評価ありがとうございます!
戦いは書いたのですが、今回の戦闘の説明とか書いてると字数的にやばいのと、涼夜が悠長に話せる状態ではなかったので、省きました。詳しいことは次の回に説明すると思います。モヤモヤするかもしれませんが、そこはご容赦を。
簡単な説明は後書きに載せようと思います。
「よぉ、ミレディ・ライセン。望み通り来てやったぞ」
涼夜は獰猛な笑みを浮かべてミレディの方に向かって喋る。ミレディは表に出していた敵意を引っ込めて、涼夜との対話に応じた。
「……君があの3人の仲間だってことはわかったよぉ〜。だけど、移動部屋の壁をぶち抜いてここにやってくるなんて予想外すぎるなぁ〜」
ミレディは呆れを隠さず、やれやれと首を竦めている。
「一々、迷宮に挑むのに無駄な時間を使うのは嫌だからな。仕掛けが分かっているところはショートカットするに決まっているだろう?」
「それが非常識なんだけどねぇ〜」
そういうところがあの3人の仲間だってわかるところだよねぇ〜、とボソリと呟いたミレディに、
涼夜がミレディの挙動に警戒していると、ミレディは不意に呆れた態度をやめて、どこか軽薄な雰囲気で喋る。
「ま、御託はいいよね☆どうせ、あの3人からきいてるんでしょ?
ーーーようこそ、《万能者》。そして、さようなら」
ミレディがそういうと同時に涼夜の乗っていたブロックが浮き上がり、上昇していく。そして、涼夜の真上に浮かんでいたブロックが降下してくる。ハジメたちがやられた時よりも過剰な攻撃だ。完全に涼夜達を殺しにきてる。
「ーーーーー」
涼夜はブロックが迫っているというのにその場を動かず何かを呟く。
そしてその数秒後、涼夜が乗っていたブロック同士はぶつかり合い粉々に砕け散る。
「……呆気なさすぎるねぇ〜。これくらい回避出来ないとダメだよぉ〜」
ミレディは粉々になり、落ちてくるブロック片を見つめながら呟く。ミレディが見た限りだと、ファナの方は元々こっちを別方向から狙っていたようであのブロックからはすぐに退避出来ていたが、涼夜に関してはブロック同士がぶつかり合う少し前まで動けていなかった。
その状態からあれを回避するのは不可能であり、仮に耐えたとしてもダメージは確実に受けているため瓦礫片と一緒に落ちてくるはずである。
それもないということは潰されて肉片になったと思い、ミレディはファナに標準を定め、攻撃しようとする。だが。
「ーーーーおい、誰が呆気ないって?」
その言葉が聞こえると同時に背中の部分から、何かが軋むような音が聞こえ、ゴーレムの身体が吹き飛ばされる。
「なっ!」
ミレディは驚愕の声を上げる。涼夜がやられたと思っていたとはいえ、ミレディはきちんと周囲警戒しており、1秒前には背後には誰の気配もなく、いないことを確認していた。だが、次の瞬間には背後から攻撃を受けていた。まるでワープして攻撃したかのようである。
ミレディはゴーレムを制御し、崩れた態勢を重力魔法を併用して立て直す。ゴーレムに痛覚はないので、ダメージで隙が生まれることもない。
態勢をたて直して、攻撃してきた人物に目を向ける。
そこには聞こえた声からやはりというべきか、涼夜が立っていた。ただ、この部屋に入って来た時とは違い、手には重量のある斧を持ち、
「ーーー何をしたのかなぁ〜。《万能者》」
「何も特別なことはしていない。ただ走って、殴っただけだ」
この言葉に間違いはない。本当にただ走って、殴っただけだ。ただし、
タネを明かすと、それは実に簡単だ。涼夜はいくつかの技能を併用して身体の電気信号、及びリミッターを弄って、自分の力を上げている。
