IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第139話

地獄とも言うべきヨランド発案構築されたメニューによる訓練は昼休み後の授業でも続けられた。それは2年3年が見れば顔を歪めて後ずさる程度には厳しく激しい物であった。同時に先輩達は自分達を教えるのがヨランドじゃなくて本当に良かったと心から安堵するのであった。が、その先輩達を担当する代表達は1年達があれほどのメニューをこなしているのだからその先輩ならばもっとキツいものにしても耐えられるよな?と張り合うような形でメニューがきつくなったらしい。

 

「うんうん。矢張り訓練はこの程度の物が良いのですわ♪」

「良かったな皆、苦しいのは俺達だけじゃなかったぞ」

 

と言われると1年達は心なしか愉悦の心を理解したかのような表情で不気味な笑いを浮かべたという…。そんなこんなで授業が終了し皆は疲労困憊で部屋へと戻っていく中、唯一平常運転とも言えるカミツレはマドカを連れて自室に戻って早速カレーの仕込みを始めた。

 

「兄さん、こんなに鍋を並べるなんて…カレーはそれほどまでに作るのが大変なのか?」

 

訓練で疲れているがテロ組織にいた頃に比べたら疲労感はない為に平然としているマドカは、大型の鍋が二つ並べられているキッチンを見て思わず疑問をぶつけた。マドカもカレーは大好物、特に夏野菜を使ったカレーが一番好きだという。しかしカレーを作る所を見るのは初めてなのか興味深そうに見ている。

 

「ああ。兄貴がスパイスとかも合わせて野菜を送ってくれたからな。折角だから複数のカレーを作ってみようと思ってさ、そっちのはオーソドックスな日本のカレーでそっちのはほうれん草のカレーだ」

「ほうれん草の…?むぅ味の想像がつきません」

「夜には出してやるよ。よし、後は具材の準備だな。忙しくなるから手伝ってくれよ」

「任せてくれ兄さん!」

 

夕食にはナタルは勿論、千冬に真耶そしてヨランドまで来る。6人分の食事となると作る側も大変なのだ、なので気合を入れて作る事にする。幸いなのがアメリカとイタリアの代表は他の先生方に誘われているので其方に参加するとの事らしいので人数が抑えられているのが唯一の救いとも言える。特にアメリカ代表には顔を合わせたくはない……。

 

「そう言えばマドカ、お前テロ組織にいた時にアメリカとイタリアでなんかやってないよな?」

「いややっていないぞ?同じ実働部隊にいたオータムとスコールはアメリカに乗り込んでISを奪取していたが…私はその時別の任務で参加していなかった」

「ふぅん…因みにその任務って?」

「無人機の性能テストです、以前それらを30ほど率いて学園を強襲したのですが…織斑先生とあのヨランドに見事に全機叩き落とされました…」

 

そんな事してたのかというのと30機という無人機を全機叩き落とした千冬とヨランドの規格外の強さには改めて溜息が出てしまう。呆れるほど強い、存外に強い、べらぼうに強いという奴だろう。しかもあの二人がタッグを組んで迎撃したという事になるのだろう…そんな二人に勝てる相手なんているのだろうかと真剣に悩んで鶏肉を焦がしそうになって慌てて火を止めるカミツレであった。

 

「よし、具はこんなもんで良いかな…?」

「しかし随分と豪勢ですね。海老に鳥、牛の三種が具材として準備されるなんて…」

「ついやりたくなっちゃってさ」

「そんな兄さんも素敵です!」

 

そんな何処か微笑ましい一幕もありながら、扉がノックされた。扉の向こうにはナタルを始めとした来賓の方々が居るようだ、鍵は開いているというと扉が開け放たれ、お客さんたちが入ってくる。室内に漂っているカレーの匂いに思わず足を止めて香りを頬張ってしまう。

 

「この香り…カレーね!!!私カレー大好きなの!!」

「良かった。ナタルさんもカレー好きみたいで」

「いやぁしかしこの香りは良いな。私も昔家に帰った時に、一夏がカレーを作って居てくれた時には思わず心が安らいだな」

「カレーライスはすっかり日本人の国民食ですもんね~」

「このスパイシーな香り……堪りませんわね」

 

食欲に一気に火をつけるカレーの匂い。すぐに準備をすると鍋を火に掛けるがその前に聞いておく事があった。

 

「本日はオーソドックスな日本のカレーとほうれん草を使ったグリーンカレーとなってますよ」

「何2種類だと!!?」

「更にメインの具材にはそれぞれ鳥、海老、牛を用意してます」

「更にメインが三つ……!!」

「そして辛さも段階的に調整出来るように作ってますので、色んな組み合わせが楽しめますよ」

「辛さまで選べるなんて……」

「なんて贅沢…!!」

 

乗りに乗ってしまったが上のこの用意である。鍋の中のカレーは最後の仕上げとなるスパイシースープを加えていないので辛さがそこまでではないが、最後の一品を加える量によって辛さを調整出来るようにしている。これは杉山家では伝統とも言えるカレーの作り方で、よく兄とカレーの辛さ勝負で対決していた物だ……。

 

「ま、迷うな……。よし、私はオーソドックスなカレーを辛口で海老だ!」

「先輩ずるいですよ!え、えっと私は普通のカレーを中辛!メインは鳥で!!」

「わたくしはグリーンカレーを。辛さは始めですので控えめでメインは牛を」

「私もグリーンカレーを、私は激辛と海老でお願いね」

「はい注文受け賜りました」

 

早速仕上げに入りながらそれぞれのカレーを仕上げていく。具材は既に調理を終わらせているのでスープを混ぜて辛味をつける段階で投入し、ルーと馴染ませるだけでカレーは完成する。溶かし込まれる野菜の旨みと甘味が程よく調和しているルーは辛くなっても美味しく頂ける、それを口へと運んでいる美女の方々は夢中になっている。

 

「こ、これは美味い!!」

「や~ん美味しすぎますぅ~♪」

「ぁぁっ……なんて美味しさ…」

「ぅぅっ…昼にはイーリスのせいで食べられなかったカミツレ君の料理……美味しいぃっ…」

「兄さん私も食べたいぞ!!!普通のカレーを海老で大盛りだ!!」

「はいはい。んじゃ俺はグリーンを中辛で鳥にして食べるかな」




因みにこの作り方、我が家ではこの方式でカレーを作ってます。
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