ失敗するのでかなりの集中力を要する。しかも2人分も作らなくてはならないのだ。

 

なので涼夜は1時間かけて錬成を行い、それが終わるとベットに倒れこんでそのまま寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

涼夜が目を覚ましたのは深夜近い時間で、目を覚ましたとき横には料理が置いてあった。これをすることができたのは1人しかいない。気遣いはありがたかった。

 

ファナは涼夜が起きたのには気づいているはずだが声もかけず、ぼうっと窓の外を眺めていた。

 

「飯、サンキューな」

 

涼夜は料理を食べ始める。部屋の中には食器の当たる音だけが響く。

 

涼夜は食べている間もずっと窓の外を眺めていたファナが気になったので食事を終え、話しかける。

 

「……んで、どうした?」

 

「………私、強くなれるのかなって」

 

「……さあな。……そういえばどうしてそんなに強くなりたいんだ?そこら辺全く聞いてなかったけど」

 

涼夜がそう聞くと、少し重巡した後ポツリポツリと話し始めた。

 

「…それはーーー」

 

ファナの話を要約すると、

 

ファナの両親は王都近くでそれなりに名前の売れた冒険者で、護衛とか討伐系の仕事をしていた。ファナも冒険者として両親に付いていったりと、家族でそんな生活をしていた。

ある日、両親と共に護衛していると魔族に襲われた。その魔族は何匹も魔物を従えていて、護衛全員が魔物と相手をしなければいけなかった。そして戦闘経験の浅かったファナは体力の問題か致命的なミスをしてしまい、殺されそうになったところを母親に庇われて母親が死んでしまった。それを見た父親が怒り狂って魔物を倒しまくり、魔族と一騎打ちで戦った。だが怒りで動きが単調になっていた父親は魔族に殺されてしまった。

そのあと、王国が近かったためか応援が駆けつけてくれたので魔族とその魔物は逃げ、ファナは助かった。

そして最愛の両親を亡くしたファナは両親の仇をとるために強くなろうとして、冒険者稼業をたくさん行うようになって今に至る

 

ということだ。

 

 

 

 

 

 

(…………めちゃくちゃ重い。重すぎる。そりゃ、目の前で殺されちゃそんな風になるわな)

 

「……そうか」

 

涼夜は理解はできないが納得はする。自分も想いは違えど少し前はそんな風になっていたのだから。

 

涼夜はそれっきり黙ってしまい、部屋の中に沈黙が流れる。

 

「……涼夜はどうして旅をしているの?」

 

ファナは自分のことを話しても否定も肯定も全くしなかった涼夜に少し興味を覚えたのか、涼夜の旅の理由を問う。

 

「……そうだな、俺から聞いたんだ。旅の目的とその理由については話しておくか」

 

涼夜は今回の目的を話す。異世界召喚の件や能力、ハジメについてはぼかして伝える。わざわざ細部まで話すほど涼夜はファナを信頼していない。それでも話せるところは話すのが礼儀だと感じた。

 

「……友達を助ける為?」

 

「ああ。そのために俺はここに来ている」

 

「……ふぅん」

 

涼夜が話し終えるとファナはどう思っているのかよくわからない返事をしたが瞳の奥に哀愁と若干の嫉妬が混じっていた。

 

「さて、火山の情報も手に入れたし、それに向けての対策を明日までにするぞ。……戦闘訓練も、だな」

 

半ば強引に話を切り替え今後の予定を話す。

 

「………わかった」

 

「じゃ、寝るか」

 

ファナが了承したのを確認すると涼夜は一声かけ、眠りにつく。ファナも何も言わずに眠り部屋に静寂が訪れた。

 

 

 

 

 

 

翌日は涼夜が言った通り、火山対策の物品製作や火山の魔物との戦闘手段を身体に叩き込んだ。実践はできなかったが、事前情報がないよりはマシになったはずだ。

初めての迷宮攻略だ。いくら準備をしてもし過ぎということはないだろう。

 

 

そうして準備を終えた涼夜たちはグリューエン火山攻略に向かった。

 

 

 

 

 

 

***************

 

 

 

 

