IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第101話

「皆さん、準備は良いですね!?それじゃあスタートラインまで移動しますよ!!」

 

真耶の声がピット内に響いた、それと同時に全員が愛機をその身に纏う。そしてその後に続くように足を進めながら太陽の光に照らされるレース場へと足を踏み入れていく。同時に大歓声が自分達を歓迎するように飛び込んでくる、それに一瞬怯みつつもスタートラインへと進んでいくとハイテンションな司会の声が聞こえてくる。

 

『これより始まりますのは期待の光を受けつつも今も尚成長期、育ち盛りな一年生の専用機持ちによる激しい攻防でございます!』

 

司会の声と共にアリーナの超巨大なモニターに一人ずつの姿が映し出されて行く、それが一つずつクローズアップされ司会の声と共に紹介が行われていく。将来的に各国の代表を担うかもしれない最も若い彼らの紹介、先ほど行われた二年生の物に比べると劣るかもしれないがそれでも面子は十二分なほどに濃厚で強者ぞろいであるのは間違い無い。

 

『さあいよいよこの二人の紹介です、世界で唯一ISを動かした男性操縦者の二人!!織斑 一夏、そして杉山 カミツレの入場であります!!』

 

二人の登場に会場は更にヒートアップして行き大歓声がアリーナを揺らす、世界最強の弟の一夏。そして今では雑誌の取材や自らの価値を示してきた事で世界中にファンが生まれ、知名度も一夏と並び初めているカミツレの名が会場中で木霊している。特に取材の影響か、カミツレの名を呼ぶ声がとんでもなく隣に立っている一夏からからかうような視線が飛んでくる。リチャードの言葉通りの状況になっており、頭痛がしてくる。

 

「凄い人気だなカミツレ、ええっ?」

「うるせぇ。いい加減にしねぇとスピードロップ叩きこむぞ」

「すんませんした」

 

そんなやり取りをしながらもスタートラインに整列した一同、間もなくスタートという中でカミツレのハイパーセンサーの視界の端に観客席の最前線で応援のタオルを持っている簪が見えた。専用機開発が再開されたが間に合わなかったらしく欠場したらしいが、自分の応援に徹してくれているようだ。それに軽く手を振りつつ意識を集中する、刻々と迫るスタートの時。シグナルランプが一つ、また一つと時間を教える。そして……

 

『スタートォォォォッッ!!!!』

「―――っっ!!!」

 

超満員の視線が集中する中でグリーンのランプが点灯した。その瞬間に「蒼銀」が真っ先に飛び出していく、周囲から一斉に攻撃が掛かってきたのを避ける為の「瞬時加速」をいきなり使用してスタートダッシュを仕掛けた。急激な加速で景色が吹き飛ぶ中、飛び出した彼を追いかけて行く一同だがそれに追従していくのはセシリアと鈴、そしてなんと一夏であった。

 

「待ちやがれぇぇぇぇカミツレェェェェェッッッ!!!!!」

「うるせっ」

 

そんな素直な感想を吐き捨てながら先頭を独占していたカミツレは独特のカーブとストレートを織り交ぜた飛行で後ろから飛んでくるレーザーと衝撃を回避しながら第一コーナーへと差し掛かった。ヨランドに教え込まれた「稲妻軌道動作」で最短コースで切り抜けてカミツレに続くように既に凄まじい攻防が行われている二番手争い、それを一早く突破したのは一夏であった。

 

「どぉぉぉぉおおおりゃあああああ!!!」

 

操縦技術が未熟な一夏にとってコーナーをトップスピードで曲がり切るのは難しいとしか言いようがない、がそれを一夏は無理矢理解決していた。なんと「雪片弐型」を地面に突き刺しつつそれを支点にするようにしながら機体の方向を転換させながらカーブを見事曲がりきったのである。

 

「っしゃあっ!!ておわぁっ!!?」

 