まず、涼夜は技能《魔力操作》と《魔力変換》を利用して、魔力を電気に変えて自分に纏わせ、電気信号の送るスピードを速める。これにより、反応速度を上げることができる。
だが、これだとあくまで反応速度が上がった分だけしか移動速度が上がらなくなる。
そこで涼夜が注目したのが、人間の筋肉のリミッターだ。人は筋肉の最大値の20%程度の力しか発揮していない。これの理由はそれ以上上げると身体が壊れてしまうから、脳が無意識に筋肉にセーブをかけているからだ。
なので、涼夜はあえて纏った電気によって電気信号が筋肉に伝わるの阻害してリミッターを外し、一時的な能力強化を図った。これにより涼夜は一時的に亜音速程度で移動することが出来、いつもよりも能力が上がっているという訳だ。
通常の涼夜であればいくらハジメ謹製の斧があったとしてもミレディに傷をつけることすら叶わなかっただろう。だか、これをすることによって可能にした。
だが、これは身体のリミッターを外すという方法から分かるように、何時間も使うことは出来ない。この状態で移動したり、攻撃したりすると筋繊維や骨などへのダメージが深刻になり、かなりの痛みを伴い、下手をすると死ぬ可能性だってある。
さらに、亜音速で動くということは人間の脳の処理速度では圧倒的に足りない。なので、2つの技能にプラスして《瞬光》までも併用しなければ実践では使用できない。
その対策として涼夜は筋力の出力を70%程に留め、痛覚を
要は、このスキル併用は言わば諸刃の剣である。
(……何回か練習で使っていたが、やっぱり長くはもたないな。今の攻撃で右腕の筋繊維がイカれた。一応無理矢理なら動かせるが、精密な動きは出来ない。80%くらいでこの有様か。………となると、回避だけに心血を注ぐしかないな。迎撃や反撃なんてしてたら身体がもたない。……はぁ、やるしかないか)
「…ふぅん。どうやら君は
涼夜が今後の動きを考えてながら警戒しているとミレディは涼夜の姿を見て感嘆の声を漏らす。そして何やら意味深な言葉を呟く。
(あいつ?……っ!)
涼夜の意識が少し逸れた瞬間、ミレディはこちらにゴーレムに装備されている鉄球を射出してきた。重量のある鉄球をかなりのスピードで放てるのは恐らく重力魔法で、涼夜に向かって
涼夜はすぐに躱し、背後に回るがミレディはこちらの動きを読んでいたのか落下するように涼夜に向かっていき、鉄球を射出した手とは反対の腕で殴りかかってくる。
危険察知で回避出来ないと悟った涼夜は力を受け流すために攻撃に合わせて持っていた斧を盾がわりとして自分から後ろに飛び、威力を殺す。だが、それでも威力を殺しきれず、身体から小さいが嫌な音が聞こえた。
「……チッ」
涼夜は今の攻撃で右腕の感覚がなくなり、しばらくは使い物にならなくなったことを感じ、思わず舌打ちをする。涼夜が地面に足をつけると、既にミレディはこちらに向かって距離を詰めて来ていた。
「ーー《電光石火》」
涼夜は今の状態では使うことの出来ない斧を宝物庫にしまい、先程と同じスキル併用《電光石火》を発動させる。亜音速でミレディから少し距離をとって今度は先程のやつとは使い方が違うスキル併用を使った。
「ーー《疾風迅雷》」
***************
(………うーん、何が狙いなのかなぁ〜)
ミレディは涼夜との攻防を行いながら、相手の行動の意味を考える。
涼夜がミレディから一旦距離を取ってからの攻防は膠着状態に陥っており、ミレディはもどかしさを感じていた。
距離を取ってからの涼夜は先程以上の反応速度でミレディの攻撃を全て受け流すか躱し、左手に持った拳銃でミレディに攻撃を入れてるが、決定打がなく、ミレディのゴーレムの装甲を貫くことが出来ないでいる。
