IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第149話

「はぁっ?千冬さんが結婚するって…お前不意をつきたいならもうちょい現実味のある嘘つけよ」

「今此処に千冬姉いたらお前、ぶっ飛ばされてるぞ」

 

外出届が受理された休日に一夏は自宅で掃除をしていると懐かしい顔に再会した。友人である五反田 弾、IS学園ではカミツレ以外でみる事がなかった男の友人である。実は弾には家の様子を見てもらうように頼んであり、その為に態々来てくれたようでもあった。来てみると窓から一夏が見えたのでインターホンで合図をして中に入れて貰ったようである。丁度掃除に終わっているので久しぶりにゲームをして遊ぶ事になった。弾とは友好関係はある程度の物と自負している、軽口を叩き合える関係である。そんな中、ぼそっと言ったのが千冬の結婚についてだった。千冬の事は分かっている。骨格で鋼鉄、筋肉は人工的な何か出来たサイボーグ並にとんでもない存在の千冬に相手が出来る訳がない、と弾は思っている。

 

「っというかシスコンのお前がそんな事言うって…如何したんだよ」

「俺の家庭環境だったら誰でもシスコンになると思うけどな」

「否定はしねぇけどな」

 

テレビの画面では一夏のリンクと弾のドンキーが乱闘を続けている。その最中にも軽い言葉の応酬は止まらない。

 

「マジで何かあったのか?一夏お前、千冬さんは俺が守るんだぁって言ってたじゃねぇか。千冬さんにして貰っただけ、恩返しするって」

「言ったけどそれって千冬姉の結婚とかには無関係じゃね?寧ろ俺がそれで邪魔したら、千冬姉を不幸にしてる」

「…まあ確かにな」

 

何処か冷静な物言いに何か違う物を感じる、以前一夏の誕生日のパーティを開くという企画があったが彼が「キャノンボール・ファスト」で3位入賞という快挙を達成してしまい、その影響で流れてしまったパーティ。祝いの言葉自体はメールや電話で送ったが、当日は会えなかったので今日会えた事は普通に喜ばしく思っている。しかし会ってみると自分の知っている一夏とは明らかに違っている事が分かる。

 

「なんか、変わったなお前」

「IS学園なんて異常地帯に長い間居たら嫌でも成長ぐらいするよ。弾、お前は俺の事羨ましがってたよな」

「ああ。女だらけの夢の場所だろ」

「夢の場所ねぇ…実際は国家間の争いの場所で夢なんて転がってないぞ」

「…マジで?」

「マジだよ」

 

ドンキーにスマッシュを叩き込んで場外に吹き飛ばした、最近箒とラウラが守っているから他の女子からの積極的なアタックから身を守れている。自分は全世界が欲している人材なのだ、そうであって当然なのだ。千冬もそれが理解出来ているなら一歩ぐらいは前進出来ていると言っていた。

 

「もしかして、千冬さんが結婚するって言うのも、ガチ……?」

「ガチだ」

「えええええええっっっ!!!!???」

 

今世紀最大の驚きだと言わんばかりに声を張り上げて驚愕した、あの千冬に相手が見付かった…!?嘘にしたら本当に性質が悪いが一夏だってこんな嘘を言っているのがバレたら、ボコボコにされるだけではきっとすまない。ならば真実だというのか!?あの鉄の処女とも一部で言われている千冬に!?

 

「だ、だだだだ誰なんだよ俺が知ってる人か!!?」

「あ~…知っているといえば知ってるけど知らないといえば知らないな」

「なんだよとんちみたいな事言うなよ!!というかお前認めてるのか!!?」

「ああ認めてるよ、千冬姉が選んだ相手だからな。すげぇ立派だぜ」

 

その言葉にも信じられなかった、あの一夏が姉が見つけた結婚相手を素直に認めているという事に……一夏のシスコンっぷりはここいらでは有名だ。遊びに行くのも断るのは姉の為に料理を作る、買い物に行かなければいけないというものばかりだった。弾はその事情を把握していた、だからこそ料理店をやっている自宅に姉弟揃って連れて行ってよく食事を取るように言っていたし、一緒に良く食べていた。だからこそ一夏の事も良く分かっている。その一夏が……まさか…。

 

「な、なあ一夏どんな人なんだ……?」

「そうだなぁ…」

 

一夏がどんな風に伝えたら一番分かって貰えるだろうかと、悩んでいる最中に玄関の方から鍵が開けられて扉が開く音がした。弾は思わず身体を震わせてしまった、まさかこのタイミングで千冬が帰ってきたのではないかと顔を青くする。足音はそのままリビングへと入ってくるが、聞こえてきた声は千冬の物ではなく男の物であった。

 

「買って来たぞ、だが本当に小麦粉がキッチンの掃除に役立つのか?」

「お帰り、おう俺も最初は半信半疑だったんだけどさやってみたらヤベーイ!!って位に綺麗に出来るんだよ」

「フ~ン…良く分からんがそういう物なのか?」

「そう言うもんだよ」

 

そう言いながら家庭的な会話をしている背後に目を向けてみると、そこには一夏と向かい合っている男がいた。その男は自分も知っている、ニュースなどでも良く見る顔で今や超有名人となっている人物である杉山 カミツレだった。カミツレは自分に気付くと一夏に友達かと尋ねて、そうだと言われると帽子を取って挨拶をしてきた。

 

「どうも、杉山 カミツレです」

「ど、どうも……五反田 弾っす……」

「カミツレ、千冬姉は?」

「ああ。学園でやる事あるから後で来るってメールが来た」

 

千冬ではなかった事に一抹の安心感を感じつつほっと息をつくが、此処で一つ気になった。何故千冬が彼にメールをするのだろうか、仕事の事なら一夏に直接すればいいのではないか…。何故メールが其方に…と首を傾げていると一夏はカミツレが買ってきた物をキッチンに置きつつも、声を出した。

 

「あっそうだ弾、千冬姉の結婚相手知りたがってたよな」

「おい、言っていいのか?」

「大丈夫だよ、どうせもう直ぐで公表するんだろ?」

 

と二人の会話で弾は心の何処かで辿り着いたのかもしれないが、理性がそれを理解するまでに行かなかった。笑いながら一夏が言う言葉を聞いた時、それが確信に変わりながら驚愕に塗り返られた。

 

「カミツレがその千冬姉の結婚相手で俺の兄貴になるんだぜ!!」

「兄貴って言うなって何度言わせるんだ?そんなにスピードロップ喰らいたいのか」

「マジ勘弁してください」

「はあああああああっっっっ!!!???」

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