IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第128話

「そろそろ私達の関係をハッキリさせておくべき、だと考えているのだが如何だカミツレ」

「……酔ってます?」

「まだ酒が入ってない」

 

その日。カミツレは千冬の部屋へと出向いて料理を作りそれを食べ終わった時の事だった、突然話を切り出した千冬の言葉に目を白黒させながらも彼女を見つめた。まあ千冬の突然の行動に比べれれば束の事などやってられなくなるのでこの程度なんでもないのだが…一体何をハッキリさせようというのだろうか。

 

「世間的に俺が千冬さん達と婚約関係にあるって公表するんですか?」

「いやそれは一夫多妻制が認可されてからでも遅くはない。ハッキリさせておくというのは私とお前が愛し愛し合うという関係になっている事を一夏に言うべきではないかという事だ」

「あ~……成程そう言う事ですか」

 

確かにそれはハッキリさせておくべきかもしれない。千冬と恋人という事は将来的には一夏は自分の義弟となり家族となるのだからこう言う事は確りと言っておかないといけない事である。しかし…如何にも言い辛い事に変わりはない、以前一夏に冗談で千冬を貰ってくれないかと言われた時にはハッキリと否定してしまったし一夏が義弟などごめんだと力強く否定してしまっている。そんな事を言った自分としては切り出しにくい……。

 

「でも大丈夫ですかね……あいつにとって千冬さんって唯一の家族で親代わりですよ。そんな千冬さんの恋人がクラスメイトって…受け入れてもらえるとは思い難いですよ」

「確かにな。しかし何時までも隠している訳には行かないだろう、私はお前以外と結婚はせんのだからな。私の心を奪った責任は確りと取って貰うつもりだからな」

「そ、それは取らせて貰いますけど……タイミングって物があるでしょ」

 

何れ言わなければいけない事なのは分かる、ならばせめて一夏が箒に確りと告白してからでも遅くないのではないのだろうか。自分の恋心に決着を付けさせた時の方が安定するのではないかと考えるが千冬はそれを否定する。一夏も此処最近様々な意味で大きく成長している側面がある、それはこの学園という環境で磨かれてきたからである。

 

「今のあいつは昔のあいつとは違う、それなりに勘が利くし頭も回る。もしかしたら私とお前の関係も気付いているかもしれんぞ?」

「ま、まさか……流石にそれは考えすぎじゃないですか?」

「かもしれんがな。だが妙に気を遣ってお前の元に送り出す事が偶にあってな」

 

千冬とカミツレの関係を知ってからというかカミツレによって栄養管理などをしてもらっていると知ってからなのか、一夏は千冬をカミツレと一緒にさせようとする行動が増えているらしい。それでもしかしたら…と千冬は考えるようになっているらしい。

 

「だからカミツレ、思い切って言ってみないか。私とお前の事を」

「……でも」

 

最初こそ一夏の事を快く思って居なかったカミツレも今では彼の事を友人として思っている。それに加えて彼は恩師であり恋人の弟だ、向けられている感情は複雑な物になっている。下手をすれば関係が一気に壊れてしまいおかしくなってしまう事も考えてしまう。不安そうに表情を曇らせていると千冬はカミツレを抱き寄せて唇を奪った。

 

「ち、千冬さんっ……?」

「何を不安がっているんだ、大丈夫さ…私が付いている」

「でも……」

「不安がっていても何も変わらんよ。不安だからこそ勇気を持って踏み出さなければ意味がない。それでも私の愛を射止めた男か?」

 

そう言われると確かにその通りな気がする。不安なままではきっと一夏もYESとは言ってくれないだろう、何れ言うべき時が来る。それは今来たと思っておこう。そう決心すると千冬にお返しのキスをする。

 

「逆に、俺の心を射止めたのはそっちだったと思いますけど?」

「フフフッそうかもな。さてと―――カミツレ、今のキスで火が付いた」

「えっちょ」

 

千冬の目が一瞬で潤んで行きながらい気遣いが荒くなっていく。これはまずいと思ったがガッチリと身体をホールドされてしまって動く事が出来ない。官能的なまでに赤くなっていく千冬の表情、肌に触れる吐息の熱さに思わず頬を赤くする。

 

「大丈夫、キスだけで済ませる―――だから良いだろう?」

「ぅぁっ……」

「そんな顔をするなっ…ぁぁぅそそられるじゃないか……」

 

首筋に吐息が当たって悶えてしまった時に思わず出た声と表情にゾクゾクと興奮していく千冬。普段はクールだがこうなると積極的になれなくなってしまうカミツレが如何しても愛おしくなる。そして困りながら潤んだ瞳の表情は千冬にとってストライクなのである。

 

「なぁ良いだろう……?」

 

更に迫る千冬、それに完全に押されてしまったカミツレは困り顔のまま涙目で上目遣いで歯止めの利かないであろう千冬を見つめながらせめてもの願いを告げる。

 

「せ、せめて……優しいキスでお願いします……」

 

それで千冬の理性は完全に崩壊した。そのまま乱暴に唇を奪うと本能のままにカミツレの口内に舌をねじ込むと激しく強く深く絡めていく。激しいそれで漏れだしてしまう弱弱しい喘ぎ声、それは更に千冬をヒートアップさせて行く。

 

「ちゅっれろ……むぅん―――プハァッ……大丈夫約束は守るから、でも……キスは自重出来ない……」

「千冬、さんっ……んんっ―――っ…!」

 

激しいキスは千冬が満足するまで続けられ、彼女が満足した頃にはカミツレは腰砕けになっておりまともに立てなくなっていた。そんな彼を部屋まで送って行ったがセシリアと乱に出くわし事情を話すと二人の瞳が輝いてしまった。千冬は二人にカミツレを任せたが……その日、カミツレは完全にノックアウトされた。




セ、セーフ……だよね。
ベロチューは……?

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