なぜこんなに上手に書けるんだろう?何が原因だ?
文才か(白目
※檜山たち4人組のそれぞれの名前
檜山大介、斎藤良樹、近藤礼一、中野信治
「で、勝ちにいくとか言ってたけどどうやって勝つ?」
ハジメは涼夜に作戦を尋ねてみる。涼夜が「さて、勝ちにいこうか」と言っていたのをしっかり聞いていたのだ。
「ん?……ああ、勝つって言っても相手をボコる訳じゃないぞ」
「どういうこと?」
「俺たちの勝ちは2通りある。1つは純粋な力勝負で勝つ。もう1つは
「なるほど、それなら4人でもなんとかなるか」
ハジメたちは足止めや時間稼ぎの方法は嫌というほど考えてきた。火力が他と比べると圧倒的に足りないからこそだ。
「ああ。だから《泥沼》を使おうと思う」
《泥沼》とは涼夜たちが実践用に考えた作戦の1つで某ラノベの主人公の技を自分たちでできるように改良したものだ。
「……それ、僕の負担が半端ないよね」
「………さて、他には「聞けよ!」…やれやれ、お前ならできるだろう?」
涼夜は挑戦的な笑みを浮かべ、拳を前に突き出した。ハジメも苦笑いをしながらそれに倣うように拳を突き出し、拳同士を合わせる。
「もちろん!」
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適当な距離をとって相対する。
ルールは致命傷を負いやすい武器は禁止というものだけで他はなにをしてもいい。
一応各々の装備を紹介しておこう。
檜山たちは檜山、近藤、斎藤、中野の全員が木刀(真剣は危険なため)を持っている。
涼夜は腰に短刀(木)を2本さしていて、片手に木刀を持っている。それ以外にも色々な小物が入ったポーチを腰につけている。重装備(重くはないが)だ。
対してハジメは錬成師の手袋とポーチだけであとはなにも持っていない。
「んじゃ、始めよう。このコインが地面に落ちたらスタートで」
涼夜はポケットからコインを取り出し、ピンとコインを弾く。
コインは放物線を描き涼夜の目の前にカランという音を鳴らして落ちた。開戦の合図だ。
その瞬間檜山たちは涼夜たちに向かって走りだそうとするが、ハジメの錬成によって産み出された土のバリケードに動きを止められる。
檜山たちは急に出てきた壁に驚いたがすぐに木刀で薙ぎ払う。かなり速さで作ったので強度はすごぶる悪い。なのですぐに壊されハジメたちへの道ができる。
「おいおい、なんだよ、時間稼ぎか?脆すぎだろw」
そんな言葉が檜山から溢れる。完全にハジメたちを舐めていた。
涼夜は檜山になにも言わずにポーチから取り出した鉱石を檜山たちに向ける。
「風よ裂け、風波」
魔力が鉱石に流れ出し、涼夜の魔法が発動する。この鉱石はハジメと涼夜の共同開発(涼夜が原案、ハジメが錬成)で作り出したもので、詠唱短縮に加え、魔法の平行発動を可能にしている。もっとも、威力は魔力の量に依存するので途轍もなく燃費は悪い。
無数の真空波が産み出され檜山たちを襲う。
これを腕を組んでガードする檜山たち。普通ならガードしても深い裂傷を与えられるはずだがそこはチート組、軽い切り傷で済んだ。込められている魔力が少ないという理由もあるが。
「うぜえ!」
檜山たちはずっと続く攻撃にイライラしたのか軽い裂傷なら構わないと攻撃を無視して走り出す。だが、またもや進む足を停止させることになった。
檜山たちが壁があった場所より先の地面に足を踏み出すと、地面が割れ、落とし穴ができた。
「「うおっ」」
そんな声とともに動き出しの早かった近藤、斎藤の2人が落とし穴に落ちた。残りの檜山、中野は踏み抜きそうになったが先の2人を見て後ろに体重をかけることによって尻餅をつくも、なんとか回避した。
「くそっ、なんだこれ!抜け出せねぇ」
「あ、足が持ち上がらない!」
落ちた2人が動けなくなった現状に混乱している。檜山と中野もポカンと呆けている。無理もない、作る暇がないはずの落とし穴に落とされたのだ。これで平常心でいられる高校生なんているはずがない。
この落とし穴はハジメが壁を錬成すると同時に作ったものであり、壁は視界を隠すために作ったようなもので本命はこの落とし穴である。
落とし穴の中には粘着性の高い泥がはいっており、深さは肩ぐらいまでだが、泥のせいでほとんど動けなくなる。
泥は涼夜が水魔法の水とハジメの錬成で余った土を風魔法で混ぜて作った。いわばハジメの涼夜の合体技だ。
この技術、なんでもないように扱っているが実はかなり高度なものだったりする。
水の割合を1里でも間違えると相手が沈み込まなかったり、自分でも粘度が足りず、すぐに抜け出されたりする。
