設定とか忘れてたので間違ってる部分とかあったらすいません…
「………ふぁあ。……ん?」
涼夜は目が覚めると見慣れない天井に疑問を浮かべる。そして、周りを確認しようと身体を動かした瞬間、身体中から痛みが襲ってきた。
「っ!……そういえばミレディと戦ってその反動でぶっ倒れたんだっけ」
痛みに悶えながらも気絶する前の事を思い出した涼夜は納得したように呟く。そして自分の状況を把握した涼夜は魔力が戻っている事を確認して技能を発動する。
「《魔力操作》《活力増加》」
魔力操作で痛みの信号を弱めて、身体の自然回復速度を上げる。そして、このままだと自然回復に体力を奪われるので、回復のエネルギーとして宝物庫からポーションを取り出して一気に飲み干す。
擬似的痛み止めで多少動けるようになった涼夜は上半身を起こし、《理論理解》で包帯や薬が塗られた身体の状態を確かめる。
(……あー、これは結構重症だな。筋肉の損傷は2日ぐらい安静にしてれば技能で治せて、左腕は骨折してる部分は治ってきているが右腕は骨が粉々に砕けた所為でポーションや技能使っても治るのは1週間ぐらいかかりそうだな。……俺たちの世界じゃ、こんなに早く治らないからそれはそれで有難いことなんだけどな)
涼夜は改めてこの世界の技能に感謝していると部屋の扉が開き、ファナが入ってきた。
「……涼夜、平気?」
ファナは起きている涼夜に気づくと心配そうに声をかけてきた。事前に言っていたとはいえ、ここまでの怪我(反動のダメージもある)をしたのは流石に心配をかけ過ぎたかと自分の至らなさを心中で自嘲する。
「ああ。痛みは酷いが痛覚を遮断すれば動けないほどじゃないし、技能で治癒速度を上げているから魔法さえ使えればすぐにでも治せるはずだ」
「……よかった」
ファナは涼夜の返事を聞いて少し安堵した表情を浮かべる。涼夜はその表情にほんの少しの間見惚れていたが、そんな表情を浮かべられるとは思ってなかったので、照れるように顔を逸らした。
「……あー、うん、そういえばこの包帯はファナが?」
涼夜は自分の中で気まずくなった雰囲気を無くそうと露骨に話題を変えた。だが、ファナは対人経験が浅いので涼夜の話題を転換を疑問に思うことなくそれに答える。
「……違う。ミレディがやってた」
「へぇ、ミレディが。……治療をすると言うことはどうやら色んな事情があるっぽいな」
涼夜は自分を治したというミレディの事を考え出した。
ミレディは戦闘の最中、即死系の攻撃をしていて、明らかに涼夜を殺しに来ていた。なのに、戦闘に勝ったとはいえ身体のダメージで倒れた涼夜を治療するのは行動としては矛盾する。殺したいなら倒れた涼夜を殺すべきだったし、仮に戦闘の結果があるために殺さないと決めていても、涼夜を治療せずに放置しても良かったはずだ。それで死んでもミレディの得にしかならない。
だが、実際にはミレディは涼夜を治療した。それが意味する事は、涼夜を殺す必要は無くなったか、それとも生かす理由が出来たか、それとももっと別の理由か。
(……たしか、「あいつ」という誰かと俺を比べてたな。その事が関係してるのか?)
