IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第129話

「一夏、実はな……私とカミツレはっ…!!!」

「付き合ってるんでしょ?」

「「……えっ?」」

「いや気付いてたよ。千冬姉とカミツレが付き合ってたのはさ」

 

寮長室。そこに一夏を呼び出した千冬とカミツレは遂にお互いの関係を明かそうとしていた。とある時からカミツレに恋心を抱きそれを告白し今は恋人同士であるという事。互いの気持ちが通じ合っている深い絆で紡がれている関係になっている事を告白をした。それを勇気を振り絞って言ったのだが……それを一夏はあっさりと受け入れるかのような言葉でそれを返した。

 

「えっまっ待て一夏!?お、おおおお前、気付いていたというのか!!?」

「まあうん。気付いたのは箒の一言があったからこそなんだけどな」

 

以前カミツレに手伝ってもらって漸く箒とのデートに漕ぎつけた時があった、心から楽しめた時間且つ幸せな時だったがそんな時、箒からこんな言葉飛び出したのが一夏が二人の関係に気付くきっかけとなっていた。

 

『一夏、千冬さんなんだか杉山といる時は機嫌が良いとは思わない?』

『言われて見たら確かに…でもまあ千冬姉カミツレにご飯作って貰ってるらしいから可笑しくは無いと思うけど』

『だとしても一度二人が廊下を歩いている時があったのだが…あの千冬さんが凄い良い笑顔で笑ってた上に二人で寮長室に入って行ったからな』

『へぇっ……あの二人が…』

 

そこからだった。自分でも千冬の表情やカミツレを注意深く観察してみていた、すると確かに二人でいる時には千冬は良く笑っていたし酷く機嫌も良さそうだった。カミツレも何処か嬉しそうにしながらも千冬と共にいた、そして決定的だったのは以前の専用機タッグマッチの際に二人がキスをしていた事だった。

 

「お、おおおおおおっお前見てたのか!!?」

「ああ見てた。いやすっげ~なあれ、俺凄いドキドキしちゃってもん」

「……見られていたのに気付かなかったのか、俺は…」

「いやでも俺も扉からちら見してたから気付かなくてもおかしくないぜ。いやでも凄かったよ、ドラマのシーン以上にドキドキしちまったもん」

「ならもっとドキドキする物を見るか?」

「いや何言ってるんだよアンタは!!?お前もしないのって顔すんじゃねえよ!!」

「後学の為に見ておこうかと……」

「自分で探れ!!」

 

しかしセシリアからのキスを受けた後で彼女がお手洗いに向かっている間に行ったキス。それも完璧に見られていた…恥ずかしさで羞恥で顔が燃え上がりそうだ…しかし千冬は妙にどっしり構えておりそこまで動揺を露わにしていない。

 

「で、でもお前さ…何とも思わないのかよ、姉さんと付き合ってるのが同級生なんだぞ…?」

「確かに生徒と教師という禁断の愛だもんな……でもそういう背徳感に惹かれる人もいるって言うし」

「うむ分かっているなさすが私の弟だ」

「いやそうじゃなくて…千冬さんが俺と付き合うのはいいのかって聞いてるんだよ!!」

 

何処か暈そうとしている一夏に詰め寄ろうとするカミツレに落ち着けよと逆に諭されてしまった。こう言う場合は寧ろ一夏が逆上して此方に向かってくるような物ではないのだろうか…。

 

「まあ確かにさ、驚いたり凄い緊張とかしたけどさ…千冬姉がそこまでするって事は心から好きな相手って事だろ。それなら弟であっても俺が言う権利なんてないと思うし…それに千冬姉が自分で見つけた幸せならそれを思う存分に楽しんで欲しいって気持ちもあるんだ」

「一夏……」

「千冬姉は今まで俺の為に色んな苦労をしてきた、俺はそのおかげで幸せに生きてこれた。俺は十分に幸せだよ、だからさ」

 

一夏は顔を上げながらニコやかに、明るく、嬉しそうに笑いながら言った。今度は自分の幸せを楽しんでよっと。そんな言葉に千冬は思わず一夏を抱き寄せてしまった。

 

「馬鹿…!!私は、私はお前の事を重荷になんて思ってなかった……お前の幸せが私の幸せだったんだ…お前が笑顔でいてくれるから私は、お前の為に働いて……!!!」

「だったら今度は千冬姉がずっと笑顔でいてくれよ。それが俺の幸せだよ、千冬姉はカミツレと一緒に居れば笑顔でいられる」

 

一夏は優しく千冬の背中を叩きながら言葉を零す。彼なりに今までずっと考えていた、如何する事が一番の姉への恩返しになるのかと考え続けている。今も考えている途中だが今出来る最高の恩返しは姉の幸せを願って送り出す事が一番なんじゃないかと思っている。

 

「カミツレ、俺の自慢の姉さんを宜しく頼むな。千冬姉って結構ガス抜きが必要なタイプだから苦労するかもしれないぜ」

「知ってるよ…付き会う前から俺がどんだけ玩ばれてきた事か……任せろよ。千冬さんの笑顔は俺も好きだからな」

 

一夏からの言葉を受けながらも拳を突き出し、互いにぶつけあって男の誓いを交わす。絶対に彼女の笑顔を曇らせたりはしない、自分に出来る事を精一杯やって幸せにすると誓う。

 

「これでカミツレが俺の兄さんか……へへっ変な気分だな。これからそう呼ぶか兄さん」

「やめろ…今まで通りカミツレで良いからよ、一夏」

「おっ漸く名前で呼んでくれたな!!いやぁ実は俺男の兄弟も欲しかったんだよ主に兄貴が!千冬姉が兄貴っぽい姉貴だから余計にかな?」

「ほう―――一夏、私が女らしくないというんだな……?良い度胸だ貴様良い雰囲気だったが知った事か!!」

「ギャアアアアアアアア!!!!!いてててててっっ!!!?腕決まってるぅぅぅっっ!!!!??」

 

また余計な事を言ったせいで腕を決められた一夏、そんな一夏を笑いながら腕を決める千冬をなんとか諌めて二人を引き剥がした。初の義兄としての仕事がこんな物って一体どうなのだろうか。

 

「あっそうだ、二人にも俺言いたい事あるんだ!」

「なんだよ」

「並大抵の事では私達は驚かんぞ」

「俺と箒、付き合う事になったよ!!」

「「……えええええええええええっっ!!!!!!!!!??????」」

 

爆発の連鎖は続く。


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