IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第150話

「ち、千冬さんの結婚相手って…えっ、うぇっ…マジで!?」

「マジマジ。真島の兄さんが桐生さんに向けてる感情並にマジ」

「し、信じられねぇ…あの千冬さんと結婚する相手が俺と同年代……!?」

「気持ちは分かるけど千冬さんは結構可愛い所あるぞ、以外と甘え好きだからな」

 

微笑みながら恋人の惚気を行うカミツレ、紛れもなく本気で千冬の可愛いと思える所を想像しながら言っているからこそ出来る笑みを見た弾。顎が思わず外れそうなほどに開いた口が塞がらない。千冬には結婚という言葉すら似合わないと思っていた、ずっと独身で過ごすのだろうとすら思っていた…それなのにその千冬の心を射止めて結婚する相手がまさかの同年代且つ二人目のIS男性操縦者。もう驚きすぎて、これからの人生でどんな事に遭遇しても驚けなさそうだ。

 

「で、でもえっと杉山さんだっけ!?」

「カミツレでいいよ、五反田さん」

「い、いや俺も弾でいいよ。それじゃあ…カミツレってもう二人と婚約してるとかってニュースでやってなかったっけ!?えっとほら、代表候補生の!!」

「ああ、セシリアと乱さんの事だな」

「そうそうその人達!!えっ何、ガチハーレム構築中!?」

 

恥ずかしそうに頬を欠きながら頷いたカミツレ、それに愕然としながら崩れ落ちるように座り込んでしまった。まさか男のロマン、永遠の夢とも言われるハーレムを本気で構築している男がいるなんて思いもしなかった。正確には自分と同年代でという言葉を付け加えるべきなのだろうが。

 

「後、束さんとヨランドさんもだから5人だよな恋人」

「まあ、な」

「うっそおおおおおおおおおおおっっ!!!!????」

 

現代日本社会に生きる高校生である弾、女尊男卑の影響で男が女への態度はより一層の草食や絶食系が増えている現状。そんな中で輝きを放つ如く立つカミツレに男としての格の違いを感じ取った弾は、土下座をするかのようにしながらカミツレに向って頭を下げた。

 

「カミツレさん、いや是非とも兄貴と呼ばせてください!!是非とも、俺にもモテる男の極意を教えてください!!!」

「ブルータスお前もか!!?」

「いやカミツレこれはしょうがねぇって。しかも全員カミツレに告って来たんだろ、そりゃ男としての格を思い知るって奴だよ」

「マジでか!?益々兄貴と呼ばせてください!!」

「ええい、いい加減にせんかい!!お前も一夏の同類か!!!」

「こんなクソ鈍感の唐変木と一緒にしないで頂きたい、心外だ!!!」

「おまっ!!?俺の事そんな風に思ってやがったのかよ弾!!」

 

 

「つ、つまり…元々交際してたのはカミツレの兄貴を守るためって事……!?すげぇ…ガチで好きな相手の為にそこまで出来る人っているんだ……俺、セシリアさんの事尊敬するわ」

「だから兄貴はやめてくれ。まあそう言う事、あれと違って俺には千冬さんや束さんみたいな絶大な後ろ盾って奴がなかったからな」

 

一夏は買ってきて貰った小麦粉を使ってキッチンの掃除を行っている間、カミツレと弾は一緒にゲームをしながら話をする事となった。自分の詳しい身の上話をしながら、何故複数の女性と付き合っているのかを解説しながら弾のドンキーを吹き飛ばすカミツレ。弾もそれを聞きながらもそれなりに理解していた。改めて思うと自分にとって千冬は友人の姉というだけだが、世間的に考えれば絶大な影響を持つ人間だった。そんな千冬に守られている一夏と一般人のカミツレでは抱えている問題も変わってくるという物。

 

「にしても…あの鈴の従妹とも付き合ってるとかすげぇな…。あいつの義兄でもあるのか」

「あっそういえば…ああいやでも義兄ではないんじゃないか?」

「あっそっか。でもどっちにしろ兄貴は色んな人と関係持ってますね、もう一般人で言えないんじゃない?」

「……まあ、うん…そうだね」

 

極普通の弾にも言われてしまった言葉が妙に心に来る。それももう現実なので何も言えないが…束に気にいられ旦那認定された時点でもう、明らかに世界を動かせるポジションについているのだから。

 

「っつう事はさ…一夏も一夫多妻制が認可されてるから、あいつも何れ複数の嫁持ちに…?」

「まあそうなるんじゃないか…?実際そうなるかは分からないけど」

「信じられねぇ…」

 

現状一夏には既に箒という彼女がいる、公表はしていないが二人は既に結婚の約束までしている。一夫多妻制度認可条約があるので一夏も複数の女性との結婚が認められている…が、一夏は箒という彼女に全ての愛を注ぎ込んでいる状況で他の人と関係を持つなんて考えられないと前に言っていた。彼にも他国からの干渉もありえるだろうが…それならば義理の兄弟関係になる自分が盾になれば済んでしまう。それに…その彼女である箒の姉が束という凄まじい事になっている。

 

「まああいつも色々大変なんだろうなぁ…俺、IS学園の事とかすげぇ楽観的に考えたからなぁ……」

「実際は色々と辛いんだよ。特に俺なんて、初戦で負けたら即座に研究所送りだったらしいからな」

「…兄貴、人生ベリーハードモードだな」

「まあな…というか兄貴呼びマジやめろ」

「んじゃカミツレ…如何したらモテると思う?」

 

そこからは割と真剣な弾の恋愛相談に発展して行った、如何すればモテる云々よりもまずどんな女性に巡りあいたいから始めた。不特定多数の女性にモテても良い事なんて一つもない、だから自分が人生の全てを賭けてもいいと言えるだけの女性と巡り会う事を優先した方がいいとアドバイスを送る。

 

この後、弾から是非とも仲良くなってみたいという女性の特徴を聞いていき、そんな女性に似合う男になるように努力するようにアドバイスをした。が、一夏とカミツレは弾の理想の女の子像を聞いて一人思い当たった女子生徒がいた。それは……

 

「「……のほほんさん…?」」

 

という一幕があったりもした。


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