その日、全世界に震撼する出来事が地球を駆け巡って行った。今現在世界で最も話題を集めている事柄と言えば、男性IS操縦者の二人の事である。今全世界は一夫多妻制が認可された二人へ対して、どんな女性を送り込むべきでどんな女性が好みなのかという事を躍起になって調べている。彼らの力を我が国にする為に全力を尽くしている、学園内にいる自国の生徒にも積極的に動くように指示が飛ばされており二人の確保は激しさを増していく中、全世界へと向けられた放送が行われた。IS学園の一角にある応接室、そこで撮影されている映像はネットの回線を通して全世界へと放映された。
『わたくし、フランス国家代表でありヨランド・ルブランはイギリスの国家代表候補生である杉山 カミツレさんと婚約する事になりました』
あのビック10の一角であるヨランドがカミツレとの婚約を発表したのである、世界最高峰のIS操縦士として名高いヨランドの婚約発表に世界は愕然とした。加えてこの婚約は自分個人が申し出た事、カミツレ本人が熟慮し自分自身の事を好いてくれているからこそ婚約を決めてくれた事を表明した。驚きと動揺が広がり続けている中、ヨランドはカミツレを抱き寄せて軽くその唇にキスを落とす。
『ヨランド・ルブランは、彼を心から思っております。この婚約に文句があるのであればわたくしに直接言いなさい、真正面から受けて立ちますわ・ルブラン家の当主として全力を持って相手をして差し上げますわ!!!』
自分からキスをする事で自分の思いを広めると同時に警告を飛ばす、自惚れでもないがヨランドの人気は正に世界規模でファンが世界中にいる。そんな彼女との婚約を快く思わない者も当然いるだろう、そんな事は承知しているヨランドはそんな相手は自分が叩き潰すと公言したのである。カミツレを守る為でもあるが、自らの意志と感情を侮辱されるような行為は我慢出来ないという現われでもある。そして同時にカミツレはフランス政府の後ろ盾すら手に入れた事も意味する放送に、各国首脳陣は頭を抱えて、フランス政府は歓喜に震えていた。そして同時に千冬がその場に参上すると、ヨランドに抱き締められてやや顔を赤くしているカミツレを抱き上げてた。まるで白馬の王子が姫を救出したかのような構図だった。
『私もこの場を借りて表明させて貰おう。カミツレ、私織斑 千冬はお前を愛している。私と共に生きてくれ』
この時、世界中の時が停止した。唯一動いていたのはセシリア、乱、束、ヨランド、カミツレ、そして自室で箒と共に放送を見てやっぱり下手な男より男らしいじゃないかと思う一夏であった。
『私はお前の全てを愛している、これは私個人からの願いだ。受けて、くれるか?』
『…はい、喜んで』
と余裕たっぷりに笑みを浮かべたカミツレは頬を赤くしながらそう答えた。その言葉に嬉しく思いながら千冬もカミツレにキスをした。そのまま千冬は続けて言葉を放った。
『私も言わせてもらおう。今回の事について文句があるなら私に言え、私はカミツレの事を本気で愛している。カミツレ以外の奴とは絶対に結婚などしない、これは私自身の意志だ。政府などの思惑など一切ありはしない』
そう明言する千冬に全世界は再び狂乱に包まれた。あの世界最強の女である千冬が自らの意思でカミツレと婚約する事を表明した、というよりも全世界が見ている前で告白を行ったのである。世界中に点在する戦乙女信者は一斉に発狂するかのような声を上げた、こんな放送は偽物だと阿鼻叫喚の嵐となった。世界各国も騒然となり、慌てる所か驚きが一周してしまって如何すればいいんだろうと…と素直に考えてしまうほどだった。
『あんな放送は出鱈目だ!!!我らの戦乙女があんな男を好きになるわけがない!!!!』
と女尊男卑団体は全世界中で活動を行うとしたが、元々全世界で既に危険な思想として認定されている彼女らは次々に拘束や逮捕されていく。そんな彼女を哀れむように千冬は全世界にメッセージを発信した。
『私は一度も女尊男卑に靡いた事はない、あんなくだらない思想は消えて無くなればいい。そして、何より私個人の幸せを他人からとやかく言われる筋合いはない』
とこのメッセージに世界各国のIS国家代表は驚きつつも、素直に千冬の婚約を祝福した。イタリア代表のアリーシャ、アメリカ代表のイーリスを筆頭に次々に祝福の言葉を送った。国家代表とて女の幸せを堪能したいと思っているのが殆どで女尊男卑のような思想を持っている代表は全く居ない。一部からは、カミツレのような子供との結婚は如何かと…という意見もあったが殆どの代表達は祝福しており、女尊男卑団体はその現実に愕然としながら次々と捕縛されていくのであった。
全世界を混乱に陥れてしまったこの放送、覚悟はしていたもののカミツレ自身はこれからの事に頭を痛くしていた。これからはヨランドと千冬を貶めた最悪の男としてのレッテルも張られる事になるのか…と鬱々としていたが畳み掛けるように束もカミツレの婚約関係にあると発表してしまった。もしもカミツレに対して危害を加えようとする、手を出そうとするのであれば自分の全てを持って潰すと脅しを掛けたのである。
これによってまたもや世界は混乱するのであったが…束の絶大な影響力のお陰もあってか、カミツレに対する表立ったヘイトは発せられなくなったという。一部の国の政治家が命知らずにもカミツレの事を批判した…その時にはその国のISコア及び関連施設が完全停止、カミツレに対して国としての正式な謝罪が行われるまでIS関連の物全てが凍結したという……。
これによってカミツレは、世界で最も影響力がある男として見られる事になるのであった。
尚、これを見ていた兄である一海は爆笑し過ぎて顎が外れた上に頬が筋肉痛になったという。