IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第117話

「はぁっ……」

「如何したんだ兄さん、溜息なんてついて」

「誰のせいで吐いてると思ってんだよ……」

 

放課後となった時、カミツレは思わず溜息を吐き出していた。その理由は昼休みになし崩し的に決まってしまった皆の弁当を自分が作るという事だった、材料自体は兄が気を利かせて送ってくれているので問題はないのだが……問題は追加で5人分も作る事になってしまった事だ。既に千冬に真耶、セシリアに乱そしてマドカの分を作っているのに…自分を除外しても10人分の物を作らなければならなくなってしまった。いや作る自体は問題ない、問題なのは弁当の中身を何にするかという事である。

 

「それぞれの故郷の料理をアレンジする形で作るか……?また皆で食べるわけだから、その時に同じ中身だったら手抜きと思われるのは嫌だしな…カチドキ、みんなの故郷の料理をリストアップしてくれるか?」

『了解しました』

 

小声でカチドキにお願いしつつ、目の前では兄さんなら大丈夫だと言いながら張るほども無い胸を張っているマドカのドヤ顔がある。そんな顔に怒りは湧かずに可愛いなぁと思ってしまう辺り、自分も妹が出来た事を相当嬉しく思っているのだと自覚させられる。これでは妹萌えかよと兄に突っ込んだことを言えなくなってしまう。まあ此処まで頼もしく思われているならば応えるとしよう、時間をとれば良いだけの事なのだから。そう思っていながら立ち上がったタイミングでシャルと隣のクラスから鈴がやってきた。

 

「よっカミツレ、昼休みは悪かったわね。その場のノリで頼んじゃったわ」

「僕もごめんね。きつかったら別にいいからね?」

「そんなことなどないぞ、兄さんならばその程度容易い事だからな」

「おい元凶が何で自信満々で言うんだよ」

 

軽くマドカの頭を叩いておく、マドカは可愛らしくあいたっと言葉を漏らしながら此方をジト目で見てくる。何をするんだと言いたげにみてくるが如何にも可愛く見えてしょうがない。どうやら本格的に彼女の事を可愛い妹として見ている…思わずそんな自分にため息をついてしまう。

 

「そう言えばあんたどっか行くの?」

「ああ、ちょっとな。訓練機を見にな」

「訓練機を?」

 

マドカは現在イギリスの代表候補生として登録が行われている、現在イギリスで開発中の新型が彼女に割り当てられる事になっているらしい。マドカのIS適正はA++という破格の数値、モンド・グロッソにて総合優勝者を果たした千冬やヨランドといった最高クラス適性の一歩手前を叩き出しているからか、専用機が回される事になったとリチャードが語っていた。まあ千冬の遺伝子から生まれていると考えると割と納得がいく適性の強さである。

 

そんなマドカも開催予定の各学年別専用機タッグマッチへの参加が認められる事になったのだが、流石にそれまでには間に合わないので、そのタッグマッチまで訓練機を借りる事が出来るようになったので選択をしに行く事になっている。

 

「ふぅん面白そうじゃない、マドカの強さも気になるし付いて行ってもいいかしら」

「あっ僕も。もしもラファールを選んでくれるなら僕もうれしいから」

「私としては問題ないぞ」

「んじゃ行こうか」

 

シャルと鈴も加わった事で4人となったまま、真耶の待っている訓練機が格納されている整備室へと向かう事となった。そこには使用後に整備が行われるISと終ったISが待機する場、訓練機である「打鉄」と「ラファール」が数多く鎮座しており壮観な眺めを形作っている。

 

「それじゃあどっちを選びますかマドカさん?」

「そうだな……私としては機動性重視なものでも構わないのだが……」

「じゃあ僕と同じ「ラファール」にする?」

「うむそれを考えているのだが……むっ?」

 

マドカは基本的にオールマイティな戦い方をする事が出来るタイプ、故にどんな機体でも乗りこなし性能を引き出す自信はあるしそれに比例する技術も持ち合わせている。それを考えると操縦者の技量をダイレクトに反映する「ラファール」がいいと考えている、がそんな時あるものが目に入った。それは「打鉄」だが装甲が増強されシールドが大型化されているタイプの物であった。

 

「これは……?」

「あっ気づきました?」

「これって…「黒鋼」によく似てますけど……」

 

そうカミツレの最初の機体、カチドキという相棒との出会いと始まりを共に体験し努力を積み重ねてきた「勝鬨・黒鋼」によく似ているのである。言うなれば腰回りの装甲が「黒鋼」程ではなくスラスターも増強されているのが違うという所だろうか。

 

「実はカミツレ君が使用していた「黒鋼」の稼働データを解析して、その操縦性や性能が評価された結果として「打鉄」のバリエーションとして採用されたんですよ「黒鋼」のカスタムが!」

「マジですか……!?」

「はい、これは一部改良が加えられて出力の強化などが図られているので「黒鋼」ほど扱いやすくはないんですけどそれでも通常の「打鉄」よりも性能面は良いんですよ。それを学園で試験運用するんです」

「カミツレ、アンタ何気に凄いわよこれ……?個人のカスタムがバリエーションとして認められるって……」

「ホント……言うなればカミツレカスタムだね」

「ええ、その名前で登録される予定らしいですよ?」

「うぉいなんでだよ!?そこは「カスタム黒鋼」とかで良いのになんで俺の名前が使われるんですか!!?」

 

だって使用していた本人ですしと真耶が言い、カミツレがそれは絶対に嫌だと背後で騒いでいる中でマドカはそれをじっと見つめる。

 

「うむ、では私はこれを使用させて貰おう。折角兄さんと同じ物があるならばそれを使うのが妹というものだろう」

「ハイではあとで書類を持ってきますからそれにサインお願いしますね」

「ちょっと真耶先生、その名前で登録しようとしてるバカはどこですか!!?直接話をつけに行きます!!」

「ええっ何でですか!?カッコいいじゃないですかカミツレカスタムって、分かりやすいですし折角考えたのに!?」

「って真耶先生が考えたんかい!!?」




真耶先生、弟子の成長がうれしすぎるが故の暴走である
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