逆にミレディは涼夜に攻撃を与えることができないが、1発当てることが出来れば右腕を負傷している涼夜には決定的な一撃になることは確実だ。
一見すると、力量は同等に見えるが条件的にも圧倒的に涼夜の分が悪い。ミレディと涼夜ではまず生身かゴーレムかの違いがあり、体力の消耗という差があり、尚且つ涼夜は《疾風迅雷》を使用してるために身体のダメージが付き纏っている。
なので、この状態は涼夜からすると明らかに不味いはずなのだが、涼夜は何の手も打ってこない。これから打ってくる可能性もあるがその様子はほとんど見られない。
(……
ミレディは攻防の最中の思考を打ち切り、涼夜の動きを観察する。相手の考えが読めないのなら、相手を観察して全ての動きに対応すればいいという、どこぞの脳筋のような結論に至った。
そして、涼夜を観察するとミレディはある事に気がついた。
(……私が動かないと攻撃してこないのかなぁ〜)
そう、涼夜はミレディの動き対して行動しているだけであって涼夜から攻撃してきた事は
そこでミレディは一旦距離を取った。涼夜はミレディに訝しげな表情を浮かべたが、ミレディが攻撃をしてこないのを見て、苦々しい表情を浮かべた。
「……いつ気づいた」
「君の狙いを考えてた時だよ〜。まあ、狙いが分かったからねぇ〜」
このミレディの発言はブラフである。ミレディは未だに涼夜の狙いなどは全く分かっていない。だが、涼夜がミレディに仕掛けてこないという事は狙っているものの準備が出来ていないという事だろう。
「……分かっているなら、止めてみろ」
ミレディの挑発に乗った涼夜はミレディに向かって
(……そっちから攻撃してきた?でも、それじゃあ私の身体を傷つける事はーーーーっ!)
涼夜の動きに対応して、銃弾を無視して涼夜に攻撃しようとするミレディだったが、本能が危険を感じ、涼夜が放った銃弾を左腕で受け止める。すると、
バキン!
大きな音とともにミレディの左腕に深刻なダメージが入る。ミレディが驚きを浮かべ、背後に回っていたであろう涼夜は舌打ちをする。
「クソッ!」
涼夜の雰囲気から今の銃弾が切り札だと察したミレディは涼夜に攻撃を仕掛ける。あの銃弾にさえ気を付ければ良く、よく見ると涼夜の左腕はライフルを撃った反動で
重力魔法を使い、涼夜の速度に追いつけなくても戦闘経験の差で速さの差を補い、涼夜に攻撃し続ける。先程の銃弾を警戒しているせいで攻撃頻度は下がったものの、着実に涼夜を追い立てる。
だんだん、涼夜の
(……いい線いってたけどこんなものなんだねぇ〜。……なら、
ミレディは見定めようとして敢えて威力を下げていた攻撃の威力を上げる。一撃の威力を昏倒級から、即死級まで。
即死級の攻撃の嵐に晒された涼夜は表情を変えることなく躱していく。ミレディの攻撃が当たる気配はないが誰の目から見ても涼夜の動きは精彩を欠いている。
打ち込むこと十数合、遂に涼夜の動きをミレディが捉えた。涼夜が避けた先にミレディの回し蹴りが飛び込んでくる。
涼夜は避ける事は不可能と判断したのかミレディの蹴りを受け止める姿勢になった。ミレディは威力を殺そうともしない涼夜の構えに違和感を覚えた。
(……何かがおかしい。…誘導されてる?……っ!そういえば
ミレディは自身の言いようのない危機感に襲われたが、蹴りを止める事は出来ない。蹴りはそのまま涼夜に向かっていく。
ミレディはファナという不穏分子の存在を思い出し、恐らく涼夜は囮だろうと外部からの攻撃を警戒する。
だがーー
外部からの攻撃などなく、涼夜はミレディの蹴りを
「ぐっ!」
「……へ?」
ミレディは想像もしなかった光景に思わず呆けた声を上げる。
「チェックメイトだ」