「ミレディのところへ行くか。話を聞こう」
涼夜はこれ以上考えても答えの出ない思考を打ち切り、ファナにミレディのところまでの道案内を頼む。ファナは涼夜が動けるのか少し心配そうにしていたが、涼夜がベットから起き上がり、しっかりとした足取りで歩くのを見て、心配なさそうだと不安げな表情を辞め、涼夜を先導して歩く。
ファナの後をついて行くこと数分。涼夜はなぜか壊れている壁を修復しているミレディの元にやってきた。
「ミレディ、話を聞かせてほしい」
「ん?……目覚めたんだね。もう少しで終わるからちょっと待っててくれないかなぁ」
ミレディは涼夜の方を一瞥すると、すぐに壁を直す作業に戻る。
涼夜は「ほう……」と呟いて、宝物庫からおもむろに球状の物体を取り出し、火を付けてミレディが修復をしている壁に向かって放り投げる。物体はヒュー、と気の抜けた音を出しながら放物線を描き、ミレディと壁の間に落ちる。
「……え?ちょっ、」
作業に集中していたミレディは目の前に飛んできた物体に驚き、慌ててその場から離れるも退避が間に合わず、爆風で吹き飛ばされた。
「………」
「………」
「………っ」
ミレディは爆風で吹き飛ばされた身体に損傷がないかを涙目になりながら念入りに確かめる。
そして、そのミレディの慌てる姿をみて、必死に笑いを堪えてる涼夜とその行動に対して涼夜に呆れた視線を向けるファナ。
ミレディは機体の状態の確認が終わると爆弾を投げた犯人、涼夜に小さいゴーレムで詰め寄ってきた。
「ちょーっと、どういうつもりなのかなぁ!?」
ミレディの口調はそこまで変化がないが、語尾が強くなったり殺せそうな視線を浴びせているので、ミレディがゴーレムで無かったらならば、額に青筋が浮かんでいる事だろう。
「……あー、うん。ハジメから『ミレディが壁を直してたら邪魔しろ』との通達があってな。俺の迷宮でのイラつきもあったからやった。……反省はしてるが、後悔はしていない」
涼夜はミレディにあって再燃したイライラが収まり、落ち着いた涼夜は己のした事に若干の気まずさを感じたが、やって後悔するような事ではなかったので、某問題児の名言を言う。端的に言うとかなりの爽快感を味わっていた。
「……生かさなかったほうが良かったなぁ、この男」
「……スカッとしたけど、やり過ぎ。もう少し自重を覚えるべき」
ミレディとファナの両名から言われるが、涼夜は何も言わず肩を竦めるだけである。どうやら謝る気はないらしい。
「はぁ。どうしてこう、問題児が多いのかなぁ。……まあ、良いや。時間を無駄にするのも嫌だしここで話そうか」
そう言ってミレディは何もない空間から、椅子と机を取り出した。恐らく、涼夜が持っているものと同じ宝物庫だろう。なので、その行動に疑問を抱かずに涼夜はミレディの対面の椅子に腰掛ける。
「さて、そっちの話を聞かせてもらおうか。確か、「待って」……なんだよ」
「それよりも先に私を倒した方法を教えて欲しいなぁ〜。私の話は長くなるし、終わった直後には聞きそびれたしねぇ」
「……まあ、いいけど。特に言うほどのものでもないんだけどな」
そう言って涼夜は説明を始める。
「簡単に言うと、俺が囮になっている間にファナがミレディを嵌める罠を仕掛ける。そこに俺が誘導して、嵌ったら最高火力でブッパ。以上」
涼夜の説明は簡略にしすぎてミレディが聞きたい部分が全くわからない。特にミレディの動きを止めた仕掛けについて。
「私の動きを止めた罠って?」
「……こいつだ」
そう言って涼夜は宝物庫から束ねられた細長い糸を取り出した。
「糸?だけど、そんなもので私の動きを止められるかなぁ〜」
その糸をミレディは観察するが、特に何か凄いものがあると思えない。魔力を纏っているのはわかるが、それでもミレディのゴーレムを止められるような強度を持っているようには見えないのだ。
「使い方を工夫すれば止められるさ。魔力は隠蔽できるように魔力を隠す粉を使って見えないようにしてるし、身体の起点を抑えれば最小限の力で止められる。……まあ、心理的状況も利用したしな。多分それがなかったら見破られてるさ」
