大量の光球が力強く咲く花のようにきらびやかに空中に咲いていた。
しかし、美しい花にはトゲがあるように、この花の弾幕に当たるとただでは済まない。
それは今交戦している霊夢も周知の上で戦っている。
その吸血鬼と、、、
「チッ‼︎ しぶとい奴だな、流石、と言ったところか?」
と、吸血鬼、
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらっていいかしら? あんた、前より強くなった?」
と、博麗の巫女、
「当たり前だろ、人間、成長するもんだぜ、俺は吸血鬼だけど」
会話を交わしてから直ぐにまた弾幕を張り出した。
◇◇◇
夢の中、ドレミー・スイートと本来のフランドール・スカーレットがこの戦いを見ていた。
「この戦いはどっちが勝つの?」
「、、、。冷静に考えても考えなくても博麗の巫女が勝つだろう、ただ、気がかりなのは
そう、と、また現実を写す鏡を見る。
その切り札を見届けるために、誰にも知られない。知る由も無い戦いのためにも、タイミングを合わせるために、、、
◇◇◇
「クッハッハ! そろそろいいかな」
「?」
フランは霊夢との交戦を抜け出し後ろに下がった。
「ッ! 待ちなさい!」
逃げたと思った。が、そんな思いは杞憂だったらしく吸血鬼の身体能力から繰り出される攻撃はかわせなかった。
「クッ!」
引き離されたこの距離を埋めようと近づいた。が、
もう、遅かった。
フランが引き返した先には常闇の妖怪ルーミアがいたのだ。ルーミアを持ったら動きが鈍ると思ったのだが、フランはルーミアを武器に使った。
ルーミアは『闇を操る程度の能力』を持っている。本来なら自分の周りを円形状に隠すだけの能力なのだが、495年間監禁されて
虐符『サディスティックゲーム』
視界が見えなくなった。
上も下も見えない、そんな中で密度の濃い弾幕が繰り出されていた。霊夢はこの弾幕を必死に避けながら、弾幕がどのようなものかを考えていた。
弾幕は目と鼻の先でやっと視認できるようになるので、反射で避けているのだが、その中で考えられる霊夢はさすが博麗の巫女と言わざるを得なかった。
暗くてなにもわからないが。
考えた限り、遅い鱗弾と早い追跡弾のようだ。追跡だは一度避けると緩くカーブしてまた追跡してくる感じ、鱗弾は、自機狙いだが、ゆっくりと狙ってきている。
「アハハッ! ほら、もっと俺を楽しませろよ‼︎」
フランからはこちらが見えているのだろう。そうでなければ自機狙いの弾なんて打てるはずがないのだから。
次に、スペルカードの意味も考えてみよう。
意味がないかもしれないが、少しでも意味があるならやるに越したことはない。
創符『サディスティックゲーム』
サディスティックの意味は嗜虐的、ゲームは遊び、嗜虐的な遊びだろうか? 違う、ゲームにはもう一つ意味があるそれは、獲物だ。
つまり、このスペルは嗜虐的な獲物という意味になる。
なるほど、自分は安全なところから弾幕を避ける姿を観戦しているのだろう。
しかし、霊夢にはもう、このスペルカードの突破方法は思いついていた。
「残念だけど、あんたはもう楽しめないわ」
自機狙いの鱗弾は、確実に霊夢を狙ってきている。しかし、逆を言えば、その鱗弾の直線上にフランがいることになる。
「夢想封印‼︎」
「グッ!」
五色の陰陽玉がフランに向かって放たれた。
うめき声をあげたということは命中したのだろう。
さて、と。
「気絶、、しているわよね。闇も晴れてきたし、異変はこれで解決したかしら。んー、このままってのも悪いし紅魔館にでも連れていってあげましょうか、ついでに食べ物も貰ってこよう」
と、呑気に独り言を呟いている霊夢はフランを抱えて紅魔館に向かった。
しかし、表向きは終わっていても、フランの裏側、つまりフランの精神世界では戦いの火ぶたが切られたのだった。
それは何故か、青目フランが気絶しているからだ。
◇◇◇
青目フランは目が覚めた。
なお、この精神世界では、片目だけが青色というわけではなく、両目が青色をしている。