グリューエン火山の前の砂嵐を抜け(風魔法で砂嵐が弱まる程度までしか相殺できなかった)、グリューエン火山の内部に入った涼夜とファナ。事前に知っていたことだったがこの状況では文句も出てしまう。

 

「……くそあちぃ。早くここから出たいわ」

 

「…………」

 

涼夜は額に浮きでた汗を拭う。隣のファナは暑すぎて喋るのも億劫なようだ。

 

グリューエン火山の内部はマグマが地面の他に空中も流れており、足元と頭上を警戒しなければならない。さらに時折マグマが噴き出してくるのでそれも避けなければいけない。事前の兆候がないため慎重に進まざるを得ない。涼夜の危険察知で何とか避けてはいるが集中力がどんどん持っていかれる。

 

「………チッ、こりゃ時間との勝負だな」

 

涼夜は当初予定していた敵を避けながら進むのを諦め、気配察知と危険察知頼りにして無理矢理スピードを上げる。

 

「ーーー氷よ、抉り貫け。《風氷槍》」

 

「ーーグキャ!」

 

「ーーー槍よ、芯から凍えさせよ。《氷槍破》」

 

「ーーピギッ」

 

進行報告にいる敵は奇襲で屠る。涼夜は回転させた氷の槍をマグマを纏った牛にぶちこみ、ファナは刺さると破裂するように中から氷が突き出てくる魔法を鼠の魔物に放つ。

 

「………なんか思ったより弱い」

 

涼夜は魔物が死んだのを確認すると思ったよりも手応えが無かったことに驚きを感じた。

 

「……ここの魔物、強い。涼夜の感覚がおかしいだけ」

 

「……いや、ベヒモス級の敵が出てくるものだと思っていたからな」

 

「……バケモノ?」

 

「あ゛あ゛⁉︎誰がバケモノだ」

 

ふざけた言葉の応酬の中でも警戒を怠らずに進んで行く。

 

 

 

 

 

途中途中、休憩を挟みながら進むこと8時間。ようやく最下層と思われる場所に辿り着いた。

 

途中、暑さによる集中力の低下で魔物に正面から遭遇してしまい少し苦戦するということが起きたがそれ以外は基本何もなかった。

 

「ーーふう、ようやく最後か」

 

「……ここに涼夜が探してるものがあるの?」

 

「さあな」

 

涼夜は肩をすくめ、この層を見渡す。床はマグマで満たされており、足場は飛び出た岩石が所々ある程度だ。その空間の中で目立っているのは中央にある孤島だ。明らかに何かありそうだ。

 

「……中央の島に何かある。気をつけろよ」

 

「………うん」

 

涼夜はファナに注意を促すと飛び出た岩石を足場に飛び移りながら孤島へと移動していく。それに倣いファナも飛び移っていく。

 

涼夜が3分の2を渡ったとき、涼夜の危険察知に反応があった。

 

「ーーっ!ファナ!急いで中央の島に渡れ!」

 

敵影は見えないが反応があったという事は後数秒もすれば攻撃を受けるはずだ。足場の少ない場所で戦うのは愚策だ。

 

「……」

 

ファナは頷き、渡るスピードを上げる。だがファナはまだ半分くらいしか渡れていない。これだと島に着く前に攻撃を受ける。それはマズイので涼夜はある魔法を詠唱する。

 

「ーー光よ、我が真意を隠せ《光乱》」

 

涼夜とファナの周りで光を乱反射し、虚像を生み出した。しかもマグマの熱により蜃気楼擬きとなっている。

 

これで初撃は防げるかと思ったが甘かった。床からマグマが意思を持っているかのように吹き出し、蜃気楼擬きの場所ではなく涼夜とファナめがけて襲いかかってきた。

 

涼夜は危険察知が発動したためなんとか回避することができた。ファナは超人的反応でギリギリで回避。回避の勢いのまま涼夜は次の攻撃が来る前に中央の島に渡り、攻撃に備える。ファナは無理に回避したため、まだ島につけていない。

 

そんなファナに今度は本体と思われる蛇がマグマから出てきて顎門を開き、呑み込もうと突っ込んで来る。

 

「ーーー氷よ、抉り貫け《風氷槍》」

 

