IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第152話

カミツレに対する愛の発露、それによる世界的な混乱。それも束という存在によってほぼ強制的に沈静化させられた、束という天災が世界中に目を光らせておりカミツレに対するヘイトを発するとその国のIS関連が全てストップさせられる。それが抑止力となって、表立った物は減った。そんな中でカミツレはフランス政府とヨランドを通して会談を行い、イギリス政府と台湾政府とじっくりと会談を進めて行き、自分の事を決めて行きたいという方針で決定した。

 

そんな中、日本政府からの物もありカミツレと親密になって行こうという連絡が来たが千冬と共に眉を顰めた。何故そんな事になっているのか…と。日本政府は千冬は日本政府に所属している人間で、彼女の婚約するという事は日本政府とも繋がりを持つと主張をしたが…

 

「いや何でそうなる。私自身の意志と気持ち、織斑 千冬という個人としてカミツレに結婚を申し入れたんだぞ。それに今の私は日本政府所属ではなくIS学園に属する教師、元日本政府所属の戦乙女なんぞここにはいないぞ」

 

この言葉を受けて政府は千冬に対して抗議と再所属の要請を飛ばすが全て拒否、同時に千冬は自らが自身の力で自由国籍を取得している事を明らかにすると更に政府は焦った。更なるアクションをしようとしていたが…それを抑制したのは束であった。

 

「ち~ちゃんの幸せを邪魔しようとしてんじゃねえよ、カッ君を研究材料にしようとしてた事は知ってんだぞ。誠心誠意が篭った行動さえすれば、束さんも何も言わなかったけどこれ以上私達の幸せを壊すようなら…日本全てのコアを完全に停止させて、使えないようにしてもいいんだぞ」

 

親友であり同じ男を愛する者として政府のやり方が許せなかった束、完璧な脅しを掛けて政府がこれ以上汚い手を使えないようにした。流石の政府も束には逆らう事は出来なかった、しかし現首脳陣はそれでも暴走しかかったので束の手によって汚職などの証拠が一般公開され、首脳陣は総辞職し新政府が築かれた。新政府は以前のような事は一切しないと断言し、した場合は問答無用でコアを止めてもらっても構わないと会見を行って誠意と覚悟を見せ、確りと誠意を持った行動で交渉する方針で行く事になったという。

 

「カミツレ、なんかすげぇ事になったよなぁ…全世界が見てる前での告白とその受け入れ、見ててすげぇドキドキしたよ」

「言うな…俺だって恥ずかしかったんだ」

 

屋上にて一夏とカミツレは男だけの話をしている、普段から女に囲まれているのではストレスも溜まる。友人となってからは偶に二人だけで話をしたりしている。特に千冬と結婚するのだから、一夏にとっては義兄、カミツレにとっては義弟になるという関係なので良好な仲を築いて置くに越した事はないという事だ。

 

「自分から愛を証明するって言ってたから何するかと思ったら…まさかの愛の告白とキスだからなぁ…」

「効果はバッチリだろうけど、俺は凄い恥ずかしかった…」

 

あの場の千冬の告白は、周囲に自らの意志で決めた事と知らしめる為。自分から告白をしてそれを了承して貰うという工程を全世界を証人にするという大胆な行動、自分の認知度的に考えるとあれが正解だと千冬は思っているとの事。一回あんな風な告白をやってみたかったらしい。

 

「なんか、箒が凄い食い入るように見ててさ……放送終わった後に同じ事されて、改めて告白されたよ…」

「んで食われたと」

「……うん」

 

お互いに遠い目を作って海の彼方へと視線を投げ掛けた、如何してこうも今の時代の女性はこうも強いのだろうか。彼女らが自分たちの事を愛している事は良く分かる、がこちら側が一度でも攻められている事があっただろうかと思うと全くそんな事がない。本当に女性は強いと思い知らされる、色んな意味で。

 

「ま、まあ兎に角婚約おめでとうなカミツレ」

「あんがとさん…次はお前の番か?」

「いや、箒との関係はまだ公表しない。色々束さんとか千冬姉にも相談乗ってもらってさ、タイミングを見る事にしてるさ」

「そうか、まあ千冬さんと束さんに俺がお前の壁になってるようなもんだからな」

「いや本当に感謝してます」

 

頭を下げる一夏。一夏の場合は別に無理に一夫多妻制度を利用する事はなくなっている。既に親族関係と化している自分が力を貸すというか束と千冬の旦那という立場、ヨランドやリチャードに力を借りれば一夏の身を守る事も簡単に出来るようになっているのだから。望めば箒と二人っきりという事も十分に可能になっている。それが世間が許すかどうかも微妙なので一夏もそれについても相談などして、真剣に考えているが…矢張りまだ箒以外の人と結婚するという事に納得しきれていない模様。

 

「でもヨランドさんとの婚約したのはいいけど、もう直ぐヨランドさんってフランスに戻るんだよな?」

「まあな、もう直ぐ指導期間終わるし…その前にあれが残ってるけどな」

「ああっ…各学年代表と国家代表のエキシビジョンマッチだっけ」

 

間もなく終了する国家代表による指導期間、その終了に際して学園が企画し代表達に対して願い出たのが各自が指導した学園の代表者とのエキシビジョンマッチであった。その一年代表として選ばれたのはヨランドと婚約しているカミツレであった、まあ確かに技量的にもある意味適任とも言えるのだが…作為的な物を感じてならない。

 

「勝てる見込みってあるのか?」

「ある訳ないだろ」

「まさかの敗北宣言!!?」

「今の実力でヨランドさんに勝てとか、難易度インフェルノすぎるにも程があるからな。かんしゃく玉だけでアースイーター破壊しろって言ってるようなもんだぞ」

「うわぁ……まあビック10の一角だもんなぁ…」

 

弟子であるからこそヨランドの実力の凄まじさを把握しているカミツレ、勝てる見込みは正直言って0に近い。だが―――

 

「驚かせる、位は出来るだろうな」

「えっ秘策あるのか?」

「似たようなもんだ」


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