「……これは驚いちゃいました、想像以上の美味しさ……!」
「おいこりゃすげぇ美味いな!!!おいお代わりくれこのカレー!!」
「いいんですか?このカレー一応残り物なんですけど」
「いいんだよカレーは大好物なんだ!!」
カミツレの部屋で始まった晩餐会、後日の自分の朝ごはんなどにしようと思っていたカレーとは別に新たに作った料理などを並べて千冬達に食べてもらっているがイーリスはカレーが好きらしく、残ったカレーを嬉しそうに食べている。具材は鳥しか残っていないという事を聞くと少々残念そうであったが。残っているカレー全てを食べ尽くす勢いで消費されていく。
「いやぁ本当に美味いなこれ、野菜が溶かし込まれてて旨みと甘味が凝縮してる。こんな美味いカレーは久々だな!」
「しかしコーリングお前、そんなにカレー好きだったのか」
「知りませんでしたわ」
「前にアメリカで日本料理を出す店に行ったらカレーがあってな、日本のカレーは違うって聞いてたから頼んでみたら美味かったんだよ。だからそれから好きになったんだ…でもこのグリーンカレーうめぇなぁ!」
「そりゃそうですよ。カミツレ君のご実家で作ってるほうれん草のグリーンカレーですもんね」
「カミツレ君のご実家は農家さんでしたねぇ~」
じゃあこの料理の野菜も?と聞いてくるアリーシャに対して頷いて答える、本当に美味しいですと笑ってから野菜炒めを掬って口へと運んで笑顔を作る。
「いやぁこりゃ本当に美味いな!!素材が良くなきゃこんなに美味くはならないぜ!!」
「イーリスってば少し落ち着いて食べなさいよ…代表として恥ずかしいわよ…って聞いてる?」
「おう残さず食うぞ!!」
「全然聞いてないみたいですね…」
「まあこんなに夢中になって食べてくれるのは作った身としては嬉しい限りですよ、本当に…よしから揚げ行きますよ~」
「待ってました!!」
と千冬は持ってきたビニール袋から缶ビールを取り出してそれを開ける、揚げたてのから揚げにキンキンに冷えたビール…これが合わない訳がない……!!!大皿に盛られたから揚げの山を小皿に移しながら香ばしい匂いが鼻腔を擽る。思わずうっとりしつつも箸を伸ばそうとするが横から手が伸びて、自分のから揚げにレモンが掛けられていく。
「あああああっっっ!!?アリーシャ貴様ぁレモンを無断で掛けるとは良い度胸だな!!!宣戦布告のつもりかぁ!!!!!!」
「でも前にあった日本人の人はレモンを掛けたほうが美味しいって言ってたわよ、駄目だったのぉ~?」
「無断で掛ける奴がいるかぁぁぁっ!!」
「そうなのぉ?ごめんなさい私のまだ掛けてないから交換するわぁ」
危うく戦争が巻き起こりそうだったが、本人に悪意がない事とまだ何も掛かっていない自分のと交換する事で事なきを得た。日本では食に関する些細な事で本当に争いが勃発する、レモン抗争もその一つである。
「みなさんは何か掛けたりします?私はそのままですかね~」
「わたくしは…そうですわね、このタルタルソースがお気に入りですわね♪」
「私はマヨネーズかしら」
「断然、塩だ」
「私はレモンねぇ~」
「あたしはケチャップだな」
「「「ケチャップ!!?」」」
と一部からそれはありえない、合うのかと言う意見が勃発して空気が悪くなりかけて行くが新しいおかずを出して場の空気を中和する。千冬は上機嫌にビールを呷り、真耶はそんな千冬に何処か呆れたような視線を送りながら舌鼓を打ち、ヨランドは料理に集中し、ナタルは適度に野菜スティックなども挟みながらマイペースを貫き、アリーシャは時々カミツレに料理の小分けを頼んだりしながら楽しみ、イーリスもカレーを楽しみ終えるとそれらに手を付け始めた。本当にちょっとした宴会のような様相になってきた。
「いやぁ美味かったなぁ!!大満足だぜ……」
「ええ本当に美味しかったわぁ…♪カミツレ君、今日は招待してくれて有難うねぇ」
「いえいえ、食事は大勢で取った方が美味しいですからね」
食事が終わると皆は飲み物を片手にしながら雑談に移行していた。特に代表同士は久しぶりに顔を合わせるからか弾む物があるのか、表情が明るい。
「それにしてもツェレは如何してこんなにお料理が上手なんですか?何かコツでも?」
「そうですねぇ…母からの受け売りですけど…食べてくれる人の笑顔を思い浮かべながら作る事、それと…」
「それと何々、私達でも出来る事?」
「だったら是非とも教えて欲しいです~」
「ほんのちょっぴりの愛情、ですかね……?」
唇に指を当てながらウィンクをしながら笑うカミツレ、それに恋人である千冬は不覚にもドキッとしてしまった。何処か悪戯気、でも少々恥ずかしがっている仕草は可愛らしくも納得させるような物だった。真耶は頬を赤くしながらも笑い、ヨランドもお茶目ですわねと笑っているが何処か顔が赤い。ナタルはそれは大切よねっと納得するようしながらアリーシャ、イーリスと一緒に笑う。
「(……今度襲う、絶対に襲う)」
「……なんか寒気が…」
「んでまあ、カミツレお前自分に一夫多妻制度が施行されるって事は知ってるか?」
「ええ、ヨランドさんから聞いてますよ」
話は切り替わって彼自身に関る問題へと発展して行った。貴重な男性IS操縦者を世界で共有する為とは聞こえが良いが実際は遺伝子や繋がりを狙っての一夫多妻制度施行の決定。それが間もなく、正式に全世界中に発信されるとイーリスが語った。
「これからお前は全世界から確実に干渉を受ける、一応イギリスに所属してるからある程度は守られるだろうがさっさと相手を見つけた方が身の為だぜ。出来れば代表候補生が好ましいな」
「それなら大丈夫ですよ。俺もう恋人いますから、それも二人。イギリスと台湾の代表候補生ですよ」
「なにぃっ!!?」
「あらあらぁ♪」
「最近の高校生ってのは進んでんだなぁ…」
イーリスは素直に驚きつつも酒を飲む、本当はこの部屋にいる千冬もその一人だが態々爆弾を投下する事もないだろうと口を閉ざしていく。
「まあそれなら大丈夫か…まあ何かあったら言っていいぞ、このイーリス様が力になってやるぜ!!なんだったらお前、あたしと結婚しろ。それであたしに料理作ってくれよ」
「イーリスさん…笑ってますよ」
「だっははははっバレたか!まあそれだけ、あたしはお前が気に入ったって事だ!ほれっこれあたしの連絡先だ」
そう言って懐から取り出したメモ帳に連絡先を書いてカミツレへと差し出すと横からアリーシャの手も伸びてきた。
「これは私のよぉ~♪カミツレ君ってば本当にいい子だし、千冬とヨランドが気に入ってる訳も分かったわぁ♪私も味方になるから、何かあったら言ってね。日頃の愚痴ぐらいなら聞いてあげてもいいわよぉ?」
「あっこれは如何も…でもアリーシャさんに愚痴聞いてもらうってなんか気が引けますね…」
「気にしなくてもいいのにぃ」
「な、なんかカミツレ君の連絡帳凄い事になってません……?」
本当に凄い事になっている。代表候補生の恋人二人、元世界最強、師匠、フランスの大貴族、イギリスの大貴族、大天災、アメリカの国家代表、二代目ブリュンヒルデ…これが個人が持っているコネクションとは思えない物に仕上がっている。