だが、涼夜がそれを遮る。涼夜の発動した風氷槍によって蛇の頭が抉り取られる。

 

「おい、嘘だろ⁉︎」

 

涼夜は驚愕の声を上げる。なぜなら蛇の頭の部分には肉体がなくマグマだけで構成されており、しかもその部分は再生を始めていた。

 

「………涼夜、どうする?」

 

涼夜が作った時間で渡ってきたファナが涼夜に尋ねる。マグマ蛇は既に中央の島に着いた涼夜たちを囲むように次々と現れ、20体以上のマグマ蛇が出てきた。

 

(肉体がないってどういう事だ?そんな魔物はーーーいた!バチュラムみたいな魔石を核に動くやつだ。それなら魔石を砕けばいいはずだ)

 

「……魔力眼で核が見えるか?」

 

「?…………だいたいの位置ならわかる」

 

「そうか。なら意味がないかもしれないが気配を消しながら隙のできたやつから投擲か魔法で核を潰してくれ。俺は攻撃を躱しながらやつらを吹き飛ばす」

 

その作戦にファナは戸惑い、涼夜に何かを言おうとしたが、

 

「ーーっ!来る!」

 

マグマ蛇によって断念されられた。マグマ蛇は一斉にマグマを吐き出しながら涼夜たちに向かって来る。

 

「ーーーーーーーー《聖絶》」

 

涼夜は小声で呟き、涼夜とファナを守るように聖絶を発動させる。聖絶によってマグマやマグマ蛇の攻撃を留めることができた。

 

涼夜はポーションで魔力を回復しながら魔法を維持する。そしてさらに()()()()魔法の詠唱を始めた。

 

「ーー暴風よ、音を超え、意識を超え、全てを見えない刃で切り刻め《暴音嵐刃(シュトロム)》」

 

涼夜の魔法が完成し、無数の真空波がマグマ蛇に襲いかかる。向かって来ていたマグマは暴音嵐刃によって阻まれ、押し返される。そしてその勢いのまま前方のマグマ蛇を吹き飛ばした。

 

涼夜はマグマ蛇が吹き飛んだのを確認すると後ろのマグマ蛇に意識を向けるとそこでは既に何体か数を減らしていた。

 

「……どうやって倒した?」

 

「………ナイフと魔法でーー」

 

「ああ、理解した」

 

涼夜はファナに尋ねるが最初の言葉を聞いただけで理解できたので話を打ち切る。恐らく魔法でマグマを吹き飛ばし投擲術でピンポイントで壊したんだろう。

ファナが言葉を遮られてむくれていたが涼夜は無視して、残りのマグマ蛇に鋭い視線を向ける。

 

倒しきれなかったマグマ蛇は聖絶に攻撃して、マグマの中に入っていった。そしてマグマの中から出てきたのは()()()()()()()()()()()()2()0()()

 

「おいおい、無限に生まれんのか、こいつら」

 

「……これじゃあ意味ない」

 

涼夜とファナに落胆の色が見える。だが、ここで諦めるほど涼夜は生半可な気持ちで迷宮に挑んでいない。

 

「……いや、きっと核の量に限界はあるはずだ。なら俺たちが死ぬか奴らが尽きるかの勝負って訳か」

 

希望というには先が見えなさすぎるものであり、可能性なんて無いに等しい。だがそれでも死ぬわけにも逃げるわけにもいかない。

 

「……逃げるか?」

 

「……逃げるなんてする訳がない」

 

「ーーハッ!なら死ぬんじゃねえぞ()()()!」

 

「当然!」

 

二人は技能をフル活用し、敵の攻撃を躱して核を破壊していく。

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい時間が経っただろうか。時間も数も考えず、ひたすら極限状態で集中していた二人はマグマ蛇の残数が10匹を切ったところでようやく異変に気付く。

 

「………あ?出現数が減ってるのか?」

 

「……たぶん」

 

「ーーならあと少しって事か!」

 

希望が見えてきた涼夜は活力が戻る。

 

「ーー氷よ、抉り貫け《風氷槍》」

 

涼夜は残り少ない魔力を振り絞り、風氷槍を4つ作り敵を穿つ。ファナも魔法と魔力眼を使い、的確に相手の核を破壊する。

 

