IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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苦難の中の力の一幕 121話にて千冬がカミツレに対してキスをする時の光景

「セシリアとはしたのだろう?」
「し、しましたけど……勘弁してください…」
「そうか……わ、私とはしたくないのか……すまなかった」(目をウルウル)
「そう言う事じゃなくてその……」
「で、では何故駄目なんだ?私が、奴より嫌いか……?」
「そうじゃなくて千冬さんの事は、大好きですよ」
「それなら良いか……?」
「うっ……は、はいせめて優しくお願いします」
「大好きだカミツレ(計画通り)」

そしてされたのは優しくは無い熱いキスだった模様。
但し満更でもないカミツレ君だが、素直に喜べなかった。


第123話

タッグマッチの全員分の試合は終了した。最終戦の後には予定されていた通りにマドカの番となったのだが…マドカは勿論カミツレと組みたいと願い出たのだが「スピードロップ」の影響が思った以上に大きかったのか「ディバイダー」が本格的に危なくなってしまったようである。加えてカチドキも完璧な「スピードロップ」完成の為のプログラム作りと自己修復機能に取り掛かってしまったので出られなくなってしまった。それに擬音でガァ~ン!!!と付きそうなほどにショックを受けたマドカは出る気を失ったがカミツレが頭を撫でながら抱き締めてあげると元気を取り戻して代わりに簪を指名して、抽選で決まった一夏とシャルのコンビと試合を行った。

 

一体どんな試合になるのかと期待が高まっていたが簪とマドカはテンションがMAXで振りキレた状態で一夏とシャルを文字通りにボコボコにしてしまった。その原因は大体カミツレなのだが…冴え渡った感覚と圧倒的なテンションによって繰り出される操縦技術と強さに一夏とシャルは圧倒され続けてしまい、そのまま負けてしまった。

 

「ライフル連射しながらレールガンとミサイルをブッパしながら「ファイナルベントッ!!」って言ってた簪さんと高笑いして弾幕の中を突っ込んで斬り掛かってくるマドカさんが怖かったです」

「相方があんなに怖い人だなんて思いもしませんでした」

 

などなどなんとも心温まるコメントを二人は口にしていた。尚件の二人は満面の笑みで勝利を喜んでいたがその原因であるカミツレはそっと目を閉じて現実から逃避しつつ抱き付いてくるマドカの頭を撫でるのであった。

 

 

「専用機が妙?」

「ああ、なんかシステム面が妙っていうか…なんか遅い感じがするんだよ」

 

タッグマッチが終わってから数日、自室でマドカとのんびりと過ごしていたカミツレは自室を訪ねてきた一夏に相談を持ち掛けられそれに応じていた。彼曰く「白式」の反応が悪くどうにも違和感を強く覚えるらしい。

 

「整備が下手糞だったのではないか」

「う"っ…そ、それは否定しきれないけどラウラには合格点貰ったからそれはないと思うんだけど……だからカチドキに聞いて見れば分かるんじゃないかと思って」

「ああ成程な。おいカチドキ今良いか?」

『DRIVE TYPE:TRIDORON!!』

 

室内に木霊するカチドキとは違った男性の声、それは某ライダーのベルトさんの声にそっくりだったというかその物だった。

 

『あれ呼びました?すいませんドライブ見てました』

「だと思ったよ…「白式」の反応が悪いんだと」

『ああ成程その事ですか。それは単純です、それは貴方が男だからです』

「へっ?それって如何いう事なんだ?」

 

思っても見なかった返答が帰って来た事に首を傾げる一夏に同調するようにカミツレも驚いたように表情を変える。もしも男だからというのが原因ならばカチドキにもそれが起きる可能性があるからだ。

 

『純粋に男と女の違いです。ISに男が使用したという例は現状貴方とカミツレしかありませんから、それによって得られたデータに合わせて「白式」が現在システムを再構築中なのです。なので特に心配しなくても時間が経てば不具合は無くなります』

「そ、そっか……いやぁ良かった。俺凄い不安だったんだよ」

『カミツレの場合は私が常にデータを更新するようにしているのでそのような心配はありませんが「白式」の人格はある程度溜めてから最適化処置をしているから時間が掛かっているのでしょう』

「やり方の問題って訳か」

『そういう事です』

 

ISが自動で操縦者に合わせてプログラムを構築する時の速度は人格の性格や能力によって左右されるらしい。分かり易くいうのであれば夏休みの宿題を早めに終わらせるか休みの期間を存分に使って終わらせるかの違いに近しい物らしい。

 

「実は今度倉持技研に持って行って「白式」のフルメンテを頼むんだ。その時に話しておく必要あるかなってさ。でも何事もなくて良かった」

「倉持技研ねぇ……書類上「白式」の開発元になっている所か」

「ああ簪さんの専用機開発を投げてそのままにした所だな」

「なんだそれは随分クソな所だな」

 

マドカの意見には概ね同意である。まあ放り投げてそのままにしたのは実質的に日本政府で倉持技研は政府の方針に従っただけとも言えるのだが…簪への連絡も開発凍結以外なかったらしいので何も言えない。

 

「それで千冬姉も念の為に一緒に行ってくれるって言うから俺としては安心なんだけどさ」

「千冬さんが一緒なら問題ないな」

「でもさなんか政府からの要請だとか分からないけどさ、カミツレも一緒に来てくれって言ってたらしいぞ。なんか千冬姉が舌打ちしながら頭抱えた」

「どうせ今更ながら兄さんの素晴らしさが理解出来たとかだろう」

 

言い方はあれだがマドカの意見も大体合っている。既に技術は代表候補生と遜色無く実力も高まり続けているカミツレ、しかし日本は彼を直ぐに捨てるような選択肢を取ったために完全にカミツレから見放されている。政府からしたら少しでも関係を良くして日本に取り込み直したいと言う所なのだろう。

 

「というか俺はもうイギリスの代表候補生だぞ。日本政府の要請に答える義務は無い」

「いやそれがイギリスの許可は取られてるらしいぞ。なんか凄い親日派の人が許可したって千冬姉が頭抱えてた」

「……そこまで必死だとなぁ…というか政府からの許可下りてるんだったら俺行くしかないじゃねえか」

 

この後、リチャードに連絡を取って見た所……どうやら日本政府と密接な関係にある政府官僚が正式な形で許可を出してしまったとの事。今更撤回も出来ないという厄介な事をしてくれたが護衛役のマドカの同行も認めさせる事やその他の条件を付けて日本からある程度搾れるようにしたらしい。そして不本意ながらカミツレは一夏に同行して倉持技研へと行く事になってしまった……。

 

「千冬さんどうせならその時に色々言って相手を困らせていいですか?」

「おう存分にやれ私が許可する。政府の人間も来るらしいが存分に虐めてやれ、お前にはその権利がある」


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