涼夜の呟きでミレディは我に返り、後ろに飛び退ろうとするがミレディの身体は
「なんで⁉︎」
ミレディは悲鳴じみた声を上げる。拘束されている訳でもないのに、先程まで動いていた身体が動かなくなっているのだ。例え、ミレディのような存在でも混乱するのも無理はないだろう。
涼夜はミレディの身体を仰向けになるように倒す。そして、涼夜の行った仕掛けのタネがバレる前に涼夜はライフルを右手に持ち替え、ミレディを倒すために宝物庫からミレディに向けて撃った銃弾をライフルに装填し、ゴーレムの核に向けて撃ち込む。
涼夜が撃った銃弾は的確に核を貫き、ゴーレムの機能を停止させる。涼夜はゴーレムの動きが止まったのを確認すると、大きく息をついた。
***************
「……なんで受け止められるのかなぁ?そもそも何故右腕が治っているのかなぁ?それにその女の子は何をしていたのかなぁ?」
ミレディを倒した涼夜は側にいたファナを引き連れてミレディの住居区に来た。そこで、ミニ・ミレディが出会って開口一番、涼夜に対してさっきの戦闘についての説明を求めた。
「……まだ、お前が俺を探していた理由を知らない。それを話してもらえなければお前に言える訳がない」
「……ふぅん。……ま、いっか☆私に君が警戒するのは当然だからね」
ミレディは目を細め、観察するような目を向ける。だが、それはすぐに霧散して元の調子に戻る。ミレディにとってはそこまで涼夜の力については聞くまでもない事なのだろう。寧ろ、話さずに警戒していることを評価していた。
「……さて、《万能者》。私の話を聞いて欲しい」
ミレディは真剣な雰囲気で涼夜に言った。涼夜はやっとここに来るように言われた理由が知ることが出来るので、その話は願ったり叶ったりだ。
「それはいいんだが、少し待ってくれないか?そろそろ魔力が切れる。……ファナ、魔力ポーション持ってるか?俺の分は使い切っちまった」
「……ない」
「あ、これ、
「え?それってどういうーーーー」
涼夜はこれから自分の身に起こる事を悟った。《魔力操作》で痛みを誤魔化していた涼夜は魔力が切れたらどうなるかなど経験してきたので、痛みには慣れるはずはないがもう達観している。これは無茶し過ぎた自分への罰だと。
「ーーーーっがあぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛っ!………」
「………へ?」
「……ベットとかある?」
涼夜は大きな叫び声を上げて、意識を失った。そして、何が起きたのか理解出来ず、呆然としているミレディと、ここへ移動している間に見慣れた光景なので特に驚かず、涼夜を運ぶ準備をしたファナという対照的な構図が出来上がっていた。
今回のネタ。HUNTER✖️HUNTERのキルアの技。私個人がこの世界での再現の仕方をしたので、原作とはちょっとした差異があります。
《魔力操作》+《魔力変換》:脳が身体に与えてる無意識のリミッターを電気によって外し、一時的に筋力の限界まで行使する。ただし、反動あり。
《電光石火》:電気を身体に纏う事で脳の指令を直接身体に伝える。能動的。
《疾風迅雷》:相手の攻撃に合わせて決められたパターンの行動を脳からの指令よりも早く電気によって体を動かす。受動的。
【現在の涼夜の状態】
右腕、骨折。左腕、粉砕骨折。両肩、脱臼。肋骨、三本損傷。下半身の筋肉、一部断裂、歩けないほどではないがかなりの損傷。上半身の筋肉、筋肉痛、動かせばそれなりの痛み。
正直、この世界にポーションがなければとっくに死んでいそうな涼夜。一応、魔力ポーションがないだけで、傷を癒すポーションはあるので、それは服用しています。