IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第126話

「おっ千冬姉。そっち終わったのか?」

「ああっ問題なくな。そっちは如何だ」

「今ソフトウェア関連を見て貰ってる所だよ」

 

何処かSFチックな格納庫を思わせる整備区画では至る所から伸びている機械のアームが展開固定されている「白式」へと伸ばされており装甲のチェックや内部データの解析などが行われている。今まで一夏が稼動させて来た最新のデータを取得しつつもシステム面のチェックも行っていく。男性が動かしているというだけで普通のISとは全く違った構築がなされているシステムに技術者たちは鼻息を荒くしている。

 

「えっマジでこんな事なってんの?男が動かすとここまで進化する物なの?」

「すごいっすよ所長これ!」

「これがこうなってああなって……ああ成程これは思いもしなかったな」

 

所長であるヒカルノも「白式」のソフトウェア構築に興味津々なのか興味深そうにシステムの解析を行っている。

 

「へぇ~随分と面白いなコア周りのシステム。何でこんな構築に……ってああもうなんでそこで締め出されるのかな!!!?」

「だめです所長。こっちもコアのデータを上げられません」

「ええっ何このIS、どんだけ臍曲りなんだよ!!!私達には見られたく無いってか!!」

 

どうやらコア周辺データを回覧しようとしたら「白式」の人格がそれを締め出したようである。実際ISの全てのデータを管理しているのはコア人格なのでその気になったら一切のデータを回覧不能にするなんて簡単だろう、しかし周辺データは彼らの個人データも等しい。人間的な存在な彼らからしたら勝手に自分のスリーサイズを調べようとしているような物だから嫌がっているのかもしれない。

 

『いえ純粋に現在談義中で邪魔されたくないからです』

「……あっそ」

 

如何やら違ったらしい。僅かに聞こえてきたカチドキの声曰く今もコア・ネットワークで談議をしているのでその邪魔をされたくないだけらしい。

 

「ああもうコア・ネットワークからも接続出来ない!!私の干渉を完全に受け付けてないよったくどうなってるんだ!!」

「(談議を邪魔されたくないから拒絶してるなんて知ったきっと怒るんだろうなぁ…)」

 

この数分後…拒絶しても何度もやってくるので「白式」の人格が痺れを切らして一方的にデータのみを送信して完全にデータ接続を拒絶してしまうという事態も発生した。カチドキに何とか出来ないかと聞いてみるが…言うなればピンポンダッシュをされまくったような物なのでコア人格の機嫌が直らないと根本的に如何にもならないらしい。

 

「も、もうちょっとデータ取らせて!!後少し!!」

「あ~あ……所長さんが臍曲りとか言うからマジで「白式」が臍曲げちゃったよ」

「私のせいかよ、まあいいやこれでも十分データは取れてるし」

 

そんな収集出来たデータを早速解析に掛けるヒカルノ。そんな光景を見ているとヒカルノの作業速度は他の研究員の数倍は速い事が分かる。要の言う通り酷く優秀なのは真実のようだ。

 

「本当に優秀だったんだ…」

「まあ普段があれだからなぁ……誤解がないように言っておくと本当に優秀なんだよ所長は。所謂鬼才と言われる才能を持ってるから、でも政府からの干渉が余りにも強すぎてね…精神的にかなり不安定になっちゃってるんだ。それを少しでも緩和する為にあんな事をしてるんだよ」

 

それを免罪符にするつもりではないけどねと付け加える要。ヒカルノも本当は「白式」ではなく「打鉄弐式」の開発に元々尽力していた。久々に自分の力をフル活用できる仕事だと息巻いて仕事をしていた、此処最近では一番活き活きとしていた時だったのだが……優秀すぎる故に「白式」の開発と「次世代型量産機計画」の立案へと強引に抜擢されてしまい最近は特に不安定になっているとの事。

 

「今回杉山君が政府の奴らに一発入れてくれただろ、本当にスカッとしたよ。ざまぁ見晒せってな」

「私からしてもあの政府の反応は酷かったからな。私の方からも倉持技研への干渉を控えるように言っておこう。奴らが有難がっている「戦乙女」の名前を使ってな」

「全く悪い大人ですね。あんだけ嫌がってたのに」

「利用する分には都合のいい称号だからな」

 

要はそれを聞いて少し肩の荷が降りた。これで少しでも政府の干渉が無くなってくれると嬉しいし何よりヒカルノの精神が安定して行く事にも繋がるのだから。一夏は妙に所長を気に掛けている要が気になった。

 

「なんか妙に所長さんを気に掛けるんですね要さんって」

「まあ彼女に振り回されてるから落ち着いてくれれば私が楽出来るからね……」

「いや私から見たら…秋山、お前もしかしてあの所長に惚れているのか?」

「いや全然」

 

マドカのばっさりとした言葉にこれまたばっさりと真顔で返す要。そんな事は一切ないと否定されるとマドカは勘が外れたかと言いながらもカミツレに失礼な事を聞くなと叩かれる。

 

「すいませんマドカが変な事言って」

「いいよ気にしなくて。私は惚れられてる方だからね」

「えっ…って事は寧ろアタックされてる方!?」

「ああ。昨日もされたよプロポーズ、あれで確か38回目だったかな」

「違うよ~39回目~。いい加減諦めて篝火さんの夫になっちゃいなよYOU~私が養うからさ~」

「あんたと結婚したら私の胃が持たない」

「あう…。これで40回もフラれた~」

 

また目の前でされた愛の告白をサラリと受け流して断る要。そんな光景に驚く一夏とマドカ、そして何故か脇腹を小突いてくる千冬に冷や汗が出てくるカミツレ。

 

「なんで断ってるんですか?」

「仕事で相手するのは良いけど私生活でまで相手するのいやなんだよ」

「凄い納得が行くな」

「成程……もしかして千冬姉に相手が出来ないのもそう言うのが関係してる……?」

「―――ほう一夏……お前、死にたいらしいな」

「ひぃっしまった口が滑った!!?カミツレ助けてくれ!!」

「いや全面的にお前が悪いだろ」

「兄さんに同意」

「そ、そんな事言わずに…ギャアアアアアアアア!!!!!!」




要「あと私は胸が大きすぎるのは、ポイント的に高くないからさ」
カミツレ「つまり貧乳好き?」
要「いや大きすぎず小さすぎずが一番かな」

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