第一話 悪夢と封印
前に進むとどんどん景色が変わっていき、メルヘンなおもちゃ箱から暗い夜の様な場所になり、吸血鬼の視力を持ってしてもぼんやりと見えるくらいだ。
少し怖いが前に進むと男の人の悲鳴が聞こえた。
「やめろ!やめてくれ!頼む!グワァァァ‼︎」
急な音への情報により驚いたが、地下に閉じ込められていた時に何回も聞いた音なので、慣れてしまった。
曲がり角を曲がるとさっき悲鳴を上げた人なのだろうか、おびただしいほど大量の血が床に、壁に、そして天井にもかかっており、ひたひたと血が流れ落ちていた。
フランは青ざめた、なぜなら
「この殺し方、私の能力、、、」
幽閉されていた時の狂気に苛まれていた時の殺し方、部屋が汚れるのは嫌だったが、殺される者の悲鳴が聞きたいからゆっくりと破壊していくのだ。
慣れていた悲鳴の声は自分が殺していたから慣れていた事に気づき、罪悪感と嫌悪感に見舞われ吐いてしまった。
この先に何があるのか分からない恐怖から立ち止まっていると
『早く進めよ』
何重にも聞こえる男とも女とも言えない声が頭の中に響いた。
「こいつ!直接脳内に!」
と、元ネタが何なのか分からないセリフを言って、逃げるために後ろを振り返ると、血だらけで、両目がくり抜かれた死体が目の前に落ちてきた。
『また逃げるの?』
◇◇◇
目が醒めると私は自分が泣いていることに気付いた、そして次にびっしょりと汗をかいていることに気づいた。
私、どうして泣いているの?
何か怖い夢を見たはずなのだが、何の夢だったかは覚えていなかった。
その日はいつもと変わらない日常を暮らして、そのうち夢の事など忘れてしまった。
◇◇◇
「ここはッ!」
昨日の夢の続きだという事が分かるくらい鮮明に思い出した。
『早く進めよ』
またあの声が聞こえてくる。
昨日はここで逃げたから夢から醒めたのだから、今回も夢から醒めることが出来るだろう。
そう思い、後ろを振り返る。
ほら、やっぱり
今回も夢から醒めることが出来た。
「どうしたのフラン」
声のする方を見ると、パジャマ姿のお姉様が心配そうにこちらを見ていた。
「お姉様、私、怖い夢を見て」
「そう、それでどうしたの?」
「うん、それで、怖かったから逃げてきたの」
「そう、また逃げるのね」
「え?」
お姉様のほうを見ると血だらけで目玉がない顔になっていた。
あぁ、昨日の夢の生首はお姉様だったのか
なんて、呑気に思える筈もなく私は悲鳴を上げた。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
赤ん坊をあやす様な明るい曲調の音楽が聞こえてきた。
私をあやしているつもりだろうか、
「〜、、、、〜〜、、、、」
私ではない声が聞こえる。
なにか、寂しそうな声が、
辺りを見渡してみると、泣き声の居場所が分かった、そこには鉄の檻しか無かったのだが、その中から声が聞こえてくることに気づいた。
その檻に近づいてみると、近くに鍵があった、檻と同じかそれ以上の大きさのナンキン錠がかけられていたため、可哀想なので鍵を開けることにした。(まぁ、檻の中には何も見えないのだが)
カチンッと、音がなり鍵を開けると、扉が壊れるくらい強く開けられた。
そして、今まで見えなかった姿が檻から出た瞬間に見える様になった。それは、
「ふ〜、やっと外に出られたぜ、紅い霧の時以来か〜?フランちゃんよ〜」
「これでみんなと遊べるね!ひとりだけ遊んでずるいよフランちゃん!」
「〜、、、、〜〜、、、、」
それぞれが思いのまま喋っているが三人が、その全てがフランなのである。
厳密には少々違いはあるが、(目の色とか、喋り口調とか)れっきとしたフランそのものである。
「貴方達は誰なの?」
そう問うと、
「あぁん?見たまんまだよ、感じたまんまだよ!お前と同じフランだよそれ以外の何者でもねーよ」
青目のフランが答えた、
「でも、お前がお人好しになってくれて助かったぜ、前のお前じゃあ檻を開けてくれなかったからな、ありがとよ、フランちゃん!」
と言いながらフラン(オリジナル)の肩を叩く青目フラン。
「まぁ、外に出られたことだし自由に動きますか、幽閉されてた時ほど精神は強くないからなぁ、、、」
などとよく分からない事を言って、
「まぁ、ちょっと観光するだけだから何にもしねーよ、俺も牢屋の外は気になるしな、、、じゃあ、ちょいと失礼するぜ」
失礼するぜ、と言った青目フランは本当に失礼な事をした。
何をしたかというと、キスをして来たのだ。
失礼にもほどがある!
そう思った矢先、フランは糸が切れた人形のように気を失った。
次回は1週間後になるかもです