青目フランは目が覚めた瞬間にここが夢の世界であることがわかった。何故なら。
「やあ、こんにちは、青目フランちゃん、私は創造フランと呼ぶことにしているけどね」
現実世界にも、ましてやフランに身体の自由を奪った時にもいなかった者がそこにいたからだ。
「誰だテメェは」
「おっと、私としたことが名乗るのを忘れていたよ。私はドレミー・スイート、どちらでよんでもかわまないよ。勿論、憶えて貰わなくったっていい。それより、君に話したいという友人がいるようだよ」
と、言い、後ろを振り向いた。
「青目フラン、あなたはどうしてこんなことをしたの?」
もちろん、ドレミーの解説によって知ってはいるのだが、本人の口から聞きたかった。
「別に、意味なんてねーよ。ただムシャクシャしただけだ」
「そう、本当はお姉様を越えようとして、異変を起こしたんでしょう?」
「ドレミーの受け売りか?」
図星だ。
自力で答えにたどり着くにはもう少し時間がかかっただろう。
「はぁ、結局お前はそういう奴なんだよ、自分がやったわけでもねーのに自分の手柄の様に喋りやがって! そんで代わりにやってくれた奴には礼も言わねー! 俺はお前が大嫌いだ! 自分で輝いていると思っている月が嫌いだ! 自分で沸騰していると思っている水が嫌いだ! 嫌い嫌い嫌い嫌い」
でもな、と、話を続ける。
「
「、、、、。」
圧巻だった。
私は青目フランのことを自分勝手な奴だと思っていた。しかし、実際は自分の為に、自分の諦めていた夢を叶えようとしていた。
ドレミーの言っていたことは本当だったのか。
だから、と、言葉を紡ぐ青目フラン。
「だから、まだ、終わるわけには行かねーんだよ‼︎」
さっきまでの悲壮感漂う雰囲気から一転、戦闘モードに入ったのだろうか。翼を広げ、空に飛びスペルカードを唱えた。
「蒼符『セイクリッドサファイア』」
唱えた時にはもう、そこに青目フランはいなかった。
きっと、自分の能力でまた新たに夢を作り変えて潜伏しているに違いない。
「逃げられてしまったね。でも、落ち込む事は無い。またチャンスはある。その時に吸収すれば良い」
吸収。
吸血鬼だからこそできる力技。
私の破壊する能力で、液体になるまで破壊した人格を一滴残らず吸い尽くす方法。
でも、と、私はこれをすることに僅かながらも抵抗を感じて来た。
別に吸わなくてもいいのでは無いか? 別に方法はあるのでは無いか?
そんな方法があるのなら。
「ねぇ、ドレミー」
「なんだい? フランちゃん?」
「人格を吸収しなくても解決できる方法ってないの?」
「、、、、、。」
ドレミーはその質問に答えた。
◇◇◇
紅魔館。
それは、吸血鬼の住まう館。
四方八方紅に染まっており、その不気味さから、誰も寄り付かない。普通の人間ならば。
そんな恐れ多い紅魔館に霊夢は到着した。
「あっ! 霊夢さん! どうしたんですか?」
この元気の良い女性は紅美鈴、さっきの暗い昼の異変のことを聞かない所を見るとどうやら昼寝をしていたらしい。
「あんたんとこのフランが異変を起こしたのよ。気を失っているから連れてきたのよ」
「異変、、、ですか? フラン様は精神の暴走も収まってきて、大人しくなっていたのですが」
「ブツブツ考えるのは良いんだけど、これ、持ってって良い?」
と、フランの顔を美鈴に見えるようにする。
「これって、そんな物みたいに。でも、一大事ですもんね、どうぞ、入って下さい」
「ありがとう」
あ、そうだ。と、美鈴が後ろから話掛けてくる。
「気をつけて下さい。レミリア様が、大変気が立っているとの事なので、何か悪い運命が見えたのだと思います」
「分かったわ。忠告どうも、中国さん」
「その呼び名やめて下さいよ」
霊夢は紅魔館の中に入った。
◆◆◆
中に入ると、妖精メイドがぶつかって来た。
だが、謝りもせずに慌ただしくどこかへ去って行った。
ここの妖精メイドはメイド長である咲夜に礼儀作法をみっちり習っている筈だ。それなのに謝りもせず走り去るのはおかしい、。何かあったのだろうか?