水の割合を最適化するのに1週間もかかったことを考えればいかに精密な技かわかるというものだ。努力を惜しまなかった結果とも言える。
間抜けな構図になっていた4人に何処からか「くすっ」という微かに漏れた笑いが聞こえた。そこでようやく檜山たちが自分たちの状況を理解し、羞恥と憤慨の表情になった。
「ーーッ!南雲ぉぉっ!」
いつも揶揄っていたハジメに手玉に取られたことに沸点を超えたのか檜山は叫び声をあげ、落とし穴をさけてハジメに突っ込んできた。どうやら涼夜のことは頭から抜けているらしい。
涼夜たちは足止め用の錬成や魔法を放っているが檜山はそれを一瞬で破壊して突き進んでくるので足止めにならない。
涼夜はハジメの指示に従おうとハジメの方を見るが、檜山の怒気に気圧されいてろくに頭が回っていないようでひたすらに錬成で壁を作っているが意味をなしていない。
「あーあ、こりゃ俺が盾になるしかないかぁ」
涼夜は勝つことを諦めた。
ハジメがこんな状態では無理だろう、と。
素早くハジメの前に回り込み、木刀を構える。そしてハジメに「俺の足を錬成で地面に固定しろ!」と怒鳴る。ハジメは思考力が完全に低下しているので言われるがままに涼夜の足を固定する。
「邪魔だ!どけ!」
そう叫びながら檜山は涼夜の脇腹目掛けて木刀を振るう。涼夜も迎撃するために檜山の剣の軌道に合わせて木刀を滑り込ませる。
(くっ、やばい!折れる!)
勢いのついている方と止まっている方のどちらが勝つかなんて誰でもわかる。まして、筋力も檜山の方が上である時点で涼夜に耐えれる道理はない。
木刀は折られ、少しばかり威力の弱まった木刀が涼夜の脇腹に叩きつけられる。涼夜の肺から息が漏れるが、足の拘束によりなんとか踏みとどまる。そして脇腹と腕の間に挟み込む。
「はっ、落ち着けよ」
「ーーッ!うるせえ!」
木刀が抜けなくなった檜山は木刀を持つ手とは逆の手で詠唱を始めた。至近距離で魔法をぶっ放すつもりだ。檜山はこの行為が危険だとわからないほど怒り狂っているようだ。
「ここに燒撃をーーー」
「やめんか!」
強者が発する威圧とともに怒声が訓練場に響き渡る。
檜山はこの怒声に驚き、詠唱を中断する。そして怒声を発した人物と周囲をみて自分がしていたことをようやく理解し、苦虫を噛み潰したような顔をした。
至近距離からの魔法を回避できた涼夜も緊迫状態から脱したからか鈍痛が脇腹に走る。どうやらかなりのダメージだったらしく吐き出しはしないものの口の端から血が流れ出た。
怒声を発した人物、メルドで顔は真っ赤に染まっていた。
「お前ら!訓練時間でもないのになにをやっている!」
メルドは当事者たちに鋭い視線を向ける。みんな一様に目線を下げたが、涼夜だけはしっかりと目をみて言葉を返した。
「ちょっと、模擬戦をしていたら、熱くなってしまいました、すいません」
涼夜はハハハと少し軽薄そうに笑う。だが顔は苦痛に歪んでおり、額に汗も滲んでいる。誰がどう見てもやせ我慢をしているようにしか見えない。
「本当か?」
「ええ」
メルドの責めるような視線も涼夜は苦笑いで流す。
「……わかった。ならこの場はこれで終わりだ。次からは俺に許可を取るように」
僅かな沈黙の後、己の感情を抑えつけるように話す。説教をしても意味がないと悟ったらしい。涼夜としてもこの状態で色々聞かれるのは嫌だったので有り難かった。
「わかりました」
「……それと怪我を診てもらえ。流石にその身体では訓練はできないだろう」
メルドは涼夜の脇腹の状態が兵士としての経験からかわかったらしい。まあ、素人目にも顔色が悪いので酷いということはわかる。
「……お気遣い、ありがとうございます」
涼夜はこうなったのは自業自得だと心の中で自嘲した。覚悟はあったので後悔はしていないが。
治癒師の方に直してもらい、訓練に参加した。ハジメに庇った理由を聞かれたが笑って誤魔化した。理由を言うのが恥ずかしかった。
尚、訓練中、ハジメをみる目が侮蔑から少し変わっていたので怪我を負った見返りとしては十分だろう。
ただ檜山たちからは親の仇を見るかのような目を向けられていたので夜道に気をつけなければいけなそうだ。
そして訓練終わりにメルドから聞かされた、
「明日から【オルクス大迷宮】で実践訓練をする」と。
(うわぁ、なんてタイミングだよ……流石に死ぬ可能性があるところで報復はしないよな、うん。……怖いから気をつけておこっと)
一抹の不安を覚えながらもどうすることも出来ず、時間は夜になっていく……
正直これでいいのかとは考えた。でも器用貧乏と最弱じゃあこれが限界だと思うんですよ。チート化はまだ先ですし。