そんな彼に襲い掛かったのはラウラの砲撃であった、カーブ時はスピードを落としたラウラだったがそれでも十分すぎるほどのスピード下でリボルバー・キャノンで偏差射撃を行った。それでバランスを崩した一夏の傍を抜けて行きながら次にカミツレに狙いを定めるが、そこへシャルの銃撃が襲い掛かっていく。

 

「お先に失礼しますわっ!!」

「ちっ逃がさないわよ!!!」

「それはこっちの台詞よぉ!!!」

 

そこへスリップ・ストリームで一気に抜き去って行くセシリアは、更に「瞬時加速」でカミツレの後ろへと追って行きながら消えて行く。それを追いかけようとする鈴だがそれを妨害するかのごとく殴り掛かってくる乱の対処に追われ、舌打ちをしながらもそれに対処するがそれに更なる嵐が舞い込んできた。四方八方からレーザーが打ち込まれてきたのだ。

 

「な、なにっ!?」

「これってまさか杉山君のBT兵器!?」

「奴め、トラップのように置いて行きおったのか!!」

「っくぅぅぅう流石カミツレさん、惚れ直しちゃうけどこれは流石にヒドいぃ!!?」

 

四方八方から襲い掛かってくるレーザーの雨は全てカチドキによって制御されている物、絶妙な角度によって掛けられていく追い討ちのような攻撃にスピードを落としながらの回避を余儀なくされて行くが唯一加速して突っ切ったのがいた。それは一夏だった。彼の愛機の大出力で無理矢理それらを振り切って、セシリアの後を追従して行く。

 

「待てぇぇぇぇっっ!!」

「捉えましたわっ!!」

「くっ!」

 

カミツレは後ろを向き直りながら「スターダスト」を握りこみながらレーザーマシンガンを乱射して行く。大した意味はないかもしれないが邪魔になる事は間違いない、しかしそれらを巧みに回避しながらライフルを放ってくるセシリア、その一撃が「ディバイダー」に掠ってしまい出力が落ちて追い付かれてしまう。

 

「追いつきましたわよカミツレさん!!」

「流石セシリア、惚れ直しちまうな!!」

「フフッではこの先を頂きますわっ!!」

「いや俺が頂くぜ!!」

「「嘘っ何時の間に!?」」

 

白熱している先頭争い、しかしそれから頭一つ飛び出したのは二人の背後でスリップ・ストリームを利用して機を窺っていた一夏であった。まさかの登場に困惑する二人だが、一夏とて今日までナタルの訓練メニューとラウラの指導を受けて実力のアップを図ってきた。努力の質はカミツレにも負けない。

 

「まさかの伏兵とは、やってくれるなっ!!!」

「意外!!私達の最大の敵が織斑さんとは……!!」

「喧しい!!悪かったな意外な伏兵で!!!?」

「「全くだよ!!!!」」

「うるせえ俺だってやれるんだよぉぉぉっっ!!!!」

 

そのまま先頭争いはこの三人となった、凄まじい気迫と攻撃とテクニックの応酬により抜きつ抜かれつの連続なっていた。一夏は二人からの集中攻撃にめげる事なく駆け抜けていくが、一年最高のスナイパーと言うべきセシリアの偏差射撃とヨランドから機動指導を受けたカミツレによって徐々に差が広がっていく。そして最終的に一位を取ったのはセシリアとカミツレが同着、一夏が三位をもぎ取る形となった。それでも大健闘には変わりないのだが本人は酷く悔しそうにしながら今度は絶対に勝つ!と二人に宣言していた。

 

 

「アッハハハハハいっくんもやるねぇ!!いやぁ良い勝負だった、名勝負だったね!!うんうん私もこんな物を見られて大満足、子供たちも大満足で言う事無しだよ。さてと…私はこんな名勝負を穢そうとしてくれたお馬鹿さん達に制裁でも加えに行こうかな」

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