中を歩いていると、目の前に人が立っていた。
なんの前触れも無く、突然。
しかし、それは、怪しい人物ではなく、メイド長ご本人だ。
「毎度毎度、急に目の前に現れてきて、、、」
「世間話は後にして、今はあなたの手が必要なの」
随分と焦っているようだ。
ただ事ではないのだろう。移動しながら咲夜に問いかける。
「一体何があったのよ?」
「、、、お嬢様が暴走したわ。今あなたが担いでいる妹様が攻撃される運命が見えたそうなの」
「それで暴走したわけね」
「こんなに怒り狂ったお嬢様を見るのは紅霧異変の時以来よ」
「、、、、。」
つまり、紅霧異変の時の状態なのか。
気をつけた方がいいわね。
レミリアの所に着いた。
「入るわよ。レミリーーー」
扉を開けて、部屋に一歩踏み入れた瞬間。
レミリアの腕が霊夢の首元に飛んで来た。
吸血鬼の鋭い爪が、首を掻っ切って来たのだ。
霊夢はそれを受け流した。容易に、呆気なく。
これだけで、霊夢の強さは充分に伝わるのだが、レミリアは果敢に、貪欲に攻撃を繰り返した。
100パーセントの力で霊夢に振りかざしたせいか、腕が限界を迎え、右腕は二の腕から原形を留めない程骨が折れており、左腕は肘から腕が千切れていた。
「もう、気が済んだかしら」
レミリアの、それも吸血鬼の全力を全ていなされ、腕が使い物にならなくなったため、攻撃を辞めざるを得なかった。
「お前が、、、お前が、、フランをやったのか」
もう、そこにはレミリアの姿はなかった。
人の姿をしているのは、あくまで人を魅了するためであって、本来は3メートルぐらいの大きさで、牙が至る所から飛び出ている化け物に過ぎない。
目は血走っており、こちらの話を全く聞いていない。
やれやれ、面倒なことになったわね。と、霊夢は思った。
とにかく、本気でかからなければこっちが死んでしまう。
この状態のレミリアは弾幕などの生ぬるい攻撃はしてこない。本気で殺しにかかってくる。
「ウアァァァァァァアアアァァ‼︎‼︎‼︎‼︎」
レミリアの絶叫は空気を振動させ、人里まで響いた。
「‼︎」
霊夢は気づいた。
身体が全くと言っていいほど動かないことに、
「な、、ん、なのよ、、これ!」
蛇に睨まれたカエルは、絶対的強者を前にして恐怖を感じ動けなくなるらしい。今、それと同じことが起こっている。
吸血鬼は人間にとって、たとえ、博麗の巫女でさえ、恐怖で動けなくなるほどの威圧感だった。
気づけば、霊夢は歯をガガチガチと鳴らしていた。
そして、次にレミリアが腕を振りかざしたことに気づいた。
ああ、死ぬんだな。私。
死ぬ事に恐怖はなかった。何人もの妖怪が私の手によって死んでいったからだ。ここで死ぬのならそれを受け止めよう。
霊夢は目を閉じた。
瞬間。
時が止まった。
レミリアがグロイことになってますが、作者はレミリア派です。