涼夜はミレディの疑問に答えるがそれが全てではない。ファナに罠を設置させてからは《気配遮断》でミレディの隙を突いてゴーレムの関節部分を涼夜の攻撃に合わせてーーいや、涼夜がファナの攻撃に合わせてミレディの関節部分を攻撃していたという方が適切か。
無論、ただ関節部分を攻撃するだけでは動きの差異で気づかれる。だから、全ての部分の性能を罠にかかる瞬間に一気に落とす必要がある。そのために必要なのが涼夜の《理論理解》だ。ファナの攻撃による関節へのダメージ、ミレディの動きによる関節へのダメージ。これらを《理論理解》で把握しながら、涼夜はダメージの足りない部分に攻撃を加える。そうしてバランスを保ちながら、罠へ誘導し、ちょうど罠にかかる瞬間に関節部分のダメージが限界に達するようにした。
これは相当神経を擦り減らすし、半ば運の要素があった。なので、もう一度やれと言われても難しいだろうし、二度とやりたくはない。色々な事情が噛み合わされて成されたものだ。
真実を言わないのはミレディを完全に信じていないし、涼夜の《理論理解》やファナの技能は隠しておきたい部分なので、ミレディに話すつもりは毛頭ない。
「…………んー、理解はできないけど、なるほどねぇ〜」
ミレディは涼夜の言い分に理解できないような顔をしているものの、真実か嘘かの判断はできないし、仮に嘘だと追求しても今話さない時点で、涼夜から真実を聞くことは出来ないとわかっているので、一応の納得を示す。
「さて、お前が聞きたいことは話した。なら、今度はそっちの事情について話してもらおうか」
「うん、そうだね。ーーーー」
***************
「……なるほどな」
ミレディの話を聞き終えた涼夜は小さく息を吐き、眉間に皺を寄せる。
ミレディの話を要約するとこうだ。
まず《万能者》の天職とは
まず、デメリットとは《万能者》の技能は最初から十全に使える訳ではなく、レベルと精神成熟度、そして把握している技能の数によって技能の性能を
……器用貧乏の出来上がりだな。
そして、理由だが《万能者》という天職はそもそもこの世界の人間にはなることができないし、
だが例外もある。俺みたいな他の世界から転移してきたものもそうだが、エヒトのような高次元の存在に人工的に作られた人間も稀に持つ事ができる。
エヒトは下界に降りるための器として、この世界に生まれてくる人々の技能にいくはずのリソースを殆ど全てを費やして《万能者》持ちの器を造った。ーーーそのせいでその後二百年近くは生まれてくる人間の技能は乏しくなったそうだがーーー
それがミレディの言っていた「あいつ」だ。
まあ、なんで俺にこんな話をしたのかと言うのは、ミレディ達解放者が器を破壊したため、その器と同じ《万能者》を持っている俺が狙われるからという事だ。
まあ、憶測の話であるしエヒトが狙っているかどうかはわからないが、警戒しておくべき事柄だろう。
「可能性の話をだけでも、対策できるのかそうじゃないのかでは全然違う。忠告、助かる」
「……うん。こっちとしても折角エヒトが降りてこられないようにしたのに君が器として取られたら困るからねぇ〜」
涼夜の言葉に若干の嫌味を混ぜて返すミレディ。その声が何処と無く哀愁を帯びているのは、きっと聞き間違いではないのだろう。
「あー、はいはい。自分の身体はしっかり守りますよ」
……涼夜がそこに突っ込む気は毛頭ないので、スルーされたが。
「……じゃあ、話はこれで終わりだな。俺はここを出る準備をしてくる」
少しばかりの沈黙の後、そう言うと涼夜は席を立ち自分が寝ていた場所に戻る。ファナは何か言いたそうに逡巡していたが、諦めて涼夜の後を追いかけていった。
そして、一人残されたミレディは独り言つ。
「……あの子は君の願いを叶えてくれるかもしれないね。期待していよう」
一応、添削しまくってボツになった文とかあるので、もしかしたら過去話とか投稿するかもしれないです。