IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第162話

「だぁぁぁっ……疲れたぁぁっ…」

「お疲れ様ですカミツレさん、どうぞ紅茶を淹れましたから」

「いや悪いなセシリア…」

 

イギリスに滞在すること5日…研究所にて「大将軍」の解析とデータ取りに協力しながら研究所内の所員寮で生活しているカミツレ。リオノーラ主導の元で行われている解析と整備、自分のデータ取りもしているが政府からの要請で自分のグッズ作りの協力の取材もする事になってしまいデータ取り以外の時間は政府から遣わされた関係者による取材の相手をする事を強いられてしまっている。そこまで需要があるのか…と疲れながら聞いたらみたら真顔であると返されてしまった。

 

既に取材を基にしたグッズ開発が急速に行われており一部商品の予約販売が行われているが…それには世界各国から予約が殺到していると言われて思わず、うわぁっ…と口ずさんでしまったほどである。そんな取材協力を終えて部屋に戻ってくるとそこではセシリアが待っていてくれていた。恋人が部屋で自分に向けてくれたのは純粋な笑み、それが疲れを癒しつつも心に豊かをくれた。

 

「にしても…グッズ開発協力なんて凄い複雑な気分だよ…。目の前でデフォルメされたぬいぐるみにTシャツ、アクセサリーにスマホケースに電子マネーケース……なんかマジで頭痛くなってくるよ…」

「それだけカミツレさんが人気という訳ですよ、私だって雑誌にペンダントにイヤリングなどのアクセサリーの開発協力を致しましたし」

「そりゃセシリアは貴族で気品もあって綺麗だから当然じゃないか」

「まあっ♪」

 

自然と彼女に対する本音が出て来て褒められてセシリアも嬉しそうに笑う。彼からしたらある意味当然の事を言ったまでで別段今思ったからではなく普段から彼女に対して本心で思っているのである。

 

「本日はもう良いのですか?」

「ああ。今日はもうフリーだよって言ってももう午後5時か……結構な時間が経っちゃってるなぁ」

「そうですわね…カミツレさんの事を考えると致し方ない事ですわね…」

 

何処か寂しげな表情を浮かべているセシリアは俯きながら溜息を付いてしまった、そんな彼女を慰めるように彼女を軽く抱き寄せながら少し強めに抱き締める。細身な彼女の身体が自分の身体全てで感じ取れると同時に柔らかな感触が心地よい快感となって自分に伝わってくる。

 

「だからさセシリア、今日はもうこのまま二人っきりで居よう。リオノーラさんから許可は貰ってるからさ、一緒に過ごそう」

「良いの、ですか……?」

「ああ、今日もうこのままずっと触れ合っていよう」

「嬉しい…カミツレさん……ぁぁぁっ…」

 

イギリスに来てからの日々は政府のからの要請に応えるばかりだった、それもセシリアと一緒にはいたが恋人として一緒に居れたというよりも同じく代表候補生として一緒に居たというのが強く彼女からしたら寂しい毎日を送っていた事だろう。だから今日はそれを挽回しても余りあるほどに一緒に過ごそうと決めた。そんな時だった、可愛らしい小動物の声のような音がセシリアから聞こえてくる。それと共に彼女の顔は真っ赤になってしまった。どうやら彼女のお腹の音だったようだ。

 

「まずは、ご飯にしよっか。兄貴から野菜とか貰ったしそれでご飯にしよう」

「は、はい……」

 

淑女としては余りにも恥ずかしい事に顔を上げられないのか、カミツレの胸板に顔を埋めるようにして隠している彼女。その姿が如何にも愛らしくて致し方ない。ずっとこのまま眺めていたい程に愛らしい。そんな彼女が食べたいと願った料理を共に拵えて、共に食べる。ある種恋人としての理想系を達成しつつも二人っきりのディナーを堪能する。食後にはセシリアの淹れた紅茶で一息を淹れながら共に座りながら雑談をしている。

 

「それにしても…イギリスの滞在予定は確か2週間位だったかな」

「はい今日が5日目ですので後9日ですわ、国家代表との対面も控えてますわ」

「イギリスの国家代表…ヨランドさんみたいに接し易い人な事を願うよ」

 

イギリスでは2週間滞在する事になっているカミツレ、その間もスケジュールは詰まっている。基本的にはこの研究所で缶詰になりながらも過ごしている。基本的に「大将軍」関連と政府からの要請が殆どだが…。

 

「セシリアのご両親に挨拶、したかったんだけどな…」

「それはまた今度、冬休みに帰国した時に共に致しましょう。私も是非お父様とお母様にご紹介したいですわ」

「ああ。結婚するんだからな、セシリアのご両親に挨拶するのは当然の礼儀だもんな、まあ俺の家族にはセシリアは挨拶を済ませてるみたいだけど?」

「あ、あらご存知でしたか…?」

「ああ知ってるよ。外堀を埋めるが如く、リチャードさんと一緒に来たって兄貴から聞いたからね」

 

ジト目で見つめてくるカミツレに笑って誤魔化す事しか出来ないセシリア、今思うと確かに少しやりすぎてしまった感が否めない。だが間違っているとも思っていない、だから後悔はしていない。だが反省はしている。

 

「まあいいさ。俺もその事は全く気にしてないよ」

「ほっ……」

「そう言えばセシリア、今日は君に渡したい物があるんだよ」

「私に、ですか?」

「ああ是非渡したい」

 

そう言いながらカミツレは懐から目的の物を取り出してセシリアへと手渡した。丁寧にラッピングされた物を開けて見るとそこには青いケースのような物が入ってみるとそこには…サファイアが嵌め込まれている美しいネックレスが「誕生日おめでとう」というメッセージカードと共にそこにあった。思わず顔を上げてカミツレの事を見ると彼は優しく微笑んでいた。

 

「今日は君の誕生日だろう?だからリチャードさんに相談してこれを用意したんだ」

「わ、私の為に……っ?」

「ああ。セシリアは俺にとって本当に大切な人なんだ、そんな人の誕生日を祝わないなんて寂しいと思ってね。自分の誕生日なら兎も角、愛するセシリアの誕生日は絶対に祝うさ」

「カ、カミツレさん……」

 

思わず涙が溢れ出てしまう、自分の誕生日の事は彼に伝えていなかった。完全に伝えるのを忘れていたが態々言うのもワザとらしいと思ってしまい完全に諦めていた。そう思っていた矢先に素敵なサプライズに心が震えてしまっている。

 

「カミツレさん、是非、貴方の手で、付けてもらいたいですわ…」

「是非させて欲しいな」

 

ケースからネックレスを取り出して慎重に、彼女の肌を傷付けないように丁寧にネックレスを付けてあげた。サファイアの気品ある蒼い光、セシリアと非常にマッチしていて可憐さと美しさが増している様子に思わず唸りが上がるほど。涙を軽く取ってあげると、嬉しそうに笑いながらセシリアが抱き付いてくる。それを受け止めながら思わず見つめあった。

 

「私は本当に、本当に嬉しいですわ……カミツレさん……大好き、いえ愛しております」

「俺も君の事を心から愛してるよ、セシリア」

 

互いの思いを吐露すると、二人はまるで恋人が重ねあう掌のように、自然と唇を重ねていた。月明かりに照らされながら相手の愛情を自分の全て感じながら重ねた唇は温かくて…酷く愛おしかった。




セシリアの誕生日は調べてみたんですけど不明だったので……オリジナルな感じになっちゃいました……。

尚、このやり取りは私と妻の物を参考にしました。
妻と一緒にその時の事を話ながら書きました、その時はまあネックレスじゃなくてイヤリングだったんですが。

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