IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第144話

一夫多妻制度認可条約が世界中に広まってから数日。IS学園の一組では疲れたような表情を作っているカミツレと一夏の姿があった。この事は覚悟していたが…国からの命令なのかそれとも本気で結婚したいのか分からないが、多くの女子が殺到してきているのである。それらは本人の拒否とそれらをガードをする少女達の努力によって防がれている。がならばと言わんばかりに机の中にラブレターや送り物が絶えなくなってきている。もう呆れるしかない…。

 

「はぁぁぁっ…すげぇ面倒な事になってんなぁ…」

「俺も覚悟していたが、此処までとはな……」

「はぁ…俺箒以外の人と付き合うとか全然考えられねぇよ…だって、俺箒の事でいっぱいいっぱいなんだぜ?」

 

一夏にとって自分の愛する人はただ一人、それが箒という認識になっている。実は既に箒の実家にも挨拶に伺っておりそのような関係にある事を報告したという。箒のご両親は喜んだ上で娘を頼むと言ってくれたらしい。自分の家族同様に寛大な心を持ってくれている人達のようだ…何せ自分の義両親にもなるのだから……。

 

「俺は箒が好きなんだよ。それ以外の人となんてマジで考えられない」

「一夏そこまで私の事を……」

 

近くで聞いていた箒は思わずうっとりしながらそれに聞き入ってしまった。一夏が自分との交際を此処まで深く受け止めて考えてくれている事は知っているが、改めて言葉で聞く感動が沸きあがってしまい喜びが身体を突き抜けていく。あの超鈍感だった一夏の口からこんな台詞が出てくるなんて……そんな嬉しさを飲み込みながら箒も言葉を作る。

 

「だとしても、遅かれ早かれ一夏にも義兄さんにもお見合いの話は確実に来るぞ。そうでなければ一夫多妻制の意味がないのだからな」

「げぇっ…嫌だなぁ…今だって先輩とか同級生が凄い来てる状況なのに…」

「特に一夏、お前は千冬さんの弟だからな。そのコネクションを得たいと思ってる国の思惑もあるだろうから余計に来るぞ」

「マジかぁ…」

「マジだぞ一夏」

 

そんな所にやってきたのはラウラであった、その手にはタブレットを持って教室へとやってきた。一夏の護衛を始めてからそれなりの時間が経った頃、一夏とラウラはそれなりに親しくなって一緒に部屋でゲームをするぐらいに仲良しになっている。偶に箒と三人で買い物や遊びに繰り出して、日本の遊び方や日本食を堪能するような充実した毎日を過ごしておりラウラも満足気である。

 

「んでラウラのそのタブレットは何?」

「噂のお見合い写真だ、ドイツからな」

「えっ俺に!?」

「ああ。我が国は一度織斑先生を教官として招いているからな、その関連で一夏にお見合いの申し込みを私経由で伝えに来たという訳だ。まあ断るのであれば私から伝えるから安心してくれ、まあ見るだけなら無料だから見てみるといい」

「じゃ、じゃあまあ……」

 

ラウラの言う通りにタブレットを起動させてドイツからのお見合い写真というものを見てみる事にした。若々しくも可憐な美少女が煌びやかなドレスなどを纏っていたり、美しい美女が魅惑的な服装で誘惑するかのような写真が次々と出てくる。思わず箒は危機感を感じてしまう、幾ら付き合っているとは言え自分には無い落ち着きと色気に一夏は靡いてしまうのではないかと…しかし一夏は顔色を変えずに見て行く。

 

「どんな感想だ?」

「綺麗な人が多いな」

「いやそりゃそうだろ、一応色んな意味がある条約を利用してでの見合い写真だぞ。そりゃ選りすぐりの人を送るだろ」

「でも俺、箒がいるからな…正直今はあんまり興味が向かないかな」

「い、一夏っ…!!」

 

思わず感動してしまった箒は涙ぐんでしまい、カミツレにハンカチを借りて涙を拭った。ここまで一途な思いを向けられると嬉しくなってしまう、が一夏が思わず手を留めてしまうほどに気になる物があった。それは他の誘惑的な写真ではなく、軍服を纏った眼帯をつけた女性がカッコいいと言いたくなるような敬礼をしている写真だった。それを見たラウラは顔をゆがめる。

 

「ク、クラリッサではないか……あいつめ、まさか候補になっているとは……」

「知りあいなのか?」

「知り合いも何も私の部隊の副官だ…」

「うわぁ…マジかよ」

「マジだ」

 

ラウラからしたら相当複雑な思いだろう、友人に送ったお見合い写真の中に自分の副官の物があるのだから。頭を抱えているラウラを見つつ一夏は何処か興味深そうにそれを見てからタブレットの電源を切って返した。カミツレは少し悪戯気に聞いてみた。

 

「なんだ気になったのか」

「いやまあお見合い写真なのに、あんな写真だったら気になるだろ。それに千冬姉が教えてた人っていうなら興味ぐらい沸くさ」

「まあ…上官の贔屓目という訳ではないが、クラリッサは悪い奴ではない。気遣いは出来るし腕も立つ、まあ日本趣味が深すぎるが……あいつは所謂オタクだ」

 

ラウラが言うにはクラリッサは日本のアニメや漫画文化に深く精通し過ぎており、日本に対して色々と間違った認識を持ってしまっているらしい。つくづく日本のそっち方面は英国面に近い何かを秘めているのではないかと思う。

 

「カミツレはもうセシリアと乱さんっていう恋人がいるけどさ、仲良くやれてるんだろ?見合いの話とか来てるのか?」

「まあ来てると言えば来てるんだが……」

「どんな人?」

「……大貴族の当主」

『えっ』

 

その言葉を聞いた瞬間に空気が凍ってしまった。大貴族の当主と言われると真っ先にある人物が出てきてしまう、そう1年の指導を行っている「新人潰しの破壊淑女」である……ヨランド・ルブラン。

 

「さあ皆さん、今日は座学から行きますわよ!!」

「……なあカミツレ、マジ?」

「……聞かないでくれ、頼むから……」


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