IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第138話

「くぅぅっ~!!良く味の染みたから揚げに杉山ファームで取れた野菜を使ったタルタルソース、これで不味い訳なんてないだろう!!」

「同感ですわ千冬!!あぁっ…夢にまで出てきたツェレの手料理、これ程までに美味な味に出会えるなんて♪」

「夢に出てくるって大袈裟だなぁ……追加揚がりましたよ」

「んっ~やっぱりカミツレ君のご飯は最高ですぅ~!!」

 

昼休み。カミツレの部屋に集まっている三人の女性相手にコックを勤めながらも時間を見つけながら自分も食事を取っているカミツレとそんな彼の手掛ける料理に舌鼓を打つ千冬、ヨランド、真耶の三人。本当はナタルもこの場に居るはずだったのだが…アメリカから来た代表のイーリス・コーリングに絡まれてしまい、泣く泣く其方に付き合わなければいけなくなったらしい……代わりに夕食には絶対に参加すると断言していた。

 

「揚げたてのから揚げをタルタルソースで絡める、そしてそれを口へと運んで噛むと染み込んだ旨みと肉汁そしてソースの野菜の味が一斉に口の中で踊りだす……」

「その味は互いの味を阻害せずに一つに調和する事で、豊かで心を弾ませるような味わいへと変えて行く…」

「そしてその味が残っている中、カミツレ君のご実家特製のお米を頬張ると……」

「「「絶品!!!」」」

「食レポされるとは思わなかったな…」

 

目の前で料理を食べて笑顔を零している三人の美女達、自分の料理で笑顔になってくれる事が一番嬉しい事で、そこまで深く自分の料理の評価なんて考えた事がなかったカミツレにとってそれは新鮮でありつつもそこまでするか?とやや疑問に思う物である。主に大貴族の当主として超一流の料理を食べてきたヨランドは。

 

「夜はカレーを出しますよ。野菜ゴロゴロのカレーを」

「カレーか……そう言えば久しく食べていないな」

「いいですねカレー!私大好物です!!」

「所謂ジャパニーズカレーは私も大好物ですわ!」

 

という事で美女のお三方にもカレーは好評なようなのでカレーで決定する事にする。それにカレー自体は自分も丁度食べたいと思っていた物なので良かったと心から思った。

 

「気合入れて仕込みでもするか…ナタルさんの事も考えると食堂から鍋を一つ借りてくる事も視野に入れて置いたほうが良いな…どうせなら具も凝ってみるか…?そうだな折角のカレーなんだから気合を入れたほうがいいし俺も喜ぶ……フフフフフッ…」

「ヨランド、運が良いな。奴があんな風になるという事は夜はそれは絶品な物を味わう事が出来るぞ」

「そうなのですか!?」

「そうなんですよ~カミツレ君が気合を入れている時は、凄い構成になったり何時も以上に凄かったりするのはザラですからね。まあヨランドさんは知らなかったようですけどね」

「ぐぬぬぬっ…」

 

まだ続いていたようである師匠間で起きている謎の争い、今度はカミツレの行動の細かい癖について知っているかになっていた。まあこれに関してはカミツレの気分次第で起きたり起こらなかったりするので、ヨランドが知らなくてもしょうがない事なのだが。

 

「しかし本当に今年の1年生は当たりですわね。あそこまで扱いてもまだまだ脱落者が出ないのはいい事ですわ。間引くつもりでメニューを組んだのですけれども」

「矢張りな…専用機連中のメニューを見た時にも思ったが、一般生徒のメニューも凄まじい物だったからな…」

「普通の代表候補生育成メニューみたいになってましたもんね」

「あれを参考にしつつもアレンジを加えて2割ほどきつくしてみましたわ」

 

それを聞いて余計に生徒達に同情の念が沸いてきた…そりゃ地獄の亡者のような表情をする筈だ…。寧ろあれほどにきついメニューなのに未だに脱落者が出ていない事を褒めるべきだろうとすら思えて来る二人であった。しかし今回の国家代表の来日は、優秀な生徒のスカウトや生徒達の選別も兼ねているので1年を担当するのを新人潰しで有名なヨランドにしてそれで篩に掛けているという所だろう。

 

「一般生徒で見所がありますのは矢張り篠ノ之 箒さんと布仏 本音さんですわね。二人とも必死になって喰らいつくかのようにメニューをこなし飲み込んで行きましたわ。あのような生徒にこそ指導をしたい物ですわ、一番指導したいのはツェレなのですけれどもね」

「まだ決着はついてませんからねヨランドさん!!」

「望む所ですわ!!!」

「モテモテだなカミツレ」

「ハハハッ……」

 

皮肉のように言葉を飛ばしてくる千冬だが何処か棘のある言葉、自分の恋人を目の前で取り合いのような事をされると如何にも気分は良くない。この埋め合わせは確りとして貰うからなという千冬なりのサイン、それをバッチリと感じ取って受け取ったカミツレだが、これは自分のせいではないだろうとげんなりしつつも了承の視線を送る。

 

「それとツェレ、イーリスが貴方に強い興味を持っておりましたわ」

「イーリスってアメリカ代表の?」

「ええ。イーリス・コーリング、わたくしから見ても強者というべきに相応しい人物ですわ。どうやら貴方が「個別連続瞬時加速」を完全に使いこなしている事をかなり気に掛けているようですわ」

「うえぇぇっ……そんなぁ…」

 

嬉しいような悲しいような複雑な気分である。「個別連続瞬時加速」は難しい上に成功率が低いとされている超高等技術、しかしカミツレはそれを完璧に使いこなしてしまっている。アメリカ代表でも成功率が低いそれを…と言ってもカミツレ本人の技量だけではなくカチドキのサポートがあるからこそ使いこなせているのである。ある意味、束の真の理解者という地位の特権とも言えるISコアの人格との連携が成せる技なのである。

 

「ハァ…俺の人生って本当に茨塗れだ…」

「その代わり、周囲には美しい華だらけだろう?」

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