涼夜はポーチに入っている魔力ポーションを飲み込む。かなりの時間戦い続けたのでもう既にポーチの中は来るときよりも随分と軽くなった。

 

「……これがラス1か。あと少しだって言うのに魔力が足らねえ」

 

涼夜にはもう既に風氷槍を撃つ魔力が残されていない。それはファナも同様であった。

 

涼夜が風氷槍を撃っている間にファナも魔法+ナイフで3体を倒していた。だが、ナイフと魔力がほとんどなくなり、打てる手がなくなっていた。

 

「………ナイフが尽きた」

 

マグマ蛇の攻撃を回避しながら涼夜の方に下がる。そしてファナは今の自分の状態を涼夜に伝える。

 

「くそっ、そっちもかよ……」

 

(どうするどうするどうする!あと3体を倒す余力なんてないぞ……)

 

涼夜が打てる手を模索している最中、ファナが涼夜の肩を叩いた。

 

「……協力すればいける?」

 

「‼︎ーーああ、いける!」

 

ファナの言葉に閃いた涼夜。それをすぐに実行に移す。

 

「ファナ、俺の土魔法で作った弾丸を風魔法でコーティングしてくれ」

 

「……わかった」

 

ファナに指示を出した涼夜は魔法を行使する。そしてそれに合わせてファナも詠唱をする。

 

「《錬成》!ーーー土たちよ、一つになり弾丸とかせ《土弾》」

 

「ーー風よ、鎧となれ《風鎧》」

 

涼夜が作り出した3つの土弾丸にファナの風鎧が纏われる。

 

「「ーー《螺旋弾》」」

 

2人の言葉とともに弾は一直線にマグマ蛇の核へと突き進む。そしてマグマ蛇はそれを防げず、弾が核をきっちり撃ち抜いた。それで形を保てなくなったマグマ蛇はマグマに落ちて同化した。

 

そしてしばらく沈黙が流れる。動くものは何もなく、気配もない。

 

「……もうこないな」

 

「……うん」

 

「……」

 

「……」

 

「ーーっしゃあ!勝った!」

 

「……ふう」

 

涼夜は勝どきをあげ、ファナは終わった事に安堵する。ひとしきり叫び、気持ちが落ち着くと疑問が湧いてきた。

 

「……そういえばなんで終わったんだ?」

 

「………あれ」

 

そう言ってファナが指差した場所には光っている鉱石が等間隔に並んでおり、ざっと100は並んでいた。

 

「……ああ、なるほど。最初光ってなかったことから察するにあれは討伐数の事か。だから途中で減ったんだな」

 

涼夜はその事に気づくと脱力して座り込んだ。決死の覚悟で挑まなくても終わりがある事が事前にわかったのに見逃していた事に残念がった。

 

ゴゴゴゴゴ!

 

何かが動くような音がすると島の中央にあったマグマのドームがなくなり、中から漆黒の建造物とその傍らに数センチ浮いた円盤が鎮座していた。

 

「……ここに涼夜が求めているものが」

 

「行こう」

 

そう言って涼夜とファナは建造物の中に入っていった。

 

 




今回出た魔法の解説
【風氷槍】水魔法で氷を作り、それを風魔法を纏わせて回転させながら射出。マグマのような高熱でも風が熱を遮るので本体に届く。
【氷槍破】氷魔法単体。氷の槍を作り、射出。そしてそれが相手に当たると中から氷を枝のように拡散して穿つ。かなりエグい技。
【暴音嵐刃】風魔法単体。上級魔法に匹敵する魔法で無数の真空波を生み出し攻撃する。余波で衝撃波も生むのでほぼ回避不能。ただ詠唱がそれなりに長く、集中力が必要なのが難点。
【螺旋弾】複合魔法。土の弾丸を作り、それに風を纏わせ回転をつけて射出。弾は人の顔の大きさで、先端がドリルのように尖っている。殺傷能力の高い魔法。
技能【平行詠唱】同時に二つの呪文の詠唱が可能に。涼夜が無意識で使っている技能。

うん、文句はあるかもしれない。すいません。
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